ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

まだ、自分だけのマラソン(新潟シティマラソン 2017)

 

 

ある人に合う靴も、べつの人には窮屈である。 あらゆるケースに適用する人生の秘訣などない

カール・グスタフユング

  

石ころをつかんでも地獄、燃える星をつかんでも地獄。結局、一番安全で楽しいのは、星を見上げていることだ。

伊吹有喜『ミッドナイト・バス』 

 

 

 

 

月曜日。新潟シティマラソン当日。

 

5時半ごろに起床。ビジネスホテルに前泊していたおかげで、ゆっくり眠ることができた。6時過ぎにホテルの朝食を食べ、お腹がパンパン。

 

ホテルを出て、新潟駅から会場に向かうシャトルバスに向かおうと思ったのだが――

 

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(ホテルより撮影)

 

(げ、もうかなり並んでるじゃん!)

 

ホテルの窓からシャトルバス乗り場がみえるのだが、すでに恐ろしい数の人が列を作っていた。急いで列に向かうと、さらに驚く。バス停からしばらくグネグネ曲がった後、階段を伝って駅の中まで入り込んでいたほどであった。バスはその列を無くすために、次から次へと駅にやってきた。

 

 私自身、時間に余裕を持たせてホテルを出たつもりだったのだが、会場に着いた頃には開会式10分前になり、かなり慌ただしい状態になってしまった。

 

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(スタート地点となるデンカビッグスワンスタジアム。ワオ、人がいっぱいである)

 

荷物を搬送トラックに預け、いそいそとストレッチをしながらスタート地点に向かう。

 

 

スタート地点も、まあ、人がたくさん。さすが12,000人参加規模だけある。老若男女、幅広い方々が周りを取り囲む。

 

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開会式では、市長やご当地アイドルのNegicco(ねぎっこ)、そしてマラソン界のアイドルである高橋尚子氏がご挨拶。会場がどんどん湧き上がっていく。

 

 

 

さて、今回のコースはこんな感じ。

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どうやら、2017年になり、コースが少し変更されたらしい。比較的平坦といえるコースだろうか。ただ、やはり気になるのが13㎞地点から続く「新潟みなとトンネル」くぐりである。はて、この高低差がどうでるか。

 

 

天気:曇り時々晴れ

気温:22℃前後

湿気:やや感じる

風:忘れた。でも、あんまり意識しなかったら、ほとんどなかったかも

(比較的走りやすい気候だったと思います。)

 

 

さて、スタート!

 

〇スタート~10km (5:30秒/km)

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スタートの号砲が鳴った後も、人が多くてなかなか前に進まない。ようやく走れるようになったのは2分ほど経過してから。それ以降も、50cm周辺には人がいるような密集状態。

 

スタート地点から応援が多いのが嬉しい。新潟市民のほか、高校生のチアリーディングや吹奏楽、ダンスに太鼓など目白押しである。

 

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(余談だが、大会プログラムを見てみると、応援にも力を入れているのがうかがえる。)

 

 

(こういうオマツリ感がいいんだよね)

 

とニヤニヤしながら走る。

 

一方、走りの方はというと、なかなかペースを作れずに戸惑った。5分30秒くらいで走りたいのだが、10秒前後早くなったり遅くなったりしてしまう。

 

(ちゃんと走らんと……。こういう時は、求めるペースで走っている人に付いていこう)

 

と思い、周囲を見渡すと――

 

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(あのお姉さん、良い按配に5分30秒くらいで走ってるなあ)

 

その女性は安定して5分30秒くらいを維持して走っているように思えた。そこで、その女性の後ろを、一定の距離感を取りながらついていくことにした。

 

あ、言っておくけど下心なんてないですからね。たまたまその人が綺麗でランニングウエアが大変似合っていましたが、まあ、そこは偶然です。もしもフルマラソンに不埒な感情を持ち込むようであれば、即刻退場すべきだし、飛び蹴りを食らわせる必要があると思ってますから(……でも、あの人、綺麗だったなあ)。

 

そのお姉さんを参考にしながらペースを整える。

 

〇 11km~20km (5:15/km)

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少しずつ体がほぐれて調子が上がってくる。ペースを作ってくれたくれた女性に心の中で別れを告げ、少しペースを上げる。(……どうでもいいが、ここでペースを上げなきゃよかったんだよなあ、と今になって思うわけだが。)

 

さて、気になっていた長いトンネルにいざ突中。

 

トンネルを走るなんて初めてだったのでとても新鮮。一定間隔でカラフルな照明でトンネル内が照らされるが、やはり薄暗い。人の熱気も手伝ってか、中はかなり蒸していた。汗も結構出てくる。

 

 周りの人のペースが少しずつ緩やかになる中、私のペースは快調に上がっていく。(上げなきゃよかったんだよなあ……)

 

〇 21~35㎞ (5:25秒/km)

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トンネルが二つ続いているわけではなく、1つのトンネルを超えた先に折り返し地点があった。折り返し地点にたどり着き、再びトンネルに突入。反対方向には、逆にトンネルに入ってきた人たちが走っている。

 

長いトンネルを抜けると、ようやくフルマラソン後半地点である。

 

 

長いトンネルを抜けるとそこは雪国だった

 

川端康成が記した『雪国』の舞台は新潟県であるわけだが、今回の新潟シティマラソンの場合、

 

長いトンネルを抜けると、そこは緩やかな上り坂

 

であった。

 

決して急峻ではないものの、断続的に続く坂道はじわじわと足に負担をかける。トンネルの高低差ダメージも影響し始めるところであり、周りには、少しずつ歩き始める人が現れてくる。

 

――だが、まだまだ私には余裕があった。それどころか、後半に差しかかかっても、ペースは安定、心身ともに余裕があった。

 

(俺は田沢湖のあの地獄坂を乗り越えたんだ。こんな上り坂、屁でもないわ。田沢湖は俺に翼を与えてくれたようである)

 

と大変に勇猛な心地であった。絶えることなく続く沿道の応援に、我が気持ちはどんどん高ぶっていく。

 

 

……しかし、田沢湖マラソン以降、大して練習もしていないくせに急に翼が生えてくるわけもない(練習不足でカビが生え、さらに肩こりと隠れ腰痛で腐れかかっている)。

 

幻の翼はあっという間に消えてしまう。30kmあたりで、案の定、

 

(ツラクナッテキタナ……)

 

と、アホ丸出しで「30kmの壁」に突入。30kmあたりでみるみるタイムは落ちていく。そして、今まで痛くなったことなんてなかった膝もきしみ始める。

 

心身ともにつらくなり始めたころ、前方にある女性が目に入る。

 

 

(……ん、あれは)

 

30kmをすぎたあたりだったと思うが、ちょうど高架下をくぐる場所に、あの人が待っていた。

 

