師走は綱渡り
運命のなかに偶然はない。人間はある運命に出会う以前に、自分がそれを作っているのだ。
12月、師走である。
我がサラリーマン生活では、12月が最も体を酷使する。
12月は忘年会や取引先との接待、そして来季に向けてのプレゼン、さらにお得意先へのご挨拶周りなどが集中する。
先週も、月曜日に接待、火曜日に東京会議&忘年会、水曜日にプレゼン&接待、木曜日に接待と続く。
金曜日は早く帰って体を休めたかったのだが、翌週も月曜日から出張ベースでご挨拶周りが続く。その準備のために、金曜日も残業。
「おつかれー」
「あ、おつかれさまでーす」
周りを見ると、私しか残っていないことに気がつく。
(こんなに遅く残るなんて、初めてだなあ。……ゴホゴホ……にしても、咳止まらんなあ)
日々の接待&忘年会の影響か、お肌にお疲れ感がしっかり出ている。おまけに肩こりもひどい。眼もゴロゴロ・しぱしぱする。
しかし、もっと深刻なのが咳である。木曜日あたりからだろうか、軽く乾いたような咳が出るようになった。ただ、風邪というには少し大げさな程度。多分、空気が乾燥しているからだろうと、夜寝るときにもマスクをするようにはしていた。そして、飴ちゃんは常になめるようにしていた。
(とりあえず撮ってみる。このアメ好きやねん)
――
日をまたぎそうになる前にパソコンを閉じ、家に帰宅。
軽く酒を飲み、カップラーメンを食べる。この時間が最も幸せ、なのだが……。
「ゴホゴホっ!ああ、むせちまった……もういいや、今日は寝よ」
と、疲れのせいか、大して酔うこともなくベッドに入る。
(明日は、今週の労をねぎらって、焼き肉にでも行こうかなあ)
と、幸せな気持ちで眠る。
――
翌日。土曜日。
「……サム」
気候的な寒さではない。いわゆる悪寒である。暖房をつけても解消されぬ、あの寒さ。
(まさか、風邪?……でも、まさか)
先月に風邪をひいたばかりである。幼稚園児じゃあるまいし、幼稚園児を子に持つわけでもないこの私が、毎月のように風邪をひくものか?
とりあえず自分の症状を整理してみることに。
【起床直後】
体温:36.6℃
咳:軽いものが数十分おき
のどの痛み:なし。不快感はあり。
鼻:異常なし
下痢:なし
身体の痛み:なし
頭痛:なし
悪寒:あり
これを風邪と呼んでいいのかわからなかったが、とりあえず日課のジョギングは控え、安静にすることに。と言っても、そこまでつらくはなかったので、掃除・洗濯などの家事を済ませる。その後はぼんやりと布団に入る。
(焼き肉大会は中止だなあ……)
気づけばまた眠る。
夕方。
(サム……)
朝起きたときより寒い。
(来週から出張入ってるし、悪化するのはまずいんだよなあ……)
と思い、近くのドラッグストアへ行く。
店員(中年のおじさん)「いらっしゃいませ~」
「あの、風邪薬を探しているんですが。ゴホゴホ」
店員「風邪?どこ悪いの?」
「咳が出ます。あと、悪寒が少々。ゴホゴホ」
店員「咳か。熱はある?」
「朝計った時はなかったですが」
店員「ふんふん。咳と熱ね。じゃあ、コイツだ」
「あ、いや、ゴホゴホ (熱はないって言ってるだろうが!)」
店員「これで4日分ね」
「4日分……(万が一長引いたことも考えて、もうちょっとあったほうがいいような……)」
店員「4日分でいい?」
「……はあ」
店員「まあ、4日経てば、たいていの風邪は治るから(笑)治らないなら病院行きな!風邪は安静と体力つけることが一番!栄養ドリンクとか飲んで」
「はあ(今どき珍しいくらいのざっくり感……)。じゃあ、あと体力つけるために栄養ドリンクを」
店員「栄養ドリンクだったらこれ!これで間違いなし」
「(もうちょい選択肢くれよ。でも選ぶのめんどくさいし)はあ。じゃあ、これで」
店員「まいどあり~お大事ね~」
というわけで、店員のおじさんが勧めた風邪薬と栄養ドリンクを手に帰宅。家に帰ると、なんだか寒気が強くなる。そこで、もう一度熱を計ってみると……
目を疑った。朝起きたときは36.6℃だったのに。
(え、まじ?まじ?ナニコレ)
風邪ですらないかも、とタカをくくっていたのだが、いつのまにか、インフルエンザを疑いたくなるほど、急激に高熱になっていた。そう思ってみると、なんだか頭がボーっする。皮膚感覚が空気に敏感になる感じもする。
晩御飯にうどんを作るが、熱の影響か食欲がまったくなく、ほとんど口に入らない。当然、お酒も飲まない。飲んだときの身の危険を感じたからである。
( 月曜日から出張なんだけど……。とりあえず、今日はさっさと寝よう)
さっき買った薬と栄養ドリンクを飲む。栄養ドリンクはかなり甘く、懐かしい味。ついでにエネルギー系ゼリーを食べ、布団に飛び込む。昨日が嘘のように、布団の中でぶるぶる震える。自分の体に触ると、ともかく熱い。平清盛の最後を想起するほどである。
汗で何度も目が覚め、そのたびに水分補給と着替えをしながら、朝を迎える。
――
日曜日。
起きても体が熱い。さっそく体温を計る(少し楽しみになってくる)。
「38.5℃……全然下がっとらんやないけ……」
起きてもやはり頭がボーとする。頭が熱さでしびれている感覚。ただ、幸いなことに、咳は落ち着き、鼻水や喉痛には派生していなかった。一方で、大きめの口内炎がいくつかできていた。
(明日までに体温が下がらないと、出張が……取引先にも迷惑がかけるし、上司と同行だから上司にも迷惑かけるな……)
意地でも回復させるために、絶対安静を心がける。薬と栄養ドリンクを服用し、布団に入る。眠くなくても、とにかく寝る。
そして、夜。つけっぱなしにしていたテレビで『ちびまる子ちゃん』が流れ始めたころ――。
「イエス!っしゃああ!!」
ベッドでガッツポーズ。起きたときは、体が軽かった。熱でうなされていた感覚も薄れる。薬局のおじさん、ナイスドラッグチョイス!
