大阪マラソン 備忘録
昨日行われた第6回大阪マラソンに出場した。
前日。
前日に登録作業のために会場であるインテックス大阪に行く。人の多さに圧倒されながらも昼過ぎに済ませる。
会場では様々なスポーツ用品や屋台が出店しており、とても賑やかであった。私も、当日に使えるウエストポーチを購入した。(直前に買うなって?素人だからいいんだよ)
その日はお酒も飲まずに23時前くらいには休む。
――
マラソン当日。6時すぎに起床。シッカリ熟睡できた。
朝食に冷凍うどんと卵焼きとたらこを食べる。食欲もいつも以上に旺盛なり。
8時前に会場に到着。到着してあまり間をおかずに、スタート地点に並ぶ。
(誰かの腕が思いっきり被る)
スタート地点は、かなり後ろのほう。後でわかったことだが、どうやら約3万人の参加中、私が立っていた場所は
29500位
あたりだったらしい(苦笑)。ほぼ最後尾である。振り返るとあんまり人がいない。まあ初参加だし、しょうがないしょうがない。今回はタイムや順位は二の次。リラックスして楽しむのだ。
あ、ちなみになぜ順位がわかるかというと、最近のマラソンでは位置計測チップというのを渡されるのだが、それによってスタート~各拠点~ゴールの順位はもちろん、タイムなどがすべてネット上で把握することができるのである。だから、ネットを通じて知人や家族に自分のタイムや順位を定量的に伝えることができるのである(それがいいことなのかわからないけど)。
さて、9時にスタート。しかし、大行列の中の最後尾に位置する私がスタート地点に到着できたのは、おおよそ28分ほど経過してからであった。
――
当日はとてもよい天気で、風もなく走りやすい気候だったと思う。自分としても、最高に気持ちよく走ることができた。
……結果。
無事に完走できました!
タイムは4時間15分以内くらい?でした。まあ、初出場にしては頑張った頑張った!といってやりたいです。
最後尾スタートだったせいか、常に人を追い越しながら走ることとなった。これが気持ちよくてしょうがない。30㎞あたりで歩く人が増えるとは聞いていたが、その人たちを抜いていく時は快感回路がビンビン刺激された。
とにかく、完走できたことが嬉しかった!体調も万全だったし、すべてがうまくいきすぎたように思います。次回はもっとタイムを意識して頑張っていきたいなあ、なんて調子に乗ってますが(笑)
最後に、応援してくださった世界中のファンの皆さん、ありがとうございました!(推定百億万人)
――
月曜日。この日記を記す。さて、そろそろ会社に行こうっと。またいつもの日常である。世界はすぐには変わらないもんですね。
知らぬが仏――知るは勇気がいることよ
自分に何ができるかは、自分以外の者にはわからない。いや、自分でもやってみるまではわからないものだ。
無知を恐れてはいけない。偽りの知識を恐れよ。
Hold up Hold on Don't be scared You'll never change what's been and gone
Oasis『Stop Crying Your Heart Out』より
「あと……少し……!」
走り始めて約4時間。体力はすでに限界だった。しかし、若者らしい実直さとガムシャラさを最大限発揮し、私はラストスパートをかけた。
河川敷のランニングコース(推定10㎞)を4周
これをフルマラソンに見立て、土曜日の正午にスタートした。
なぜこんなことをするのかというと、来週の日曜日に「あのイベント」が控えているからである。
――そう、
大阪マラソン
である。
以前も記したが、大阪マラソンの抽選に当選したのである。決戦は10月30日(日)。残りわずか6日ちょっと……!
直前の練習は極力避け、最終週は休息につとめる予定とした。そのため、今週の土曜日は、走り込みができる最後のチャンスだった。
そこで、普段走っている河川敷コース(推定10㎞)を4周走ることにしたのだった。普段は1~2周程度だったので、いつもの数倍多く走らなければならない。だが、本番を控えて今更おびえている場合ではない。
やはり、事前にフルマラソンのつらさを体感しておきたかったのである。その方が、本番のペース配分も考えやすいと思ったからである。まさに『敵を知り己を知れば百戦危うからず』、というわけである。
――
河川敷で練習する高校陸上部に交じりながら、ひたすら孤独に走り続ける。
最初の1周目。昨日の飲みすぎが影響したのか、少し足が重い。それでも、少しずつ体が慣れてくる。
2周目。中盤あたりで、体のいたるところが痛み始める。しかし、まだまだ余裕がある。ちょっとおなかが空いてくる。
3周目。体力的にかなりつらくなる。しかし、体の痛みに慣れてくる。
4周目。体力及び全身の痛みがピーク。ふくらはぎはすでに破裂寸前、ひざはガクガク。おまけに、寒気にも襲われる。き、気持ち悪い……。
……それでも、自分の限界を超えているのがわかった。未知の領域に踏み込む。頭の中ではオアシスのStop Crying Your Heart Outが流れる。
「あと少し……!」
……そして
ついにやり遂げた。こんな小さな自分でも、フルマラソン(予行)を達成できた。
タイムは4時間ちょっと。まあ、こんなもんだろう。もう少し頑張ればサブ4(4時間を切る)も夢じゃないな。
これで、もう大丈夫。もう、何も怖いものなんてない。大阪マラソンの次はトライアスロンにでも挑戦してみようかしら。そんな自信に満ちあふれた心地。
こんな私でもできたんだから、皆さんだってできるはずです!頑張ってください!
