妊娠中の妻は刺身を食べない方がいいらしい(けど、オットは?)
26日。
クリスマスらしいクリスマスを過ごさないまま、2020年最後の土曜日となった。
このままあっという間に2020年も終わるのだろうか--
と今年を振り返る前に、最後にやるべきことがある。そう、
大掃除
である。
ふたり暮らしでちょうど良い位のマンションなので、そんなに広い訳でもない。だが、妻が妊娠中(安定期突入)なので無理はさせられない。人員1.5人未満と考えて、朝からフル稼働で大掃除した。
カーテン、浴室、トイレ、寝室、ベランダ、布団干し、洗濯、(ここで小休憩で昼飯を作る)、窓拭き、エアコン、ダイニングテーブル、本棚整理--
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(おわらないか・・・)
残念ながら全部終わらせることができないまま夕暮れ。妻は疲れ切ってソファーで寝ている。
(晩ご飯買いにいこ)
中断して生協に夕食の買い物をしに行く。
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生協はすでにクリスマスモードから年末年始モードに切り替わっており、所狭しとおせちが並べられていた。
(おせちはまだ早いけど買う人は買うんだなあ。--あ)
この日は刺身お買い得。598円の刺身セットに引きつけられる。
(刺身かあ・・・。食いてえなあ。でもなあ・・・)
妊婦は食中毒・水銀摂取の点から生魚を食べることは推奨されていないのである(ついでに生ハムやナチュラルチーズなども同様だよ)。
酒を止めているのと同様、食事内容も妻と一緒の物を食べるようにしている。それは一緒に頑張っているっていうのを共有する目的なのだが・・・。
(でもなあ、今日は掃除頑張ったしなあ・・・自分にもご褒美あげたいんだよなあ・・・でも、食事制限してるのは妻も一緒だしなあ・・でもたべたいなあ・・・)
生鮮コーナーを行ったり来たり。回りのお客からすれば、相当邪魔くさかったコトだろう。
10分ほど悩んだあげく、
(ええい!たまには自分にも贅沢させてやらんとパンクしちまうぜ!!)
といって、刺身コーナーの刺身を手に取る。
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「ごはんできたよ~食べれる?」
妻「うん、ありがとー」
この日の夕食は、焼き魚と味噌汁とトマトスライス。そして--
「ごめん、コイツを買ってしまった。ごめんなさい」
378円のかつおのタタキ。お買い得刺身セットの隣にちょっとだけ並んでいたやつ。
妻「あ、そうなんだ」
「衝動を抑えられなかったんだ。怒らないでくれ」
妻「え?いや、別にいいけど」
「いいの?」
妻「うん。毎回同じ物ばっかりじゃ、イモちゃん(私)も足りないでしょ?」
「いや・・・まあ・・・」
妻「ご飯も作ってくれてるし、刺身くらい食べてください。酒も飲んでいいんだから」
「いや、酒はとりあえず止めとくけど・・・では遠慮無く。ありがとう。いただきます」
と言って、かつおのタタキにショウガと醤油をたっぷりつけ、ご飯とともに思いっきり口の中に入れる。
「・・・あのさ」
妻「うん?」
「別に貴女に刺身食べてる罪悪感から言うわけでも無いんだけどさ。このかつおのタタキ・・・かなり鮮度落ちてるわ」
妻「え?そうなの?笑」
「なんつうか、生臭いって言うか、悪い意味でねっとりしている感じ・・・」
妻「腐ってんじゃないの?」
「腐ってはないだろうけど・・・まあ、お買い得品の刺身メインで売っていたから、カツオは回転率悪くて古いのが残っていたのかもね・・・」
お買い得刺身セットが20個近く置いていたのに対し、カツオのたたきは3個くらいしかなかった。あくまで推測であるが、なんとなくお買い得品の方が新鮮そうなやつが手に入りそうな気がする。
妻「大人しく、お買い得品買えば良かったのに笑」
「まあ、俺なりに悩んだ末の結論だったんだけどね・・・。抜け駆けした罰かな」
ちょっと期待と異なる刺身だったが、久しぶりだったので買った刺身は全部平らげた。
ひとまず妻のお許しは得たので、今後はできる限り妻と一緒の物を食べつつ、たまに刺身も食べさせてもらおう。
さて、明日も大掃除の続き頑張ります。
参考)