もちろん、薬による一時的な効果なだけかもしれないので、油断はせずに、この日も酒は控える。
とりあえず、この日記を書けるくらい回復できたのでよかった。もしかしたら、体が強制的に休養させるために、一時的に脳みそをコントロールして熱を発生させたのではないか?バカげた話だけど、最近の多忙さと体の酷使を考えると、風邪をひくかどうかにかかわらず、休養は必要な状態だった。今回の体調不良のおかげで、十分に睡眠をとることができたし、酒を飲まずに済んだ。
まあ、回復できたから思えることでしょうね。
明日も出張で朝早いので、もう眠ろう。軽い咳、肩こりは残る。いつ落下してもおかしくない、綱渡りの師走はもう少し続きそうだ。
二人の上司
マネジメント層には常々、部下を幸せにすることをお願いしています。部下が楽しそうに働いているか、働いていないかでマネジメント能力を見ています。
前澤友作
指揮官たる一人の愚将は、二人の良将に匹敵する。
(注意)サラリーマンの微妙な会話があるだけです。
昨日。
会議室にて、上司2人と私含めて、3人で会議。
上司2人とは、
今の上司
と、
以前の上司
である。
少し前、会社恒例の人事発令に伴い、上司が変わった。そこで、来年以降の取り組みや引継ぎなどを含めて、3人で打ち合わせを行ったというわけである。
まあ、当たり前かもしれないが、旧上司と新上司とは、性格が違うし、仕事に対する考え方も違う。
暇なので、上司二人の特徴を整理してみる。こんな表を作ること自体、実に無意味だということはわかっているのだが――暇なのでね。
(こんな表を上司たちが見たら、きっと怒るだろうな。僕が逆だったら、こんな部下嫌いです。でも、日記だしね)
あくまで、今の私からこう見える、というだけである。どちらも無理な権力をかざすことない温厚な性格の方々である。どちらも人として尊敬できるし、どちらかが良いということは全くない(こう思えるのはとても幸せなことだと思う)。
旧上司は、一言でいうと謹厳実直な方。一方の新上司のことは……正直まだよくわからない。口数は少ないが、言うべき時にははっきりと自己主張をする方、という感じだろうか。まあ、時間の経過とともに、見え方もちょこちょこ変わっていくんだろう。
――
夜、3人で夕食を食べることに。
なお、旧上司は人事発令の伴い、東京へ転勤となっていた。この日も新幹線で東京に戻る必要があったので、帰りが楽なように新大阪駅の居酒屋に入る。
酒が入ると、普段は口数少なめの2人の上司も、話す言葉が多くなり、話はあっちこっちに飛ぶ。
「それで、東京の職場はどうですか?大分慣れました?」
旧上司「なかなか慣れないよ」
新上司「大阪にいたころとは全然違いますよね」
旧上司「違うねえ。しかし、どうでもいいけど、最近の若い社員は直帰が多いんだね。俺なんて、直帰なんか入社してから数えるくらいしかしたことなかったけどなあ」
「ああ、そうですねえ――」
旧上司が言う「直帰」とは、営業の出先に行ったまま、会社に戻らずに家に帰ることを指す。
会社によって違うだろうが、我々の営業部署では、あまりよいニュアンスで使われていない。もちろん、出先での営業が終業後の時間帯に終了するならば別だが、我々の営業ではそこまで遅くなることはほとんどないのである。たいていは、遅くとも16時とか17時ごろには、出先での営業活動が終了する。
旧上司は、
16時くらいに営業活動が終わるならば、そのまま家に帰るのは早すぎる、一度会社に戻ってくるもんなんじゃないの?
というニュアンスのことを言っているわけである。これについては様々な意見があるだろう。私はまあ、旧上司と同意見である。
「まあ、今の若手は直帰率かなり高いですからね(笑)」
旧上司「お前だって若手だろうが(笑)でも、お前は直帰したことないじゃん。少なくとも、俺が大阪にいたころは」
「そりゃ、大阪じゃ誰も直帰してませんからね。誰もしてない中で直帰する勇気なんて僕にはないですよ」
旧上司「ーーともかく、東京の若手はどんどん直帰するのが不思議だね。東京だと、管理職ばかりが終業後も残ってるよ?」
と、旧上司が言うと、新上司が口を開く。
新上司「――まあ、いいんじゃないですか?私は直帰が悪いことだとは思いませんけどね。逆に、意味もなく会社に戻ってくるくらいなら、さっさと帰ったほうがいいですよ」
旧上司「――でも、さすがに帰るのが早すぎるのはね」
新上司「僕は別にいいと思いますけどね」
旧上司「まあ……そうなんですけどね」
「……」
ちなみに、新上司はもともと別の部署にいた方である。新上司が以前までいた部署は、19~20時ころまで出先で営業することもある部署である。そのため、新上司が
直帰がいけないこと
のように言われることに違和感を抱いたとしてもおかしくはない。
新上司「逆に残業でいつまでも残っているほうがおかしいと思わないと。僕が前にいた部署だと、むしろ直帰しているほうがお客さんに向き合って一生懸命仕事してる、ってとらえられていましたから」
旧上司「そうですねえ……まあ、私も直帰が絶対悪いとは思わないですけどね」
「――部署によって一日の流れが違いますから、何とも言えない部分ですけどね。ただまあ、我々の部署は、直帰する人はやっぱり少なかったと思いますね。それに、うちの部署だと、『遅く残って頑張ることを大切にしてきた文化』があるような気がしますね。私も入社当初は、部長から『直帰する奴はダメ』ってはっきり言われてましたしね(笑)私もそれで育ったような……」
新上司「それって、いわゆる40後半からの頭の固い世代だろ?そういう文化は本当に変えていかなきゃいけないよ。今の時代だと特に」
「……はあ」
旧上司「そうだねえ――」
余談ながら、旧上司は40代後半、新上司は40代前半である。
旧上司「――まあ、今の若い子が帰るのが早いのは、すごく効率よくできているってことかもしれないね。おれはいつも効率が悪いから、帰るのもいつも遅くなってしまって(笑)」
新上司「管理職はできる限り遅く来て、早く帰ったほうがいいと思うんですよ。上司がいつまでもダラダラ残っていると、部下も帰りづらいでしょうからね」
「まあ、それはありますね」
旧上司「あるもんなの?」
「そりゃありますよ。旧上司さんは帰るのいつも遅かったから、僕も帰りづらかったですからねえ(笑)」
旧上司「そうだったんだ――」
「いや、冗談ですって(笑)!いつも旧上司さんの背中をみて仕事してました、ってことです(これは本音です)」
新上司「やきいも、別に気を遣って無意味に会社に早く来たり、遅くまで残らなくてもいいからね」
「はあ。……いや、旧上司さん、冗談ですからね?」
旧上司「わかってるって(笑)まあ、お前も仕事楽しそうだし、このまましっかり大阪で頑張れ」
「――」
その後、旧上司を改札まで見送り、その場で解散となった。帰り道、ぼんやりと今日の会話を思い出す。
――職場の雰囲気は変わるんだろうなあ、と漠然に思った出来事であった。上司変われば部下も変わろう、ってことかしら?まあ、部下としては、上司がやりやすいように協力しながら、自分の仕事に励むだけである。
そして、今の私の「仕事上の上司」は、ただ1人だけである。そこは疑ってはならないですね。
文字通り、倒れた旅行
先週末。
前回書いていた通り、北海道に住む友人の結婚式に参加するために、私も北海道に赴いた。
細かく書くときりがないので、回ったところを適当に撮った写真を残しておく。
旭川動物園。寒かったなあ。雪が降ったりやんだりで……。偶然、前日に結婚式を挙げていた友人とその家族御一行に出くわしたのには大変驚いた。
夜は札幌のイルミネーション。北海道規模でした。
夜はラムしゃぶ。ヘタしたらジンギスカンよりうまい……かも?
