「まくら」営業、はじめました。

営業職の男です。「まくら」を極めて営業のタツジンになりたいのです。

酸っぱいマラソンと甘い休日

 

 

森の中を一匹のキツネが歩いていました。

「ああ、お腹がすいたな、なにか食べ物はないかな~。」

下ばかり見ていたキツネは、ふと、上を見あげました。

「わーっ、おいしそうなブドウだ!よし、ブドウを食べてやろう。」

キツネは、うれしくなって背のびして、ブドウを取ろうとしました。が、どうしても届きません…木にだきついて登って取ろうとしましたが、枝がないので、どうもうまく登れません。今度は、さかだちしてしっぽで取ってみようと考えしっぽを伸ばしましたが、ブドウは取れませんでした。

「よーし、今度こそ!」

少しはなれたところからいきおいをつけて走り出しジャンプして取ろうとしました。それもしっぱいしました。色々ためしましたが取れません。とうとう、キツネは、怒りだしました。

「フン、あのブドウは、まだまだ、酸っぱいはずさ!」

とキツネは捨てゼリフを残して去っていきました。

 

イソップ童話『キツネとブドウ』より

http://www.e-douwa.com/aesop/FoxGrapes/index.html

 

 

 

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一週間前。

 

「……日程変更?」

 

上司「そうだ。先方社長の予定が急きょ変わったらしい」

 

「はあ、なるほど。――それで、接待はいつになりますでしょうか?」

 

上司「来週の金曜日。大丈夫?」

 

「金曜日ですね……ええっと……もちろん、大丈夫です、はい」

 

上司「そうか、よかった。じゃあ、来週金曜日に頼むぞ」

 

「はい。お願いします」

 

 

金曜日の夜に接待の飲み会。相手は、昔から安定した取引をさせていただいている得意先の社長である。

 

お酌回りとお酒の処理班として、私も参加を命じられていた。

 

 

 

 (……しょうがないけどねえ……しかし、来週の金曜日とはねえ。)

 

 

実は、今週の土曜日にこのイベントがあったのだ。

第6回くまがや夏マラソン

 2017年7月1日(土)
死ぬほど熱いマラソンです。
冷却スポンジ、ロードシャワーなど熱中症対策は万全ですが、最終的にはランナーの自覚と覚悟次第で地獄か天国かが決まります。
陸上トラック400mを含む公園内4.2km特設コース。
ランニング専用トラックを走ります。初心者からアスリートまで幅広く挑戦できます。

 

そして、上述の接待日程変更を告げられる数日前に、このはがきが私の下に届いていた。

 

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非常に過酷なマラソンであるようであるが、挑戦する価値があると思い、参加申し込みしていたのである。そして、一週間前からしっかり休め、前日の金曜日のうちに埼玉の熊谷に前泊する予定だった。

 

――だが、先ほどの接待日程変更である。

 

さすがに金曜日の夜に接待をし、そこから灼熱の熊谷マラソンに挑むのは身の危険を感じた。接待では酒をがばがば飲むことになるわけで(若手で酒が飲めるやつは、必ずこの役割を与えられる)、フルマラソン前日にこのコンディションはツライ。殊に「死ぬほど熱い」とされる熊谷マラソンに挑む人間が二日酔い状態では、マラソン運営に迷惑をかけること777.0%である。

 

(体調不良を言い訳に、金曜日を休んでは?)

(個人的な用事を犠牲するほど大事なことではないのでは?)

 

とも思う人もいるだろう。だが、この場合、私に参加有無について選択の余地はない。私用で参加不可としたら、サラリーマンではないと思っている(Oh,モーレツ)。なんとか両立を図るために、再び日程変更が生じるような方法を模索してみたが、結局実現につなげるまでの方法が思いつかず。

 

止む無く、熊谷マラソン参加を辞退したのであった(参加費8,000円は痛いが……)。

 

 

そして、今週の金曜日。接待当日。

  

 

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上司とともに、相手の社長と飲み会。まあ、接待は危なげなく終了。(自己評価だが)

 

 

ベロベロに酔っぱらいながら、家にたどり着く。家についたと同時に眠りについたのであった。

 

――

 

土曜日。

 

 

胸のむかつきとともに朝を迎えた。体を起こすと

 

「頭が……痛い」

 

後頭部が異様に痛い。痛いというか、ズキズキする。ズキズキするというか、電流が走っているような感じがする。電流が走っているような感じというか、鉱物が頭の中で動き回っているという状態。というか、……ともかく異様に痛い。

 

「――こりゃ、やっぱり熊谷マラソンに参加しなくてよかった。参加してたら大変なことになっていたよ」

 

痛みとは裏腹に安堵した心地。

 

 

このまま体を休めようかと思ったが、土曜日の日課として、朝のランニングに出かける。

 

 

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とにかく暑い。暑いだけでなく、非常に蒸せている。しばらく続いていた雨の影響だろうか、空気が非常に重苦しい。汗も大して走っていないのにダラダラと湧き出てくる。

 

(……こりゃ、熊谷マラソンにでなくてよかった。熊谷はもっとつらいことだろう。出ていたら、絶対倒れていたな。不参加は正しい選択だった)

 

 

私は途中で歩きながら、いつもより短めの距離で引き返した。

 

――

 

家に着くと、頭痛が一層ひどくなっていた。そこで、あまり頼りたくなかったが、薬箱にある頭痛薬を飲む。そして、布団の中でぐったりとする。仰向けになると、後頭部が圧迫されてツライので、うつ伏せか、横ばいになって休む。

 

 

 

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エアコンがガンガン効いた部屋で横になりながら、

 

(考えてみれば、最近、出張続きで車の運転が長かったよなあ、運転は見えないところで疲労がたまるんだよ。それに、アノコトでストレスフルなときもあったし――絶対熊谷マラソンに出なくてよかったよ。出ていたら、本当に命の危険もあったかもしれない。ーーもしかして、これは決定的な運命の分かれ道だったかもしれない……。ありがとう、接待)

 

と自分に言い聞かせながら、この土日をグータラすごしたのであった。

 

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(グータラしたくなったので、TSUTAYAでDVDとCDと漫画を借りに行くほどでした。インドア万歳)

 

 

熊谷マラソン、参加しなくてよかった。おかげで、世の中にある素晴らしい文化作品に触れることができたのですから。そして、しっかり身体を休められたのでした。

 

 

 

……でも……なんだかなあ、な、土日でした。

 

 熊谷マラソンを完走した皆さん、是非、来年会いませう。