ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

金沢マラソン2018 本番(もてなしで溢れた大会でした)

 
10月28日(日)。朝。
 
 
石川県の小松市にあるホテル。4時半に起床。
 
この日は金沢マラソン2018に参加。あまり眠れなかったが、気持ちが高ぶっていたせいか、起床後すぐに体が動く。朝食に買っておいたアンパンを口に放り込み、5時半ホテルを出る。そして、小松駅に向かい、そこから約40分かけて金沢駅へ。
 
 
ーー
 
6時半前金沢駅に無事到着。駅内には、すでにランナーが溢れている。会場に向かう前に、私はランナーの隙間を縫うようにして、ある場所へ向かう。
 

 
駅内にある立ち食いそば屋さん。ここは6時から開店している。ほとんどのランナーは気づいていなかったのか、お店は想像以上に空いていた(穴場とはこのことか)。そのため、並ぶこともなく、すぐにそばにありつくことができた。食べ終わった後の店主(っぽい人)の行ってらっしゃい!が身に染みた。来年も参加するなら是非お邪魔しますね。
 
 
さて、お腹を満たし、駅外のシャトルバス乗り場へ。
 

6時半金沢駅前。外は雨。曇天が空を占める。右側にはバスを待つランナーが並んでいる。)
 
朝から雨。ランナーのボヤキや不安があたりからチラチラ聞こえる。
 
 
なお、当日の天気はこんな感じだった。
 
 
 

日本海側だけが雨模様。ひどいよアマタツ〜。
 
 
ーーだが、今年は入念に事前準備。こんなこともあろうかと、前日に100円ショップでポンチョを買っておきました。昨年のしまだ大井川マラソンでは、雨で大いに泣かされましたからね。おかげで、必要以上に雨を恐れることもなかった。これも一歩成長なのかな。
 
さて、バスに乗り、約20分で会場へ。
 
ーー
 

7時ごろの風景。あと30分もすれば、人がわんさかになった)
 
 
会場に着いたら、着替えを済ませ、トイレを済ませ、荷物預けを済ませる。今回は比較的余裕なスタート前なのであった。ポンチョを着ながら木陰に座り、雨をしのぐ。
 
 
8時20分にはスタートラインに立つよう、会場アナウンスが流れる。トイレに列を作っていた人たちは、慌ててスタートラインに向かった。やることもなくとりあえず2回目のトイレに並んでいた私も、スタートC地点へ向かった。
 
8時25分、スタートセレモニー。少しずつ気持ちが昂ぶる。   
 
予定通り、8時40分にスタート。
 
ーー
 

(2018年コース)
 
金沢の観光市街を走りながら、合わせて歴史的景観を楽しむことができる。そして、雄大な田園風景をむかえたあと、フィニッシュ会場の陸上競技場へと向かう。
 
スタート直後にランナーたちを見送る金沢城雄大さはもちろん、世界で最も美しい駅の1つとして名高い金沢駅を象徴する鼓門(つづみもん)を真正面に迎えることになる。この圧倒的なスケール感は、決して言葉で言い表すことができない。まさに贅沢なほど金沢を全身で味わえる、運営サイド渾身のコース設定といえるだろう。
 
 
1-10km
 
スタートラインを超えると、割れんばかりの声援が沿道から送られる。雨が降っているのに、それを全く感じさせない。この声援も金沢マラソンの魅力の一つ。周りのランナーもそれに手を振る(私も恥ずかしながら手を振る)。
 
 
余談だが、走っていながら
 
(なんか野球少年団が妙に多くない?)
 
と思った。彼らの元気な声援を何度も受け取っている気がする。
 
 
あとで大会プログラムを読み返して気づいたのだが、どうやら彼らは
 
沿道にぎやかし隊
 
という正式名称の元、ランナーを応援すべく待ってくれていたらしい。沿道にぎやかし隊はほかにも○○会やら○○組合やら○○合唱部やら○○少年団などがあったようだ。そして、野球少年団が多いなあ、と思ったのも間違いではなかったようで、沿道にぎやかし隊約80隊のうち、約半分が野球少年団であった。なお、他にも
 
応援ステージ
 
ということで、太鼓や吹奏楽、ダンスにアイドルーーと、多様な応援がランナーの背中を押してくれた。
 
 この大会、応援にすごく力を入れているんだなあと感じる。なんだか街を挙げた感じで大変に盛大だった。
 
ちなみにこの沿道にぎやかし隊、事前募集で集まってくれたみたいです。しかも、5月くらいから募集してた模様。出演料?ないみたいです。移動経費?ないみたいです。現地集合現地解散だって。雨風の中だよ?
 