そして、最終日。
白い恋人パーク。中国人しかいないんじゃないか?っていうくらい、観光旅行の方であふれていた。
定番のスープカレー。美味しかった!でも、個人的には……普通のカレーの方が好きかな?(笑)
午後、空港近くの水族館へ。
なぜか一か所に集まり体を震わせる魚たち。これは……スイミー?自己組織化?しばらく見入ってしまった。
黄昏時、千歳川を眺める。
そして、千歳空港に向かったのであった。
いやあ、実に楽しい北海道旅行であった。また来たいなあ。北海道マラソンとか出てみようかなあ。
――
最後に、実に恥ずかしい話であるが、帰りの飛行機でぶっ倒れてしまった。
離陸後1時間半くらいすると、なんだか頭が痛い。また、気持ち悪くなる(まさに画像みたいな状態)。
ついには吐き気をもよおす。それに耐えるほど、脂汗が滲み出てくる。
(これは結構まずいな……)
着陸までまだ1時間以上ある。この状態が続くのは、正直耐えられそうもない。
やむ終えず、トイレに行って落ち着こうと思った(トイレなら、『最悪の事態』になっても、なんとかなりそうだし)。
シートベルトを外し、立ち上がってトイレに向かう。
だが、その途中、視界がぐるぐるし始める。そして、脳と意識のつながりがプツンと切れるような、そんな状態になり……
CA「大丈夫ですか!?お客様!」
という状態となってしまった。周囲の乗客もさぞ驚いたことだろう。私自身は、正直ポカーンとした感じ。べたドラマのワンシーン?と、自分で思ったくらい。
乗客に席を譲ってもらい、3列シートに寝かされる。足を高くし、頭を下げる状態にする。すると、頭に血が大量に流れ込む感覚を味わう。人体の不思議を申しましょうか、そうなると一気に気分が良くなる。さっき倒れたことが嘘のようである。
さて、体が回復すると不安に襲われる。
(俺が倒れたことで到着時刻が遅れたらどうしよう……今は関西空港に向かっているみたいだけど……もし俺の体調がもっと悪かったら、多くの乗客にさらに迷惑をかけていたんだろうなあ……)
幸い、無事に関西空港に到着。CA様からは、
念のため最後に降りてください
とのご指示いただく。降りゆく乗客にみせる顔がなく、ずっとうつむく(心でお詫びのお辞儀)。
すると、席を譲ってくれた女性の方が
「大丈夫でしたか?」
と声をかけてくれる。
「すみません、ご迷惑をおかけしました。おかげさまで、大丈夫そうです。本当にありがとうございます。とても助かりました」
「本当に、心配しました。何事もなくてよかったです!」
「ありがとうございました。ありがとうございました――」
と何度も頭を下げた。なんと慈悲深い御方だろう。世の中捨てたものではない。本当に、ありがとうございました。
CAの皆様にも心からのお礼を伝え、飛行機を出る。
多分、貧血のようなものだったのだろう。決して多くはないが、今までも同様の状態に陥ったことはある(風呂場とか電車の中で……)。しかし、飛行機でなったのは初めてである。原因はわからない。気圧の変化が影響していたのかもしれないし、旅行疲れがあったのかもしれない。もしくは、脳のどこかに……それは今はあんまり考えたくはないが……。
いずれにしろ、北海道旅行、最後の最後にとんでもない体験をしてしまった。あ、飛行機だから飛んでるか……なんてふざけている場合ではない。。ほかの北海道思い出が一気にかすむような出来事であった。
以後、心より気をつけます。いや、本当に……。皆様もお気を付けを。
ふらり北海道
11月25日。土曜日。
この日から3日間、北海道に2泊3日旅行。月曜日?もちろん有休いただきましたぜーい。イエーイイエーイ!(最近、有休をとることへの抵抗感が薄れ始める。いいことか?悪いことか?)
北海道に行ったのは、大学時代の研究室の同期が結婚するため。結婚する彼は、私の数少ない友人の1人である(総じて片手の指に収まるレベルだが)。
彼は「友達と呼べる人」がたくさんいて、私は「友達と呼べない人」がたくさんいた。そんな相対する性格の我々だったが、彼が実に魅力的な性格のせいだったのだろう、こんな私とでも仲良くなってくれる力量があった。それは心から「大したものだ」とほめたやりたい。(いやマジで)
その彼の結婚式に参加したのであった。
せっかくなので、東京に住む(遠距離恋愛中の)ツレとともに北海道旅行をすることを提案した。彼女はそれを受け入れてくれる。(彼女は結婚式と全く関係がないのだが。こんな思い付きに付き合ってくれる彼女に感謝)
さて、年末近づく11月下旬、彼女とともに北海道に足を踏み入れたのであった。余談だが、今回の旅行の手配はすべて彼女がしてくれた(ホテル、レンタカー、ついでに飛行機の予約までも)。
――
土曜日の朝に飛行機で大阪から札幌の新千歳空港に向かう。(関西空港に到着したのがギリギリで、滑り込みセーフで飛行機に乗り込んだのは秘密である。)
11時。無事北海道に到着。
北海道はすっかりクリスマスで飾られている。
なお、新千歳空港で東京発⇒新千歳着の彼女と合流。
なお、新千歳空港で待ち合わせしていたツレと合流し、レンタカー屋さんに向かう。外に出ると、あまりの寒さに身もだえした。北海道はすでに冬である。皆が手袋マフラーとホッカイロに身をゆだねているのだろう。大阪ではちょうどマラソン大会で半そで短パンで走り回っているのに。どちらがまともなのかわからなくなった。
(新千歳空港前。写真では伝わらぬ強烈な寒さ)
レンタカー屋で車を借り、北海道旅行開始!
まずは腹ごしらえ。
とあるブログで拝見した北海道民が愛する回転寿司、その名も
根室花まる
これが、われわれが最初に堪能した北海道の味であった。下手な観光者向け海鮮丼よりも、地元民が愛する回転料理の方が興味深い。
本当に、美味しかった。身がぷりぷり。新鮮。安い。そして、汁物がデカい!あまりのデカさと美味さに、ツレとともに
男:汁だけで満足だな
女:さすが北海道ね
男:北海道はすごいな
女:そりゃそうでしょ、北海道なんだから
という間抜けな会話を交わしたほどである。
――あと、写真はないが、この回転寿司の
漬けマグロ
は、私が約30年弱の間食べてきた回転ずしの中で最もおいしい寿司といっても差し支えないものであった。(写真を撮り忘れるほどおいしかった)
到着早々、北海道の本気を見せ付けられたのであった。ありがとう、北海道ブログ。
さて、腹も膨れ、主目的の友人の結婚式会場に向かった――のだが。
残念ながら、友人の結婚式には間に合わなかった。
それは、我々が寿司を楽しみすぎたからではなく、サービスエリアでふざけすぎたからでもなく、急に降り始めた雪にタジロいだからでもない。ただ、
単純に披露宴だけだと思っていたが、実は結婚式も同日に催されていた
(17:00 結婚式)
18:30 披露宴
というだけである。披露宴会場に到着し、実は結婚式もあったということを知らされた時、どれだけ焦ったことか……。(Oh、凡ミス)
とりあえず慌てて披露宴だけ参加し、友人の婚約を心からお祝いした。
幸せになってくれよな、友よ――
と、友人席に座りながら頭の中でぶつぶつお経のように唱えた、そんな披露宴であった。
ツレとともにこの店で愚痴愚痴イロイロ話す。これもまた旅行の醍醐味。
北海道旅行、続く――(のかしら?)