https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/suigin/dl/051102-2a.pdf
【医師監修】妊娠中は寿司や刺身を食べても大丈夫? 生魚のリスク・注意点とは | マイナビウーマン子育て
妊娠中は生もの・お刺身NGって本当?【医師・管理栄養士監修】|妊娠・出産・マタニティ情報サイト - ニンプス
妊婦は生もの・お寿司を食べてはダメのなぜ?チーズもだなんて… | CHANTO WEB
胃カメラVS分娩(結果は言うまでも無い)
木曜日。
午前中、会社から命じられた健康診断を行うべく、予約していた病院へ。
病院にたどり着き、すぐに身体測定と心拍などを計測。滞りなく進む。なお、この日は追加オプションで胃カメラを行宇予定になっていた。
(胃カメラか・・・)
胃カメラは2年ほど前に受けたことがある。
あのときのコトは思い出したくもないが、日記に書いちゃったので忘れられなくなってしまった。ただ、前回は口からカメラを入れるタイプだったが、今回は鼻から入れる経鼻タイプなので、大分楽になると思われた。
謎の白濁の液体(胃の泡を消す液)を飲んだ後、喉と鼻を麻酔するために麻酔薬を服用。準備が整い、内視鏡検査を行う別室へ移動。
「がっふぁがっふぁ!!おええええええええええ」
看護師「大丈夫ですよ~はい、よだれはどんどん出してくださいね」
「う゛ぁああああああああえええええええええ」
看護師「大丈夫です、順調ですよ~。はい、あと少しですからね~」
鼻から行ったのだが・・・・・・辛かった。とても辛かった。逃げ出せるなら逃げ出したかったが、胃にカメラが入っている「半分焼き鳥串」状態なので逃げられなかった。検査中、看護師さんが背中をさすってくれたり励ましの言葉をくれたのが救いであった。
ともかく、検査を終えた後は
(胃カメラ、もう二度と受けるか・・・!)
という気持ちで一杯であった。
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帰り道、内視鏡管が通った鼻がジンジンする。
(鼻は痛いし、しかも食事は1時間我慢って・・・。朝食も抜いてるのにひどい仕打ちだ)
と思ったところで、ふと考える。
出産のたとえとして、
鼻の穴からスイカが出るような痛み
なんて表現がある。どんなもんか想像もつかないが、とても無理がかかるのだろう。
(そう思うと、内視鏡くらいでジタバタしている俺って一体・・・。まあ、胃カメラが辛いのは管の太さだけ辛いわけじゃ無いけどね・・・)
(なんだこの比較は)
ーーまあ、比較するまでも無いことはわかっていたけどね。というかなんで比較したんだよ。でもまあ、調べれば調べるほど・・・なんか分娩って大変なことなんだなあと改めて思うことができた。それだけでも有益な時間であった。
妻のこと大事にしよう。胃カメラ感謝。
参考)
https://www.soneclinic-marunouchi.com/nose-or-mouth/
分娩情報
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/syusseiji/tokubetsu/kekka03.html
https://jp.moony.com/ja/tips/pregnancy/birth/intrapartum/pt0673.html
http://www.artemis.tokyo/wpdoc/?page_id=3581
安定期に入ったので安全祈願に行ってきた
土曜日。
妻も無事に妊娠五ヶ月目に突入。
たまたまなのか、そういうものなのかは分からないけれど、俗に言う「安定期」のタイミングである5ヶ月を節目に、妻はだんだん元気になってきている。食欲も妊娠前くらいになったし、少しずつ運動量(といっても散歩するくらい)を始めている。ひとまず一安心だ。
本日、妻と一緒に安産祈願のために車で千葉にある某神社を訪れた。
少し前まで、妻は車に乗ることすら辛い状態だったので、無事にドライブできる喜びを感じる。といっても、無理をすると怖いのでなるべく近いところを選ぶ。
9:30ごろ、神社に到着。
「それで、安全祈願って具体的に何するの?」