 

 

 

 

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Qちゃん、その人である。疲れたランナーを応援するために、通り過ぎるタイミングでハイタッチをしていたのであった。
 

(菩薩じゃ、女神じゃ……)

 
以前、黒部名水マラソンに参加した時にも、Qちゃんのハイタッチにはお世話になった。

 

再びQちゃんとハイタッチできようとは。

 

「大丈夫大丈夫!いけるいける!」

 

と、私だけにしか理解できない言葉をかけてくれた。おそらく、この世を探しても、Qちゃんと2回もハイタッチしたことがある人間は数本の指に入る程度だろう(こうして勘違い男は増えていく)。

 

――

 

Qちゃんに勇気をもらいながらも、やはり足の痛みは治らない。

 

余談だが、ここらへんで救急車のサイレンがコースに鳴り響いていたことをよく覚えている。

 

 (自分もぶっ倒れるんじゃないかしら……)

 

と不安に駆られたのであった。気温はどんどん高くなり、気候的にもしんどくなってきた。

 

 

〇 35km~ラスト (6:00/km) 

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ペースは一気に落ちる。止まるほどつらいということではないが、足がだるい。(なぜいつもペース配分を間違えるのか、と自分を責める。)

 

歩かないことだけを特に意識しながら走り続けた。

 

最後手前の給水ポイントで梨を食べ、最後の力をふり絞る。(あの梨はとてもおいしかったです)

 

――ちょうど40㎞あたりにさしかかったあたりだろうか、後ろから大群のランナーが迫ってくる。そして、その大群はチンタラ走っている私をあっさり追い抜いていく。

 

(もういい、抜きたきゃ抜きなさいよ。私は私のペースで走るんだからね)

 

と気にも留めずにいたのだが……。

 

大群の中心で走る男性は、滑稽なフーセンの帽子をかぶっている。彼が仮装ランナーではないことはすぐに理解ができた。それと同時に、血の気が引く。

 

 

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――おなじみ、4時間ペースメーカーである。

 

 

(きゃあああああ!えっ、なんでなんで?なんでここで出てくんの?)

 

と心の中で絶叫。そして、混乱。

 

なぜならば、時計を見ながら、4時間はなんとか切れるだろうと思われる範囲でペース調整をしていたからである。それなのに、なぜ4時間ペースメーカーに抜かれなければならないのか?今一度時計をみる。やはり、4時間で行けるペースのはず。しかし、ペースメーカーはどんどん私を引き離していく。

 

 

(え、え、どういうこと?これどういうこと?と、とりあえずペースを上げないと)

 

とペースを上げようとするのだが、足が思うように動かない。足が動かない悔しさと、4時間を切れないことへのみじめさに襲われる。

 

 

涙が出そうだったが、周りの応援に励まされ、足を止めずに走り続ける。なお、ゴール間際、沿道から

 

「ここまで頑張ったんだから、歩いても大丈夫!よく頑張った!最後まで頑張るだけでいいから!」

 

という声援があった。意識朦朧ながら、個人的にはこの言葉は今でも鮮明に覚えている。すごく励まされた。……でも、ここで歩くわけにはいかなかった。

 

(歩くわけにはいがねえで……とりあえず走り切らねばならねなや)

 

と、ヘロヘロになりながらゴールを目指す。

 

 

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ゴールである新潟陸上競技場に到着。ゴール前では高校チアリーディングの応援が待っていた。その声と姿をみたら、誰だって全力疾走したくなる。最後の気力を振り絞って走り切る。

 

 

 

そして、無事にゴール。

 

 

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(ゴール周辺。みなヘタヘタであるが、笑顔の人が多い)

 

フィニッシュ後、私もゴールから少し離れたところでへたり込んでしまった。でもこの開放感がたまらない。これのために新潟に来たんだよなあ!と己の脚を撫でまわす。

  

 

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少し落ち着いて、着替えを済ませる。そして、ゴール後にもらえるヤキモチとおにぎりをいただいた。ヤキモチは焼き立てで大変に美味であった。本当に美味しくて、詰まりそうになるくらい、一気に呑み込んだ。ジャンボおにぎりは全部食べられなかったので、夕方くらいにお腹がすき始めたタイミングで美味しくいただきました。おにぎりの具?それは来年参加して一緒に確かめましょう(笑)

 

 

 さて、タイムですが、

 

約3時間59分(ネットタイムだと57分くらい?) 

 

でした。辛くも4時間切り達成!4時間ペースメーカーにはおいてかれたんですけどね(笑)

 

……それにしても、前回も3時間59分だったのだが、これはどういうことだろう?

 

4時間ギリギリ切りが己の限界で、今回も限界まで頑張った

 

もしくは

 

もっと早く走れるのに、サブ4達成以上の向上心がない

 

 ということだろうか。個人的には前者なのだが……。まあ、それは追々考えていこう。

 

さて、走り終えた後、いつもならば翌日の仕事に備え、いそいそと家路につくのだが、今回は有休をとっているので、慌てて帰る必要もない。ちょうしあわせー。ぴーやぴーや(まだ不安)。

 

――かといって、新潟で特段やることがあるわけでもない。そこで、せっかくだからと、ゴール100m前の応援に混じりながら今まさにゴールを迎えようとしているランナーたちをぼんやりと見る。

 

仮装して走りきる人たち、こんな風に参加しようと思えるサービス精神が素晴らしいと思う。……私にはなかなか難しいかな。

 

同じシャツを着てチームで参加して走る人たち。ゴール直前で同じシャツを着る人たちとハイタッチしながら完走を喜ぶ姿はとても楽しそうだ。横目でうらやましそうにチラ見する。

 

もう70歳をゆうに超えているだろうに、歩くことなくひたすらゴールを目指す人生の先輩。本当に圧巻。きっと、私なんかとは全く違う目的意識で走っているのだろう。

 

途中で足を痛めたのだろうか、足を引きずり苦悶の表情を浮かべながらゴールに向かうアスリート風ランナー。あらためて特段の問題なく走り切れた自分を褒めると同時に、フルマラソンの怖さを再認識する。今回はなんとか無事に走り切ったが、「偶然だぞ」と自分を戒めた。

 

 

――ゴール間際は色んな人のドラマを想像できて面白い。今まではフィニッシュ後にすぐ帰っていたけど、もう少しゆとりを持ってマラソン大会の雰囲気全体を堪能したいものである。今回は、このゴール間際のシーンを見れただけでも有休をとった甲斐があったというものである。(いや、本当に)。
 

 

 

――最後におまけ。別に私が書くまでもないが。

 

 

 

Qちゃんはゴール間際でもランナーたちを迎えていた。

 

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一人一人のランナーに向けて個々に笑顔と声援、そして、ハイタッチを繰り返す。

 

