金沢マラソン2018 本番(もてなしで溢れた大会でした)
10月28日(日)。朝。
この日は金沢マラソン2018に参加。あまり眠れなかったが、気持ちが高ぶっていたせいか、起床後すぐに体が動く。朝食に買っておいたアンパンを口に放り込み、5時半にホテルを出る。そして、小松駅に向かい、そこから約40分かけて金沢駅へ。
ーー
駅内にある立ち食いそば屋さん。ここは6時から開店している。ほとんどのランナーは気づいていなかったのか、お店は想像以上に空いていた(穴場とはこのことか)。そのため、並ぶこともなく、すぐにそばにありつくことができた。食べ終わった後の店主(っぽい人)の行ってらっしゃい!が身に染みた。来年も参加するなら是非お邪魔しますね。
さて、お腹を満たし、駅外のシャトルバス乗り場へ。
朝から雨。ランナーのボヤキや不安があたりからチラチラ聞こえる。
なお、当日の天気はこんな感じだった。
ーーだが、今年は入念に事前準備。こんなこともあろうかと、前日に100円ショップでポンチョを買っておきました。昨年のしまだ大井川マラソンでは、雨で大いに泣かされましたからね。おかげで、必要以上に雨を恐れることもなかった。これも一歩成長なのかな。
さて、バスに乗り、約20分で会場へ。
ーー
(7時ごろの風景。あと30分もすれば、人がわんさかになった)
会場に着いたら、着替えを済ませ、トイレを済ませ、荷物預けを済ませる。今回は比較的余裕なスタート前なのであった。ポンチョを着ながら木陰に座り、雨をしのぐ。
8時20分にはスタートラインに立つよう、会場アナウンスが流れる。トイレに列を作っていた人たちは、慌ててスタートラインに向かった。やることもなくとりあえず2回目のトイレに並んでいた私も、スタートC地点へ向かった。
8時25分、スタートセレモニー。少しずつ気持ちが昂ぶる。
予定通り、8時40分にスタート。
ーー
(2018年コース)
スタート直後にランナーたちを見送る金沢城の雄大さはもちろん、世界で最も美しい駅の1つとして名高い金沢駅を象徴する鼓門(つづみもん)を真正面に迎えることになる。この圧倒的なスケール感は、決して言葉で言い表すことができない。まさに贅沢なほど金沢を全身で味わえる、運営サイド渾身のコース設定といえるだろう。
○1-10km
スタートラインを超えると、割れんばかりの声援が沿道から送られる。雨が降っているのに、それを全く感じさせない。この声援も金沢マラソンの魅力の一つ。周りのランナーもそれに手を振る(私も恥ずかしながら手を振る)。
余談だが、走っていながら
(なんか野球少年団が妙に多くない?)
と思った。彼らの元気な声援を何度も受け取っている気がする。
あとで大会プログラムを読み返して気づいたのだが、どうやら彼らは
沿道にぎやかし隊
という正式名称の元、ランナーを応援すべく待ってくれていたらしい。沿道にぎやかし隊はほかにも○○会やら○○組合やら○○合唱部やら○○少年団などがあったようだ。そして、野球少年団が多いなあ、と思ったのも間違いではなかったようで、沿道にぎやかし隊約80隊のうち、約半分が野球少年団であった。なお、他にも
応援ステージ
ということで、太鼓や吹奏楽、ダンスにアイドルーーと、多様な応援がランナーの背中を押してくれた。
この大会、応援にすごく力を入れているんだなあと感じる。なんだか街を挙げた感じで大変に盛大だった。
ちなみにこの沿道にぎやかし隊、事前募集で集まってくれたみたいです。しかも、5月くらいから募集してた模様。出演料?ないみたいです。移動経費?ないみたいです。現地集合現地解散だって。雨風の中だよ?
いままで、応援の皆様がどうやって集まるかって、ちゃんと考えたことなかったけど、改めて頭が上がらなくなりますね。ほかの大会もそうなのかな。多分そうなんだろうね。・・・・・・ともかく、今後はもっともっと応援に感謝して走ろうと思いました。
さて、声援の影響か、今年最後のフルマラソンというで気持ちが勇んだか、スタートからずっと飛ばし気味となる。具体的にいえば5分前後/kmを維持している状態。優秀なランナーならばいいが、私からすれば少しオーバーペースである。
(あんまり調子にのるなよ)
と自分を落ち着かせる。だが、ペースは落ちずに、オーバーな状態を維持してしまう。
○11-25km
気になるのは天候。雨は降っては止み、また降る。そこまで強くはないが、冷たい風も吹く。そして、体温が少しずつ奪われるのを感じる。
(天気予報では次第に晴れてくるはずだと思ったのだが・・・・・・)
天を見上げる。時折雲間から光がさしこむが、そのすぐ後に小雨が降る。風は少しずつ強くなっているような。体はどんどん冷え込んでくる。
そして、案の定トイレが近くなり、15kmあたりで一度戦線離脱。
「こちらトイレです!段差にご注意ください!」
また余談ながら、トイレにはボランティアの方が数名張り付き、ランナーがスムーズにトイレを迎えられるようにサポートしてくれていた。用を済ませた後は「頑張ってください!」の一言で送り出してくれる。トイレまで、なんという心配りだろうか。
ーー
約20kg地点。ここあたりでエネルギーを補給するために、エイドステーションの食べ物へ。
さて、20km地点では石川県を代表する和菓子が並ぶ「和菓子スポット」が待っている。
種類が豊富。これが一つのエイドにあるとは、なんというもてなし精神であろうか。全種類制覇したい所だったが、とりあえずきんつばを受け取り、口の中に放り込む。
(疲れた体に染みる甘さ。こんなに美味しいきんつば食べたことなーい!)
さて、まもなく半分の21km地点にたどり着いたころ、少しずつ焦りを感じ始める。
(…なんかうまくいきすぎていないか?)
