ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

マラソン後の悪夢

 
 
 
事態は月曜日に遡る。
 
 
 
月曜日。
 
金沢マラソンから一夜明け、通常通り週明けの仕事に向き合う。いつものように自分で淹れたマグカップ内のコーヒー(500ml)を1日かけて飲む。
 
ラソン疲れか食欲はそこまでなかったので、代わりでもないが炭酸水をグビグビと飲む。
 
家に帰り、金沢マラソンのたわいもない走行記録を残しながら、缶ビール3本と、感想を祝して作ったお手製のローストビーフ(カットせずに固まり状態のもの)を食べる。
 
 
日記をある程度書き終えた頃には24時を回ろうとしていた。私はほろ酔いの中、歯を磨いて眠りについた。
 
ーー
 
 
 

 
 
深夜2時。あまりのお腹の痛さに眼を覚ます。
 
(っっ痛・・・・・・)
 
 
今まで何度も腹痛を味わってきた。時にはトイレから出られない夜を過ごしたこともあった。
 
しかし、この時の痛みは少し違っていた。なんというか、下すというよりも、胸が張って息ができない感じ。うつ伏せでも仰向けでも、胸がきつく圧迫される感じがして苦しい。横向けになった方が呼吸が楽であった。
 
(一体、何これ・・・・・・死ぬの?)
 
今死んだら虚しすぎるよなあ、と思ったが、この段階では救急車に頼ることもなく、半ば気絶する感じで再び眠っていた。
 
 
ーー
 
 
まだお腹が痛かったが、起きられないほどではない。いつもよりも遅めにはなったが、予定通り出社し、営業活動に出向く。
 
 
ただ、終日食欲はなかった。無理矢理にでもエネルギー補給しないと、と思ってサンドイッチなどを買って食べてみるのだが、喉を過ぎたあたりからサンドイッチの塊が体内で暴れて再び腹痛を感じる。こうなると食事をするのも億劫になる。
 
 
18時。腹痛を取引先に悟られ無いように努めながら、無事に商談を終わらせ、車を会社の契約駐車場に戻す。そこでようやく一息ついて考える。
 
 
(・・・・・・この痛み、いかんなあ)
 
もしかしたら胃のあたりが炎症を起こしているのかもしれない。だとしたら原因はなんだろう?
 
(ストレス?いや、ストレスを感じるほど仕事してないしな。じゃあ、刺激物を食べ過ぎた?いや、コーヒーも炭酸も酒も、そこまで量を増やした記憶もないしな。それだったら年末年始の方がよっぽど胃が荒れるはずだし。・・・やっぱりマラソンかしら?)
 
 
金沢マラソンは雨天の中で行われた。前回の日記でも書いたが、寒い天候は体質的に苦手であり、走行中2回もトイレに駆け込んだ。さらに、終わった後は一気に胃酸がこみ上げるような気持ち悪さに襲われた。終わった後もほとんどご飯も食べず、十分なエネルギー補給もできていなかった。
 
 
原因が何であれ、昨晩のような悶絶の秋夜を過ごすのは御免である。終業後ということもあり、駐車場を出た後、近くの消化器内科に行くことにした。
 
 
ーー

 
○○クリニック。すでに受付時間は終わっていたが、クリニックの配慮で診てもらうことになった。
 
先生はベテラン風の人が良さそうな男性医師。
 
医師「ほう、マラソン頑張ったんか」
 
「はい」
 
医師「日曜日やな?」
 
「はい」
 
医師「大したもんやな。少し前やけど、鹿児島で走った後におんなじように気持ち悪くなったっていうやつもおったわ」
 
「はあ」
 
医師「タイムは?」
 
「ああ、大体4時間くらいなもんですね」
 
医師「ほう、そらすごい。まあ、走っていると内臓にも負担がかかるからな。それで胃が少し荒れたんやろ。胃酸を抑える薬をだして置くわ。これでまあ2〜3日で大抵は治るわな」
 