禍福がまま
人生はただ歩き回る影法師、哀れな役者だ。出場の時だけ舞台の上で、見栄をきってわめいたり、そしてあとは消えてなくなる。
真の勇気が試されるのは逆境のときではない。 幸運な時、どれだけ謙虚でいられるかで試される。
ヴィクトール・エミール・フランクル
初心忘るべからず
誰でも耳にしたことがあるこのことばは、世阿弥が編み出したものです。今では、「初めの志を忘れてはならない」と言う意味で使われていますが、世阿弥が意図とするところは、少し違いました。
勤労感謝の日である2017年11月23日、この日記を記す。 先週の出来事である。
11月13日月曜日。
東京本社。この日は終日会議だった。各営業担当が自身の活動内容と売上実績を報告する。
「えーというわけで、売上状況ですが、ワタクシが担当している企業はすべて軒並み好調となっております。このまま行ってくれれば、前年比、予算比共に大幅達成して2017年を終えることができそうです。また、2018年もすでに売上増を見込める企業がいくつかあり――」
「ワタクシを中心とし、各部署を巻き込んでいたホンニャラ計画、ようやく始動できそうです。手始めに、来年の1月より詳細な市場調査とトレンド情報を収集し――」
「この企業への取り組みに対しては、皆様から非常に厳しい意見がありましたが、初期からのワタクシの対応が功を奏し、とうとう売り上げ1.5倍につなげることができました。まさに災い転じて福原愛というわけで――」
会議終了直後、先輩であるグラタンさんに声をかけられる。
グラタン「やきいも、調子いいなあ。お前。うらやましいよ」
「いえ、そんな事はありませんよ。たまたまです。私は何もしていません。本当にいいお客様に恵まれてラッキーです」
グラタン「本当に、いろいろお前はがんばってるからなあ」
「いえいえ、本当にそんなことはありませんから」
己を過信することなどない。今が良くてもこの先悪くなることだって十分に有り得る。だからこそ、今の売上の調子いいからって、自分まで調子に乗る必要は全くない。感情に流されず、クールに業務をこなすだけ。大丈夫、私はいつだってフラットな気持ちで仕事に向き合うことができる。そんな気持ちでパイセンと話す。
グラタン「あ、ところでさ。来週の火曜日だけど空いてる?空いているんならちょっと付き合ってほしいんだけど」
「来週の火曜日、ですか?」
グラタン「そう。ちょっと大阪出張するんだけど、その際に一緒に同行してほしいんだよね」
余談ながら、グラタンさんは、私よりも一回り社歴が上の先輩であり、新入社員のころからいろいろと面倒を見てもらっていた方である。そんな先輩から同行営業をお願いされることは、私のようなペーペーからすればとても名誉なことである。しかし、この時の私は違うことを考えていた。
(……同行営業ねえ。まあ、要するに取引先までのアッシー君になれってことでしょ?めんどくさ。新入社員ならわかるけど、俺ももう、ソレナリの担当企業とか持ってんだからさ)
「……あの、来週火曜はちょっとどうしても営業に行く必要がある取引先さんがあるんですよ。まだ日程調整中ですが、もしかしたら難しいかもしれませんね」
グラタン「あ、そうなんだ。そりゃしょうがないな」
「すいません。申し訳ないす。あ、でも、もしもアポイントがうまくとれなかったら、その時はお供させていただきますので――」
と、(当人としては)体裁よく断ったのであった。
(断る力も大事って、勝間和代が言ってたよ)
などと思いながら。
――
会議終了後、いそいそと新幹線に乗り、その日のうちに大阪に帰る。東京から大阪までの約3時間、いつもならば晩酌をするか、内勤業務がたまっていればパソコンを開いて作業をする。だが、この日は窓を景色を流しながら、先ほどまでの自分を振り返る。
(今日の会議、ちょっと調子に乗りすぎた感じだったよなあ。たまたま運よく売り上げが伸びただけなのに、ちょっと生意気だったかな)
(グラタン先輩に対しても、ああいう言動は良くなかったな。俺が後輩からそんな態度だったら、やっぱり嫌だもんなあ……)
常に謙虚であれと思って仕事をしてきたつもりである。自分は組織に属する身であり、そのうえで活動しているだけである。それゆえに、一番危険なのは過信だとも思っている。
……しかし、些細な成功体験一つで、我がふるまいはフラフラと変わってしまう。私自身、少し仕事に慣れてきて、オゴリ高ぶった気持ちが出始めていたのかもしれない。会議での調子に乗った発言はもちろん、尊敬している先輩に対しても、あのような態度をとるとは、実に情けなく、恥ずかしい。
家についてからも、どこか今日のことが気になり、なかなか寝付けなかった。
――
翌日。
起床後も昨日のことが気になり、起きて早々、同じ悩み事に取りつかれる。
熱湯で少し濃いめに淹れたお茶を飲む。 苦味と渋味で頭が少しすっきりし、悩む以外のことを考える余地ができる。そして、
(初心に戻らねば。全ての慢心を捨てるのだ。そうだ――今日はこいつを結んでみるか)
クローゼットの中のあるネクタイを手に取る。そのネクタイは、就活生の頃に使用していたものである。
就職状況が今よりも少し厳しかった頃、何のとりえもないまま田舎から出てきた私にとって、就職活動はそれまでにない試練だった。その中で採用していただいた今の会社。 それなりに熱い思いをもって入社させていただいた。それが入社して数年の月日を経て、大切な気持ちを失いかけていたのではないか?