気になっていたのはやはりペース配分である。ここまでほぼ5分/kmの状態。これは私にしてはタイムが良過ぎる。
普段から一生懸命練習してきたからならばその成果として解釈できる。だが、日頃の努力の足りない私が、このペースを維持できるとは思えない。それに、少しずつ脚に疲労を覚え始める。まだ半分を超えた段階、疲労を覚えるには早すぎる。微妙な違いかもしれないが、いつもよりも5km分くらい、疲れが前倒しに現れている感じ。
かといって一度あげたペースを意識的に落とすのはかなり難しい。多分、これは多くのランナーが同意してくれるだろう。この感覚、一度速いインターネット回線を味わうと、一つ前時代の回線に戻れない感覚に近いと思われる(知らんけど)。
まずいと分かりながら、そのまま5km/分ペースで走る。このままのペースで走りきれることを信じて。
○26-30km
26kmあたり。歴史的景観が広がる街中ゾーンを抜け、田園地帯に突入。
(うーん、やっぱりか…)
それなのに、ペースは相変わらず落ちないーーいや落とせずにいた。ここまでくると、ペースを一度落としたら、ズルズルと果てまで落ちてしまうのではという不安に駆られる。かといって今のままのペースで走っては、いずれ近いうちに脚が限界を迎えることは目に見えている。
抑えるのも勇気、その勇気を見出すための覚悟を、このままいけるんじゃないかという希望的観測が邪魔をする。
そして、30kmに突入。
体力はすでに限界に近づきつつある。明らかにペース配分を間違えたことを後悔。
(残り12km・・・・・・果てしないな)
この先、辛い走りが待っていることを悟り、身体が余計にこわばる。
(辛いなあ。歩きたいなあ…でも歩くと沿道の応援がプレッシャーになるんだろうなあ…)
マイナス思考を巡らせ始めたその時、誰かが背中をチョンチョンとする。そして、前に現れて少し高い声で
「頑張って!」
と激励の言葉をかけてくれたのは、彼であった。
(オリンピック男子マラソン2大会連続メダリストのエリック・ワイライナさん。この大会のランナーリポーターを務めていた。)
一気に興奮。私は掠れた声でセンキューセンキュー!と繰り返す。そして、勢いでハイタッチしてもらった。
(ーー辛いけど、どうせ走るしかないんだよな)
と、辛い道のりを走りきる覚悟が芽生える。ペースは少しずつ落ち始めるが、気持ちは再燃する。素晴らしいタイミングでの応援、ありがとうございました。
○31km-ラスト
雨は止まない。冷たい風も襲ってくる。
(疲労の脚を雨風冷やしてくれる、ちょうどいいじゃないか)
どうにかプラス思考。しかし、頭でどう解釈しようと、お腹からのSOSを無視することはできない。
お腹(・・・・・・ごめん、まじもう限界だ)
止むを得ず、私は32km地点で再度トイレへ。用を済ませている最中
(体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善・・・・・・っ!)
と、悔し涙を流したことは言うまでもない。
さて、残り10km。正直、辛かった。ペースはみるみる落ち、後ろからどんどん抜かれる。また、水を飲むとお腹が悲鳴をあげるので、軽々しく飲むことができない。
36km地点にある名物エイドである石川スイーツスポットをスルー。(このスルー、振り返っても涙が止まらない)
残り5kmの看板が目に入る頃には、疲労が意識を奪うが、それでも鳴り止まぬ応援に弱々しく御礼を返しながら、気持ちを維持する。
そして、フィニッシュ地点の陸上競技場が目に見え始めたときには、最後の力を振り絞る。
体力を少しも余すことのない状態で、なんとかゴール。やり遂げた達成感と幸福感は、何度味わったって飽きることなんて決してない。
ちなみに、タイムは3時間48、49分くらいでした。タイムよりも、最後までしっかり走り抜いた点で、自分自身によく頑張ったって言いたいです(鬼コーチがいたら、いい加減なペース配分の制裁でムチでしばかれていたかもしれませんが)。
その場でへたり込みたいところだが、フィニッシャータオルとメダルをかけてもらう喜びを抑えきれない。そのまま流れに沿って歩く。
参加賞を受け取り終わると、一気に気持ち悪くなり、耐えられなくなって隅っこにへたりこんでしまった。そして、急激な吐き気に襲われる。胃が逆流しているような感じで、唾液が口から大量に出始める。
(ヤバイヤバイ!抑えろよ意地でも)
と、呼吸を整えながら、内臓の暴動が収まるのを静かに待つ。近くを見ると、走りおえた後に参加賞のバナナを食べている人たちが目に入る。羨ましいな、と思う。本当に、貧弱ランナーです。
なんとか体調が回復し、完走証を受け取る。足を引きずりながら更衣室に向かい、身支度を済ませる。携帯電話を見ると、遠方にいる彼女から完走おめでとう♪のメールが届いていた。(この大会、携帯で名前を検索すればランナーの記録を追跡できるようになっていたらしく、彼女はそれをみていたらしい。)
着替えを済ませ、ようやく食事。参加賞のバナナと、配布してくれていたつみれ汁。つみれ汁は冷えた体にはとても染み渡りました。ただ、この量すらも完食ままならないほど疲れ切っていました。
だが、前述のありさまでしたので、何も食べる気になれませんでした。カレーとかコロッケとかを、ビールと一緒に美味しそうに食べている人たちがうらやましい!体質改善!
ーー
その後、陸上競技場からフィニッシュを迎えるランナーたちを見届ける。
最後まで笑顔で走り抜く人、苦悶の表情を浮かべながら一歩一歩確実に歩みを進める人、スマホで写真を撮りながら楽しげにゴールに向かう人、夫婦(もしくはカップル)で並列して走る人、同じ国の仲間と国旗を持ちながら走りきるグローバル人たちーーどの方々もゴールの瞬間はそれぞれ主人公に見える。
帰りを待つ友(家族、同僚含む)に満面の笑みを浮かべておかえりなさい!と叫ぶ人たちもまた、大変に心惹かれるものがある。そのような人が待っているゴールもまた格別なんだろうな。
あと、ご当地アイドルほくりくアイドル部たちも、寒い中頑張ってくれていました。大会公式ソング『風になれ』、あれ、シンプルにいい歌ですね。リーダーの松井祐香里さんはフルマラソンに参加していたみたいです。すっかりファンです。
ーー
15時。
最後の15時40分まで見たかったのだが、いよいよ寒気で身体が病的に震え始めるのを感じたので、大変残念だが会場をあとにする。翌日は普通に仕事だしね(有給とっときゃよかったなあ)。
ーー
金沢マラソン、本当に、語るに語り尽くせないほど魅力的な大会でした。走れば走るほど新しい発見がありそう。もしも来年も抽選が通るならばーーぜひもう一度!
