ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

新しい挑戦 『宅配ピザ』に挑む

 のび太「なんだ、これは」

 

ドラえもん「時の流れだよ。このライトでてらすと目にみえるんだ。よくみておくんだね。きみがひるねしてる間も、時間は流れつづけてる。一秒もまってはくれない。そして流れさった時間は二度とかえってこないんだ!!かりに一日三時間 時間をむだにしたとして、月に九十時間、年に千八十時間。十年なら一万時間以上。こうしてむだに流れさっていったんだよ」


のび太「しらなかった・・・・・・。もったいない・・・、とりかえしのつかないことをした」

 

藤子・F・不二雄ドラえもん第34巻 時はゴウゴウと流れる』 より

 

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あと数日で、私は30歳になる。生まれたときは4,000gを超えていたと言うから、さぞ大きな赤ちゃんだったことだろう。そして、バカ親二人は、出生時の体重と将来の器の大きさは比例すること信じ、私が日本(せめてNHK、もしくは吉本興業)を変えてくれることを夢見ていた。

 

――実際はどうか?少なくとも私の場合においては、出生時の体重とその後の人間の器の大きさとは何一つ関係性を見いだせない。パパ・ママ、ごめんね。

 

 

ーー 

 

7月30日。取引先との商談中の雑談。

 

「――あ、そういえば、僕、もうすぐ30歳になるんですよ」

 

ブナシメジ「30歳?あ、そう。――30歳かあ・・・まだまだ若いなあ。いいなあ」

 

「そうですか?」

 

ブナシメジ「そりゃそうよ。俺なんてもうすぐ60歳だもん。・・・30歳かあ。戻れるなら戻りたいもんだなあ。30歳といわなくても、せめて40歳に戻ったらいろんな事ができるんだろうなあ――」

 

「もしも、今30歳に戻れるなら、何をしますか?是非参考にしたいので、教えてください!」

 

商品説明の10倍以上の熱量でたずねる私。30歳という節目を目前に迎え、その先も漠然と歳を重ねていくことに恐怖を感じ、焦燥感を覚え始めていた。だからこそ、人生の先輩から、何か金言めいた言葉を期待した。

 

取引先のブナシメジさんは少し考えた後、

 

ブナシメジ「・・・そうだなあ。まあ、サッカーをやりたいかなあ」

 

「サッカー?」

 

ブナシメジ「30代の時は、休みの日っていったらサッカーばっかりだったからなあ。・・・あのときは楽しかったなあ。気の合う連中とずっとサッカーできたしなあ。俺もそうだけど、それぞれ家庭があるから、なかなか集まれないしなあ・・・」

 

「・・・はあ」

 

ブナシメジ「あの頃は良かったなあ。体も良く動いていたし。今はダメ。腰が痛いし膝が痛いし」

 

「・・・あは」

 

期待していたのとは少し違う回答。その後は深追いすることなく、淡々と商談を進めたのであった。

 

 

――

 

商談終了後、昼食のラーメンを食べながら、悶々と考える。

 

『30歳に戻れたら、何をしますか?』

 

(・・・・・私は、ブナシメジさんにどのような答えを期待していたというのだろう?)

 

 

自問してみても、具体的にそれがなんなのか、全くわからなかった。

 

 

――

 

夜。帰り道。

 

仕事を終え、電車に乗りながら、今日の晩ご飯を考える。

 

(昨日作った味噌汁が冷蔵庫にあるから――あとは冷凍ご飯をチンしてレトルトカレーでもかけよう。ちょっと栄養が偏るから、コンビニに寄ってサラダでも買おうかな)

 

 

最寄り駅から家までの途中にあるコンビニで、100円のサラダを手に取り、レジに向かう(ついでにビール)。

 

店員「380円になります」

 

「――あ、すみません。あとファミチキを一つ」

 