妻「本当は戌の日(12日周期で訪れる日)に祈祷してもらうのがいいみたいだけど、まあ、お参りしてお守り買うくらいでいいんじゃない?」
「そうなの?せっかくだから祈祷してもらったらいいんじゃないの?当日行ってできるものかわからないけど」
妻「調べたらやってくれるみたいだよ。でも、もしかしたらコロナの影響で妊婦だけしか参加できないかも。それだったらやらなくてもいいかな」
「ああ、そうなんだ」
ということで、神社をぐるりと回り、お賽銭を入れて参拝。終わった後に社務ところに立ち寄り、お守りを購入。
受付の方「安産祈願はされなくてもよろしいですか?」
妻「安産祈願は妊婦だけ参加できるんですか?」
受付の方「いえ、夫婦でご参加いただいて大丈夫ですよ。」
「あ、そうなんですか?それでは是非」
ということで、夫婦で安全祈願を行っていただく。私たちの他に、娘さんの七五三祈祷のために参加されたご家族の2組であった。コロナの影響で一定の距離を保ち、玉串等は省略される形だった。
安全祈願後はなんとも晴れやかな気分。妻のコトを一層大事にしようと思えるから不思議である(効果は何時間続くのか)。
ーー
朝早かったこともあり、祈祷を終えて外にでると、神社は沢山の人が集まっていた。後で妻にきいたら、この神社は特に子供に関する祈願で有名らしい。確かに小さい子供を連れた親子が多かった気がする。
結婚式の時もそうだったけど、妻と一緒に過ごすことでこういう行事に触れるたびに、ひとり暮らしの時とは違った道筋を歩んでいるのだと感じる日々である。今のところ、幸せよ。
妻の妊娠とともに、(ひとまず)酒をやめてみました
夕食。
妻「じゃあ食べよー。いただき」
「あ、ちょっと待って」
と言って、私はいつものように冷蔵庫にゆく。そして、缶ビールを手に取る。
妻「・・・またそれ?」
「と、止めんなよ!止めんなよ!止めたって飲むからな!」
妻「・・・」
「ぷるぷるぷる・・・飲まないとコイツが止まらねえんだよ!」
妻「・・・」
「プシュ!じるじるじるじる・・・・かあああ旨い!!見ろ!震えが止まった!!」
妻「・・・」
「・・・ってアレ?(5秒間、缶をくるくる回す。そして)・・・コレ!ノンアルやないかい!ノンアルやないかい!」
妻「ふっ(鼻で笑う)・・もうそれやめなよ。あっきた」
「そういうなよ。一応我慢してるんだから。じゃあ、いただきます」
この茶番が、我が家の夕食時の儀式となっている。そして、夕食を終えた後、 手帳に「飲まなかった○○日目」と記入する。このルーティンワークも、本日で12月7日で58日目となった。禁酒は当初想像したよりもかなり続いている。2ヶ月前まで毎日のように飲んでいたことを思うと、よく58日も続いたなあと、我がコトながら素直に褒めてやりたくなる。
酒を止める決意をしたのは、10月中旬のこと。
少しずつ、妻のつわりがひどくなりはじめた頃だったと思う。仕事から帰ってきたらすぐにベッドに横になったり、夕食をほとんど残したりする妻。その様子を見て、妻が妊娠モードになっていくのを感じる。
(では、夫である俺は?妻のためにできることってなんだろう?)
真剣に考える。そして、それは妻が急に何かあったときにいつでも対応できる状態で有ること、という考えに至った。酒を飲んだらそれができない。だったら酒を止めるしかない。ここで酒を止められるかどうか、それで父になる覚悟が試されていると思ったのである。
ーーなんてかっこいいことを言えればいいが、別にそういうわけでもない。きっかけは些細なことである。
在宅勤務が続き、コロナストレス(という、妻も反対しづらい理由)で、平時より飲み過ぎの毎日を過ごしていた。そんな10月のある日、朝起きるとみぞおちのあたりがだるい。顔色も粘土のような具合。仕事はだるくて集中できない。もちろん、妻の体調が悪そうな様子も加味され、ちょっとだけ酒を飲むことに罪悪感を覚え
(・・・と、とりあえず今日は飲むのやめてみっか。今日だけね)
と思って飲まなかっただけである。ただ、この時の思いつきが今もなお続くことになる。
その次の日の朝、目覚めがすこぶるよかった。顔色も人間らしい状態に戻っている。そこで、
(せっかくだし、今日も止めてみよう。明日は飲むけど)
と思う。しかし、結局次の日も飲まなかったこともあり、
(よし、1週間止めてみよう)
になる。それが
(10日間までならいけるかな?)
