ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

たまにはプロントで観察日記でも

 

 

 おお神よ、かしこき才を我らに与えたまえ 人を見るがごとくにおのれ自らを顧みる目を.

ロバート・バーンズ.

 

 

 

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え~、お忙しい中御足を運びいただき、ありがたく御礼申し上げます。

 

昨今、「モノを売るのではなく、〇〇を売れ」という言葉をよく耳にするような気がしますな。

 

「モノを売るのではなく、コトを売れ」

「モノを売るのではなく、ストーリーを売れ」

「モノを売るのではなく、カチを売れ」

「モノを売るのではなく、ココロを売れ」

「モノを売るのではなく、カラダを売れ」

 

なんて言葉ですね。とりわけ我々の営業部署では

 

「モノを売るのではなく、ジブンを売れ」

 

という言葉を好んで使う傾向にあるように思います。

 

――何と言いますか、とても深いようで、結局のところ、何を言いたいのか今一つピンときません。まあ、なんとなく言いたいことはわかりますがねえ……(笑)

 

少し似たような話として、

 

同じ言葉でも、話し手によってはまるで違うようにとらえられる

 

ということがございます。落語なんてその最たる例でしょうが――もう少し身近な例でこのことを考えてみましょうか。

 

例えば、「モノを売るのではなく、ジブンを売れ」という言葉を、尊敬すべきAさんが発したら、

 

(Aさんは深いことを言うなあ!)

 

と思えるもんです。……一方で、あまり尊敬できないBさんが同じ言葉を発したら

 

(薄っぺらな言葉を得意げに言ってら笑)

(まあ、一番できていないあんたが言うなよ笑)

 

ととらえられてしまうから気を付けなくてはなりません。なんというか、

 

言葉だけを磨くのではなく、言葉を発する当人も立派でなければ意味がない

 

ということでしょうか?

 

――これって、「物を売るのではなく、○○を売れ」が言いたいことに近いような気がしますなあ。(違うかな?)

 

 

――

 

土曜日。

 

この日の私は、彼女であるサトイモさんに渡すためのプレゼントを選んでいた。ネックレスを買うことを決め、さまざまなジュエリー店をのぞいたのだが――。

 

 

 

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(商品の違いなんて正直よくわからんよ)

 

 

 

と思うに至る。

 

 

――そこで、考え方を変えてお店をのぞいてみることにした。ずばり、ネックレスの見るのではなく、そのネックレスを売る販売員をじっくり見てみることにしたのである。言い換えると、

 

最もネックレスを魅力的に感じさせた店員から購入する

 

ということである。

 

 

 

 

……彼女のことを考えるなら、販売員じゃなく商品をちゃんと選びなよ

 

 

という失望をされる人もあるかもしれない。(そう思う気持ちもわかるのですが……。)

 

ただ、お客が販売員の接客によって購入意欲に違いが出ることは、ある程度ご理解いただけるはずである。特に、違いがよくわからないような場合は顕著であろう(私の場合、PC、携帯、ファッション等は、店員からのアドバイスによって選んでいるように思う)。

 

もちろん、高いお金払って買うプレゼントなので、いい加減な気持ちでは選定しないことは強調しておく。ある程度彼女と自分の好みを考慮しながら、販売員の能力にも着目したわけである。営業職なんだし、たまにはこういう観察をしてもいいでしょ?(誰に聞いてんだ)

 

 

 

ちなみに、当日はノートを取りながら販売員の話をきいた。まあ、製品の説明をメモしてたわけではなく、販売員の接客に関してメモを取っていたのであるが(キモイとか言わないでね)

 

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なお、販売員とのやり取りに際し、販売員の能力を以下5つのポイントで評価した。あ、すべて私の独断と偏見で設けた基準である。

 

①質問能力(質問の数、質問の質)

②雰囲気(積極性、口調、笑顔等)

③サービス精神(己の体にネックレスを当てるかどうか、名刺に記す製品情報の質、カメラを取りたいという問いかけに対する対応等)

④対話意識(客情報を得ようとするか、一方的に話しすぎてないか等)

⑤製品説明能力(製品をうまく説明できているか、押しのポイントなどをスマートに言えるか、わかりやすく話すか等)

 

 