この方にとって、フルマラソンを1回やる以上の疲れを感じる仕事だということは容易に想像がつく。だって、約12,000人の見ず知らずの人間とハイタッチするんですから。場合によっては怖いこともあるだろうし、あえて「高橋尚子」がやることでもない仕事であろう。でも、この人はそんなことを思わせることもなく、ひたすらランナーを応援し続ける。

 

こういう姿を見ると、本当に仕事熱心な人なんだと尊敬の念を抱く。

 

ゲストなんだから当たり前だ

 

という意見もあるかもしれない。だが、それは違うんじゃないか、と思う。

 

この方、もはやマラソン界ではレジェンドQの人である。この方の活躍は、今更私がここで記すまでもない。

 

そんな人とマラソン大会でハイタッチや握手や並走できることが、一般ランナーにとってどれだけ幸せなことだろうか。それは、Qちゃんとハイタッチする人たちの嬉しそうな表情が一つの答えになるのだろう。この人は本当に多くの人に活力を与えている人なのだと思う(かくいう私も活力をいただいた1人である)。若輩者の私が言うのもおこがましいが、自分の立場と役割を的確に理解し行動に移すプロフェッショナルだと思った。そんなプロフェッショナルの仕事を遠目で見させていただきました。

 

 

 

ともかく、自分も仕事をちゃんと頑張ろうと思えたのだった。

 

 

おしまい:->:->:->:->

 

もう一度解放感を

 

私との旅行じゃ有休取らないくせに……

遠くにいるツレ

 

 

 

 日曜日。

 

朝早くに起床し、私は新潟に向かうために身支度をし、家を出る。

 

 

 

10月9日(月)、私はこの大会に参加する予定となっていた。

 

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新潟を舞台にしたマラソン大会、新潟シティマラソンである。

1983年から創立された、歴史あるマラソン大会。新潟市内を走れ、市全体で応援してくれるお祭りのような大会のようである。

 

9月に出た田沢湖マラソンのようなハードコースの大会もよいが、新潟シティマラソンのように沿道に応援がたくさんいる中で走るというのも、実にすがすがしいものである。

 

最近、色々と心身ともに疲れを感じることが多かった。先週も社外プレゼンやら接待が続き、社外とのやり取り以上に、社内調整の難しさを実感した。むしろひと段落した今になって、大分疲れが出てきた。

 

 

胃腸が荒れて気だるい。また、お肌も荒れ気味。一番問題なのは、肩こりである。たまに整体に行くと、肩と首回りがガチンガチンと言われる。湿布が気持ちよくてしょうがない。

 

このように、他の人からすれば大したことないレベルなんだろうけど、ストレスを強く感じている最近なのであった。ブログをゆっくり書いたり、ほかの人のブログを見て刺激を得たいのだが、なかなかそれもできなかったのも、このストレスのせいなのであった(これは言い訳)。

 

こんな愚痴愚痴した言葉って、漫画の中のサラリーマンだけのものだと思っていたけど、意外と身近なものだったようである。となると、これからは出世競争や派閥争いなんてのもあるのかもしれない。プロジェクト失敗に伴う左遷とかも、つらいだろうな。憧れの先輩社員との不倫なんて言うのも、現実に起こったっておかしくともなんとない。実はそれがハニートラップだったらどうしよう?……本当に、夜も眠れない。

 

 

嗚呼、もう、サラリーマンなんかやめて、どこか遠くに行って、ゆっくり過ごしたいもの――。

 

こう思うことも何となく増えた。そんなタイミングだったからこそ、今回のマラソンはある種のリフレッシュであった。

 

なお、新潟シティマラソンに向けて日曜日から前泊。そして、月曜日に走ったあとだが……今回はなんと、

 

火曜日に有給休暇

 

も、つけちゃいました!(笑)やったーい、やったーい。もうしーらんぺ。しーらんぺ。ゆとりをくだちゃーい!ぴーやぴーやぴーやぴーや(喜びと不安を表してます)。

 

終わった後も新潟でゴロゴロできる喜び!今回は2泊3日の新潟慰安旅行である。

 

 

  特に旅行計画は立ててないけど……とりあえず明日のマラソン大会を終えてから、ゆっくり考えよう。

 

――さて、肝心のマラソンだが、今回はあまり練習らしい練習ができていないのが正直なところである。だがしかし、前回の田沢湖マラソンから3週間しか経っていないので、むしろ過度な練習をするほうが問題である(ですよね?)。そのため、今回はちょうど田沢湖マラソンの疲れも癒えたタイミングであり、コンディションとしては悪くないわけである(ですよね?)。

 

今週は主食であるアルコールも結構控えたし、肩凝りの為に整体にも通った。

ちょっと疲れは残っているけど、明日は気楽に楽んでいこう。

 

 

 

今日は早めに寝ます。とりあえず、新潟駅周辺ブラブラした写真で締めたいと思います。

 

 

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(何かのイベントで歌い踊るアイドルたち。頑張ってください)

 

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(新潟市に来た際には行ってみたかったバスセンター)

 

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(名物の懐かしカレー。意外と辛かったなあ。大行列なり)

 

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(カレーの隣にある大判焼き屋さん。癒される店でしたよ、ダンナ)

 

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(明日の舞台、萬代橋)

 

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(明日の為に橋の上に陣取るコーン氏。明日はよろしくお願いいたします)

 

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(なんというのぼり旗でしょう)

 

 

明日はがんばろう。

 

 

 

要するにメンテナンスです

 

 

やっぱり人間は難しいことに挑戦したほうがいいよ。オレはいやだけど

高田純次

 

 

 

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今週の休日はメンテナンス。

 

ここ数週間、仕事に加え、ランニングやら試験勉強に時間を費やしていた。平日土日もおんなじ感じ。生来、非活動的な私からすれば、かなり活動的である。が、その代償は細かいところに現れていて――

 

 

部屋が散らかっている(床、本棚、水回り等)。

 

日用品が切れている(コンタクト液、コンタクトレンズティッシュ、洗剤類等)

 

筋肉痛や肩凝りが慢性化している

 

彼女との連絡が少なくなっている

 

髪がぼさぼさになっている

 

光熱費の支払いを忘れている

 

などなど、長い目でみたら大きな問題になりそうなことをいくつ抱えていた。

 

というわけで、今回の土日は、「優先順位は低いがいずれやるべきこと」をまとめて片付けることにした。

 

 

土曜日。

 

 朝に軽く走る。でも、今回はメンテナンス優先なので、本当に軽く走るだけ。

 家に戻り、たまっている洗濯物を片付ける。

 次は髪を切ること。最初はおしゃれな美容院をスマホでチクチク探したが、今求めているのはスピードであり、色気ではない。スマホを捨て、家の近くにある理容室で散髪。安いし、仕事が早い。そして、私が求める髪型に整えてくれる(まあ、もともと大したクオリティを求めていないだけですが)。