ふと食べたくなったファミチキを買う。ジャンクフードは体に気を遣ってあまり買わない。だが、レトルトカレーライスの上にファミチキをのっければ、多少ご馳走に感じるかもしれないと思い、思い立って店員に申し入れした。

 

これで今日という一日が少しだけ贅沢な日になるだろうと思われた。

 

――

 

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マンションに到着し、ポストを見る。最近確認していなかったせいか、チラシがいっぱい。いつもならばすぐに捨てるところなのだが――。

 

(・・・・・・)

 

私は一枚のチラシが気になり、それを手にしたまま、エレベーターに乗る。

 

ーー

 

店員「はい、こちらピザ・バッドです。ご注文をどうぞ」

 

「あ、すみません。えっと・・・このチラシのマスカルポーネのやつお願いします。サイズはMで」

 

店員「☆♨はどうされますか?」

 

「あ、すみません。ちょ、ちょっと電話が聞き取りにくくて」

 

店員「失礼しました。生地はどうされますか?」

 

「あ、レギュラー生地でお願いします。あ、あ、あと、チラシに載ってるクーポンで番号がKJーKJ78のやつを使いたいんですが」

 

店員「かしこまりました。では、クーポン適用で、料金が1,500円になりますね。では住所とお名前を」

 

 

電話を切り、ほっとため息。

 

(別に宅配ピザ 頼み方」で事前に調べなくても良かったなあ)

 

と、20分ほどIpadを使って調べた自分の人生経験の少なさを嘲笑。

 

(でも、こういう緊張感が大事なんだよな。きっと)

 

 

ーー

捨てるのがもったいなくて温めた味噌汁とファミチキをチビチビと食べながら、ピザが来るのを今か今かと待つ。

 

 

 30分後、マンション入り口から、呼び出しチャイムが鳴る。

 

配達員「今晩わ。ピザ・バットです。えーーっと、はいこちら、マスカルポーネピザですね。1,500円となります」

 

「はい。こちらで」

 

配達員「――では、ちょうど1,500円ですね。ありがとうございます。またよろしくお願いいたします」

 

「どうも」

 

箱越しに伝わる熱。そして、高揚感。

 

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「ちょっと感動かも・・・」

 

1,500円払ってこの高揚感が味わえるならば、宅配ピザも悪くない。

 

 

少し前に買った(全く使いこなせていない)アレクサに、『テンション上がる音楽かけて!』と命令するのも忘れない。なんせ、大事な初体験の瞬間なのだから。謎の洋楽がサビになったところで箱をオープン。

 

 

 

  

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マスカルポーネピザMサイズ。1,500円なり)

 

じゃーん!すごいすごい!おいしそoisiso-!

 

さっそく一切れ手に取る。熱々である。

 

「うん、おいしいおいしい。うまいうまい」

 

用意していた缶ビールでピザを流し込む。いやあ、おいしかったおいしかった。なにか、世の中の仕組みを一つ知ることができた気がした。

 

(え、味の感想?まあ、正直そこまでピザ好きじゃないしね。あと、サラミも入っていたんだけど、ほとんどハムだったのは少し安っぽく感じちゃったなあ・・・。まあ、1,500円だし、文句言っちゃいけないよね。)

 

 

Mサイズを頼んだけど、半分ほど食べたところでおなかはいっぱい。残ったピザはラップに包んで冷凍庫に入れておきました。

 

――

おなかいっぱいになりながら、日記を書きながら、今日を振り返る。

 

Q『もし30歳に戻れたら、何をしますか?』

 

 

これに対して、今思うのは、

 

 

 

A 何でもいい、ほんの些細なことでもいいから、毎日小さな新しいことにチャレンジすること

 

これが、今誰かに言ってほしかった回答だったんじゃないかな。そう思った20代最後のひとときなのでした。じゃあ、明日は何をしようか。大事なのは、自分が『挑戦』と思えることに取り組み続けることだ。

 

 

・・・早々にネタは尽きそうだ。