おしまい!
金沢マラソン2018 前日ぶらぶら
土曜日。9時に起床。
(…頭が重い。)
頭の中にダンベルが2、3個入っているような気分。昨日はなんだか悪い飲み方をしてしまったらしい。ただでさえボーとした頭がさらに使い物にならなくなっている。
私はなんとか荷物を整え、9時半に家を出る。そして、思考停止のオートモード状態な頭で、北陸は石川県、金沢へと向かう。
金沢に行ったのはこれに参加するため。
○日程:2018年10月28日(日)
○参加人数:約12,000人
○コース:金沢市広坂通り(しいのき迎賓館前)をスタートし、石川県西部緑地公園陸上競技場をフィニッシュとするコース。〈日本陸上競技連盟、国際陸上競技連盟及びAIMS公認コース〉
言い訳がましいが、最近ちょっといろいろ仕事で慌てて、正直万全とは言い難いコンディションである。だから、タイムとかはとりあえず気にしない。(本当にただの言い訳だね)。まあ楽しむことを第一に頑張りたいと思います!
さて、普通電車や特急電車を使い、14時前に無事金沢に到着。
荷物を駅ナカのコインロッカーに預ける。案の定、どこも満杯。偶然、荷物を出す人がいたのですかさずそこにいれた。
身軽になったところで、前日受付会場に向かう。なお、駅内にある「石川県立音楽堂」というところが前日受付会場だった。
駅についてもまだ頭がボーとしていたのだが、駅内に沢山いた黄色いジャンパーを着た運営サイドの人たちが持つ「事前受付はこちら」という看板だけを頼りに歩いたら、無事に会場に到着できました。
すみやかにTシャツやゼッケンを受け取り、「もてなしメッセ」という前日の出し物をチラチラ見た。ただ、人が多くて疲れそうなので、さっさとその場を後にする。
駅に一度戻り、駅内にあるラーメン屋に入る。
(石川県を代表するラーメンチェーン店。ナルトの8マークがキュートです。写真は野菜ラーメン味噌味です)
食べ終えたあとも、まだ頭がぼんやり。ちょっと金沢の街を歩く。駅から1kmくらい歩くと、人が賑わう市場にでくわす。
(金沢で有名な近江町市場。たくさんの魚介類や野菜などがそれぞれのお店の前に並ぶ。活気に溢れてました)
市場をぶらぶらしたあと、たまたま現れた循環バスに気まぐれに乗り込む。疲れていたのか、二日酔いのせいか、バスの中でウトウトと眠る。
約30分後。目を覚ますと、なんだか風情ある街並みのところだったので、とりあえず降りてみた。そして、バス停近くにあったオサレなカフェに入る。
(ほうじ茶アイス金箔じたて。)
美味しいアイスクリームでした。でも、なんて店だったっけ?わすれてしまいました。ただ、寝癖頭の無精髭男が1人で入ってはいけない雰囲気の店だったことは覚えてます。
(ひがし茶屋街。夜に来ると、なんだか雰囲気がありました。UFOまで写ってますね)
それにしても、金沢って欧米人の方々が多い印象。広島にいても同じように欧米の方が多いけど、金沢もそうだったんだね。知らなんだ。
ーー
20時前にホテルにチェックイン。そして、ホテルで自転車を借り、スーパーへ行き、晩御飯を購入。主にお米とふりかけ。観光地に来ているのに、なんと悲しい晩御飯である。本当は金沢の美味しい食べ物を、美味しい酒とともに楽しみたいのだが…。
酒の代わりと言っちゃなんだが、せっかくなので、茶屋街で見かけたお茶屋さんで買った加賀棒ほうじ茶を淹れてみました。(茶漉しと湯呑みはホテルにないので、100円ショップで買いました)。
大さじ2杯のお茶の葉を部屋に備えてあるコップに入れる。そして沸かしたての熱湯で約30秒、さっと浸出させて湯呑みへ。
濃厚な水色、そして香ばしさと甘さのバランスが好ましい。安いほうじ茶に多い独特なエグ味もなく、とても美味しかったです。カフェインも少ないので、眠れない秋の夜を過ごす、そこの憂い顔の貴女にもおススメです。
ーーさて、なんの日記だったっけ?あ、そうそう金沢マラソンですね。しっかり頑張ります!
ーー
日曜日、四時半に起床。眠い…。雨降らないでよね~では、行ってきます。
続く
東北・みやぎ復興マラソン2018 備忘録
前回の続き。
10月14日(日)に催された東北・みやぎ復興マラソンに参加した。
さて、9時35分にスタートの号砲が鳴る。
これが本大会の高低図。コース序盤から中盤、また後半に数回、目立った上り下りがある。これだけみればなかなかなハードなコースと言える。だが、y軸をみてわかるように、最大でも10m程度の高さであるため、実際に走っている時は高低差はほとんど苦にならなかった。本当に、走りやすいコースでしたよ。
○0〜10km
スタートの号砲から約2分ほどしてスタートラインに到着。スタートライン前に立つ芸人コンビ「たんぽぽ」の白鳥さんにハイタッチ。
ちなみに、ほかにも朝の報道番組「とくダネ!」で有名な小倉智昭アナや、「でっかくなっちゃった!」で有名なマギー審司さんもいた。そういえば、ピコ太郎(大魔王)さんもいたっけ。大会を通して、カメラや女子アナもよく見かけた。どうやらこの大会は有名人やメディアが揃って盛り上げているようであった。
さて、スタート後もしばらくは混雑が続く。さすが大規模な大会。いつものように、ここは無理せずに流れにペースを合わせながらリズムを作る。
余談ながら、5kmあたりのトイレでは結構な行列ができていた。スタート待ちで数十分も動かずにいた人は、トイレがだいぶ近くなっていたのかもしれない。
(もしスタート前にトイレに行ってなかったらーー行っといて良かった)
と安堵。まあ、余裕のないスタートはもうゴメンだが。
○11〜20km
「がんばってくださーい!(ハイタッチを求めるちびっ子たち)」
「宮城に来てくれてありがとう!」
「ナイスラーン!かっこいいよー」
沿道の応援が続く。
(ありがとございます!)
