ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

知らぬが仏――知るは勇気がいることよ

 

 

 自分に何ができるかは、自分以外の者にはわからない。いや、自分でもやってみるまではわからないものだ。

ラルフ・ワルド・エマーソン

 

 

無知を恐れてはいけない。偽りの知識を恐れよ。

ブレーズ・パスカル

  

 

 Hold up Hold on Don't be scared You'll never change what's been and gone

 Oasis『Stop Crying Your Heart Out』より

 

 

 

「あと……少し……!」

 

 

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走り始めて約4時間。体力はすでに限界だった。しかし、若者らしい実直さとガムシャラさを最大限発揮し、私はラストスパートをかけた。

 

 

 

 

 

 

河川敷のランニングコース(推定10㎞)を4周

 

 

これをフルマラソンに見立て、土曜日の正午にスタートした。

なぜこんなことをするのかというと、来週の日曜日に「あのイベント」が控えているからである。

 

――そう、

 

 

大阪マラソン

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である。

 

 

以前も記したが、大阪マラソンの抽選に当選したのである。決戦は10月30日(日)。残りわずか6日ちょっと……!

 

 

 直前の練習は極力避け、最終週は休息につとめる予定とした。そのため、今週の土曜日は、走り込みができる最後のチャンスだった。

 

 そこで、普段走っている河川敷コース(推定10㎞)を4周走ることにしたのだった。普段は1~2周程度だったので、いつもの数倍多く走らなければならない。だが、本番を控えて今更おびえている場合ではない。

 

やはり、事前にフルマラソンのつらさを体感しておきたかったのである。その方が、本番のペース配分も考えやすいと思ったからである。まさに『敵を知り己を知れば百戦危うからず』、というわけである。

 

 

――

 

河川敷で練習する高校陸上部に交じりながら、ひたすら孤独に走り続ける。

 

 最初の1周目。昨日の飲みすぎが影響したのか、少し足が重い。それでも、少しずつ体が慣れてくる。

 

2周目。中盤あたりで、体のいたるところが痛み始める。しかし、まだまだ余裕がある。ちょっとおなかが空いてくる。

 

3周目。体力的にかなりつらくなる。しかし、体の痛みに慣れてくる。

 

4周目。体力及び全身の痛みがピーク。ふくらはぎはすでに破裂寸前、ひざはガクガク。おまけに、寒気にも襲われる。き、気持ち悪い……。

 

 

……それでも、自分の限界を超えているのがわかった。未知の領域に踏み込む。頭の中ではオアシスのStop Crying Your Heart Outが流れる。

 

「あと少し……!」

 

 

 

 

……そして

 

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ついにやり遂げた。こんな小さな自分でも、フルマラソン(予行)を達成できた。

 

タイムは4時間ちょっと。まあ、こんなもんだろう。もう少し頑張ればサブ4(4時間を切る)も夢じゃないな。

 

 

これで、もう大丈夫。もう、何も怖いものなんてない。大阪マラソンの次はトライアスロンにでも挑戦してみようかしら。そんな自信に満ちあふれた心地。

 

 

 

こんな私でもできたんだから、皆さんだってできるはずです!頑張ってください!

 

 

という、この世で一番意味の分からない言葉を川に向かって叫んだのであった。

 

 

――

 

 

翌日。日曜日。

 

下半身の筋肉痛で目が覚める。それでも、痛みが快感に感じる。

 

(これが達成感というやつか)

 

しばらくぼんやりしていたが、家にいてもすることがないので、家の近くのカフェでアイスコーヒーを飲みながら一服。そして、当日に向けてイメージトレーニングをする。

 

 

嗚呼、なんと有意義な土日の過ごし方だろう。この時間の過ごし方を世界中の人たちに伝えたく、私は日記を書くことにした。

 

 

 

 

……

 

 

 

 

 

 

 

……日記を書きながら、ふとあることを思う。それは、ある意味で実に根本的な疑問であり、決してが疑おうとしなかった疑問である。いや、疑うことを避けていたのかもしれない。

 

 

それは、

 

 

 

 

 

 

……私が走っていたコースは、実際のところ何Km何だろう?

 

 

 

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ということである。

 

 

これまでの話では当たり前のように10㎞で話を進めていたが、実のところ、

 

一周が何Kmなのか、一度も正確に計測したことはない

 

のである。ただ、なんとなく感覚的に10㎞くらいかな、と思っていたのである。そこで、 もしかしたら10㎞もなかったかもしれないという可能性に一抹の不安にとらわれる。もしかしたら、知らない方がいいことかもしれない、そんな思いもあった。



だが、今更目を伏せるわけにはいかない。私は怖いもの見たさで地図サイトを使って計ってみる。

 

 

 

……

 

 

 

……

 

 

……

 

 

……

 

 

 

……(脂汗)

 

 

 

……マジンガー

 

 

地図サイト「はい。あなたが走っていたコースですが、1周で推定8kmです」

 

嘘でしょ?

 

地図サイト「本当です」

 

あんなにつらいのに?

 

地図サイト「客観的事実です」

 

多少の誤差はあるでしょ?

 

 

地図サイト「まあね。でもせいぜい100m程度の誤差じゃないすか?」

 

……じゃあ、なに?俺が4周していたっていうのは

 

地図サイト「お察しのとおりです。32㎞です。いや、もっと少ないかもしれません」

 

……じゃあ、じゃあ、

 

地図「そうです。フルマラソンのゴールは後+1周以上先です」

 

あの辛い状態からさらに1周走るの?

 

地図サイト「みんなそうやってゴールしてんだよ。甘ったれる暇があったら練習したら?まあ、ここで焦って練習して、直前で怪我したりしてね(わらい)」

 

 

 

 

 

……本番まであと7日間。当日まで不安な日々を過ごしそうです。

 

 

 

完走できたら褒めてね(えへらえへら)