という、この世で一番意味の分からない言葉を川に向かって叫んだのであった。
――
翌日。日曜日。
下半身の筋肉痛で目が覚める。それでも、痛みが快感に感じる。
(これが達成感というやつか)
しばらくぼんやりしていたが、家にいてもすることがないので、家の近くのカフェでアイスコーヒーを飲みながら一服。そして、当日に向けてイメージトレーニングをする。
嗚呼、なんと有意義な土日の過ごし方だろう。この時間の過ごし方を世界中の人たちに伝えたく、私は日記を書くことにした。
……
……日記を書きながら、ふとあることを思う。それは、ある意味で実に根本的な疑問であり、決してが疑おうとしなかった疑問である。いや、疑うことを避けていたのかもしれない。
それは、
……私が走っていたコースは、実際のところ何Km何だろう?
ということである。
これまでの話では当たり前のように10㎞で話を進めていたが、実のところ、
一周が何Kmなのか、一度も正確に計測したことはない
のである。ただ、なんとなく感覚的に10㎞くらいかな、と思っていたのである。そこで、 もしかしたら10㎞もなかったかもしれないという可能性に一抹の不安にとらわれる。もしかしたら、知らない方がいいことかもしれない、そんな思いもあった。
だが、今更目を伏せるわけにはいかない。私は怖いもの見たさで地図サイトを使って計ってみる。
……
……
……
……
……(脂汗)
……マジンガー?
地図サイト「はい。あなたが走っていたコースですが、1周で推定8kmです」
嘘でしょ?
地図サイト「本当です」
あんなにつらいのに?
地図サイト「客観的事実です」
多少の誤差はあるでしょ?
地図サイト「まあね。でもせいぜい100m程度の誤差じゃないすか?」
……じゃあ、なに?俺が4周していたっていうのは
地図サイト「お察しのとおりです。32㎞です。いや、もっと少ないかもしれません」
……じゃあ、じゃあ、
地図「そうです。フルマラソンのゴールは後+1周以上先です」
あの辛い状態からさらに1周走るの?
地図サイト「みんなそうやってゴールしてんだよ。甘ったれる暇があったら練習したら?まあ、ここで焦って練習して、直前で怪我したりしてね(わらい)」
……本番まであと7日間。当日まで不安な日々を過ごしそうです。
完走できたら褒めてね(えへらえへら)
限りなく赤に近いイエロー
健康で、借金がなくて、しっかりした意識があると言う幸福以外に、いったい何が必要だというのだ。
欠乏は人の注意を占拠し、それが限定的な強みをもたらす。差し迫ったニーズにはうまく対処できるのだ。しかしもっと広く考えると、それには代償がともなう。人はそれ以外の心配事をほったらかしにし、生活のほかの面での能力が低下する。
『SCARCITY:Why Having Too Little Means So Much(いつも「時間がない」あなたに)』 センディル・ムッライナタン&エルダー・シャフィール
先週の木曜日。
課長「焼き芋、会議の時に使用する資料、進捗はどうだ?」
「次回の会議までには、問題なく出来上がります。明日の朝までにたたき台をメールで送りますので、確認と修正が必要な場所をご指摘ください」
課長「そうか。ところで、この前お願いした市場調査の資料はどうなった?」
「現在約6000のサンプルをまとめているところです。面白い結果がでそうです」
課長「頼んだぞ。そういえば、来週のプレゼンの用意、どうだ?」
「まだ途中ですが、明日の午後までにはまとめ上げられると思います」
課長「そうか、頑張れよ。じゃあ、俺は帰るから」
「え・・・・・・・?」
毎日のように残業。通常業務に加え、様々な資料作りに取り組んでいた。
まだまだ若輩者で、そこまで重要な仕事ではないかもしれない。それでも、少しずつ仕事を任せられていることに心地よさを覚える。
若い時の苦労は買ってでもせよ
こんな古臭くも励みになる言葉を自分に向けながら、仕事を終わらせてはまた新たな仕事をこころよく迎え入れた。そして、来週には大事なプレゼンが控えている。
その夜。
来週の大事なプレゼンに向け、資料作成に22時過ぎまで残業。家に着くと23時近くになっていた。
疲れきった体はあまり空腹を感じていなかったが、なんでもいいからお腹に入れて早めに眠りにつきたかった。
戸棚にある袋のインスタントラーメン(サッポロ一番)を手に取り、鍋に火をかける。
「ラーメンだけだと・・・・・・なあ」
しかし、最近のあわただしい生活の影響で、冷蔵庫にはろくなものが入っていない。
野菜室を見ると、キャベツと玉ねぎが入っている。キャベツは少し黒い斑点が浮かんでいたが、危うそうな部分をとれば問題ないだろう。玉ねぎもいつ買ったのかわからないが、腐敗している様子もないし、こちらも食べられないこともないだろう。
これら野菜を手に取り、包丁でざく切りし、沸騰する鍋に放り込む。
野菜を煮込んでいる間、顔を洗い、コンタクトを外す。風呂は朝シャワーにすることしよう。
再びキッチンに戻り、袋ラーメンを入れ、麺をほぐす。粉末スープを入れた後、最後に卵を落とし、完成。「超健康ラーメン」の出来上がり。
(画像はでせられるレベルでもないので載せない。まあ、これをラーメンと認識する人はあまりいないだろう)
デキル男の夜食は、油まみれのラーメンではなく、身体を意識した野菜たっぷりラーメンなのである。もちろん、卵を入れることでタンパク質も補うことに成功している。
――
ずずずず
「……うん?まだキャベツに火が通ってなかったなあ。それに、野菜から汁が出て味がかなり薄くなってる。……しょうがないなあ」
キッチンに戻って塩コショウと七味唐辛子とマヨネーズをとってきて、ラーメンの上にそれらをフンダンにふりかける。
「……まあ、食べられなくはないな」
引き続き食事を続ける。しかし、途中から眠気が強くなり、半分ほど食べ終わったあたりで残して眠ってしまった。
――その夜。
(……い、痛い)
キリキリとしたおなかの痛みで目を覚ます。
(これは、やばいやつかも……)
眠っていた最中の強烈な腹痛で目を覚ましたせいか、意識は朦朧。ただ、自分が瀬戸際にいることだけはハッキリと感じた。