と心で御礼。しっかりと元気をもらう。
周囲を走るランナーたちはまだまだ余裕そうな人が多かったため、その声援に返す人もたくさんいた。私も時折小さく手を振って返したりしたが、あまりはしゃいでペースを上げすぎないように気をつけた。(それが後半にくるからね)
○21〜30km
スタートから2時間弱経過したあたりで、「中間点」と書かれた看板が視界に入る。
ここで、今一度自分の体の状態を確認。
(足はーー大丈夫、疲労は薄い。息も上がっていない。お腹も今は落ちついているし、スタミナもまだ70%くらいあるかな(根拠0)。気になるのはやっぱり肩凝りか・・・でも、総じてかなり調子がいい)
まだまだ余裕。しかし、本番はここからだ。ここからのペース調整が一番難しい。中間ポイントから調子に乗ってしまい、後半にグダグダになるのがいつものパターンである。できるかぎりこれまでのペースを維持するように努めた。
さて、余談だが、この大会は応援にくわえてエイドステーション(給食給水ポイント)もかなり魅力的であった。
(大会HPより)
エイドステーションは全部で19ポイントもある。だいたい2km置きくらいですね。このお陰で、走る上で水分不足を感じることは全くなかったです。また、ウエーブスタート制(スタート時間を複数回に分ける方法)を導入していたせいか、大規模な大会にも関わらず、他の大会に比べてエイドステーションの混雑が少ないように思えました。
あと、給食もしっかり活用。全レースを通して「きゅうりの浅漬け」「うめぼし」「復興創生トマト」「冷凍イチゴ」「バナナ」をいただきました。浅漬けや梅干しはいい分補給になったし、トマトは丸ごと一個だったので、1kmくらいかけて食べました(笑)。イチゴは本当に冷凍状態だったので、ホフホフ言いながら口の中で転がしました。どれもとても美味しかった!
(あと、食べられなかったけど「はらこめし」や「一口そば」、なにより「ホタテ焼き」はやっぱり食べたかったなあ。それが心残り・・・・・・残念。食べた人がうらめしい)
○31km〜ラスト
30km地点に到達。いつもならば足に疲れを感じ、肩凝りがひどくなる。そして、そこから数キロしたら息が上がり、お腹の調子が悪くなり、ペースが落ちてくるのがお決まり。そうなると、あとは耐え忍ぶ苦痛の走りになる。
ーーしかし、この日は30kmを過ぎても調子が良い。感覚としては25kmくらいの状態を維持している感じ。
(せっかくだし、少しペース、上げようか)
と思った。絶え間ない沿道の応援が、その思い上がった考えを後押しした。大抵ここらへんでペースを上げてあとで後悔するのだが、今回は大丈夫な気がした。まさに前向きな攻めである(まあ、後ろ向きな攻めというのは聞いたことはないが)。
時計はみてなかったので、どれくらいペースを上げたのか自覚はなかった。ただ、他のランナーを抜いてしまうことも多くなったし、1kmごとにある現在地看板を見かける間隔が短くなるのを感じた。
と言っても、終盤はやはり少しずつ辛くなる。そして、
残り2km
この看板を見かけたあたりで、息が上がってくる。ペースも少しずつ落ちてくる。だが、足の疲労はそこまでではなかったし、まだまだ精神の方も高ぶっている。最後まで高揚した気持ちで走り切れると確信があった。
残り500m
の看板を見たとき、最後の体力を振り絞るように走った。本当に、このときが一番気持ちよかった。
ーーそして、無事にフィニッシュ。
写真にはないが、フィニッシュ後は子供たちがタオルや完走メダルをかけてくれた。その後に袋を渡されたかと思ったら、随時ミネラルウォーターやお米やおにぎり、パンなどを別の人が手渡してくれる。
(一回でまとめて渡してくれればお互い楽じゃないか?)
なんて野暮なことは一切思わない。本当に、参加賞を1つ1つもらうのが楽しかった。渡されるたびに「お疲れ様です!」と言われるのも嬉しかったな。ささいな事だけど、運営側は完走者の気持ちをわかってるなあ、と勝手に思った。
フィニッシュ後に動けなくなって、近場でへたり込むことが多い。だが、今回はそういうこともなく、そそくさとゴール周辺を後にし、着替えを済ませた。
さて、待ちに待った食事!これ!
参加賞でもらった赤飯おにぎりとライスミルクとミネラルウォーター。あとは、会場で開催していた「復興マルシェ」屋台で買った「せり鍋汁」と「牛タン串」を追加。
疲れた体に栄養補給。一心不乱に食べる!
うまかったなあ。
ーー
いつもならば大会終了時刻までゴールを迎えるランナーを応援してから帰る。だが、会場が広過ぎてどこが応援できる場所なのかわからなかった。また、食事した場所のすぐ近くで仙台空港行きのシャトルバス乗り場が見えたので、名残惜しくも、食事が終わったらそのままバスに乗って帰りました。
本当にだいまんぞくなマラソン大会でした。大阪からはちょっと遠いけど、また参加したいなあと思える大会です!
最後にタイムですが、だいたい3時間43、44分くらいでした。一応、自己ベストを10秒くらい更新?です。充実感のある走りができたので、タイムよりもそれがなにより嬉しかったです!こういう走りが毎回できるようになれたらいいんだけどなあ。
(…ん?人の頭?)