となった後には、
(ついでだし2週間行ってみよう)
そしていつの間にか
(ここまできたら1ヶ月だろう)
となったのである。最初は些細な思いからだったが、まさか1ヶ月もお酒を止めることができるとは、我ながら驚きであった。そして、いつの間にか58日目。まもなく2ヶ月目に突入する。
最初は結構イライラすることもあった。だが、日を重ねるごとに禁酒ストレスは収まっていった。今はそこまで酒を飲みたい気持ちもない(冒頭に書いたような冗談で済ませられるレベル)。でも、一回飲んだらまた毎日飲酒生活に戻りそうな予感。恐る恐るな毎日である。そんな酒との詳細な戦いについても、またどこかで書いてみよう。
ちなみに、いろんな妊娠関連の本を読んでみると、いずれも妊婦自身の飲酒は厳禁としているものの、
夫の飲酒について、そこまで我慢してほしいという記述は少ない
気がする。
「飲んでもいいけど飲み過ぎないで」とか「奥さんの前では飲まないであげて」とか「飲み会で遅くまでならないで。頻度も考えて」とか「匂いのきついつまみは止めて」って表現が多い。夫のたばこが妥協無しで満場一致で否定されているのを考えると、夫の飲酒は比較的寛大に受け止められているように思う(だからといって、「飲んでいいよ」、とは誰も言っていないが)。
くどいようだが、私は酒が好きだ!酒が生きがいだ!!だから、酒を止めるのは辛いことだ。強く禁じられているわけでもないのなら、そのうち飲んでしまうかもしれない。いつまで続くかは自分でも分からない。分かりません!
ちなみに、来週に健康診断がある。なので、とりあえずの目標として、健康診断まで酒を止めておこう、という気持ちでいる。その程度の決意である。
未来の娘「お父さんさ、なんで毎晩毎晩酒ばっかり飲んでんの?臭いしうざいし寸胴だし、iPhone級にださいんだけど(未来の若者言葉)。なんでお母さんもお父さんみたいな人と結婚したの?」
「うええええん、ひどーいひどーい」
娘「AI並にうざい。10m以上離れてよね」
妻「そういう言い方するもんじゃないわよ。お父さん、少しは休肝日は設けてよね。『あのとき』は止められたんだから」
娘「あのとき?」
妻「あんたが私のおなかにいたときよ。お父さんね、あんたを妊娠しているときは、私がいつ何があっても対応できるようにお酒を飲まなかったのよ」
娘「へえ・・・そうなんだ」
妻「あんた、愛されてるのよ。そして、お父さんはね、あんたのためだったらいつでも大好きな物を犠牲にできる強い人なのよ」
娘「・・・パパ、いつもありがとう。でも、私にとってもパパは大事な存在なんだから、たまには休肝日を作ってね」
ニタニタしながらこんなことを想像している私は、きっとアホ面だろう。あははは。
ともかく、今日もノンアルコールで乾杯。・・・いつまで続くかしらねえ。
妊娠5ヶ月突入前のマイタケ
土曜日。夕方。
「もうこんな時間か。晩ご飯どうする?」
妻「今日、なんか調子悪い・・・食欲はあるんだけどさあ」
「いいよ。なんか作るよ」
妻「ごめんね、トマトお願い。昼に生協で買った唐揚げがあるから、それも出して」
「あいあい」
ご飯を炊飯し終えた後、おかずの検討。
「唐揚げってこいつか。・・・あ、鮭の切り身があるからコイツを焼こう。トマトはスライスするけど、緑が足りないし、ほうれん草でも茹でようか。あとは味噌汁だな。具材となるような物がないな・・・あーー」
妻が買っていたマイタケ1パックを発見。
「マイタケ汁か。コイツでいいな。バランスも悪くないだろう」
ということで、マイタケを茹で、さいの目切りした豆腐を入れる。
1時間後、ご飯が炊き上がり、夕食が完成。