トイレにこもりながら、おなかが痛くなった原因を考える。すぐに思いついたのが、
数時間前に食べたあの煮込みラーメン(らしきもの)
である。
……考えてみたら、野菜は大分前のもので、すでに腐敗が進んでいたものだったかもしれない。それをあんまり火が通っていない状態で食べた。おまけに、味が薄いということでコショウや七味唐辛子やマヨネーズをたっぷりとかけた。もともとおなかが弱い自分にとって、これは強力な刺激だったかもしれない。しかも、連日に続く残業で体に疲労が蓄積していたので、内臓も一段と弱っていたことだろう。
少し考えればわかりそうな危険な行為を、うかつに行っていたことに後悔した。
いずれにしろ、決して倒れるわけにはいかないタイミングである。明日までに提出しなければならない資料もある。それに、来週には大事なプレゼンが控えている(これいうの3回目)。
しばらくして、少しだけおなかの痛みが引いた。憔悴した状態でベッドに戻り、おなかを温かくして眠った。翌朝、お腹の痛みが少しでも収まっていることを祈りながら。
――
翌朝。
朝起きると、何事もなく腹痛は収まっていた。ドラマであればここで腹痛が激しくなり、翌日から入院!!となったほうが面白いのだろうが、幸か不幸か、私の場合は体調が回復していた。(ただ、起きあがる際、軽くお腹に痛みを覚えたことから、昨晩のことが夢でないことだけは確信した)
その日はお腹に刺激を与えないよう、仕事の友であるコーヒーや緑茶を控え、麦茶を持参して飲んだ。昼ごはんもチョコレートを食べる程度にした。
土日も、いつもであればランニングをしたり、会社のパソコンを使って翌週に控えた大事なプレゼン資料のブラッシュアップに努めるのだが、今回は休息に徹した。
体は随分と疲れがたまっていたのか、土日はほとんど睡眠と読書で終わった。それでも、心身ともに回復していくのを感じた。
当日の資料作りのために費やした時間は減ったが、休息をとったことで心身の調子を整えることができた。
――
そして、本日がその大事なプレゼンの日だった。
結果は、特段大きな失敗もなく終了。忘れ物もなかったし、先方からもそこそこの反応を得られたと個人的には思っている。ただ、準備していた頃にあれほど大事だと思っていたプレゼンだが、終わってみると「そこまで大事なこと?」と思ってしまったのも本音である。
いずれにしろ、腹痛が悪化した可能性を考慮すると、今回のプレゼンは大成功だったよ!と、過去の自分に言ってやりたい。
以上。
――まあ、単なる一時的な腹痛だし、自分以外の人にはあまりにもどうでもよい体験談かもしれない。でも、自分にとってはとても重要な経験と思った。
今回得た教訓、それはすなわち、
ゆとりは大事
ということである。
……以上、ゆとり世代からでした。あんまり共感得られないだろうね(苦笑)
アホも金なり
先々週の金曜日(9月23日)。
会社の休みをもらって知人と2人でUSJに行ってきた。
朝5時に起床し、6時頃に家を出て、8時くらいにUSJに到着。
各アトラクションをのぞいたり、パレードを見たり、レストランで食事をしたり、有名なバタービールを飲んだりして時間を過ごした。何より、ツレが楽しんでくれたのでよかった。夕方あたりになると疲れ切った様子ではあったが。
せっかくなので、USJで過ごしたツレとの思い出を記してもよいのだが――本日は違う内容を記したい。
とにかく、私は、USJに怒っている。
(dare)
ここから先は、読む人によっては不愉快な気分になるかもしれないので、USJ大好きな人は読まないでいただきたい。
仮にキティちゃんに嫌われてしまっても構わない。ダイナソーに脅されても断固として書く。ハリーポッターが箒で叩いてこようが、スパイダーマンにぐるぐる巻きにされようが、セサミストリート集団に拉致されようが関係ない。
私が怒りたいこと、それはずばり、
金がかかりすぎる
ということである。
私は大変なお金持ちなので、お金に関するけち臭い話はしたくない。しかし、USJ訪問から1週間、今更のように夢から覚め、現実を振り返る覚悟ができた。
レシートは逐一管理していたので、そのレシートをもとに、USJを通してトータルいくらかかったのか?ということを調べてみることにした。
「みみっちい男だね。今更になってそういうことを調べようなんて」
等という批判に耳を貸すつもりはない。お金にだらしない人間よりよっぽどましである。
私がUSJで使ったお金は以下のとおりである。
なんと約35000円。鼻血が出た。
……せ、 せっかくなので支出の詳細を見て行くことにしよう。
まず初めにDVD代。これは、せっかくユニバーサルスタジオに行くのだから、事前にアトラクションの題材となった作品をDVDを借りて予習しようと思ったのである。ただ、借りたDVDはほとんど見れなかったのでほとんど不要な出費であった。
さて、最も大きいのが
チケット代(ワン・デイ・パスというやつ)
である。……まあ、これはしょうがない。ちなみに、ツレと自分の2枚分の代金である。それに加えて
すぐに入れるチケット(エクスプレスパス。通称、『成金チケット』と呼ばれる)
も買った。
このチケットを買うと、列に並ばなくてもすぐにアトラクションに乗ることができる。まさに、タイムイズマネー、並ぶ時間をお金で買うわけである。
……ただし、このチケット、実に高いのである。単純計算すると、1つのアトラクションを時短するために、約2000円かかるのである。
当日は、できる限りツレに待ち地間を味合わせたくなかった。確かにこのチケットを買っておいたおかげで、当日は大蛇のような列を並ばずにいろいろなアトラクションを楽しむことができた。
……しかし、途中から金にものを言わせて順序良く並んでいる人の列を無視してアトラクションに乗ることに罪悪感を感じはじめた。
(果たして私は本当にこのアトラクションに乗ったといえるのだろうか?この待つというひと時こそが、アトラクションを楽しむための正しい手順だったのではないか?それを抜かしてただ乗り物に乗ったからと言って、本当にこのアトラクションの楽しさを充分に感じられているのだろうか?)