復興にはなにも貢献できませんでしたが、逆にこちらは最高の時間をいただきました。本当に何度も参加したいと思える素晴らしい大会でした。ありがとうございました!おしまい。
東北・みやぎ復興マラソン2018 前半(スタートに立つまでも、マラソン大会です )
仙台を訪れたのは、明日の10月14日に、これに参加するため。
開催日:10月13日、14日(フルマラソンは14日)
参加人数(フルマラソン):約12,000人
特徴:コース全域は、東日本大震災の浸水エリア。一歩ずつ復興の道を歩む、復興の“いま”を走りながら体感することができる。
そう、東北・みやぎ復興マラソン2018です。有給休暇を使った連休最終日は、この大会参加を予定していたのでした。これがメインイベントですね。
ーー
日曜日。6時に起床。少し寝不足気味。
ネムケマナコでホテルの朝食バイキングへ。6時にOPENだったので6時10分くらいに入ったのだが、その段階ですでにかなりの人がいた。しかも、すでに着替えも身支度も済ませた準備万端のランナーばかり。一方で私は、髭ヅラでとりあえずの私服状態。ーーすでに2歩3歩遅れていた。
(…早く飯食って着替えねば)
軽いおかずにご飯2杯をバクバクと掻っ込み、急いで部屋に向かう。
7時過ぎ、ようやく会場に向かった。
ーー
○天候メモ
空模様:曇り(見ての通り、重い雲が浮かぶ)
気温:8時段階で13度くらい。周りからも「寒い寒い」と聞こえる。昼に近づくにつれて18度くらいまで上昇したが、風少しあったせいか、肌寒さを感じた。
湿度:少し高い印象
手荷物預かり場所に荷物を預け、スタート地点に向かう前にトイレへ。
甘く見ていた。このトイレが激混み。参加人数にくらべてトイレの数が少な目だったのも影響していた。(それでも運営としては去年より増やしてくれたみたいだけど)
☆ウエーブスタートとは
「Wave」=つまり「波」から来ていますが、日本語に訳すと「時間差スタート」でしょうか。一言で説明するならば「スタート時の混雑緩和のために、スタート時刻を時間差で複数回に分ける」レース方式のことです。
ウエーブスタートは、主に混雑を避けるためのスタート手法のようである。これまで約10回程度のフルマラソンを経験してきたが、この手法は初めての経験だった。ちなみに『東北・みやぎ復興マラソン』では、以下のように10分間隔で分けられている。
具体的な分け方は不明だが、個人的な印象としては、過去参加大会の記録をもとに「本格ランナー(A)〜4時間以内に走れるランナー(C)」が第1ウエーブスタートと思われる。第2ウエーブ以降も、過去のタイムやフルマラソン経験回数などを考慮したものだろう。とりあえず、私はゼッケンに「C」のマークが付けられていた。
さて、話戻して、トイレである。
トイレの列を作る人数を数える。ざっと前には100人くらいの人数が並ぶ。そうこうしている間(1分間)に、後ろから3人のランナーが後ろに並ぶ。
設置されているトイレは10個。なお、このトイレは「大きい方」のトイレ列である。仮にトイレ占有時間を3分/人と考えてみようではないか。
(ええっと、まず今入っている10人が抜けるのにMAX3分かかるだろ…そのあとに列の先頭から10人目までが3分かかるとして・・・・・・いやちがうな、一人一人の時間3分かかるってだけだから、10人が3分で片付くわけじゃないんだよな。あ、だから、10人でMAX30分かかるってこと?いや、それも違うよな。1番目が3分で抜けたら2番目以降の人が別の空いたトイレに入るわけだし・・・・・・。あれっ?あれれー?)
というわけで、頭がグルグルする。お腹はいつものようにギュルギュルしている。
ーーとりあえず、このままトイレの列に並んでいては、第1ウエーブには間に合わない可能性がで高そうあることを直感する。(※)
※同じように『この行列はどれくらいしたら自分の番になるのか?』と悩んだことのある人に、些細な情報提供をしたい。細かい数式は私の頭レベルはわからないが、『リトルの法則』という考え方がある。若干眉唾な感じもするものの、この法則の計算式にそって言えば、今回のトイレ行列問題の答えは約33,34分ということになることがわかる。興味があったら検索してね。人気のラーメン屋や人気のアトラクションの行列でも適用できるみたいです。終わり。
頭をこんがらがせながら、時計を見る。スタートまで30分を切っている。
この状況のなか、今の私が取るべき選択肢は2つであった。すなわち、
なお、第1ウエーブの人が第2ウエーブで走るのは問題ないようであった。(逆の場合は失格になる、と言う事前案内があった)
第1ウエーブの人が第2ウエーブ以降で走れば、タイムロス分がカウントされるペナルティがある。つまり、10分遅れのスタートになるということだ。
ーータイムを取るか、日頃のお腹の弱さを考慮して、トイレを優先するか。
まあ、熱心なランナーならば究極の選択になるだろうが、私の場合はそんなに迷うこともなかった。
(無論、今トイレだね。どうせ今行かなくたって、レース中に行きたくなるんだし…)
タイムにそこまで強いこだわりがあるわけがない、向上心の足りないランナーだしね。
9時半。ようやく自分の番が回る。
速攻で用をすませ、体を一気に軽くする。そして、足早に会場に向かう。ただ、すでに予定通りスタートできることは望まず、気持ちはすでに第2ウエーブに向いていた。
会場に早足で向かう。会場アナウンスからは、まもなくスタート開始であることを興奮気味に告げている。
少しして、ようやくスタート列を発見。そこはまだ第4ウエーブの集団であった。そこに辿り着いた矢先、列を整理している運営スタッフの方が私の方を見て
「Cの方はもっともっと前です!速く!走ってください!!」
と、言われる。
(えっ,もしかして第1ウエーブに間に合う?うそ!?)