 帰りにコンビニにより、光熱費を支払う。そのあとにスーパーに立ち寄り、不足していた日用品をまとめ買いする。

 家に帰り、乾いたワイシャツやハンカチのアイロンがけを済ませる。

 軽く昼食を済ませた後に、部屋や風呂やキッチンを掃除する。クイックルワイパーでの床拭きも忘れません。(これが大事)

 

 

 最後に、家の近くの整体に行ってマッサージを受ける。マッサージを受けるのはめったにない。しかし、最近の肩凝りやフルマラソンの疲労を考えても、受けて損はないと思ったのである。なんたって、今週はメンテナンス週末なんだから。

 

 

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「ぎゃああああ!!っつっつっつ」

 

整体師「お兄さん、体中凝ってますね。下半身は強そうですけど、。腰回りから悲鳴が聞こえます。特に、首回りは石のよう。そして、ここを押すと――」

 

「ひ!っひ、くぅぅ涙」

 

整体師「首につながるツボです。やっぱりね(笑)大丈夫ですか?」

 

「大丈夫……(じゃないかも)です」

 

整体師「あははは。効いてますね」

 

「(ツボ押して意味あるんだろうな)……かなり効いてます」

 

終わった後は体中が熱を帯びていた。血の巡りが良くなったのだろうか?帰って風呂を浴びる。

 

そんな土曜日。デキルOLか!と自分につっこむ(ほくほく)。

 

――

 

日曜日。引き続きメンテナンス。

 

しかし、昨日にやるべきことは大体済ませていたので、特段やることもない。だから、グータラ過ごす。

 

9時過ぎまで寝て、起きてもワイドショーを見たり、カレーを作って食べたり、お茶を淹れてゆっくり飲んだり、漫画を読んだりする。

 

そのうち、本当にやることがなくなったので、先輩から勧められていた経営者自伝を読む。

 

 

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記憶が年々希薄になるなか、そうした思い出を書きとめ、社員や子どもたちなどに伝え残したいと思ったことが、本書を書こうと思い立ったきっかけです。

 ただし、単なる回顧録にしたつもりはありません。節目節目で考えたこと、思ったこと、成功したことだけでなく、失敗したことも書き記しました。

 「賢者は歴史に学ぶ」と言います。本書を読んだ人が、会社経営や人生に少しでも役立てて下されば、これほどうれしいことはありません。

 

著書抜粋(大人の事情でぼやかす)

 

 

内容は著者の自伝的内容。あまりこういう本は読まないのだが、久しぶりに読んでみると結構面白い。ただ、自伝本によくあるように、幼少時から今に至るまでを本にまとめたい!と思えること自体がすごいと思った。過去の自分を振り返られる人生、実にうらやましい。……私はそういう人生を送れるんだろうか?

 

送れるように頑張ろう。そのためには大事になる前に、メンテナンスすることが大事ですね。

 

 

日曜日の夕暮れに本を読了。この時間には珍しく、仕事に行きたくない病が少し落ち着く。

 

久しぶりに携帯電話を見る。すると、電話が3件入っている。彼女からだった。

 

「あ、もしもし?」

 

「ちょっと、何やってたのよ。全然つながらないし。死んだかと思った」

 

「ごめんごめん、今週の休みはメンテナンスだったから――」

 

「そのセリフ毎週吐いているからね」

 

「……そうだっけ?(笑)いや、そんなことないでしょ……?」

 

「あるよ。旅行のこといつになったらちゃんと考えてくれるの?」

 

「今考える今考える!よし、だいぶメンテナンスすすんだしね」

 

 

 

一番大事なメンテナンスを忘れていたことに気づく、なんてオチもつかぬ日曜日でした。しくじり先生を見たし、そろそろ寝よ。

 

明日から頑張ろう。こう思えたら、良きメンテナンスだったと思うのであった。

 

 

田沢湖はそこにあるから(田沢湖マラソン後半)

 

 

 

 

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(本日は美しき辰子姫から) 

 

 

 

日曜日。9月17日の朝。

 

前回記した通り、この日、田沢湖マラソンに参加することになっていた。

 

 

yakiimoboy.hatenablog.com

 

 

父が運転する車で会場に向かう。助手席には母、後ろの席に私が座った。

移動中、私は母が早朝から作ってくれたおにぎりをほおばる。

 

父「……なんだか天気が悪くなってきたなあ。雨は降ってないけど、風がなあ」

 

母「風強いねえ。もしかして大会中止になるんじゃないの?」

 

「……大阪からはるばる秋田に来て、ここで中止になったら、目も当てられないな。もう二度と走りたくないって思うだろうね」

 

心配性の父、思ったことをすぐ口に出す母。そして、その2つの性格を足し合わせた性格の私。明るい話題はなかなか上らない。

 

 

ご存知の通り、今回の連休は、台風が日本列島を直撃した。

 

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(振り返ってみても、実に恐ろしい進路であった)

 

大会当日の朝、台風は九州から関西に向かっているところであった。大会が行われる田沢湖でも、午後から雨の予報となっていた。

 

父「まあ、田沢湖マラソンっていっつも天気が悪い印象だけど、中止になったことはあんまりないから大丈夫だよ、たぶん」

 

「ふーん。そういえば、オヤジは今まで何回くらい田沢湖マラソンに出たんだっけ?」

 

父「10回くらいか?40歳ごろから60歳になるまで走ったから、まあそれくらいかな」

 

「ふーん、すごいね。俺はそんなに走れる気がしないよ(本当に)」

 

母「そんなことより、走り終わった後はどうすんの?どうやって帰るつもり?」

 

「そうねえ……」

 

当初の予定としては、翌日の月曜日の朝に飛行機で帰る予定だった。しかし、台風の影響で飛行機が欠航になる可能性が高かった。

 

「飛行機、無理かもねえ。最悪、火曜日に会社遅刻して帰ろうかな(笑)」

 

父「それはダメだろ。社会人として」

 

「いや、別にいいんじゃない?事前に上司に連絡しておけば。たぶん、いいよっていうと思うよ」

 

母「そういうのは口で『いいよ』って言っても、内心じゃどう思われているかわからんもんだよ。まだ若手なんだから、そういうとこ見られてるんだから。ちゃんと火曜日は出社しな」

 

「じゃあ、今日走り終わったら新幹線で帰るしかないなあ――」

 

父「走った後にそれはきついだろ?今日は家に泊まって、明日の朝に新幹線で帰ればいいだろ」

 

「そうもいかんよ。さっきは冗談で火曜日に出社するって言ったけど、月曜日はどうしても大阪にいなきゃいけないんだ」

 

母「なんで?」

 

「月曜日の午後に、どうしても受けなきゃいけない試験があるんだもの」

 