就職してからはほとんどつけることがなかったこのネクタイ。慢心におぼれた私の気持ちをただすためにも、今一度就活時代の気持ちを思い出したい。そのために、実にバカバカしい発想ではあるが、あのころつけていたネクタイを結んでみたのであった。
――
通勤中。
電車での移動中、頭の中で何度も
(過信するな、身の程を知れ、オゴリを捨てよ――)
と繰り返す。そして、以前見た夢の日記を読み返す。奇しくも、この日記を書いたのは、調子に乗ってしまった2017年11月13日(月)の、ちょうど1年前であった。
会社からの最寄り駅に到着。ここで何を思ったか、
(あ、とりあえず、ICカードにチャージしておこう)
と思う。電車に乗る前の改札で残高を見たら、数百円しか入っていなかったからである。(千円以上無いと不安になる)
改札を出る前に、駅内にある券売機に向かう。
5000円取り出し、ICカードにチャージする。その最中も、
(とりあえず、始業時間になったら、いの一番にグラタンさんに電話しないと)
と、またくよくよ考える。
――
会社。
始業時間の9時を迎えると、私はすぐに電話をかける。
「あ、おはようございます」
グラタン「あ、おはよう。どうした?」
「すみません、朝から――。あの昨日グラタンさんからいただいた来週の火曜日の件なんですけど」
グラタン「ああ、うん」
「昨日はあんなことお伝えしましたが、やっぱり一緒にご同行させていただいてもよろろしいですか?」
グラタン「え?あ、いいの?だって、別件があったんじゃなかったっけ?」
「いや、せっかくグラタンさんがこちらにいらっしゃるので、やっぱり、ぜひお供させてください。お願いします……、もちろん、もしよければなんですが……」
グラタン「ああ、いいよ、こちらこそ頼むよ。じゃあ、火曜日ね。またスケジュールはメールで送るわ」
「ありがとうございます!それは、よろしくお願いいたします!失礼いたします」
何か胸の中のつっかえが取れた気分。だが、その後も決してオゴらぬよう自分に言い聞かせる。お客様からのお電話は丁寧に受け答え、内勤業務の方の仕事も積極的に手伝う。少々極端だったかもしれないが、そのくらいの方が今はちょうどいい。
――
昼。
ほうじ茶「おい、やきいも、昼メシ行こうぜ」
「あ、はい」
先輩社員であるほうじ茶さんから声を掛けられ、慌てて財布を手に取る……のだが。
「……あれ、おかしいなあ?あれ?」
ほうじ茶「おい、どないしたん?」
「財布が……あれ?ない、なあ」
上着を探しても、財布がない。カバンの中を探っても、財布が見つからない。
「おかしいなあ……」
ほうじ茶「家にわすれたんやないか?」
「そうなのかなあ。もしかしたら、そうかも、しれません」
ほうじ茶「ええわ、貸してやるからさ。でも、1,000円までやぞ?こっちかて苦しいんやからさ(笑)」
「あ、すみません。ありがとうございます。申し訳ないです……」
ほうじ茶「お前、なんか今日変やな。朝から妙に気を遣って」
「い、いえ……」
社内にある食堂に向かい、昼ご飯を食べる。
ほうじ茶「最近、すっかり寒くなってきたなあ。もう、コートが必要やろ」
「……そうですね。ええ、そうですね」
ほうじ茶「布団から出るんもだいぶ億劫になってきたしな」
「……そうですね。本当にその通りです」
ほうじ茶「地球も熱うなっている言うけど、冬はやっぱり冷えるもんなあ。あ、温暖化って冬が寒くなるんやったっけ?」
「……そうですね。そう思います」
ほうじ茶「……お前さあ」
「……はい?なんですか?」
ほうじ茶「今日の午後の予定は?どうなってんの?」
「え?今日ですか?ええっと……今日は一日内勤ですが」
ほうじ茶「そうか。やったら、一回財布を探してきな」
「え?」
ほうじ茶「お前、財布が気になってしょうがないやろ?俺がお前だったら、絶対気になってるわ。ええよ、課長は今日おらんし。気になるんやったら、俺から課長にやんわり言うとくから」
全てを見透かされていたようだった。食事中も、私は財布が気になってしょうがなかった。家にあればいいけど、もしもなかったとしたら?そう思ったら怖くてしょうがなかったのだ。
「……すみません、ありがとうございます。恥ずかしいかぎりです」
ほうじ茶「ええって。遅くなるんやったらとりあえず電話してくれたらええわ」
「会社にはできる限り早く戻りますので」
ほうじ茶「とりあえず、1000円札渡しとくわ。まあ、多分家にあるんやろうけど、万が一何かあった時に文無しじゃ困るやろ」
「すみません……それじゃ念のため。お借りいたします」
ほうじ茶「利子はつけてくれてもええで」
「はい。財布が見つかった際には、いくらでも」
と、言葉に甘えて1000円札を受け取り、一度最寄り駅に向かう。本当に、 先輩が人として大きく見えた。もしも逆の立場だったら、同じことができるだろうか?
――
オフィスを出て、ひとまず駅に向かう。
この段階で、財布のありかとして想定できるのは7パターンだった。
①自宅
②自宅から駅までの通勤路。
③自宅最寄り駅内
④電車内。
⑤会社最寄り駅内。
⑥会社最寄り駅から会社の通勤路。
⑦会社内。
会社から駅に向かう最中、少しずつ事態の深刻さを感じながら、それでも極力冷静に頭を働かせた。
(最後に財布を使ったのはいつだろう?冷静に思い返せ。……そうだ。朝だ。朝、会社からの最寄り駅で、交通ICカードにチャージしたんだっけ!これは明確に記憶している。ということは……)
①自宅
②自宅から駅までの通勤路。
③自宅最寄り駅内
④電車内。
⑤会社最寄り駅内。
⑥会社最寄り駅から会社の通勤路。
⑦会社内。
ということになる。
このように、答えが絞られたとしても、決して喜ばしいわけではない。選択肢が減ることは、答えに近づいていると同時に、ある意味で恐怖を増強させた。この時の心理状況としては
(絶対的に有力なのは、駅の中に財布があること。でも――もしも、もしも、もしも会社最寄り駅内にないとしたら……?)
通勤路と会社内では一度も財布を使用していない。この範囲での確率は限りなく低いと思っていた。駅内にない場合ーーは想像したくない。一方で、駅員に訪ねたときには
財布ですか?ああ、届いていますよ。 ちょうど、あなたが言うような財布が!ちょっと待ってくださいね。
と、言ってくれるようにも思っていた。
――
駅。
「すみません、朝財布を落としてしまいまして、こちらに届いておりますか?朝8時くらいだったんですが」
駅員「財布ですか?少々お待ちください」
駅員室に入っていく駅員。祈るように帰りを待つが――駅員さんはすぐに手ぶらで帰ってきた。
駅員「……財布は、届いてないですねえ」
「……え?」
駅員「誰かが拾われたら、ここに届くことになりますので」
「あの、そこの、そこのところで朝にチャージしたんですよ。そう、今日の朝の8時ごろです」
駅員「……届いてないですね」
「そう……ですか……。朝の8時ごろなんですが……」
駅員「ええ」
数秒の間、沈黙が続く。
「……あの」
駅員「はい?」
「一度駅の中、ちょっと見させてもらってもいいですか?」
駅員「は?」
「いや、一応見ておきたいかなあ、なんて」
駅員「……いいですよ。どうぞお通り下さい」
と、改札を開けてもらう。
(……)
ここで財布が見つかればいいのだが、残念ながら財布は見つからない。当たり前である。この時の状態としては、血の気が引いたというのは表現に適さない。この時の私は、ただ呆然とし、白昼夢の中にいるような感覚であったように思う。突然の絶望は、実感が伴うのに時間がかかるようだ。
「――すみません、ありがとうございました」
駅員「はい」
「……あの、一応、交番にも聞いてみたいので、ここから最寄り駅の交番を教えていただけますか?」
駅員「ここから一番近い交番ですと、とりあえず、★番出口を出ていただいて―― 」
「ありがとうございます」
と、私は頭を下げて、駅員さんが教えてくれた★番出口に向かう。時間の経過とともに、私は早足になっていった。早足になっても何一つ事態は変わらない。でも、財布がなくなってしまったという実感が伴うにつれて怖くなり、落ち着かなくなっていったのである。
最有力候補だった駅内に財布がなかった。そのショックはあまりにも大きかった。
①自宅
②自宅から駅までの通勤路。
③自宅最寄り駅内
④電車内。
⑤会社最寄り駅内。
⑥会社最寄り駅から会社の通勤路。
⑦会社内。
⑥と⑦が残ってほしく無かった。⑥だったら限りなく可能性が低くなるだろうし、⑦だったら見つからないうえに、別の怖さも秘めている。(あえて文章にはしないが)
ともかく、最後の希望は、
交番に行って、善良な府民が我が通勤路で財布を拾い、それを交番に届けてくれた
という可能性だけ。正直、なんと心もとない希望だろう。わざわざ財布を拾い、わざわざ交番まで届けてくれるものだろうか?
交番に向かうにつれて、私のわずかな希望がさらに望み薄であると思えた。それは、
私が向かっている交番が、私の通勤路からかなり離れていたから
である。
(こんなに離れた交番まで、普通届けてくれるだろうか……?)