私はメロスにでもなった気分で慌てて走る。会場アナウンスはけしかけるように
「スタートまで残り1分です!」
と告げる。
時計を見る余裕もない。足早に、人の少ない通路をダッシュ。Gライン、Fラインーーを超えていく。そして、視界に「C」のラインに立つ集団が目に入る。
最後尾ではあったが、なんとか、本来いるべきCラインにたどり着けた。少し息が上がる。
(…間に合った。奇跡なんだろうか)
管理する運営スタッフの方からは
「ギリギリ、間に合いましたね!」
と笑われながら言われた。私はその運営の方に頭を下げて精一杯のお礼を告げる。すでに完走し終えた後のような感動であった。
ーーそして、その頭を上げたすぐに、号砲が鳴った。
9時35分、予定通りにスタート。
つづく。(別に分ける必要もないのだが、そろそろ会社に行かなきゃ、なので。)
みや…いや、岩手観光記録(2018年 『イーハトーブ』ニ居リマス編)
金曜日。
まずは身軽になるべく、キャリーバッグを盛岡駅に預ける。
(駅ナカにあるコインロッカーにびっくり)
こんなのあったなんて知らなんだ。おもろいやないかい。関西人でも笑ってまうわ(あたいは東北人ですが)。
ーーへえ。しらなかった。。
盛岡駅を出て、駅近くにある自転車レンタルを利用。駅から歩いて5分程度のところにある市営自転車レンタルは、1日200円。安いやないかい。関西人もこの値段ならよっしゃ得したわ!って感じやわ(関西の方に怒られるんでこのへんでやめます)
さて、自転車に乗り、あてもなく盛岡散策。
旧盛岡農林高等学校。いまは一般公開している。建物の前には、卒業生である宮沢賢治の記念像がある。なかなか味があるではないか。
正面から見ると「…どうしたどうした?」って感じである。芸術家の考える事は、この像のとおり、奥が深いですね(うまいね)。
昼時、ご飯を食べる場所を探す。
(…あっ。)
大学を出て数百メートルのところにある飲食店を発見。レトロな喫茶店という雰囲気。
(この店、昔、岩手の友人に連れられて何度か入ったことがある。あら懐かしいわね〜ここにしよここにしよ)
中に入ると、昼時ということもあって、大変に賑わっている。店員が(おそらく)女子大生である事も、昔入った時と変わらない(そういうどうでもいい事は忘れない)。
注文したカツ丼。量が非常に多い。だが、決して大味ではなく、作り込まれた味。衣と肉の間に胡椒がふりかけてあるのが特徴。うん、うまい。これならばいくらでも食べられそうだ。
(・・・・・と思ったが、やっぱり量が多いな・・・・・・・)
女子大生店員を前に無様に残すわけにもいかず、ヒーヒー言いながら箸を進める。そしてなんとか完食。…学生の頃だったら、軽く2杯は食えただろうに。
食後の水出しコーヒーをいただき、ごちそうさまでした。あいかわらず最高の店です。
ちなみに、昼時に店内の大半を埋めるマダム達は揃って「ひっつみ汁」や「おしるこ」を食べていた。ここカツ丼やカツカレーが有名だが、一方でひっつみ汁やおしるこなども絶品みたいです。次来た時は食べてみたいなあ。オススメ!
店を出て腹をデブデブさせたまま、再び盛岡市内をサイクリングしながら楽しんでいると、あっという間に日がくれてくる。
夕方、レンタル自転車を返却し、盛岡駅へ。
そして、17時。この日、どうしても会いたかった人と待ち合わせ。数年ぶりの再会。どういう人かは詳しく書けないが、私の恩師といっても差し支えない人である。
駅で合流し、盛岡駅前にある居酒屋へ。学生の頃も何度か一緒に訪れた店です。
話は昔話と現状について、大いに盛り上がった。この方と話すと、話がいろんな方向に巡っていく。まるで女子トークである(この方ももうすぐ定年なのだが)。
ーー
土曜日。朝。
昨日の自転車疲れからか、かなりよく眠れた。
(土曜日の散策コースの縮図)
約7kmの散歩コース。途中立ち寄った場所、道に迷ったりした分を加えれば、多分10kmは歩いたかもしれない。バスが想像以上に走ってないので、皆様は自家用車かレンタカーをお勧めします。
ーーだが、岩手の有名人を岩手県民に聞けば、彼らの名前ではなく別の名前が出てくる。100人中99人は
の名を挙げるであろう。(残りの1人はアマノジャクである)
ーーしかし、花巻市内はさらに別次元をゆく。
挙げればキリがない。とりあえず、いたるところに上に絡むもの・コト・イベント等が出現するのである。
正直、少し前までこういう雰囲気が苦手だった。というか、宮沢賢治本人も「やーめーろーよ!はずかしいだろ!!」と思っているに違いない。(いや、本当に)
いまは、こういう町づくりもいいなあと思うようになった。まあ、小さな心変わりですね。
さて、駅から特に目的もなく散歩。
あ、岩手は新渡戸稲造先生の故郷でもあります。別に花巻とはそんなに深い関係があるわけでもないんだけど、本家が花巻にあるのでこういう記念館があるのです。
※おそらく岩手県民の大半はこれに苦笑するであろう。なぜならば、花巻ではないが、すでに宮沢賢治の世界観をモチーフにいたテーマパークが存在していたからである。その名も「ケンジワールド」である(宮沢賢治の赤面が止まらない)。ただ、存在していた、と記した通り、この施設は諸々の事情で現在は閉館している。宮沢賢治の心中いかほどか。
賢治記念館を一周し、そろそろ腹ごしらえ。
記念館の隣にあるレストラン(注文の多い料理店イメージ)で昼食。
(メニューの横にある暇つぶしクイズ集。手作り感がいいでないの)
鹿おどりそば。汁がとてもうまかったです。できればもうちょっと量がほしかったかな?(歩きまわって体力を使い切ってしまっていたからかもしれませんが)
食べ終わったあと、そろそろいい時間になってきたので、新花巻駅まで再び歩く(約2km程度)。
いやあ二日間岩手にいましたが、とても楽しい時間を過ごせました。
なんだか宮沢賢治に関するものが多かった気もするけど、まあ、ともかく、岩手はいい!次はもっと奥深くの人気の少ないところや、復興目指して今も頑張っている場所にもいってみたいな。
ではでは。長文失礼いたしました。
・・・・・続く?