月曜日の午後2時ごろ、私はとある試験を控えていた。新幹線で帰るとなると、これに間に合うためには日曜日中に大阪に帰る必要があった。言い換えるならば、マラソンを終えた後すぐに新幹線に乗って帰らなければならなかったわけである(もし台風がなければ、月曜日の朝に飛行機で大阪に帰って、悠々と試験に向かう予定だったのだが)。

 

心から台風を呪った。そして、そもそも、フルマラソンの次の日に試験を入れる過去の自分を呪った。

 

 

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無事会場に到着。すでに人でにぎわっている。到着したときの天気は曇り。台風の影響が出てきたのか、風が強くなり始めていた。

 

 

スタート30分前。ストレッチして体を温める。

 

「そろそろスタート地点に行こうかな」 

 

母「トイレ行った?」

 

「さっき行ったよ。見てたじゃん」

 

父「まあ、ともかく頑張ってこい」

 

「うん。――あ、田沢湖マラソン経験者として、なにかアドバイスちょうだいよ」

 

父「アドバイス?……そうだなあ、まあやっぱり35kmを超えたあたりにある坂を甘くみるな、ってことかな」

 

父が言っているのはこの坂である。

 

 

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(田沢湖マラソンコース高低図)

 

 

フルマラソンには「30kmの壁」というのがある。

 

前半の疲れやエネルギー不足等によって、30㎞あたりでそれまで蓄積してきた疲れが一気に心身を襲うのである。多くのランナーはそれまでのような身体の自由がきかなくなり、ペースも急激に落ち込む。文字通り、大きな壁としてランナーの前に立ちはだかるわけである。興味深いことに、30kmの壁は、ベテランだろうがアマチュアだろうが容赦なく襲ってくるようである。

 

この30㎞の壁こそ、あらゆるフルマラソンランナーにとって最大の試練になるわけだが、数多くのドラマが生まれるのもこのポイントであり、ここをどう乗り越えるのかが最大の醍醐味といえよう(多分)。

 

さて、この田沢湖マラソン、ちょうど35㎞あたりで急激な高低差があるわけである。35㎞と言ったら、30kmの壁に直面し、疲労が限界点を超えるかどうかのタイミング。ここで殺人的な高低差があることがどんな意味を持つかは、私ごときでも走る前から容易に想像できた。

 

父「――俺はこの坂に負けたんだ」

 

「?」


父はポツリという。

 

父「60歳、人生最後のフルマラソンも、この坂でリタイアして……そうだったんだよなあ」

 

「……」

 

母「その日は私が運転して家まで帰ったんだよね。リタイアしたような人に運転させるわけにはいかない、ってさ(笑)」

 

父「――そうだっけ?」

 

母「そうだよ。忘れたふりしてる」

 

「……なるほどねえ」

 

父「ともかく、この坂は辛い。登りがかなり辛いんだが、俺が本当に辛かったのはむしろ下りだな。硬直した足であの急激な下りはかなり響く。まあ、下りは無理せず歩くくらいのペースで走って、最後の平坦道を走りきることだな」

 

「覚えておくよ」

 

父「で、お前の目標タイムは?」

 

「……うーん、まあ、とりあえず4時間きることかしら?」

 

父「――そうか。まあ頑張れ」



 ―― 

 

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3時間半~4時間の位置に並ぶ。周りを見ると、ベテランランナーが集っている。参加者は皆ツワモノに見えた。事実、このマラソン大会は、初出場よりもリピーターが多そうだった。

 

 

さて、10時。定刻通りスタート。

 



◯0〜10km  平均5:30/km

 

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最初は抑え気味かつ一定のペース。しかし、序盤から結構な高低差があるせいか、速度調整が難しい。

 

(焦るな、とりあえず焦るな)

 

と心を落ち着かせる。なお、朝に食べたおにぎりがまだ充分に消化されていないようで、お腹が少し張っていた。後半ごろにはエネルギーに代わってくれていることを願う。

 

 

◯11〜20km 平均5:20/km

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まだまだ余裕。ここあたりから少し加速。しかし、下りが多いせいか、身体が前のめりになり、予定以上にスピードが上がってしまう。

 

……今振り返っても実に恥ずかしいことだが、この時頭の中で

 

今日は調子がいい。頑張ればサブ3.5(3時間30分未満)行けるかも

 

なんて思ったりもした。そして、登りに差し掛かっても勢いよく進み続ける。しかし、この時にはしゃいでいた代償は、後半に容赦なく襲い掛かってくることになる。

 

◯21〜30km 平均5:25/km

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ここまでが前半戦だとするならば、ここからは後半戦。走るコースは街中から田沢湖周辺にシフトする。

 

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(前半が右側をうねうねし、後半から田沢湖を一周するのである)

 

21~30km地点は多少の起伏はありながらも、比較的平坦な道のりを走ることになる。そして、横には翡翠色に染まる田沢湖が広がっている。心地よいランニングコースと言えよう。

 

時折景観を楽しみながら、ペースを維持して走る。ここまでとても心地よく走ることができた――ここまでは。

 

〇31~35km 平均5:50/km

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決して起伏が激しいわけでもないのに、脚が重くなる。

 

(――順当に30㎞の壁か。でもあと10kmで終わってしまうんだ…頑張れる)

 

ここにたどり着くまでの蓄積していた高低差の疲労がむき出しになり始める。脚はすでに悲鳴を上げていた。また、肩の凝りも気になり始める。だが、気持ち的にはまだ余裕だった。 


 

5分おきくらいで伸びをしながら走りを続ける。しかし、気持ちとは裏腹に、平均ペースはみるみる落ち込んでいった。

 

35㎞地点、父が言っていたあの坂についにたどり着いた。 

 

 

〇36~40km 平均6:35/km 

 

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(……!きつっ……!!)

 

この坂、想像以上にきつい。私だけではなく前後を走るほかのランナー達も同様のようで、次々に走ることをやめて歩き始める。

 

私は意地でも歩かないと心に決めて、走り続ける。ほとんど歩くのとペースが変わらない。だが、疲労はみるみる蓄積される。

 

(……骨が折れる!筋肉が裂ける!脚がもげる!!あああいい!!)