合計、5人の販売員と会話を行い、各項目について5段階評価してみた(5の方がレベルが高い)。

 

さて、観察結果は以下の通り。

 

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どうでもよいが、観察の詳細な内容は以下の通り。くどいが、すべて私の独断と偏見による調査である点、ご留意願いたい。

【客として提供する個人情報】

・当日、私は以下の情報のみ、販売員に提供することとした。個人的には、客の質を見極める重要な要素であると思ったからである。

 

①「少なくとも本日中に決めたいと思っている」(需要が高い客であるということ)

②「彼女の年齢は20代後半」

③「〇万円前後のものを探している」(客のレベル)

 

・ なお、基本的には自分でこの情報を開示することはない。販売員が聞いてくれば素直に答える。もしも聞いてこない場合は、自分から情報提供をする。この情報を与えるに際し、情報の引き出し方に注目したい。どのような話の流れで、どのような話し方でこの情報を得ようとするか?

 こういった要素を聴かずに接客するのは、ある意味で営業トークとして未熟ということになるだろう。もちろん、必ずしも聞いてくるのがよい販売員というわけではない。引き出し方がストレートすぎたり、ぶしつけだったならばまずいだろう。

 

【必ず聞く質問】

これは、販売員の客の問いかけに対する回答能力を問うものである。営業たるもの、お客様からの質問にスマートに答えることで信頼を得られる場合も多いだろう。もちろん、ただテキトーで責任感のない答え方をしていてはマイナスである。わからないものはしっかりとわからないと伝えることも、時として重要であろう。

というわけで、以下の質問を仕向けた。

①「見せていただいたネックレスをカメラで撮影してもよいか?」

②「これらの製品は、どの年齢層の人がつけることが多いか?」

③「彼女に商品を紹介する際、『彼女が商品の価値をすぐに理解できるような押しのアピールポイント』を教えてほしい」

【その他着目点】

・口調(積極⇔慎重)

・笑顔の数

・問いかけの数(お客情報を聞き出そうとするか、製品説明にばかりするか)

・カラダの張り具合(ネックレスを己のどこにあてるか?首?手?)

・せかし具合(せかしすぎるのも、まったくせかさないのもダメ。程よく焦らせること)

・選択肢の数(ネックレスをいくつ提示してくるか?多すぎても少なすぎても×)

・名刺サービス(製品情報をどの程度記憶に残す努力をしてくれるか)

・店の価格帯(お客の質は店のレベルによって映り方が変わってくるからね)

 

 

 

 

しかしまあ、改めてこういう目で販売員さんを見てみると、実にいろいろなものが見えてきて、己の営業の勉強にもなった(気がする)。

 

――特に、ダイヤモンド社の販売員さんは、恐ろしいほどの接客能力であった。嫌みのない質問、会話を意識した商品説明、質問に対する見事な回答――どれをとっても、そして総合的に見ても、ほかのお店の販売員に圧倒的な差をつけて「買いたい気持ち」にさせられた。

 

 

 

 

 

さて、この流れからすれば、私はダイヤモンド社の販売員を通じてネックレスを購入したということになるはずである。

 

 

 

 

……が、実際に私がネックレスを購入したのは、2位の販売員がいるガーネット社でした。

 

 

 

 なぜだか想像つきますでしょうか?

 

商品がガーネット社の方がよかったから?

 

――いいえ、冒頭申し上げた通り、商品の違いは私にはよくわかりません。基本、どの商品を選んでも後悔はなかったのです。

 

ガーネット社の方が安かったから?

 

――いいえ、今回はガーネット社もダイヤモンド社も価格は全く同じでした。

 

ガーネット社の店員が好みだったから?

 

――いや、そんな理由で選ばんでしょ。彼女へのプレゼントなんだから(たぶん)

 

ガーネット社は最初に訪れた店だから、1番印象に残っていたから?

 

――いや、一番最初が有利って言うのはあんまりピンときませんね。M-1とか見てると最初の漫才師のこと忘れてしまうし。

 

 

 

 

答えは、

 

 

ダイヤモンド社の販売員さんは、私がノートにメモしたり、ほかの店舗をうろうろしているうちに、選択肢に挙げていた製品を全部売ってしまったから

 

 

でした~。

 

 

 

 

……なんのこっちゃ。