帰りたくなりました
我々が出来ることは、今を生きることだけだ。
過去には戻れないし、未来があるかどうかも定かではない。
宮沢賢治※
前の日記を書いて、もう2週間経つ。
発作的に毎日のように書くかと思えば、日記の存在を忘れてしまったように書かなくなる。日課にまるでなってない昨今である。(日記でいえば、他のブログをみる時間も少し減ったなあ。ブログを通じて他の方々の世界を知ることは大切なの事だと思うので、なんだかとてももったいない。)
最近は少しお仕事の事でバタついたり、プライベートの事で少し先を見据えた話をしたり、季節の変わり目で少し体調を崩したりした(軽い風邪を引いたと思ったらすぐに元気になり、また軽い風邪をひくというのを繰り返す。今は元気ですがーーヘックシ!)。
さて、今日は金曜日。今日は会社の有給休暇を取得中(サボりすぎだって?いやいや、有給余って無理やり休まなきゃいけないくらいだよ)。
早朝から大宮駅に向かい、新幹線に乗る。そして、岩手県は盛岡に向かう。
ふりかえってみると、岩手は約5年ぶり。いろいろと思い出のある場所です。当時、彼女が岩手にいたからね。それに、2011年3月11日の14時46分も、岩手県におりました。あの日のことは忘れられるわけがない。
10代後半から20代前半という大切な期間に、何度も岩手を訪れた。思い出すだけで赤面する記憶がある。思い出すだけで当時の自分をぶん殴りたくなる記憶がある。また食べたいあの味があり、また会ってゆっくり話をしたいあの人がおり、一人ぼんやりと過ごしたい場所がある。岩手は、私の青春が沢山詰まっている。
懐古的な大人ってダサいって、若かりし私はいうだろう。だが青年よ、大人には過去を振り返りたくなることもあるものだよ。君もそのうち大人になればわかるだろうーーと、30手前の若輩者は語る。(こういうことを偉そうに語る、ただ年齢ばかり重ねた自称「大人」を常々ダサいと思っていた)。
9時すぎ、無事に盛岡に到着〜!懐かしの〜!!(IKKO)
ではでは、行ってきまーす。続く!(とか言ってまたしばらく書かなくなったりしてね。なんつて。)
先輩社員の声を聴け
先日。会社にて。
先輩A「お、プリンちゃん、HPに載ってまっせ」
先輩B「え?プリンちゃん?どれどれ。あ、本当だ。全然知らなかったよ。『先輩社員の声』かあ」
先輩A「まあ、ウチの部署やったらプリンちゃんでしょうねえ。ホンマは男ばっかりの部署なんやけど、学生がみはったら多少は華やかな部署に見えるでしょうし」
先輩B「まあ、そうだろうなあ」
先輩たちの会話に聞き耳をたてる。会話には交じらず、メールを打つふりをしながら、私もHPをのぞく。見てみると、上述の会話の通り、ウチの部署代表は一番の若手社員であるプリンちゃんであった。インタビュー形式で原稿用紙6〜7枚程度でまとめられている。
入社したきっかけ、仕事内容、仕事を通じて心に残った出来事、学生へのメッセージ、1日のスケジュール (ついでにインタビュー中や仕事中の写真)などなど
基本的に学生向けの内容なので、キラキラした内容が目立つ。
(多分、そういう風に誘導尋問されたか、インタビューをもとにライター担当が色をつけたのだろう。)
軽く嘲笑。暇つぶしに(業務時間中に)ほかの「先輩社員の声」もみている。むしろプリンちゃんが控えめに感じるくらい、どの先輩たちもキラキラ感とデキル感を文章で表現していていた。それをみて、こちらが少し恥ずかしくなってくる。
(嘘つけ嘘つけ。そんなわけアルマジロだろ。普段はもっと退屈な業務だろうに。いい歳して語っちゃってるよ笑)
・・・・・・しかし、ここでふと思う。
・・・いや、本当にそういうキラキラした姿で仕事をしているんじゃないの?
ーーそんなわけないだろう。・・・いや、そう思う私が汚れているんじゃないのか?「先輩社員の声」に載るような社員は、やはり学生だけではなく社内・社外から見ても特別な存在なのではないか?
くたびれたカバン、コンタクトをつけるのがめんどくさくてーーメガネ、昔は持参していたのにめんどくさくてーー缶コーヒー、パソコン画面には、未読メールがどっさり。机には有象無象の書類や雑誌新聞の山。
キラキラ感からは程遠い私の構成要素が、目の前にずらずらと並んでいた。
私はこれまで『先輩社員の声』でお声がかかったことは一度もない。まあ、ウチの部署は伝統的に女性社員を推薦しているため、特段何も思ってなかったのだがーー私が会社の看板として、いや、社会人代表として学生に紹介できる器ならば、性別に関係なく『先輩社員の声』に載っていたことだろう。要するに、私がそういう器ではなかった、ということであるに違いない。
今一度、我が社の『先輩社員』たちを読んでみる。なんと素晴らしい人生だろう。業務時間中にHPをみてサボっていた自分が情けない。そんなことをしている暇があるならば、少しでも顧客のお役立ちができるように努めれば良いだろうと、恥ずかしい気持ちになる。焼き芋君、仕事は楽しいかね?(ここまで書いて、冒頭で尊敬すべき先輩たちが私よりも先に『先輩社員の声』を見始めたことに気づいたが、まあ、この際細かいことはどうでもよい)
ここで気持ちを切り替えて仕事に向き合えば良いのだが、根っからのダメリーマンである私は、仕事ではなく別の方面に気持ちが動く。それは、
もしも自分が「先輩社員の声」で取り上げられるとしたら、どんな風に答えるだろう?