 

という気分。


 

なんとか上り坂を終えたころには、3時間20分を回っていた。ここでおおよそ36㎞地点。残り約6㎞。

 

(4時間切りを達成するには、残り6分40秒くらいのペースを維持しなきゃ……)

 

普段ならば6分40秒/kmというのはかなりゆっくりなペースである。しかし、この時の私はこれがかなり厳しく感じた。脚はすでに限界に達しつつある。下り坂に入ると、一歩一歩が上半身の方まで響いた。


父の言葉が脳裏をよぎる。

 


父「ともかく、この坂は辛い。登りがかなり辛いんだが、俺が本当に辛かったのはむしろ下りだな。硬直した足であの急激な下りはかなり響く。まあ、下りは無理せず歩くくらいのペースで走って、最後の平坦道を走りきることだな」

 



(親父が言っていたことは正しかった……こりゃかなりやばい……)

 

後ろのランナーから次々と抜かされる。ベテランランナーはこの坂との戦い方を熟知しているのか、ペースが乱れることなくどんどん先に行く。

 

一方、私の脚は硬直。

 

(もう、ダメ……)




 

ついに止まってしまった。


 

(初めて止まってしまった……)

 

この時、膝から崩れ落ちそうになった。だが、そこはなんとか気力で持ち直す。そして、片足ずつゆっくりと10秒ずつ伸びをした。

 

(まだいける……というか、いかないと親に合わせる顔がない!)

 

 

時計を見る。残り5㎞のところで3時間27分を過ぎたあたり。

 

(6分30秒/kmを守ることだけ。それだけ守って走ろう)

 

もはや戦略を練る余裕はない。簡単な目標だけを定め、自分のペースをコントロールした。

 


半分意識を失っているところで、給水所にたどり着く。

 

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給水所にあったレモンを手に取る。口に含むと、酸味が一気に脳みそを刺激し、朦朧としていた意識を覚ます。

 

(もう、本当にラストなんだから……!) 

 

 

〇41km~ラスト 平均6:10/km

 

ここまできたら、あとはもう気力。ゴールに近づくにつれ、応援が多くなってくる。その声を両サイドから受けていると、不思議とペースが上がってくる。もう、ここまで来たら走り切ることのみ。そして。 

 

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 (父が撮ってくれた写真)

 

 

辛うじてゴール。

 

 父「お疲れだったなあ」

母「お疲れだったなあ」

「……うん」

 

ゴールで待っていた両親が来てくれる。走り終わったあとは、脚が硬直してへたり込んだ。 

 

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終わったあと、豚汁と日の丸弁当。しばらくは寒いし気持ち悪い、で、全く食べられなかった。でも、時間が経つと食欲も回復し、一気にかき込んだ。やっぱり、走り終わった後のゴハンは何物にも代えられないうまさがあった。 




 

 

ゆっくりと完走後の余韻に浸りたかったのだが――

 

父「じゃあ、そろそろ田沢湖駅に行くぞ」

 


「……そうね」

 

上述の通り、ランニング後はすぐに新幹線に乗って大阪に帰らなければならなかった。お楽しみ抽選会も参加することなく、父が運転する車で田沢湖駅に行く。東京経由大阪行きの新幹線乗車券を購入。出発まで30分ほどあったので、駅前の両親と駅前の食堂でラーメンを食べた。

 

「本当は家で祝いの酒を飲みたかったんだけどなあ。台風を呪うよ」

 

父「まあ、仕方ないわな」

 

母「今度はもっと余裕を持ったスケジュールにしな」

 




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というわけで、今回の田沢湖マラソンはあわただしい感じで終わったのであった。まあ、大会が中止にならなかっただけ幸せですね。

 

 

最後にタイムですが、

 

3時間59分50秒台

 

で、無事に4時間切り達成しました!



振り返ってみても、本当にギリギリでしたね。この執念をもっと仕事に活かしたいと思います(仕事よ、もっと私を追い込んでみろ) 

 






親父よ、今度は一緒に…なんて願うには遅すぎたかもしれない。でも、とりあえずタスキは受け継いだ。そして、毎年実家に帰る口実ができたかな。





おしまい。 




父の愛したコース(田沢湖マラソン前半)

 

 

走るため、走り出すためには、どんな理由であってもかまわない。少なくとも、そう考える方が心地よい。すなわち、どんな理由であっても、走ることは、人間の内部に隠れていて見えなかったエネルギーの爆発である。そのエネルギーは人によってはとても微弱のように見えながら、間違いなく過剰なものだ。そしてその爆発は、悪いものであるどころか、大変に美しい。それは人間が人間であるということなのだから。

原章二『マラソン100回の知恵』より 

 

 

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ここ最近、会社内で私が

 

マラソン好き

 

ということになっている。

 

 

……いっておくが、別に自分で「マラソンが大好きなんですわー」と言いふらしているわけではない。ただ、お昼の休憩中、一度事務職の先輩と雑談程度にこんな会話をしただけ。

 

先輩「焼いも君は土日は何してんの?」

 

「土日ですか?……特にすることもないんで、走ったりしてますかね」

 

先輩「走ってんの?見かけによらないね(笑)」

 

「別に、そこまで本格的に走ってないですからね」

 

先輩「大会とか出るの?」

 

「そうですね、何回か気まぐれでマラソン大会に出てますかね」

 

先輩「大会って、何km?」

 

「まあ……たまにフルとかですかね。本当に、たまにですよ」

 

先輩「フル!?すごいじゃん」

 

「い、いえ別に全然……、本当に大したことないので……ちゃんとやっている人に失礼なレベルです」

 

先輩「ふーん」

 

 という感じ。だが、こんな会話を会社でたくさんのつながりを持つ人とすると、あっという間に広がってしまうものである。そして、うちの会社の場合、この会話をした人がソレにあたる。

 

 

知らぬうちに、会社であまり話さない人からも

 

「よっ、フルマラソン君」

 

だの

 

「次の大会はいつなの?」

 

だの、

 

「実業団に所属してるんだって?すごいねえ」

 

だの、あたかも体育会系の扱いを受けてしまっているわけである(実物はただのウラナリである)。

 

フルマラソンを大会で走ったといっても、普段は土日にちょこっと走っているだけである。それに、タイムだって、最近かろうじて4時間を切れるようになったレベルである。無論、実業団に所属なんてしているわけもない(誰だそんなこと言ったやつは)。毎日綿密且つコツコツ練習をこなしているベテランランナーからすれば、この程度で「ランナー」を気取られるのは苦笑以外の何物でもない。(嗚呼、恥ずかしや)

 

私自身、別に運動が得意なわけでない。むしろ大の苦手である。苦手な割に、小・中・高・大と、すべて運動部に所属していた。だが、どの部活でもいい結果を残すことはできず、まあ、ほぼすべて補欠要員であった。本当は運動部よりも吹奏楽部に入って音楽をやりたかったのだが、いろいろ事情があって運動部に入らざるを得なかったのである。本当は吹奏楽部に入って、今頃は世界的なトランぺッターになる予定だったのだが(トランペットなめんな、という声が今聞こえました)。

  

 

ただ、運動は苦手だったものの、この年になるまでちょこちょこ走ってはいた。走ることだけは、幼少のころから細い糸を伸ばしたように脈々と受け継がれ、今に至るまで続いている数少ない習慣となっている。だから、今もその習慣に従って走っているだけなのだと思っている。

 

では、なぜ生来の運動嫌いにもかかわらず、私は幼少の頃から走っていたのだろう? 