そう思うと、だんだん気持ちが萎えてきたのである。
「いちいち理屈っぽい人だね。ツレの人を楽しませることができたんならそれでええじゃないの。第1目的が果たせたのに今更グチグチ言うなんて、器が小さいやつ」
という言葉には耳を貸さない。
あと、ともかく、食べ物もいちいち高いんですよ。食事代はツレがほとんど出してくれたので、上記表には計上されていないが、これを含めるともっともっとお金がかかっていたことになる。あな、おそろしや。
ともかく、 しばらくはUSJにはいかないだろう。1週間前のことながら、いまだに引きずる経験なのであった。
ーー
昨日、土曜日。
金曜日に先輩と飲み会。べろんべろんになるまで飲んだため、土曜日は最悪の目覚め。
9時過ぎに起床し、ぼんやりしながら麦茶を飲む。
麦茶を飲みながら、散らかった部屋を眺めていると、部屋の片隅に何やら黒い袋があることに気が付く。
これを発見し、血の気が引く。
「あ、やばああああい……」
私はあわててその黒い袋を持ち、外に出かける。
――
「ご返却ですね」
「……は、はい」
「え~と、……あ、こちら」
「……はい」
「えーと、2日分延滞でこちらになります」
「……(涙)」
うわああああああああああああ
どんな絶叫マシーンに乗るよりもリアルな絶叫をしたのであった。
USJはまだ私から金をむしり取ろうというのか。むごすぎる。恐ろしい。呪いである。
私はUSJ……ではなく、最終的に自分の間抜けさに心より怒りと失望を覚えたのであった。(というか『バックトゥザフューチャー』は絶対に借りる必要はなかった。すでにアトラクション終わってるし。あと、ハリーポッターなんて、結局、『賢者の石』しか見なかったし)
――ここで一句。
欲はない だらしないから 金もない
ないものづくしの我が人生なり……。でも、こんな人生も嫌いじゃないんですよね。アトラクションいらずの人生です。
閉ざされた心
Q 自分がブログをやっていることを、周りの人に教えてますか?
初めまして。焼き芋と申します。
現在、私はブログをしております。個人の日常を記している些細なものですが、まあ楽しく書いております。
最近、とある知人に対し、久しぶりに近況報告メールを送りました。すると、
「焼き芋君の文章面白いね。特に『ミルクセーキでジャグリングパーティ』というところがおかしくて何度も読み返しちゃった(笑)。ブログとか始めたら教えてね♡」
という返信が来ました。
――あ、言っときますけど、キャバクラ嬢とかじゃないですよ。男友達みたいな女友達です。
ジブンの文章を褒められたことがなかったので、ちょっと鼻の穴が膨らみました。しかも、実際に今、自分、ブログをやっているじゃありませんか!そうなると、当然、こんなことを考えます。
ブログをやっていることを知人に伝えたい!
……でも、自分が普段考えていることが知人にばれるのも少し気が引けます。今のご時世、何があるかわかりませんからね。
……みなさんはどう思いますか?
回答者1
実際にブログをやっているものです。私はブログをやっていることをほかの人に教えたことがありません。
知人に教えると、ブログを書くときにどうしてもその人のことを意識してしまいますよね?それだと、自分が書きたい内容が書けなくなる可能性がありますよね?
記事内容に制限をつけないためにも、私は知人に教えないほうが良いと思います。
質問者
なるほど、参考になりました。やっぱり教えるのはやめようと思います。
回答者2
私もブログをやっていますが、全然知人に教えています。別に知人にばれたからと言って、困るようなやましい記事を書いているんですか?そうじゃないでしょう?
世の中の多くの著名人たちも、自分の生活に関するブログやエッセイを書いていますし。せっかく面白がっている人がいるのならば、公開して後悔することはないかと思います。自分が頑張っている姿も知ってもらえるし、いいことづくめですよ。
質問者
たしかに、有名人さんって普通にブログとかエッセイとか出してますね。難しく考えすぎていたみたいです。せっかくなので知人に教えてみたいと思います。
回答者1
有名人がブログやエッセイを書いて公表するのと、素人が公表するのとでは少し意味が違うと思います。もしかしたら、知人さんが気まぐれにあなたのブログを勝手にほかの人に教えるかもしれません。それに、あなたのことを嫌になって、誹謗中傷のコメントを匿名で書いてくる可能性もありますよ?
人を信用しすぎるのは問題かと思います。傷つくのはあなたです。
質問者
た、確かにそうですね。そこまで考えが及びませんでした。やっぱり教えるのはもう少し考えたいと思います。
回答者2
たぶん、回答者1さんは、かなり内向的で卑屈な方なんですね。こんな考えを持つ人がいるなんて正直びっくりしました(笑)
知人さんがどういう人かわかりませんが、せっかく質問者さんの文章に興味を持ってくれているんです。知人さんを通じて、いろいろな人に質問者さんのブログを紹介してもらえるかもしれませんよ。もちろん、プラスの意味で。
回答者1様のいう通りにしていると、いつまでも心を閉じた人間になってしまうと思います。そろそろ心を開きませんか?
質問者
な、なるほど、言われてみればその通りかと――
回答者1
本当に相手の立場に立てるかどうかなんだと思います。仮にブログを教えたのに、知人さんが読まなかったら、質問者様はどう思うでしょうか?