「ありがとうございます(っほ)」
 
医師「それでも調子悪かったら別の症状も疑わんといかんから、またきてや。胃カメラとかしてもええけど、胃カメラやるなら前日から絶食しとかんといかんしな」
 
 
「はい(まあ、お世話にならないに越したことはないわな)」
 
 
医者にお礼を告げ、クリニックを出る。
 
そして、帰りに栄養ドリンクやプリンのような柔らかい食事、そして牛乳や豆乳を購入し家に帰る。正直、飲み物以外、喉を通らない状態だった。また、なぜか悪寒を感じるようにもなっていた。
 
薬を飲んで、21時には布団に入って眠ってしまった。残念ながら、この日もやはり長い夜となった。昨日と同様の腹痛に耐えられず、何度も目を覚ました。また、悪寒の影響で布団を重ねていたせいか、汗がどんどん出てくるため、その不快感で二重苦となった。
 
 
1時間おきに目を覚まし、シャツを着替えたり、水分補給をする。体調が悪化していることは明らかだった。
 
だが、
 
(あと2〜3日の我慢!)
 
と自分に言聞かせる。
 
ーー
 
水曜日。
 
 体調不良は悪化するばかりだった。すでに固形物は全く喉を通らなくなっていた(絹どうふの角で死にそうになるレベルである)。飲み物を飲むにも激痛が走る。栄養補給のために、止むを得ず痛み覚悟でポカリスエットや栄養ドリンクを飲む状態だった。
 

午前中は会社に行ったが、午後はどうしても耐えられず、お客様のアポイントをキャンセルし、家に帰って休むことにした。こういうのは初めてだったので、短い営業人生ながら、私の中では一大事だった。
 
家に帰って布団にもぐり、ひたすら腹痛と悪寒に耐えた。
 
ーー
 
木曜日
 
この日は会社を午前中休んだ。朝会社に行く体力も気力もなかった。医者の話では2〜3日経ったらある程度治るということだったのに。
 
(あの医者はヤブ医者だったのか?しかし、辛かったらまた来て、って言ってたしな。また行かないとなんともいえないしなあ・・・。)
 
 
午後、細かいが締め切りが決まった仕事が溜まっていたので、止むを得ず会社に出向く。
 
上司や同僚の方々は無理しないように、と、温かい声をかけてくださる。それだけでもありがたいところであった。家にいると一人ぼっちで精神的にもきつかったですからね。
 
 
定時になったらそのまますぐに家に帰った。(この日にもう一度クリニックに行っておけばよかった、と、この日記を書いている土曜日の私はわずかながら後悔)
 
 
木曜日も、口に入れたのはポカリスエット二本のみ。ほぼ絶食の状態のまま眠りについた。
この日の夜は、ほんのほんのほんの少しだけ腹痛は柔らいだ気がした。だが、夜に水分補給で飲んだポカリで激痛が起こるようなレベルであるのは違いなかった。
 
 
ーー
 
金曜日。
 
通常通り会社に出社。
 
 
上司「なんか、大丈夫か?目に力が入ってないぞ。まあ、まえからそんなに力の入った目でもなかったが」
 
事務女性「顔がみるみる青白くなってるわよ。食欲ないなら点滴でもしてみたら?」
 
「大丈夫です!食欲はありませんが、意外と食べなくても生きられるんだなあと自分の生命力に感心していたところですから!」
 
 
と無理矢理元気を装う。だが、実際は火曜日からのほぼ絶食状態の影響で、体重が62kgから58kgまで落ちていた。(食べ物はもちろん、水分も十分に摂取できていなかったし、夜には悪寒汗でどんどん水分が抜け落ちていたしね)
 
 
日中、かろうじて商談を済ませる。この日の商談は2件。大切な商談先である1件目は体調不良を隠すように。懇意にしている2件目は、体調不良を前面に出して早く帰らせてもらった。
 
 
商談を終えたあと、上司にはフレックスタイムを申し入れる。そして、夕方には仕事を終え、再びクリニックへと向かった。
 
 
 
続く。