主菜:鮭の西京焼き
主菜2:生協の唐揚げ
副菜:ほうれん草
副菜:トマトスライス
汁物:マイタケの味噌汁
主食:ごはん
「うん、悪くない。おーいできたよ」
といって、ソファーに横になる妻を呼ぶ。
妻「ありがとー。なんか元気になってきた・・・って、ちょっと」
「ん?」
妻「この味噌汁って・・・?」
「見ての通り、マイタケ汁。香りマイタケ、味もマイタケ」
妻「なんでマイタケ入れるの!?私、マイタケ嫌いっていったじゃーん」
本当にいやそうな顔をする妻。
「嫌いって・・・じゃあ、なんで冷蔵庫に入ってんの?俺は買ってないぞ」
妻「マイタケご飯にしたかったの。炊き込みご飯なら食べれるの」
「なんじゃそりゃ・・・いや、別に無理して食べなくてもいいよ」
妻「・・・とりあえず一口食べてダメだったら止めるね。少し冷ましてから」
味噌汁には手をつけずにご飯を食べる妻。食欲はあるようで、鮭と唐揚げを中心にご飯をおかわりする。
2杯目のご飯を食べる前に、恐る恐る味噌汁の匂いを嗅ぐ妻。その時である。
妻「・・・うっ!」
「ん?どした」
一気に顔をゆがませる妻。そのゆがみ具合といったら大したモノで、演技でできるような代物では無かった。こちらが恐怖を覚えるようなレベルである。
妻「これはまずい・・・」
「え!?え?まさか?」
妻「・・・うん」
といって、手に口を押さえながら、揺れるようにトイレに駆け込む妻。
(あっちゃああ・・・マイタケはだめだったか・・・)
吐いている最中についてこられるのは嫌らしいので、大人しくテーブルで待つ私。なんとも無力である。
ーー
2~3分ほどして妻が戻ってくる。
「・・・大丈夫だった?出した?」
妻「うん、出した。ごめん、マイタケは無理・・・。匂いだけで一気にこみ上げてきた」
「それはごめんなさい・・・」
妻「ポカリちょうだい、ポカリ」
大人しくポカリをコップにつぎ、妻に差し出す。
妻「ふう・・・落ち着いた。食べたもの全部出しちゃったよ。・・・ゴメン、味噌汁だけ退いてもらっていい?」
いそいそと味噌汁と流しに持って行く私。落ち着きを取り戻した妻は、再びご飯を食べ始める。
「・・・よく、吐いた後に食べられるね」
妻「え?ああ、まあ、もう慣れたよ。スッキリしたし。そっちこそ何で食べないの?」
「いや、まあ・・・吐かせてしまった罪悪感と、吐く前の表情が衝撃的すぎて食欲がね・・・」
妻「いいよ、気にしなくて。なんていうかさ、唐揚げの油臭さで少し胃がつっかえる感じだったんだよね。そこでマイタケにとどめを刺されたのよ」
「ふーん」
(唐揚げがボディブローでじわじわ効いてきたところで、マイタケがフィニッシュブロー)
「まるでボクサーだね」
妻「もうマイタケの味噌汁作んないでね」
「わかりました。すみませんでした」
もう、つわりとかよくわかんないから、自分で作ってくれ
と言わなかったことだけ、自分を褒めてやろう。でも、味噌汁は失敗だったなあ、と反省。あの妻の顔は一生忘れないことだろう。
明日で5ヶ月目突入。一応、一般的には『安定期』ってヤツになるのかな。妻のお腹も少しずつ膨らみ始めているけど、無事に体調も安定してくれるのを願うばかりである。・・・これは人それぞれっぽいしねえ。
トツキトオカはまだまだ長い
お昼。この日も在宅勤務。
昼食中、妊娠中の妻がスマホを取り出し、私に見せる。
妻「あのさ、このアプリを入れてほしんだけど」
「ーーなにこれ」
妻「トツキトオカ。妊娠中の夫婦の強い味方らしいよ」
「なんなの?これ」
妻「出産まで残り何日!って、日めくりカレンダーみたいにわかるの。それに日数が近づくとともに赤ちゃんが成長していくの。どんな状態かが一目で分かるし、面白いでしょ」