――
お巡りさん「……今のところ、こちらには届いていないですね」
「あっ……そうですか……」
この段階で、ようやく白昼夢から覚め、完璧な絶望感に襲われる。そして、今後具体的に訪れるであろう、各種問題事項がじわじわと頭の中をよぎる。
「……届いてないですか(本当に落とした。ない。財布がないことが明確になった。本当にヤバい)」
お巡りさん「そう、ですね。現段階だとまだ届いてないですが……。警察として、遺失届書を作製したいと思いますが」
「……はい。お願いいたします(財布の中、いくら入ってたっけ?この前お金おろしたばっかりだったから――。あと、接待の時の領収書が入ってたっけ。精算できないじゃん)」
お巡りさん「これから、やきいもさんがなくされた財布の特徴について質問をさせていただきます」
「……はい。(あ、家の鍵、財布の中に入れてたんだっけ。じゃあ、財布無いと家に入れないじゃん。笑えるんですけど)」
お巡りさん「まず、お名前と住所を」
「……はい(クレジットカードはやく止めないと。止め方わかんないけどね(笑)……あ、財布に免許も入ってんじゃん。免許と家の鍵――超笑える。家に帰ったら荒れてたりして(笑)。でも、それだったら家の中に入れるから好都合だな、なんつって。わらえる)」
お巡りさん「財布はどんな形ですか?また、財布の中身ですが、記憶されている範囲でいいので、できる限り詳細に教えていただけますか?」
「はい……ええっと……(おわった。最悪。人生終わったかも。本当、最悪。会社に言ったら笑い話どころか自己管理能力が低いってことにされるんだろうな。どっちにしろ、もう会社行きたくないんだけど。家帰って寝たい。あ、家に入れないんだ。死んでしまえよ。もう、何もかもめんどくさ」
お巡りさん「カードは、何枚くらいありましたか?できればどんなカードが入っていたかも明確にお願いします」
「そう、ですね……(なんでこんなことに……リセットボタンはどこ?リセットボタンはどこ?リセットボタンは……?)」
これもすべて、朝からぼんやりしていた私の過失。ぼんやりしたのはなぜ?それは、私の昨日から慢心があったから。反省したとしてもすべてが遅い。全て自分の責任で、すべてを失った。ざまあない。
拾ってくれた方、いらっしゃるのであれば、財布の現金は喜んですべて差し上げます。だから、お願い、それ以外のものは……助けてください。
――
お巡りさん「――はい、ありがとうございます。それでは、ひとまず財布の届け出がありましたら、やきいもさんにご連絡させていただきます」
「……はい。お願いします」
お巡りさん「あ、お時間大丈夫ですか?」
「ええ。大丈夫です(あ、そういえば昼休みに抜けてたんだっけ)」
お巡りさん「近くにもう一つ交番があるんです。そこもやきいもさんの通勤路の近くにありますんで。そちらに一度電話で聞いてみますね」
「……はい。お願いいたします」
電話をかけるお巡りさん。
お巡りさん「あ、すみません、★★駅前交番のものですが。財布の落とし物を確認したく」
「……」
お巡りさん「はい。時間帯は朝の8時ごろ」
「……(財布無くなったのも、全部自分のせい。全てはつながっていたんだ。すべて受け入れなきゃ。いつか笑い話になるのかな。少なくともいまは無理だけど……)」
お巡りさん「中には現金約〇万円。小銭少々。カードは4枚前後で、種類は――」
「……(これは夢じゃない。夢になってくれない)」
お巡りさん「小銭入れの中に鍵が1つ」
「……(すべては自分のせい)」
お巡りさん「――え?ええ。はい。うん。そうです……はい。ええ、ええ」
「……?」
お巡りさん「――あ、そうですか。まだそちらに?本署には行ってない?」
「……(本当に)」
お巡りさん「わかりました。そちらにまだあるということですね」
「……(ダメ……もう、泣きそう)」
お巡りさん「はい。では、またそちらに持ち主さんがうかがいますので。ええ、やきいもさんです」
ガチャ。
お巡りさん「――やきいもさん」
冷静にふるまうお巡りさん。
「……はい」
言葉を待っている間、心の中で今にもあふれだしそうな感情。
お巡りさん「財布ですが、見つかりましたよ」
――
「あ、もしもし、ほうじ茶さん。すみません、お昼休み中に」
ほうじ茶「おおどうした?財布、家にあったか?」
「い、いえ……。あの、今警察の方にお世話になっているんですが」
ほうじ茶「あ、そうなん!?え、なんで警察?まあええわ。それで、見つかったんか?」
「あの、おかげさまで……もう……。あの、それで大変恐縮なのですが、手続きなどで13時半ごろまでかかりそうでして――」
ほうじ茶「ああ、ええよええよ。よかったなあ、ほんまに見つかって」
「ご迷惑を、本当におかけしました」
――
お巡りさん「通勤路の途中の交差点に落ちていたみたいです。朝9時前には拾い主が交番に届けてくれたようで。やきいもさんの会社のすぐそばにある交番⓶の方でしたね。とりあえず、財布は確実にあります。ひとまずこちらですべき対応は終了ですので、これから交番②に取りに行っていただいてもよろしいですか?ここからタクシーで行っていただいても――いや、やきいもさんの会社の近くなので、歩いて行っていただいたほうが良いかもしれませんね」
ということで、お世話になった交番のお巡りさんに心からお礼を伝え、私は歩いて別の交番②に向かった。
お巡りさん②「では、中身の確認をお願いします」
「はい――。はい、大丈夫です。すべて元のとおりです」
家の鍵、各種カード 、現金、領収書など、すべて元のママであった。奇跡かと思わずにいられなかった。
お巡りさん②「そうですか。では、こちらにお名前のご記入を ――はい。これで以上となります」
「本当に、ありがとうございました、あ、あの、よく聞く謝礼などの対応を是非したいのですが」
お巡りさん②「ああ、いや、それは大丈夫です。拾い主の方がそういうのは必要ないとおっしゃってましたので。こちらからも、やきいもさんに拾い主さんの情報を開示することはできませんので」
「あ、そうですか……わかりました。何から何までお手数をおかけしました」
深々と頭を下げ、交番を出る。
本当に、拾って交番に届けていただいた人には、いくら感謝してもしきれない。決して届かない気持ちであるのが残念である。
――
会社に戻る。
ほうじ茶「おお、早かったなあ」
「あ、本当にお手数をおかけしました……おかげさまで無事に見つかりました。1000円札。お返しいたします。本当にありがとうございました」
ほうじ茶「あいよ。それにしても、ツイてるなあ、お前。中身も無事なんてなあ。モッテル男は違うなあ」
「いえ、そんなことは全く……大変に申し訳ない次第です」
ほうじ茶「まあ、みんなも心配してたからよかったなあ」
「みんな?」
と、周りをみると、ニヤニヤした表情でこちらを見ている人が数名。おそらくほうじ茶さんがネタとして話していたのだろう。
「すみません、大変に恥ずかしいかぎりです。もう、今回の件は、私の思いあがった態度によるものだと思います。最近調子にのっていて…昨日からそのことが気になっていたのですが…多くの人の助けの元にあるのだと…そう思わないと…今までのオゴリの気持ちを捨てて頑張らせていただきます」