いままで、応援の皆様がどうやって集まるかって、ちゃんと考えたことなかったけど、改めて頭が上がらなくなりますね。ほかの大会もそうなのかな。多分そうなんだろうね。・・・・・・ともかく、今後はもっともっと応援に感謝して走ろうと思いました。
 
 
 
さて、声援の影響か、今年最後のフルマラソンというで気持ちが勇んだか、スタートからずっと飛ばし気味となる。具体的にいえば5分前後/kmを維持している状態。優秀なランナーならばいいが、私からすれば少しオーバーペースである。
 
(あんまり調子にのるなよ)
 
と自分を落ち着かせる。だが、ペースは落ちずに、オーバーな状態を維持してしまう。
 
○11-25km
 
15km。この段階で時刻は10時を迎える。
 
気になるのは天候。雨は降っては止み、また降る。そこまで強くはないが、冷たい風も吹く。そして、体温が少しずつ奪われるのを感じる。
 
(天気予報では次第に晴れてくるはずだと思ったのだが・・・・・・)
 
天を見上げる。時折雲間から光がさしこむが、そのすぐ後に小雨が降る。風は少しずつ強くなっているような。体はどんどん冷え込んでくる。
 
そして、案の定トイレが近くなり、15kmあたりで一度戦線離脱。
 
「こちらトイレです!段差にご注意ください!」
 
また余談ながら、トイレにはボランティアの方が数名張り付き、ランナーがスムーズにトイレを迎えられるようにサポートしてくれていた。用を済ませた後は「頑張ってください!」の一言で送り出してくれる。トイレまで、なんという心配りだろうか。
 
 
ーー
 
約20kg地点。ここあたりでエネルギーを補給するために、エイドステーションの食べ物へ。
 
 
さて、20km地点では石川県を代表する和菓子が並ぶ「和菓子スポット」が待っている。
 
 

種類が豊富。これが一つのエイドにあるとは、なんというもてなし精神であろうか。全種類制覇したい所だったが、とりあえずきんつばを受け取り、口の中に放り込む。
 
(疲れた体に染みる甘さ。こんなに美味しいきんつば食べたことなーい!)
 
 
 
さて、まもなく半分の21km地点にたどり着いたころ、少しずつ焦りを感じ始める。
 
(…なんかうまくいきすぎていないか?)
 
気になっていたのはやはりペース配分である。ここまでほぼ5分/kmの状態。これは私にしてはタイムが良過ぎる。
 
 
普段から一生懸命練習してきたからならばその成果として解釈できる。だが、日頃の努力の足りない私が、このペースを維持できるとは思えない。それに、少しずつ脚に疲労を覚え始める。まだ半分を超えた段階、疲労を覚えるには早すぎる。微妙な違いかもしれないが、いつもよりも5km分くらい、疲れが前倒しに現れている感じ。
 
 
かといって一度あげたペースを意識的に落とすのはかなり難しい。多分、これは多くのランナーが同意してくれるだろう。この感覚、一度速いインターネット回線を味わうと、一つ前時代の回線に戻れない感覚に近いと思われる(知らんけど)。
 
まずいと分かりながら、そのまま5km/分ペースで走る。このままのペースで走りきれることを信じて。
 
 
○26-30km
 
26kmあたり。歴史的景観が広がる街中ゾーンを抜け、田園地帯に突入。
 
 
(うーん、やっぱりか…)
 
 
案の定、疲労が増してくる。脚の疲労が太ももにまで上がってくる。体力メータも残り40%くらい。黄色信号が点灯し始める。(20%以下になるとヘロヘロくんになります)
 
 
それなのに、ペースは相変わらず落ちないーーいや落とせずにいた。ここまでくると、ペースを一度落としたら、ズルズルと果てまで落ちてしまうのではという不安に駆られる。かといって今のままのペースで走っては、いずれ近いうちに脚が限界を迎えることは目に見えている。
抑えるのも勇気、その勇気を見出すための覚悟を、このままいけるんじゃないかという希望的観測が邪魔をする。
 
 
そして、30kmに突入。
 
体力はすでに限界に近づきつつある。明らかにペース配分を間違えたことを後悔。
 
(残り12km・・・・・・果てしないな)
 
この先、辛い走りが待っていることを悟り、身体が余計にこわばる。
 
(辛いなあ。歩きたいなあ…でも歩くと沿道の応援がプレッシャーになるんだろうなあ…)
 
 
マイナス思考を巡らせ始めたその時、誰かが背中をチョンチョンとする。そして、前に現れて少し高い声で
 
「頑張って!」
 
と激励の言葉をかけてくれたのは、彼であった。
 
 

(オリンピック男子マラソン2大会連続メダリストのエリック・ワイライナさん。この大会のランナーリポーターを務めていた。)
 
 
一気に興奮。私は掠れた声でセンキューセンキュー!と繰り返す。そして、勢いでハイタッチしてもらった。
 
(ーー辛いけど、どうせ走るしかないんだよな)
 
と、辛い道のりを走りきる覚悟が芽生える。ペースは少しずつ落ち始めるが、気持ちは再燃する。素晴らしいタイミングでの応援、ありがとうございました。
 
 
○31km-ラスト
 
雨は止まない。冷たい風も襲ってくる。
 
疲労の脚を雨風冷やしてくれる、ちょうどいいじゃないか)
 
どうにかプラス思考。しかし、頭でどう解釈しようと、お腹からのSOSを無視することはできない。
 
お腹(・・・・・・ごめん、まじもう限界だ)
 
 
止むを得ず、私は32km地点で再度トイレへ。用を済ませている最中
 
(体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善体質改善・・・・・・っ!)
 
