尿酸、異常事態
昼前。
事務所にて産業保健師と面談。
産業保健師「はい、焼き芋さんね。一ヶ月前に受診してもらった健康診断の結果が出ましたので」
「はい・・・・・・」
産業保健師「だいたい健康的ね。ほとんどAよ。あ、君、よく走っているんだっけ?」
「本格的ではないですが、週に数回程度は」
産業保健師「理想的な習慣だと思います。あ、そういえばお茶が好きなんだって?」
「まあ、偉そうなもんでもないですが、毎日好き好んでお茶は飲んでますね」
産業保健師 「お酒は?」
「・・・・・・しばしば」
産業保健師「ほぼ毎日、っと。量は?」
その後も雑談を交えながら、私の食生活や睡眠時間、職場環境などをチェックされる。
産業保健師「なるほどねえ。食生活、崩壊してるわね。まさに独身男性の典型的な好き勝手で乱れきったものだわ。見事な偏食っぷりと不規則な食事、そして
アルコール摂取量の多さーーせっかくの運動習慣やお茶習慣も台無しね」
「……うっ」
産業保健師「今は若いから数値に出てないけど、この食生活を続けていたら、必ず近い将来、ボロボロと症状が出てくるわよ」
「は、はあ……(まあ、症状が出たら考えたらいいでしょう)」
産業保健師「ちなみに、要指導事項なのがあるわね。まさに今伝えた食生活由来の問題だと思うけど。ほら、尿酸値がかなり高いわね」
「…尿酸値?」
産業保健師「昔はね。でも、今は尿酸値をあげるような美味しいものが誰でも安価で食べられるから、年齢関係なく起こりやすくなってるのよ。まあ、食生活以外の理由も色々あるけど、焼き芋さんの数値を見る限りだとーーまあ、十中八九食生活でしょうね」
「そんな・・・・・・痛風って、どんな感じなんですか?」
産業保健師「高い尿酸が結晶化するでしょ?それが原因で関節に激痛が生じるわけ。足や指が腫れ上がっているの見たことない?」
「あり、ますね(自分とは無縁とおもってましたが)」
産業保健師「あれね・・・・・・死ぬほどの激痛よ。本当に、言葉通り激痛」
「激痛・・・・・・」
産業保健師「まあ、激痛よね。会社で発症した人もいるけど、大量の痛み止め薬を飲むんだけど、それでもおさまらなくて、悶絶する人もいたわね。あと、あまりの痛さにトイレに駆け込んで吐いた人もいるわよ。見てるこっちも痛くなってくるわ」
「・・・・・・」
産業保健師「まあ、貴方の場合、食生活を改善すればなんとかなるんだからまだマシよ。中には、尿酸値がそんなに高くないのに痛風になっちゃった人もいるし、食生活がちゃんとしているのになっちゃう人もいるんだから」
「なるほど・・・・・・」
「もう、十分です・・・・・・・。わかりました、食生活を改めますから、許してください・・・・・・」
その後も、産業保健師から食生活について具体的なアドバイス。野菜を食べろ、酒を控えろ、尿酸値の高い食べ物を減らせーーどれもありきたりなアドバイスなのかもしれないが、「痛風黄色信号」の私からすれば、すべてが目からウロコの内容だった。
「ありがとうございます。約40分の面談ですが、大変感じるものがあった時間でした。まず、酒を控えます。あと、野菜をちゃんと食べます」
産業保健師「私の立場からすれば、そう言ってくれると嬉しいです。それを続けたら、さらに男前になるから、頑張って!」
「男前になります!見ててくださいよ、今年中に尿酸値を劇的に下げてみせますから」
我ながら単純な性格である。だが、体のことについては、危険信号に素直に従った方が良いだろう。とりあえず、今日は休肝日とし、久しぶりに自炊して野菜たっぷり食べました。酒がなくても意外と満足な夕食なのであった。