「せっかく教えたんだから毎回ブログをチェックしてよ。……なんでチェックしてくれないの?」
ということになるかと思います。
それに、知人さんに負担をかけてしまうことになる可能性もありますよ?
知人さんだって忙しいでしょうから、あなたのブログを毎回チェックできるわけではないと思います。でも、一度教えてしまったら、必ずチェックしなきゃ、という義務が生じてしまう可能性があります。
知人さんも負担に感じるかもしれないし、質問者様も落ち着かないでしょう。
本当に知人さんと良い関係を続けていきたいなら、ブログを公開するのは控えたほうが良いかと思います。それが大人の対応というものです。
……最後に、回答者2さんですが、質問の内容に関係のない誹謗中傷をするほうがよっぽど卑屈な気がします。ご参考までに。
回答者2
なんか絡んでくる人がいるんですけど(笑)
理屈っぽいこといろいろ言うから、現実社会でも嫌われているんでしょうね(笑)
回答者1
あ?てめえ、調子乗るんじゃねーぞ。顔面ロマネスコが。
回答者2
うざい人がいるんですけど(笑)
回答者1
てめえ、絶対に殺す。夜道に気を漬けな。
回答者2
古っ(笑)それに「気を漬け」じゃなくて「気を付ける」ですよ。気をお漬物にしてどうするんですか(笑)
……
――
とりあえず、回答者1と回答者2の間をとる。
実はブログ、もうやってるよ!興味があったらインターネットで探してオクレ。
とメールを送る。ブログをやっていることは教えるが、URLは教えない。まさに折衷案である。返信次第ではURLを教えてやろう。
その後――
知人「見つけられるわけないじゃん!教えてよー」
「やっぱり恥ずかしいから教えない(笑)頑張ってさがせば10年後くらいに見つかるよ」
知人「ひどい!だったらブログやってるなんて言わないでよ!気になって眠れないじゃないの」
「あははごめんごめん。でも、別に俺のことなんて気にしなくてもいいだろ。世の中はもっと気にするべきことがあるはずです。例えば蚊取り線香がなぜ渦巻なのか?とか」
知人「蚊取り線香なんてどうでもいいのよ。……もっと焼き芋君のこと知りたいじゃん」
「なんでよ。別に俺のこと知っても何の得もないだろ」
知人「そんなことないよ……」
「え?」
知人「そんなことない、そんなことないよ!だって、私、焼き芋君のこと――」
「……え?」
という展開にはなるはずもない。
それどころか、最初のメールを送って以降、3日間、何の音沙汰も無し。
「焼き芋君の文章面白いね。特に『ミルクセーキでジャグリングパーティ』というところがおかしくて何度も読み返しちゃった(笑)。ブログとか始めたら教えてね♡」
まに受ける馬鹿がいるんですよ~(笑)ってか。
ぴぃやぴぃや。この自問自答、何だったんだよ(苦笑)
キヅカイとセクハラは紙一重
人にものを教えるときは、教えているようなふりをしてはいけない。知っていることでも、さも忘れたかのように言い出さなければならない。
アレキサンダー・ポープ
「男女同権」とは、男の地位が女の地位まで上がったことなのです。
日曜日。
いつものコメダ珈琲。
「ふええ~っつくら」
と、ようやく仕事から解放されて一服。アイス珈琲をちびちびと飲む。
来週は月曜日から金曜日までぶっ通しで出張となっている。先週は突発的な会議が続いたため、ほとんど出張の準備ができなかった。そこで、日曜日に会社に行って出張準備をしたのであった。
――本当は休日中に仕事をするのは嫌いなのだが、かといって準備を怠ると1週間ツライ日々になる。難しい境目だが、今回は仕事を優先したわけである。
そんな出張準備もひと段落し、日曜日の午後3時から行きつけのコメダ珈琲でリフレッシュタイムを過ごしていたのだが――。
コメダ珈琲で無料で提供される豆菓子をポリポリしながら、ふと気になることについて思いを巡らす。
「新入社員ねえ……」
今回の出張は、途中から新入社員と「同行営業」することになっている。
同後営業ってどんな営業?