この疑問については明確な答えがある。それは、父の影響である。

 

 

 

 

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私の父はマラソンが好きだった。40歳中ごろからマラソンをはじめた父は、一気にのめりこんだ。何度もフルマラソンに出場し、時にはホノルルまで走りに行っていた。父の部屋には、これまで参加した大会でつけていたゼッケンが壁にびっしり貼り付けられていた。(60歳を過ぎて走ることをやめてからはすべて外してしまったが。)

 

幼いころ、よく父の早朝ジョギングに家族で付き合っていた。運動嫌いの私にはかなり苦痛だったろうが、走り終えた後のポカリスエット三ツ矢サイダーがおいしかったから、たぶん付き合うことができたんだと思う。

 

 

 

ところで、私が記憶する中で、私自身が初めて走ることに「真剣」に取り組んだのは、今から約20年前のある大会である。それは、秋田県で毎年行われている

 

 

田沢湖マラソン

 

 

である。

 

 

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田沢湖(たざわこ)は、秋田県仙北市にある淡水湖。一級河川雄物川水系に属する。日本で最も深い湖であり、国内で19番目に広い湖沼である。その全域が田沢湖抱返り県立自然公園に指定されており、日本百景にも選ばれている景勝地である。

Wikipediaより

 

日本で最も深い湖である田沢湖。そして、その田沢湖を中心として行われるのが「田沢湖マラソン」である。

 

 

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マラソン好きな父が何度も繰り返し挑んで走ったのが田沢湖マラソンだった。東北の田舎にある我が家にとって、田沢湖マラソンは、近くで行われる数少ないフルマラソン大会だったのである。(それでも、結構離れているんだけどね)

 

この大会、私も何度か母と一緒にペアマラソン(3km)で参加した。この時のことは、おぼろげながら覚えている。当日、早朝から父が運転する車に乗り、会場に向かった。それが当時は大旅行で楽しかった。

 父はフルマラソンを走り、その帰りを待つ間、私と母で3㎞走っていたのである。振り返ってみると、運動嫌いな私が3㎞も走るのはとてもつらかったと思うが、どういうわけか、走り終わった後の豚汁がおいしかったことしか覚えていない。食べ物の記憶の部分はよく覚えている。本当に、食は記憶を保持する重要なツールである。

 

ちなみに、両親の寝室には、ペアマラソンで走った時の写真が今も飾っている。きっと両親にとっても思い出になっているのだろう。

 

 

ーーともかく、田沢湖マラソンは、私にとって初めて本格的に走った経験だし、少なからず、今のランニング趣味に影響を与えていると思っている。

 

 

さて、なぜこんなことをダラダラ書いたのかというと、実は、今年9月17日(日)、そんな大事な思い出の田沢湖マラソンに参加してきたからである。……前置きが実に長いですね(笑)

 

 

田沢湖マラソン、今年で第32回目となる、伝統的なマラソン大会である。そして、私が参加したのは、やっぱりフルマラソン。

 

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(コース)

 

概要

開催日:9月17日(日)10:00~

参加定員:1,600人

参加料:4,500円

制限時間:5時間

 

はじめ20㎞までは街中をぐるぐる回る。その後、田沢湖周辺を1周(約20㎞)してゴールする流れ。

 

 

父が何度も挑戦したこのコースに、私も今年挑戦することになった。田沢湖マラソンが今も続いていることに、心から感謝したい。

 

 

 

……走る理由?まあ、気まぐれですね(笑)

  

 ――

 

前日の土曜日の朝、飛行機で実家に帰省。その日は実家に泊まり、翌日曜日の明朝、車で田沢湖に向かうことにした。実家の両親も応援ということで一緒に向かうこととなった。

 

 

私のマラソンの原点である田沢湖マラソン――前置きが長くなりすぎたので、内容は後半に続く。

 

 

 

 

未来は役員と僕らの手の中

 

 

 

運命は我々の行為の半分を支配し、他の半分を我々自身にゆだねる。

マキャベリ

 

 

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この夏のある時期、会社で恒例の「異動」が発表された。

 

 

会社または組織の中において、担当する職務または役職、勤務地が変わること。『人事異動』とも呼ばれる。

例えば『総合職』として採用された場合、従事する職務や勤務地を特に限定しない包括的な雇用契約が結ばれていることが一般的。職務や勤務地を明確に限定した雇用契約でない限り、会社は原則として自由に人事異動を命じることができる。

コトバンク『異動』より

 

 

このような書き方をすると、私自身が異動になったようであるが、私は異動していない(してないのかーい)。ただ、普段、私の日常にかかわっていた人の多くが異動となった。そのため、私が変わらなくても環境の変化が大きかったのである。

 

さて、異動する人たちを見送る側になったせいか、観察とまでは言わないまでも、異動するたちのふるまいを意識して見ていたような気がする。

 

 

 

彼ら彼女らの反応は、実に個性が反映されているように感じる。まあ、当人からすれば、大きな変化だろうから、人間性が自然と現れるのも当然といえば当然なのかもしれない。

 

以下、あくまで私が感じた印象を記してみたい。別に何か学術的にのっとって書いたものでもない、単なる私の偏見の羅列である点、ご留意を。

 

 

〇異動を喜んでいるように見えるもの

 

 

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このタイプの反応を示した人たちが一番多かった気がする。振り返ってみると、若い人が多かったような。あとは、今の環境に対する不満を述べている人が中心だったような(笑)

 

公然と喜びを口にだすものもいれば、表情や声色で感じるものもいた。関係者に電話をかけまくり、異動に対する喜びの感情を共有したがる。送別会でも、次の勤務地の話や決意表明を比較的ポジティブな口調で語っていた。

このタイプは、異動に必要な引継ぎ作業を実に素早くこなしていた。そして、「この日までに引継ぎ作業を終わらせ、次の勤務地に着任します」という意思が強く感じられた。それが後任者をシッカリ思った行動であったかは別で、とにかく決まった期日で終わらせることを最優先にしていたように思う(それが中途半端な状態であれ)。新天地に早くいきたいからだろうか?(それとも今の場所から早く去りたいからだろうか?)。

 

別に嫌味を言いたいわけではなく、当人の見立てに反し、この方々は転勤先での困難が多くなるような印象を受けた。普段よく話す同僚がこの態度を示すと、少し不安になってしまった。なんでだろ?