ほうじ茶「ナニ言うとるん?まあええけど、とりあえず、これだけいろんな人心配させて、無事財布見つかったんやから、ちょっとくらいオゴッてくれてもええんやで(笑)」
「オゴるなんて、私には、できません。本当に」
ほうじ茶「って、そこはオゴらんのかーい。ええオチついたやないかい」
お後がよろしいようで。
本当に、この日のことはある意味でとても幸福な体験であった。この日のことを忘れずに頑張りたい。平穏な今日に感謝です。
いただいた善行を決して忘れず、己の慢心を多いに警戒すべく、この日記を残す。少しでも反省が必要なときには、長文だが我慢して読み返すべし、と自分に言い聞かすのであった。
まくら日記(芝浜について)
「おいッ、おい四十八両あるぜ!」
「まあ、大変なお金だねえ……どうするい、おまえさん?」
「なによゥ言ってやんでえ、どうするってことァねえじゃねえかなあ、おれが拾ってきたんだ、おれの銭だあ、商売なんぞに行かなくたって、釜の蓋でもなんでもあくだろう、ええ?へっ、ざまあみやがれってんだ。ありがてえありがてえ――」
麻生芳伸編「落語百選 冬」『芝浜』より
ええ、毎度お忙しい中、そちら様の指をこちらのどうしようもなくバカバカしいブログにお運びいただき、ありがたく御礼申し上げます。いくら頭を下げても足りないくらい――心よりそんなことを思っている次第でございます。今日は仕事をさぼって、昼間から日記を書かせていただきます(正確に言うと、日曜日に神戸マラソンに参加し、次の日を休養にするために有休を取っていたのだが、結局日曜日は神戸マラソンに参加せず、体力有り余って月曜日を休んでいるわけでやんすが)。
いやあ、あっという間に今年も年末に近づいてまいりました。今年ももう、1か月と10日程度すぎれば終わってしまいます。実に早いものですね。年々、そんなことを思うペースが速くなったのは、私が年を取った証拠でしょうか。そう思うのは少し早い気もしますが――。
ところで私、年末になると、いつもふと思い出してしまうお話がございます。それは、
芝浜
という古典落語でございます。
魚屋としての腕はいいが酒がどうしてもやめられない男と、その女房のお話。男は酒のせいで仕事にも支障をきたし、挙句仕事に行くこともやめてしまう。もはや食い扶持すらなくなり、女房からは仕事をするよう促される。いやいやながら魚を仕入れるために芝の魚市場に向かうのだが、来るのが早すぎて市場はまだ開いていない。仕方なく、近くの芝の浜(芝浜)で時間をつぶしていると……男はふと、海中で揺れる『革の財布』を見つける。拾って中をみると、そこには目をむくような大金が入っていた――。すっかり有頂天になり、その金を使って遊んで暮らそうとする男、しかし、そのお金を使うことをどこかためらう女房。
――さて、その女房がとった行動と、夫婦の行く末とは?
ざっとこんなあらすじでしょうか。ちょうど最後のオチが大晦日の夜ということで、この時期になると聴きたくなるんですよね。あと、酒を辞めたいときにも聴きたくなります(笑)
大変面白い話ですし、お話の構成も大変に見事。古典ながら現代でも十分に楽しめる内容となっている。聴いたことがない人は、ぜひ一度聴いてみてほしいです。まあ、今のご時世、30分や1時間もあれば、様々な娯楽で楽しい時間を過ごすことができますから、わざわざ落語で大事な時間を過ごす必要性などないわけですが。でもまあ、心と時間にゆとりのある方はどうぞ。
さて、あらすじに記した通り、大金が入った財布を拾うことで、拾い主の人生が大きく変わっていくわけですが――この芝浜を聴いていると、いつも疑問に思うことがある。
それは、実に些細なことではあるが、
財布を落としたのは、いったい何者だったのだろう?
ということ。落語家によって変わるが、財布に入っていたのは30両とも48両とも50両ともいわれる。現代でいえば、500~1,000万円弱の貨幣価値らしい。
結局、このお金の持ち主は、最後の最後までストーリーには現れない。現れないからこそ、この大金は御役所から正式に「持ち主不在」ということとなり、最終的に夫婦のものになるわけだが。
それにしても、お金の落とし主、いったい何者だったのだろう?まあ、作り話なので答えなんてないのだけど、ちょっと考察してみたい。
あ、私、歴史学者でも落語研究家でもない、ただのド素人ですので、深い考察なんてしませんからね(イイワケ)。
①持ち主は殺されてしまった説
一番最初に思いついた。これであれば、最終的に持ち主が御役所に現れなかったのも、まあうなずける。
……しかし、殺されたとなると、殺した人が財布をそのまま置いていった意味が分からない。普通だったら金を強奪するんじゃないかしら?(まあ、普通は殺さないけど)
――それに、よく考えたら芝浜に死体がなきゃおかしいか。
……いや、財布だけが殺された拍子に懐から抜け、波にさらわれてしまったとしたら?そんな都合よく懐から抜けるか知らんけど。
もしくは、大分前に殺されてしまっていて、財布はしばらく海をさまよっていたけど、主人公がたまたま朝早く芝浜に来た時に、浜辺に流れ着いたとか?ありえなくはないけどね。
②盗っ人の失態説
例えばどこかから盗んだお金。盗人はすぐに使うと目立つからと、しばらくどこかに隠しておいて、ある程度時間が経ったらそのお金を回収しようとした。盗人はどこに隠したらいいのかわからなかったので、とりあえず芝の浜辺の砂の中に埋めておいた。だが、波にさらわれ、金が入った財布がいつのまにか浜辺に流れてしまった。
盗人が隠し場所に行ってみると、財布が無くなっていて慌てる。しかし御役所に届けようにも届けられない。泣く泣く、盗んだお金をあきらめた。
……うーん、ちょっとつらいな。いくら昔の人でも、砂の中に埋めるなよ、って言いたくなるし。でも、盗人が与太郎(落語に出てくる愚か者)みたいなやつだったら、ありえなくはない。
③鼠小僧説
誰もいない冬の夜明け前の芝浜、そこで物思いにタバコを吹かす男。(酒の飲みすぎで顔色が悪いだけなのだが)全身から感じる憂いに、鼠小僧は何かを感じる。
(……この男、死ぬ気だな)
義賊である鼠小僧は、懐から革財布を取り出す。これは、先ほど悪代官の家に忍び込み、盗み取ったもの。ちょうど、夜明けに男が気づくようなところへ、静かに投げ入れた。
(……こんな金でも、お前さんの役に立ったら、俺の存在意義があるってものよ)
鼠小僧は男に気づかれぬよう、その場を静かに去っていった。
……これもちょっと無理があるかしら。マンガみたいな勘違いである。まあ、落語も作り話だしね。
まあ、ほかにもいろいろ考えられるだろうけど、こういうことをたまに考えてみるのも面白いものである。
そういえば、国語の授業でこういうの、あったよなあ。『三年峠』や『ごんぎつね』の続きを考えたなあ。
……ところで、なんで急にこんな日記を書いたのか。
それは、また次回にて。
【追記】
気になって、芝浜の財布について言及している落語噺があるのか調べてみると、『芝浜異聞』というお話がヒットした。柳家小満ん氏が演じている模様。音声は見つからなかったけど、「財布の落とし主を見つける噺」のようだ。ざっと調べてみる限りだが、多分、私が妄想した3タイプとは違うみたい……聴いてみたいなあ。