同行営業とは、その名前のとおり「誰かに同行をするタイプの営業」です。
例えば、新人をいきなり一人で営業にいかせるわけにはいかないですよね。
きちんと、ノウハウを教えて「営業とはこういうものなんだ」と教えていかなければなりません。
では、それをどうやって教えるのか?というと、同行営業で一緒についていった先輩が「営業とはこういうものである」ということを教えています。
営業の世界では、最初は同行営業から始まるのは当たり前のこと。
営業の仕方というのは、何度口で教えられたところで「分かりにくい」ということが出てくるものです。
だからこそ、きちんと方法を教えてくれる先輩の存在が必要になるということですね。
(http://salesperson-power.com/extend-power/doukou/ )
新人との同行営業については、先週、課長から告げられた。
課長「来週の水曜日から金曜日、お前が新入社員を連れて同行営業してほしい」
「……同行営業、ですか?」
課長「そうだ。東京支店に配属されたトマトさんが、来週西日本に研修に来るんだ。その研修中、お前が相手をするわけ」
「……はあ」
課長「年も近いしイイだろ。お前の最高のパフォーマンス(笑)をみせてやれ」
「いや、僕も大阪に来たのは4月からで、取引先さんとはほとんどまともに商談できてないんですけどね……。最高のパフォーマンスどころか不慣れな姿をさらすことになるかと思いますが……」
課長「そういう姿も勉強になるもんだ。とにかく頼んだぞ。スケジュールについて決まったらトマトさんに伝えといてくれ」
「はあ」
当然のことだが、私も新入社員時代に先輩諸氏と同行営業したことがある。
同行営業が本当に勉強になったかどうかはよくわからない。先輩方が何を話しているのか、まだほとんど理解できてなかった時期だったからである。
ただ、勉強になったかどうかは置いといて、
一緒に同行営業して楽しかった人と楽しくなかった人
というのは、結構覚えているものである。あくまで私の印象だが、以下の通りである。
同行営業が楽しかった先輩
・商談前に、商談先のことについてわかりやすく教えてくれた人(この「わかりやすく」というのが難しいのである)
・時間設定に余裕がある人(かといってゆるい営業ではない)
・話をとにかく聞いてくれる人(話しやすい雰囲気を持っている)
・取引先と仲がいい人(やっぱり、取引先が鏡になるもんです)
同行営業が楽しくなかった人の印象
・「わからなかったらなんでも聞いて」というが、何を聞いたらいいかわからない、という新人ゴコロを理解してくれなかった人。
・「できる新入社員だなあ」とか「今どきの新入社員はみんなできる」とか妙におだててくる(それが嫌みに聞こえた)
・変にマイルールを押し付けてくる。(俺はこうしてるから君も真似しな)
・身内の悪口を言う
・身内の悪口を言わせようとする
・取引先の悪口を言う
・自慢話ばかりする
・変に新入社員に気を使いすぎている
・話しかけにくい無口
・見透かしたような話し方をしてくる
・新入社員に対し対抗意識を持っているのが伝わる
……何か楽しくない人の印象の方がポンポン浮かんでくる。こういうところを見ると、自分にとって同行営業はあんまり楽しいものじゃなかったということか。(苦笑)
ともかく、新入社員との同行営業、なにか刺激的な発見ができることを期待しよう。新入社員からも教えてもらうことは多いはずである。こういうスタンスを常に意識できるよう、ゆとりをもっていきませう。
……ところで、一つ気になることがあった。
「ところで、同行する新入社員って、トマトさんなんですか?」
課長「そうだよ。今年でうちの部署に配属されたのは、トマトさんしかいないだろ」
「トマトさんって、女の子ですよね」
課長「当たり前だろ。何回か会ったことあるだろうが」
「……僕、来週1週間出張なんですよ。当然、トマトさんと同行営業する予定の水曜日~金曜日も出張ですけど……いいんですか?」
課長「……え?そうなの?……そりゃまずいなあ」
「まずいですよね(苦笑)」
課長「まずいね(苦笑)」
――何がまずいのか?まあ、変な話だが、
男女2人っきりなこと
である。
新入社員で女性が入った場合、出張による宿泊コースの同行営業は避ける傾向にあった。たいていの場合、日帰りコースで日程を組んでいたのである。
今どき古臭い文化だね。女性がこれほど社会進出しているのに
という意見はごもっともである。だが、うちの部署なりのコンプライアンス問題なのだ。(あんまり女性が働いたことがない職場なので、対応の仕方がまだよくわからんのです)。
課長「とりあえず部長に確認してみる。でも、たぶんお前になるからね」
「まあ、僕は別にどちらでもいいんですけどね」
課長「……焼き芋、俺はお前のこと信用しているからね」
「いや、何もしませんって……(満月の時以外は)」
というわけで、私が同行営業することになったのであった。
「まったく課長も大げさなんだよなあ。……でも」
と思い、コメダ珈琲にてパソコンを開き、あることを調べる。決して新入社員との甘い旅行計画について調べているわけではなく、もっと現実的な問題についてである。
それは、
セクシュアル・ハラスメント
である。
大辞林 第三版の解説
セクシャルハラスメント【sexual harassment】
労働や教育などの場において,他者を性的対象物におとしめるような行為を為すこと。特に,労働の場において,女性に対して,女性が望んでいない性的意味合いをもつ行為を,男性が行うこと。性的いやがらせ。セクハラ
普段から言葉には気を付けているが、今どきの女の子が何を考えているのかまるで分らない。マイペースにいろいろと話して新人にセクハラ呼ばわりされるのは私としても不本意である。
というわけで、少しセクハラについて調べてみた。
調べてみると、どうやらセクハラは大きく2つに分類されるようだ。
①ボディタッチ(膝や髪や肩を触る等)
②性的に問題な発言
①に関してはほとんど心配ないと思われる。こういうのはプレイボーイ(自称)がやる行動である。私はモテないことを自覚しているモテない男なので、ここら辺は問題ないだろう。
