クリスマスの終わり
もう帰ろう もう帰ってしまおう 寝静まった 街を抜けて
人を怨むも恥ずかしく 人褒めるも恥ずかしく
なんのために 憎むのか なんの怨みで 憎むのか
もう眠ろう もう眠ってしまおう
臥待月の出るまでは
吉田拓郎『祭りのあと』
12月25日。夜。
私「じゃあ、ここで」
彼女「うん。また年末にね」
関西空港で彼女と別れる。どうでもよいが、我々は、いわゆる遠距離恋愛というやつである。
彼女は飛行機に乗り、自らが住む場所へと戻った。
一方の私は、そのまま空港直通の高速バスで、大阪駅へと引き返した。
満員の高速バスに乗りながら、今の自分の気持ちを表現してみる。――いろいろな気持ちが表れた。
(彼女とのクリスマスはとかくに金がかかるなあ……。食事代、買い物代、プレゼント代……これが毎回だとつらいなあ。まあ、クリスマスだから毎回にはならないんだろうけどね)
(彼女にとって、本当に楽しいクリスマスになったかしら?少しノープランすぎたかなあ……。)
(世間一般的なカップルは、クリスマスはどのように過ごすんだろう?自分たちは、一般的なものからどれくらい離れているんだろう?)
(……学生時代の独りぼっちのクリスマスも悪くはなかったなあ。一人でやけ酒してケーキをむさぼりたいなあ――まあ、今の自分がそういうことを思うのは学生時代の自分に対して失礼ってもんだよなあ。……でも、なんだかんだ言って、独りのクリスマスもいいんだよなあ――)
(……明日からシゴトかあ。今日は早く寝ないとなあ)
……なんとも、とりとめもない心境。
――
家に到着。
シャワーを浴びてから、残っていたチョコレートタルトを食べる。自作なので、タルト生地がもろい。また、ガナッシュ部分の乳化も失敗してしまった。……まあ、食べられなくはないけど、プロのものとは程遠い。
「……」
大口で平らげる。3口程度で終了。彼女といるときはちびちび食べていたけど、一人で食べるとあっけないものである。いっそホールごと食べてしまいたい心境である。でも、食べると明日一日が台無しになってしまうのでやめておく。ホールごと食べるような無頼漢でもなくなったようだ(もともと違うケド)。
「クリスマスねえ……」
……クリスマスってこんなに現実的だったかな?もっとわくわくするもので、気持ち高ぶって夜眠れなくて、なんだかわからないけどロマンチックで、心の底からさみしいもので、さみしいなりに心は踊っていて――。
「……あ」
と、己の心の変化に、幾分の客観性を意識しながら、解釈を加えることにした。
きっと、今年のクリスマスが終わったんですね。
……何の中身ものない日記。でも、今の自分の心境は、こんな中身のない状態なんです。(いつも中身がないとかいうやつは首を絞める)