ということである。決して取り上げられることはないにもかかわらず。
(私がこの会社に入社したきっかけは、「小さい頃からウチの商品を家庭でも見ていたのでーー」・・・・・・いや、ありきたりだな。じゃあ、「先輩たちとお話しする機会があって
、その時の先輩がすごくかっこよくてーー」・・・・・・いや、先輩とは入社前に会ったことないしな。じゃあ、「会社の社風が社会貢献につながっていて、さらにグローバルな事業展開を進めたり、先進的な技術開発にも取り組んでいてーー」・・・・・・それじゃ嘘になるしなあ)
他社のHPものぞいてみる。急に忙しくキーボードをパチパチ叩く。
「ーーへえ、なるほどねえ」
手帳にメモメモ。その姿を見て
先輩B「お、焼き芋、熱心だねえ。企業研究?新規提案?」
先輩A「いい顔してるやんか。どれ、何を見てたんや」
「え。あ、いや、まあ、大したことは何も。あ、すみません、これから商談があるんで。行ってきまーす」
急いでパソコンを閉じて外出。移動中も、スマホで先輩社員の声をいろいろと調べる。
ーー
出張の最中。車移動の中。頭の中。
インタビュアー「若手社員にもかかわらず、沢山の経験を積まれている焼き芋さん。ぜひ、仕事で一番印象に残っていることを教えてください」
「もう、若手社員じゃないですよ。いいおっさんです(笑)。あ、仕事で記憶に残っていること、でしたよねーーそうですね。オデン社へのカラシ提案で新規御採用いただいたことですかね。ただ、これは私自身の力だけでできたことではないことを初めに申し上げねばなりません。上司が逐一相談に乗ってくれましたし、提案内容についても前任の先輩に相談したりしました。その時のアドバイスをもとに提案しただけです。あと、当然、工場の皆さんが素晴らしい製品を作ってくれることが大きいわけですし、アフターフォローしてくれた品質保証部の皆さんにも感謝しなければなりません。念押ししたいのですが、商品流通を管理してくれる物流部の存在も頼りになっております。ーーこう考えると、記憶に残っているのは、提案を採用いただいた「結果」よりも、そういった社内のつながりを感じることができたからかもしれませんね・・・・・・(ちょっとわざとらしいな。もっと先輩たちが自然に喜ぶような内容にしないと)」
インタビュアー「焼き芋さんは、いつも顧客に斬新な提案をしていると伺っております。焼き芋さんが提案で心がけていることとは?」
「お客様への提案の際は、『一度の商談でお互いウィンウィンになること』を前提にしてます。そのためにも、一回の商談のために念入りな事前準備とリサーチを重視してます。お客様にとってもお忙しい中ご面会させていただくわけですから、準備を怠ってお互いがムダな時間を過ごすのはもったいないですよね。昔のようにゆとりのあった時代だと、ただ雑談するだけで人間関係を構築できた部分もあるでしょうが、今は皆様もお忙しいですし、働き方改革で効率を重視してますからね。まずは私と面会することで『得した気分』になってもらいたいんです。私は斬新な提案ができているとは全く思いません。でも、もしかしたら、ほかの営業担当
よりも、事前準備を重視しているっていうところが少しだけ違うのかな、って思います(先輩世代の批判はカットだな)」
インタビュアー「ハナバナしい営業成績を挙げている焼き芋さんですが、その私生活はミステリアスだと伺っております。ほとんど誰に聞いてもわからない、と。みなさんが興味を持っていると思うので、ぜひ、休日の過ごし方を教えていただけますか?」
「休日ですか?恥ずかしいなあ(笑)まあ、勉強とジョギングですね。勉強はしてもしすぎることはないと思います。それが仕事の提案にもつながってくるでしょうし、何より、勉強している自分が好きなんです」
インタビュアー「なんと向学心にあふれているんでしょうか。それに、学問だけではなく、ジョギングもされているんですか !?なんだかデキル男ですね」
「大したことでもないですよ笑。でも、ジョグって、無の境地になれる唯一の時間なんです。仕事の進め方で悩んだりしても、走っている最中は忘れられますし、走り終わった後は、新しいアイデアが生まれたりすることもあります。その瞬間を期待してジョグってる部分もありますよね。まあ、周りから見たら淡々としているつまらない休日ですかね(笑)」
インタビュアー「いいえ、今までで一番刺激的なインタビューでしたわ。私、個人的にも焼き芋さんに興味が湧いてきましたところです」
「私は、仕事以外は退屈な人間です。恥ずかしいことに、仕事に関わること以外には何一つを興味が起こらないのです」
インタビュアー「ーー私のことはどうですか?」
「・・・・・・こんなことを私が言う必要性もないですが、貴女は誰が見ても美しい女性です。しかし、私は、貴女と向き合う以上に、生きがいを感じる素晴らしい仕事に出会ってしまったのです。それが幸せなのか不幸せなのか、私には考える余裕すらない。ただただ、まっすぐ突き進みたい。今はそれだけです」
インタビュアー「ーー少し車を停めていただいてもいいですか?外の空気を吸いたくて(鼻づまり)」
「ちょうどセブンイレブンがありますから、そこに停めましょう。私は、貴女が空気を吸っている間に、雑誌コーナーで市場調査を済ませておきます」
セブンイレブンに入り、トイレを借りて、昼食におにぎりと唐揚げを買って食べた。そして、一人インタビューを続けるのであった。
ーー
家。花の金曜日の夜。
「そうですね。ヒントはどこにでも隠れていると思います。それに気付けるかどうかは、多分、普段どれだけアンテナを張れているかってことなんだと思います」
「まさか今の会社に入社するなんて、学生時代には想像もつかなかったです。でも、この会社に入れてすごく生きがいを感じています。そう思えるって、改めて考えてみると、すごく幸せなことなんですよね笑。今は神様と両親に感謝するだけですね」
「これからはジャズ音楽ですよね。今はジャズにすごく興味を持っています。最近、歌詞がある音楽が少し煩わしくなってきて・・・・・・。言葉に頼らないアーティストのスピリットを感じたいんです」
「洗濯の頻度ですか?実は洗濯には一番のこだわりがあってーー洗濯と選択って、私は人生においてどちらも決定的に重要なことだと思ってます」
酒を飲みながら、悦に浸ってインタビューを受けるのであった。そして、 歯を磨いて寝るのであった。
ここ一週間、ずっとこんなことを考えて過ごしていました。意外と楽しかったです(笑)でも、こんな社員は絶対に「先輩社員の声」に載らないでしょうね。