……となると、心配すべきはやはり②である。②についてもう少し詳しく見てみよう。
セクハラに該当するような発言例
・性的なジョークを言う(「俺、お前とはヤレない。女として見れないわ」、「俺は絶倫なんだぜえ」等)
・身体の特徴についていう(「お前、胸ないなあ」「ちょっと痩せすぎじゃない?「顔がマイケルムーアに似てるね」」等)
・結婚や出産時期についての発言(「いつ結婚する気なの?」「どうせ腰掛でしょ?」)
・執ように食事に誘われたり交際を求める(「ぼ、ぼくちんのこと、どう思う?」「ふ、ふ、ふふたりで夜景を見ながら牛丼食べない?こ、これは先輩命令だかんね」)
……う~ん、基本的にはしないとは思うけど、自分も気づかないところで発言している場合もあるからなあ。例えば、ほめたつもりで
「トマトさんって綾瀬はるかに似てるね」
とか
「トマトさんってすごくスリムだよね」
とか
「晩飯、一緒に食べよっか。好きなものとかある?」
とか言ったとしても、それがセクハラととらえられる可能性もあるわけだし。(いや、人によってはそうらしいですよ、ダンナ)
嗚呼、めんどくさい……。
とりあえず、嫌われないように営業車に消臭剤つけておこうっと。あ、俺とトマトさんだと体感温度が違うだろうからエアコンも気を付けないとなあ――トイレはこまめにいったほうがいいのかしら?もちろんトイレ大丈夫?なんて聞けないしねえ。あ、お昼ご飯はコンビニじゃだめだよな――。
アア、コリャタイヘンダ。
みんながラーメンを頼んでも焼肉定食を頼むヤツ
自分のことを悪く言ってはいけない。そんなことは君の友人たちがいつも言っていることなのだから。
世界じゅうの敵に降参さ 戦う意思はない 世界じゅうの人の幸せを祈ります 世界の誰の邪魔もしません 静かにしてます 世界の中の小さな場所だけあればいい おかしいですか? 人はそれぞれ違うでしょ? でしょでしょ? だからお願いかかわらないで そっとしておいてくださいな だからお願いかかわらないで 私のことはほっといて
『私の世界』 かもめ児童合唱団より
え~、本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。
昨今、国際化がますます進んでいるなんてことは、私なんぞが言わなくても皆様重々ご承知のことでしょう。小学校でも英語授業が必修化なのはもちろん、街を歩いたり電車に乗ったりすると様々な言語を目にすることが多くなりました。少し前までは中国人や欧米人ととすれ違ったりすると、ちょっとドキッとしていたものですが、今では何にも感じなくなってます。
まったく、知らぬ間に国際化ってやつは進んでいるものですなあ。もちろん、2020年の東京オリンピックに向けて、その傾向はますます強まる一方でございましょう。
そんな国際化が進展中のジャパンではございますが、テレビをつけてみてもその流れは感じますね。ちょっと暇つぶしにテレビをみてみると、
外国人から見た日本
なんて番組がすごく増えたなあ、なんと思うわけでございます。
例えば日本の昔ながらの繊細な芸能や文化を取り上げた番組(ワフウソウホンケ的な)や、各メーカーの卓越した技術等を取り上げた番組(スゴイデスネシサツダン的な)が多いように思います。こちらの方は、
外国人を通じて日本のすばらしさを再認識する意図
があるのかもしれません。
とまあ、一方で、批判的に
日本人が考えていることがよくわからない
こんなことをテーマにしている番組もございます。こちらの場合たいてい、日本人同士では当たり前となっている習慣や文化を、自国のものと比較して
オカシイyo
となるわけですが。たとえば、
ニホンジンはすぐにスミマセンという。別に悪いことをしているわけではナイノニ。ワタシのクニでは、アヤマルということは、ジブンのやっていることをヒテイすることなので、メッタなことがないかぎりしないものdesu。
ニホンジンはハッキリいわないからナニ言ってんのかつたわらない。ワレワレはジブンの意見を持たないのはハジだとおもってるヨ。
という感じですかね。こんなことを言われて、日本人代表(笑)の芸能人がいろいろと反論するするのが定番でございます。
まあ、すでに上記のような例も普遍化しすぎたものに思いますし、まあまあ、別に違っていいじゃないの、なんて思うわけです。
……それよりも、私が最近感じるのは、
同じ日本人同士だって、まったく理解しあえないことがとても多い
ということなんです。同じ小さな島国の民族なのだから、もう少し分かり合えてもよいと思うんですがね。
――更に言うと、同じ会社という組織の中にいたとしても、まるで理解しあえないことが多いわけで――。
「おお、焼き芋くん」
「あ、ニンジンさん。お疲れ様です」
「今日、うちの部署の人間で飲み会をするんだけど、君もたまにどう?もちろん、用事がなければ、だけど」
「え?」
ニンジンさん(30代半ば。男性)は、隣の部署の先輩営業マンである。
私の会社には、営業部署がいくつかある。私が所属する部署がネジを売る部署だとしたら、ニンジンさんが所属する部署はミートソースを売る部署といった感じだろうか?まあ要するに、同じ会社で同じ営業という仕事をしていても、まったく違うものを取り扱っているわけである。
不思議な話だが、売っているものによって、所属する部署の人間性もまるで変ってくる。
ネジの営業をしている私の部署は、どちらかというと内向的な人が多く、個々の人間がそれぞれバラバラで活動をしている。仲が悪いわけではないけれど、なんとなく互いに適度の距離を保っているイメージである。よく言えば自由が多いといえるし、悪く言えば個人主義な人が多いといえる。(人の真似なんかするな、が部署の風土)
一方でミートソースの営業をしているニンジンさんの部署は、外向的な人が多い。個々で活動するというよりも、業務をみんなで協力して行っており、単独行動を許さない感じ。よく言えば統率感があるし、悪く言えば没個性的でもある。(軍隊っぽいって言ったら……怒られるかしら?)