 

まあ、本人の希望通り、うまくいってくれることを願うが。

 

 

〇不安を抱くもの

 

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 このタイプの反応を示す人は、どちらかというとベテランであまり転勤をしてこなかった人が多かったように思う。

 

この方々は、新天地に移るための動きが鈍い。引継ぎ作業もじっくりやっている。後任者からすればありがたいだろうが、当の本人の行く末をどこまでまじめに考えているのだろう、と老婆心ながら思った。新天地の話題もよくするのだが、内容はところどころで不安を感じさせるものが多かった(本人はポジティブ、もしくはひょうきんに話しているつもりでも)。

 

「まあ、この人なら何とかなるんだろう」と思う人もいれば、「この人、病気になるんじゃないかしら……」と、こちらまで心配になる人もいた。どちらかというと後者が多かったかしら(笑)

 

困ったことに、このタイプが、私に懇意に接してくれた人や、今後深くかかわりそうな人が多いのであった(どういう意味だろう)。

 

 

〇淡々としているもの

 

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異動に対してどう思っているのか、よく見えない人。新天地の話題もあまりせず、淡々と引継ぎ作業をこなす。次の場所でも頑張ってください!なんて言葉をかけても、少し笑うか、少し愚痴や不安をこぼす。まあ、いつもと同じ様子の人。送別会では、形式的な挨拶をこなし、感情を表にあまり出さないように済ませていた(ように見えた)。

この方々は、別にベテランばかりだったわけではない。若手の人でも、こういう態度を示す人は何人かいた。

 

まあ、こういう書き方をすると察しもつくだろうが、異動に対して淡々としているように見える(外部に見せる)人というのは、不安な未来を想像できなかった。もちろん、本人の中では複雑な心境を秘めているのかもしれないが。

 

いずれにしても、この人だったら、たぶん新しい場所でも今のように淡々と仕事をこなしていくんだろうな、と感じたのであった。

 

 

以上。個人的偏見の羅列であった。まあ、サラリーマンである以上、異動は避けられない。私の見立てが正しいか間違っているかどうかは別にして、異動を命じられた人は、それぞれいろいろな思いを抱えていたことだろう。もしも今、自分が異動を命じられたらどういう反応を示すんだろう?

 

 

「上が決めたことに応えるのがサラリーマンだ」

 

「やりたいことをやるのではなく、今やっていることを好きになるんだ」

 

「仕事は選べないし、仕事を選んではいけない」

 

こんな言葉が今でもよく目にすることからも、多くのサラリーマンの共通認識として、過度に期待や不安を抱かずに淡々と異動を受け入れたいと思うものではないだろうか(違うかしら?)。

今回の人の異動に対する動きを見て、そうは思っても、やっぱり言動に感情は出てしまうものなんだよなあ、と感じた。

 

 

自分が異動の時には、淡々と異動を受け入れたいものだと思ったのであった。

 

 

余談だが、異動する人たちを見送る人たちも、結構個性が出るものだと思った。新しく来る人に期待を込めたり、異動の内容に文句をつける人もいたり、次の異動に期待を込める人もいたり、私のように異動する人をじろじろ見る人もいたり――。

 

 

異動は人間模様が出て面白いですね。社会人の醍醐味だなあ、と改めて感じたのでした。 

 

 

 

お休みの過ごし方(もしくは語り方)

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よく、同僚や取引先の方から、

 

休日はどう過ごしてるの?

 

と聞かれる。私に限らず、いろんな人がこの質問を一度はされたことがあるのではなかろうか。この質問に対し、私はいつも答えに窮する。決まって

 

「そうですね~、ぼけっとテレビ見たり、ベッドの上でゴロゴロしたり、家の近くにあるチェーンのカフェでボーとしてますかね」

 

という回答になる。こんな回答を相手が求めているわけではないのことくらいわかっている。

 

独身男のくせにつまらんやつ

 

こう思われていることくらいわかっている。こういう時には

 

そうですね、ちょっと遠くまで買い物行ったりしますね。最近だとこんなものを見つけたんですよ~。

 

とか

 

旅行に行くことが多いですね!この前も京都に行きましたし、先週は奈良の方でしたね。

 

とか

 

友達と野球ですね。この前も試合したんですよ。ポジションですか?こう見えてピッチャーです。リリーフですけどね(笑)

 

とか

 

合コンパーティに行ったんですよ。3対3だったんですけど、まあ、全然ダメでしたね(笑)

 

などと言ってみたいものである。営業職なんだから。営業なんだったら、面白い経験をたくさんしないと。いろんな場所に行き、いろんな人に会って、時には羽目を外したり、時には欲望に身を任せたりーー。そういった幅広い経験が、営業マンとしてのトークにつながるんだから。

 

 

……でも、今回の休日もやっぱり。

 

 

 

――

 

 

 

日曜日。朝9時起床。

 

昨日は夜遅くまで起きていたため、起きる時間が遅くなってしまった。

 

 

テレビをつけると、すでに甲子園球児たちが熱い試合を繰り広げている。

 

私も外に出て、走ろうかと思ったが――

 

「……走りたくない」

 

夏は暑い。暑いので走りたくない。走りたくないからベッドでうだうだと過ごす。携帯で「走りたくない」と検索する。案の定、走りたくないときは、思い切って走らない!という答えが出てくる。

 

しかし、この答えに耳を貸している場合ではない。今日はやらなければならないことがたまっているのである。いつのころからだろうか、頭の中にこんなイメージがいつも浮かぶようになった。

 

 

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というわけで、重い腰を上げて着替え、外に出る。そして、イメージにある通り、距離は関係なく走る。

 

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(最近、少しずつ走る量を増やしています。10㎞前後ですが――。ガーミンの画像、久しぶりでんがな)

 

 

ゆるゆると7㎞走った。暑くて脱水症状になるところだった。帰りにコンビニでアイスとサイダーを買いました。暑い中だったのでとてもおいしかったです。

 

家に帰り、ほかのやるべきことを片付ける。ランニングをした後だと、さっきのうだうだが嘘のように作業が進む。

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最後に残った英語勉強をしようと思ったのだが、甲子園に夢中になったり、携帯をいじったりしているうちにこんな時間。でも、今日は英語やりたくない……でも、やらないと……。

 

とりあえず、気分転換のためにコメダ珈琲にでも行こうかしらん。

 

――

 

こんな土日を繰り返してます。やっぱり、人に言えるほどのこともない、大変に地味な休日ですな。足りないものは――やっぱり人との交流なんかしら……?

 

 

……いや、伝え方?

 

「走るのが趣味なのですごい走ってます!終わった後にサイダーとか飲むと格別なんですよ!」

とか

「掃除が好きで、土日は掃除とか洗濯を徹底的にしますね。そうすると月曜日を気持ちよく迎えられるんですよ!」

 

とか言えばいいのかしら?

 

……でも、なんかうさんくさいな。言うほど走ってないしな。言うほど徹底的な掃除はしてないしな。

 

 

むむむむむむーー。お休みに活動的な方、もしくは楽しく語れる方々がうらやまし。