と、悔し涙を流したことは言うまでもない。
 
 
さて、残り10km。正直、辛かった。ペースはみるみる落ち、後ろからどんどん抜かれる。また、水を飲むとお腹が悲鳴をあげるので、軽々しく飲むことができない。
36km地点にある名物エイドである石川スイーツスポットをスルー。(このスルー、振り返っても涙が止まらない)
 
残り5kmの看板が目に入る頃には、疲労が意識を奪うが、それでも鳴り止まぬ応援に弱々しく御礼を返しながら、気持ちを維持する。
 
 
 
そして、フィニッシュ地点の陸上競技場が目に見え始めたときには、最後の力を振り絞る。
 

 
体力を少しも余すことのない状態で、なんとかゴール。やり遂げた達成感と幸福感は、何度味わったって飽きることなんて決してない。
 
ちなみに、タイムは3時間48、49分くらいでした。タイムよりも、最後までしっかり走り抜いた点で、自分自身によく頑張ったって言いたいです(鬼コーチがいたら、いい加減なペース配分の制裁でムチでしばかれていたかもしれませんが)。
 
 
その場でへたり込みたいところだが、フィニッシャータオルとメダルをかけてもらう喜びを抑えきれない。そのまま流れに沿って歩く。
 
 
参加賞を受け取り終わると、一気に気持ち悪くなり、耐えられなくなって隅っこにへたりこんでしまった。そして、急激な吐き気に襲われる。胃が逆流しているような感じで、唾液が口から大量に出始める。
 
(ヤバイヤバイ!抑えろよ意地でも)
 
と、呼吸を整えながら、内臓の暴動が収まるのを静かに待つ。近くを見ると、走りおえた後に参加賞のバナナを食べている人たちが目に入る。羨ましいな、と思う。本当に、貧弱ランナーです。
 
 
なんとか体調が回復し、完走証を受け取る。足を引きずりながら更衣室に向かい、身支度を済ませる。携帯電話を見ると、遠方にいる彼女から完走おめでとう♪のメールが届いていた。(この大会、携帯で名前を検索すればランナーの記録を追跡できるようになっていたらしく、彼女はそれをみていたらしい。)
 
 

 
着替えを済ませ、ようやく食事。参加賞のバナナと、配布してくれていたつみれ汁。つみれ汁は冷えた体にはとても染み渡りました。ただ、この量すらも完食ままならないほど疲れ切っていました。
 

 
大会では、別途金沢マラソンフェスティバルという石川グルメを集めた出店会場があった。
だが、前述のありさまでしたので、何も食べる気になれませんでした。カレーとかコロッケとかを、ビールと一緒に美味しそうに食べている人たちがうらやましい!体質改善!
 
ーー
 
 
その後、陸上競技場からフィニッシュを迎えるランナーたちを見届ける。
 

14時過ぎ、ようやく晴れ間をのぞかせ始める。しかし、風は冷たい。地元アイドルたちもステージで応援してます)
 
最後まで笑顔で走り抜く人、苦悶の表情を浮かべながら一歩一歩確実に歩みを進める人、スマホで写真を撮りながら楽しげにゴールに向かう人、夫婦(もしくはカップル)で並列して走る人、同じ国の仲間と国旗を持ちながら走りきるグローバル人たちーーどの方々もゴールの瞬間はそれぞれ主人公に見える。
 
帰りを待つ友(家族、同僚含む)に満面の笑みを浮かべておかえりなさい!と叫ぶ人たちもまた、大変に心惹かれるものがある。そのような人が待っているゴールもまた格別なんだろうな。
 
あと、ご当地アイドルほくりくアイドル部たちも、寒い中頑張ってくれていました。大会公式ソング『風になれ』、あれ、シンプルにいい歌ですね。リーダーの松井祐香里さんはフルマラソンに参加していたみたいです。すっかりファンです。
 
ーー
 
15時。
 
最後の15時40分まで見たかったのだが、いよいよ寒気で身体が病的に震え始めるのを感じたので、大変残念だが会場をあとにする。翌日は普通に仕事だしね(有給とっときゃよかったなあ)。
 
 
会場からのシャトルバスで金沢駅へ。余談ながら、シャトルバスは激混み。正直、歩いて駅に行けばよかったと何度か後悔した。少しでも脚に余裕のあるランナーは、ゆっくり歩くことをお勧めします。
 
ーー
 
金沢駅に到着し、そのまま特急電車サンダーバードに乗って大阪へ。運良く自由席に座れたので、軽く眠りながら約3時間の時間を過ごしたのでした。
 
 
金沢マラソン、本当に、語るに語り尽くせないほど魅力的な大会でした。走れば走るほど新しい発見がありそう。もしも来年も抽選が通るならばーーぜひもう一度!
 
 
おしまい!