私が所属するネジ部署と、ニンジンさんが所属するミートソース部署は、ほとんど業務上で絡むことがない。同じフロアにいても、たまに挨拶を交わす程度で、仕事の相談をすることはもちろん、プライベートな部分はほとんど知らない(あまり興味もない)。
さて、前置きが長くなったが、そのニンジンさんから飲み会の誘いを受けたのである。なぜニンジンさんが私を誘ったのかは不明だが、いずれにしろ
先輩からの誘いはよほどのことがないかぎり断ってはいけない
と新入社員の時に教育されたのが染みついている(なぜかそこだけ体育会系)。それに、たまには他部署の方と交流することで、普段自分の部署にいるだけでは見えてこない発見があるかもしれない。
そこで、
「ぜ、ぜひお願いします。でも、少しやらなければならないことがあるので、それを片付けてからすぐにお邪魔させてください」
と返答。
「あ、大丈夫?じゃあ、先に行ってるから、ひと段落したら俺の携帯に電話して?店の詳細を教えるから」
「了解です。よろしくお願いします」
とのことで別れる。後でニンジンさんの携帯番号を知らないことを思い出し苦労することになる。
――
「す、すみません、遅れました」
「お、待ってたよ~」
飲み会は6人席の座敷で私以外の5名はみなミートソース部の方々だった。個々では仮に
・ニンジンさん
・ナスさん
・トマトさん
・ひき肉さん
・パプリカさん
としよう(どうでも良い設定)。みな、私の先輩にあたる人たちであった。
さて、あらためて乾杯をし、その輪の中に参加したのだが……。
ニンジン「トマトさんの値上げ策が功を奏したって感じだよね。あれのおかげで営業会議の際にみんなの値上げしなきゃいけないって意識も上がった感じがしたし」
ひき肉「そうそう、みんな値上げ話なんて基本したくないじゃん。そこをトマトさんが先んじて大手スーパーの一番厳しい値上げをやってくれたから、ほかの営業にも火が付いたんだよね。特に、フェニックス計画!あれは度肝を抜かれたね」
トマト「いやあ、そんなことないですよ。それに、フェニックス計画だって、上司のジャガイモさんにいろいろ相談して、元アイデアをくれたわけだし」
パプリカ「私、今でもフェニックス計画からさらに跳躍したネオ・フェニックス計画の展開に鳥肌が立ちます。あれってずっとうちの会社の歴史に残りますよね!」
トマト「いやあ、別に大したことないでしょ。それよりも、取引先のナポリタンさんが『粉チーズは絶対にはずせない』、って言ったときは笑ったなあ(笑)」
ナス「ああ、それね!そっちの方がずっとうちの会社の歴史に残るよね(笑)」
一同「あははははっはは」
私「へ、へえええ。あはははあ(ジャガイモさんって誰?フェニックス計画ってなに?『粉チーズは絶対はずせない』って、何が面白の?)」
まるで話の輪に入れない。
ニンジン「ところでさ、焼き芋君の部署もいろいろ売上好調だけど、それって何が理由なの?」
私「え?ええ、っと、そうですね。売上が好調なのは一時的にタチグイソバ屋からの特需で発注があったからですね。通常発注が30ネジなんですけど、その時は30万ネジの発注があって。まあ、これも笑い話なんですけど、実は桁を間違えて発注してたみたいなんですよ。でも、基本的にネジの返品は受け付けていないんですよね。うちの部署。そこでどうしようもなくなったタチグイソバ屋がネジを大量に使うメニューを考案していたみたいで、それが大ヒットしたんですよ。それで結果としてウチもタチグイソバ屋も両方バンザイだったって感じですね。それにしても、発注を間違えたときのタチグイソバ屋社長の『あらよっと』って一言には笑ったなあ」
と一人で笑っていると、皆がぽかんとしてる。
ニンジン「タチグイソバ屋って何?聞いたことない会社だけど」
トマト「そもそもネジって何に使うの?」
パプリカ「どうしてネジの返品を受け付けなかったの?」
ナス「『あらよっと』の何が面白いの?ねえ、何が面白いの?」
ひき肉「君の話は今一つよくわからないなあ。まあ、違う部署だし仕方ないか」
ニンジン「まあ、そうですよね。ともかく、焼き芋君も大変だなあ。うちらとは住む世界が違うって感じがするね」
私「す、すみません……」
パプリカ「ところで、さやえんどう君に彼女ができたって知ってます?」
ニンジン「え、知らない知らない!それうそでしょ(笑)」
ナス「俺も知らねーよ。さやえんどうに電話して聞いてみよーぜ!」
私「……へ、へええ――(さやえんどうって誰だよ)」
ひき肉「あ、今携帯で見たら、今日の阪神巨人戦、今7回表で5:3で阪神勝ってますよ」
ニンジン「そういえば、日曜日球場に見にいったんだよ」
パプリカ「マジですか?私も行きましたよ!ところで、焼き芋君はどこファン?」
私「いえ、僕は野球はあんまり……」
パプリカ「じゃあ、サッカーとかは?」
私「サッカーも、あんまり……」
ナス「……土日とか何してんの?」
私「ええっと……ランニングしたりお菓子作ったりしてます」
ひき肉「へえ……男なのにお菓子作りって変わってるね」
私「あ、ええ、すみません……」
一同「……」
ニンジン「あ、そういえばセロリさんの奥さん見たことある?すごい美人らしいよ」
パプリカ「あ、私あったことありますよ。すごい美人さんでした!もともとモデルさんらしいですよ」
私「へ、へえええ(セロリって誰だよ)」
……同じ言語なのに、同じ日本人なのに、同じ会社にいるのに、話がまったく合わず、話題についていけない。私が何か言葉を発すると、その場の空気が静まり返る。笑い声と相槌だけは合わせるように努めたが、それもぎこちなくなっていくのが分かった。こんな状況をうまくこなすすべが何も見つからない。いつの間にか、時間が過ぎるのをひたすらに待つ状態になっていた。人見知りで非社交的な性格な自分を恨み、頭の中で
(死にたい営業失格死にたい営業失格死にたいゴミくず死にたい死にたい死にたいみんな死ね俺も死ぬから――)
とループしていた。(やばいやつ)
――
飲み会解散後、一人ビル街から大阪の空を見上げ、ため息が漏れた。
違う世界の人間とかかわるとき、多くの場合、文化や考え方の違いを避けて通ることはできない。その事実に直面したとき、人は大きく2つに分かれると思った。
一つは、
文化や考え方の違いに興味関心を示す。さらに、違う性質の人間でも共有できるナニカをさがそうとする人間。
もう一つは、
文化や考え方の違いを受け入れきれず、自分の文化や考え方の世界に閉じこもろうとする人間。
前者になりたいけど、いつまでも後者になってしまう自分。
うーん。自分の小ささを実感したつらい経験でございました。
まあ、唯一良かったのは、日記というツールがあったことですね。今回日記でまとめた内容を営業トークで活かしてみますか(苦笑)
はあ……。 とりあえずみんなと共有できる何かを一つくらい身に着けないとね。