面白くないよ。そんな訳の分からんアプリ入れたくない
と思わず言ってしまう前に一呼吸。
(・・・ここで「入れたくない」って言ったら、また『非協力的な夫』だの『赤ちゃんに興味の無い夫』だの思われる。アプリ入れるのは数分で済むのだから入れてしまった方がいいだろう。どうせ入れたって見ないだろうけど)
「ーーああ、そうなんだ。へええ。面白そうだしイレテミヨイレテミヨ!」
妻「・・・」
昼ご飯を食べる手を止めてアプリをダウンロード。そして、妻のデータと連携させる。
(画面はこんな感じ。)
「おお、赤ちゃんやないかい。こんな感じなんだ、今」
妻「どう、どう?いいでしょ、これ!」
「・・・ん?ああ。そうねえ」
画面をいじっていると、赤ちゃんのコメントが変わる。
「・・・なんだこれ。赤ちゃんがこんなこと思うわけないだろ」
妻「べびちゃんは優しい子だから思うんだよねえ~」
といってお腹をさする妻。すでに2対1である。
「ずいぶんと母親寄りに作られてるアプリだな。・・・しかし、コレ見てると、あと2人きりの夫婦生活も170日、ってことがわかるね」
妻「ああ、そうだね。寂しい?笑」
「いや、別に。でも、あっという間だったなあって思って。--いや、ごめん。そんなことは無いか」
結婚して1年たらずで妻が妊娠。スムーズなように思えるけど、妻は妊娠のことでよく悩んでいた。妊娠のために産婦人科に通っていたし、ネットや本で妊娠についていろいろ調べていた。私も(妻から言われたからでもあるが)、妊娠について本やネットで勉強し、妊娠がいかに奇跡的な出来事であるかを学んだ。それまで全く気にもとめなかった『不妊治療』という言葉がネットニュースや報道番組で取り扱われているのを見ると、どうしても確認せずにはいられなかった。男性にも原因があることが多いことを知り、恐る恐る検査キットで自分の精子も調べたりしたものである。
この1年で周りの人の見方も変わったような気がする。職場の方々が『妊娠・出産でとても苦労した』なんて話をしても、正直他人事であまり興味は無かった。でも、改めてそのときの話をちゃんと聞きたい思う。あとはーーもちろん、両親のいつも聞き流していた体験談も、改めてちゃんときいてみたい。
いずれにしても本当にラッキーなのである。私と妻は。
「これはいいアプリだ。毎日みよう」
妻「そりゃそうだ。見てください」
トツキトオカを意味も無くいじっていると 、また赤ちゃんのコメントが変わる。
パパにしかできないこと・・・ねえ。とりあえず明日からも妻をいたわろう。170日間、まだまだ先は長い。
妻のキュウリブーム終了?
夕食。
いつもの食事に加えて、妻が当たり前のように冷蔵庫からキュウリの漬物を持ってくる。そして、いつものようにキュウリを食べ始めた・・・のかと思いきや。
妻「・・・あのさ、もしかしたらだけど」
「ん?」
妻「キュウリブーム終わったかも。全然食べたくなくなってる」
「ーーほう。河童かカブトムシか、ってくらいに食べてたのにね。じゃあ、もう買いに行かなくてもいいってコトか」
妻「今のところね。でもなんか、普通に食欲が出てきたかも」
といって、ご飯をおかわりし始める。
もうすぐ15週目に突入する妻。キュウリブームの終わりが「つわり」の終わりであるのかもしれない。でも、つわりは復活することもあるみたいなので、まだ油断はできないだろう。
このまま安定期に入ってくるのか、またキュウリブーム再燃するのか、それとも違うブームが始まるのか。
ちょっと楽しみになってきた妊娠生活である。引き続き観察を続けていこう。