夢となれ、2017年神戸マラソン
予想していることはまず起こらない。起こるのは、たいてい予想しなかったことだ。
ベンジャミン・ディズレーリ
数日前。
取引先の商談室。
「それで、どうです?最近の調子は?いよいよ日曜日ですね」
塩こうじ「ああ、神戸マラソンね。……それがね、やきいもさん」
「?」
苦笑いを浮かべる塩こうじさん。
塩こうじ「実は私、DNS(スタート前の棄権。 「Did Not Start」の略)しようと思ってるんですよ……」
「え!そうなんですか?それまたどうして――」
塩こうじ「うん。なんだか1か月くらい前からふくらはぎが本当に痛くて……走ると、4~5㎞あたりでもう、痛くて痛くてしょうがないの」
「……ええ」
塩こうじ「行きつけの整体師に相談したんですけど、いろいろ遠回しに『出ないほうが身のためだよ』って言われてしまってね」
「そうですか――。残念ですね。神戸でお会いできると思ったのに」
塩こうじ「まあ、来年2月も別の大会に出る予定ですから、そこで再起を図りますよ。ともかく、私の分も頑張ってください」
「頑張ります。いずれまたどこかで一緒に走りましょう」
塩こうじさんは、取引先の社長さんである。30代前半ながら、会社を双肩に担っている若大将。それと同時に、マラソンについて話すことのできる数少ない身近な人でもあった。
9月ごろ、塩こうじさんから
「11月19日に開催される神戸マラソンに出るんですよ」
という言葉を受け、
「実は私も神戸マラソンに出るんですよ!」
と、意気投合。私は私で11月19日に開催される神戸マラソンに出る予定だったのだ。
この大会で塩こうじさんと会えると思っていたので、大変に残念な心地。まあ、塩こうじさんの分もしっかり走らねば、と改めて気持ちを燃やす。なんたって、神戸マラソンは、私にとって本年最後のフルマラソンなのだから。しっかり有終の美を飾って来年につなげたいところである。
――
金曜日。
21時まで残業し、くたくたになりながら帰宅。帰り道、通勤路を走る人たちがちょろちょろと目に入る。
(気合入ってんなあ。この人たちは大阪マラソンに向けて練習してんのかしら?それとも、神戸マラソンの最終調整かしら?……おれも頑張らないとなあ)
などと考えながら、ふと、あることを思う。
(あれ、そういえば、神戸マラソンって、前日受付が必要なんだっけ?)
(イメージ)
マラソン大会は、当日の前日や前々日に、事前受付を行う。前日受付では、ゼッケンや参加賞等を受け取るのだ。ちなみに大きな大会では、前日に大会イベントも合わせて行われるため、結構にぎわっている。出店も結構出ているので、それを見るだけでも楽しい。
ところで、前日受付は、大会が行われる開催地で行われる。そのため、地方で行われる大会の場合、遠方からの参加者は事前受付がなかなか難しいことも多い。その点を考慮し、地方大会では事前に郵送でゼッケンや参加賞が送られてくることもある。
だが、神戸マラソンは都市部開催だし、大規模な大会なので、前日の土曜日に事前受付を行っているだろうと思われた。金曜日にそんなことを思い返す時点で、気持ち的にかなり出遅れているのだが。
(明日、一回神戸に行かないといけないのか。何時から受付してるんだろう……って、あれ……?)
私は事前受付のことを考え始め、妙な違和感に襲われる。
(あれ?……なんかおかしくね?)
家に辿り着く直前だろうか。私は事前受付があるにしても、あるモノが己の手元にないことに気が付く。
(あれ、なんでアレがないんだろう……?)
家にたどりつき、念のため郵便受けを覗く。しかし、やはりあるモノは届いていない。
あるモノとは、
事前受付の際に受付に渡す「参加者ハガキ」
である。
大会数週間前に、運営側から参加者だけにこのハガキが送られてくる。このハガキには、事前受付の情報なども記されているわけである。そして、そのハガキはゼッケンや参加賞を受け取るための引換券にもなっている。
そんな大事なハガキが、私に届いていない。コレイカニ……?
(運営側のミス?……それとも――)
私はスマートフォンを取り出す。調べたのはランネット(※)の申し込み履歴である。
ランネットとは
マラソン情報が集う総合サイト。マラソン大会の参加についても、このランネットを通じて申し込むことが多い。ホテルも宿泊総合サイト(「じゃらん」とか)を通じて予約するでしょ?就職活動も就職サイト(「マイナビ」とか)を通じてエントリーするでしょ?マラソン大会もおんなじ感じなのよ。
……
……
「うそ……」
私はランネットの大会エントリー履歴を見て愕然。
(ランネット エントリー履歴より)
我ながら実に信じられないことであるが……私は、私は、
神戸マラソンの抽選に落選していた
ようである。
……いや、ちょっとまて。そんなの納得できるか。とんだミステリーである。
なぜ私は落選しているのに、大会を迎える2日前まで「当選していた気持ち」でいたのであろう?
約半年間も自分で自分をだまし続けたというのか。そんなことはあり得ない。
(だって、大会運営側から「『当選』しました」ってメール来たじゃん!)
6月ごろ、大会運営側から当選したというメールが来ていた。それすらも私の幻想だったと言うだろうか?
そこで、改めてメールボックスを調べてみると……
6月、神戸マラソン運営側から届いたメール
……私は確かに当選している。しかし、なぜか、ランネットでは落選となっている。これはどういうことだろう?本格的なミステリーである。
ただ、神戸大会運営サイドやランネットに文句をつける前に、私は考えられる「あること」を想像する。そして、今一度、運営側からきたメールをよく見てみる。
(……もしかして)
「おれ、ちゃんと入金したっけ……?」
記憶をたどってみるが、入金した記憶がない。
勝手にカード引き落としと思っていたのだろうか……?信じられないことだが、私だったらやりかねない。私以外の人間だったら「嘘だろ」と言いたくなるところであるが。私はそういう人間である。
――話を整理する。おそらく、こういうことだろう。
私にとって本年最後のフルマラソンは、参加する前からすでに終わっていたようである(というか、そもそも参加する権利すらなかった)。もはや自分の間抜けっぷりに、自己嫌悪を抱く余地すらない。あまりに予想外なことに笑ってしまったのであった。
ともかく、なんだか拍子抜けし、体から一気に力が抜けた金曜日の夜でした。そして、金曜日の夜は実にだらしなく過ごしたのであった。当然、土曜日も前日受付に行くことなく、衣替えやら掃除などして過ごしたのであった。
11月19日に神戸マラソンに参加される皆様、頑張ってくださいね。中には眠れぬ夜を過ごされる方もいることでしょう。でも、マラソンは参加するだけでも意義があるのです。こんなアホからすれば、心からそう思うわけです。参加される皆様は、それだけで実に美しいのです!頑張ってください!
……それにしても、取引先の塩こうじさんになんて言おうかなあ。というか、同僚にも「神戸マラソンに出ます」って言っちゃったんだよなあ。月曜日は自分へのご褒美ってことで、有休取ってんだよなあ(笑)
嗚呼、恥ずかし(心から苦笑)