ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

春は苦手なの(第8回淀川なにわマラソン)

 

 

最近はもやもやな毎日であった。

 

会社に行きたくない、と思う朝が多かった。

商談に行くのが少しだるく、内勤時間がいつもより多かった。

走りたくない、と思う日が続いた。

日記を書くのがめんどくさい、と思い、この日記を開いては閉じることを繰り返した。

 

 

明確な理由はわからないけど……

春という時節柄、気温変化や環境変化が激しくて、メンタルのバランスを少し崩したのかもしれない。(総務部からは『少しでも不調を感じたら、健康支援室をご利用ください!』という全社員送信メールがよく届いていた。……そこまでじゃないけどね)

 

とりあえず、普段当たり前のようにやっていたことをやらず、ぼんやりと過ごしていた。土日はろくに外出もせず、DVDばっかり観てたっけ。(安藤サクラに恋してました)。

 

どうでもいいですが、つらいときは、街中を歩き回る就活生を見て元気をもらってます。

 

彼ら彼女らは、自分の次の居場所を見つけるために着慣れぬリクルートスーツを着て右へ左へ必死に活動しているのですからね。気温変化も環境変化もイイワケにしている場合ではないんですから。売り手市場と言われる今だって、おそらく、多くの学生は苦労をしているでしょうしね。

 

そんな姿に元気をもらう社会人、あんまり理想的ではない。それに、そんな社会人がいるなんて、私が就活生だったころは想像もできなかったことだろう。

 

――

 

 

さて、陰気くさい冒頭でしたが、本日、マラソン大会に参加してきました!その名も

 

 

なにわ淀川ハーフマラソン(のフルマラソン

 

です。(ややこしや)

 

f:id:yakiimoboy:20180401184538p:plain

f:id:yakiimoboy:20180401175613j:plain

 

開催地:大阪府 淀川沿い

開催日:2018年4月1日

 

f:id:yakiimoboy:20180401184553j:plain

 

元々ハーフマラソンの大会だったようだが、今年からフルマラソンも大会種目になったようであった。フルマラソンの場合、ハーフマラソンを2周するようなコースだった。河川敷ということもあり、平坦な道をひたすら42.195㎞走っていくことになる。

 

自宅から比較的近い場所で開催されることもあり、参加することにしたのであった。

 

――

 

8時50分スタート!――の予定だったが、少々のトラブルでスタート五分前に9時に変更となった。まあ、これもいい思い出である。

 

さて、9時にスタート。

 

 

いつもは長ったらしいマラソン記録を書いているが、今日は体調がすぐれないため、詳細は省略(ここで冒頭のイイワケが活きてくる)。

 

 

 

 

スタート当初から、なんだかおなかの調子があまりよくなかった。たぶん、朝食を食べ過ぎたからだろう(そば2玉、ご飯2膳、栄養ゼリー1個)。内臓が弱っていたせいか、思ったよりも消化速度が遅く、カラダがいつまでもタプタプ状態だった。正直、その印象が強くて、ずっと内臓からのクレームをなだめているような走りだった。

 

 

 

でも、なんとか無事ゴールできました!

 

f:id:yakiimoboy:20180401175620j:plain

 

乱れっぱなしの走りながら、一応、自己ベストを20秒更新。これは素直にうれしかった。ただ、走った感想としては、前回の寛平マラソンの方が満足のいく走りだったよなあ。タイムだけでは測れぬのも、フルマラソンの面白みだろうか。

 

走り終えた後は、疲れがひどくて近くで寝そべってしまった。20分ほど寝て、歩けるくらいに回復したのを確認し、熱気冷めやらぬ会場を後に、家に帰った。

 

f:id:yakiimoboy:20180401175658j:plain

 

――

 

家に帰ってからも、体の疲れがひどく、風呂に入ってからは何も食べずに布団の中に潜り込んだ。そして悪寒に震える。感覚としては、風邪のひきはじめに近い体調。

 

(何やってんだろ、おれ……)

 

と、気持ちはなるのも致し方がない。

 

――

 

夕方になり、体調もだんだんと回復。そこで、この日記を記す。

 

 

間違いなく、淀川なにわマラソンは素晴らしいマラソン大会だった。給水所も多いし、沿道の声援にも助けられたし、ボランティアの方々のやさしさにも触れることもできた。

 

来年もぜひ参加したい!そう思える大会でした。来年出た際は、もっと陽気に、細かく自分の走りを振り返るぜ!

 

 

 

……でも、春だからなあ(苦笑)

 

 

 

些細?なトラウマ

 

 

下人は七段ある石段の一番上の段に、洗いざらした紺の襖あおの尻を据えて、右の頬に出来た、大きな面皰(にきび)を気にしながら、ぼんやり、雨のふるのを眺めていた。

芥川龍之介羅生門』より

 

 

自分に愛想の尽きかけた時、自我の委縮した折は鏡を見るほど薬になる事はない。妍醜瞭然(けんしゅうりょうぜん)だ。こんな顔でよくまあ人で候(そうろう)と反りかえって今日まで暮らされたものだと気がつくにきまっている。そこへ気がついた時が人間の生涯中もっともありがたい期節である。自分で自分の馬鹿を承知しているほど尊く見える事はない。

夏目漱石吾輩は猫である』より

 

 

 

先週の月曜日。

 

 

「……うわあ」

 

鏡の前に立ち、血の気が引く。

 

f:id:yakiimoboy:20180321165841p:plain

 

顔の一部が赤々と腫れている。ニキビである。特に、鼻ちょうちんが赤く腫れているのがかなり目立つ。昨日までなかったのに、起きたら見事に腫れあがる。

 

 

(なんと間抜けな面構えだろうか)

 

何とか目立たない方法はないかと考えるが、顔の真ん中で堂々としているニキビを消すことは非常に難しい。

 

(やっぱりあれのせいかなあ……)

 

ニキビの原因はなんとなく想像がつく。約2週間ほど前に淀川でフルマラソンを走った。その日は大変に天気が良く、日差しも強かった。走り終えた後は顔がすっかり焼け、2,3日後には顔の皮が一部剥けてしまうほどであった。

その後のメンテナンスが足りないために、ニキビができたのだと思われた。考えてみれば、鼻のあたりの日焼けが一番ひどかった。

 

 

「もう……会社行きたくないぜ(涙)」

 

営業という仕事上、肌荒れはツライ。しかも、鼻ちょうちんの大きなニキビである。滑稽に映るか、不快に映るように思われた。

 

ただ、

 

ニキビができたので、今日、会社休みます

 

などとは口が裂けても言えない。というか、言って理解してくれる上司はこの世にいないだろう(私が上司でも認められません)。それに1日や2日でこの大きさのニキビは治らないことを、経験上よく知っている。

 

ひとまず、花粉症シーズンであることを利用し、社内にいるときはマスクを着用することにした。ただ取引先の前では、マナー上失礼にあたるので、止む無く外す。無論、営業パワーは半減するのであった(情けないことよ)。

 

得意先に行く前などに、

 

いちいち肌荒れなんて気にするな、男のくせに。女々しいやつだ

 

お前の顔なんか誰も観ちゃいないから気にするな

 

鼻ちょうちんが赤いなんて、むしろかわいいよ

 

という言葉を自分にかける。しかし、他人のことならば納得するものの、自分のことになるとまるで説得力を感じられない。会社に戻っても、できる限り目立たぬよう目立たぬよう過ごした。もう、生きててすみません、ってな気分である。肌荒れのない周りの同僚が楽しそうに笑っているのを見て、とてもうらやましく思えた。

 

 

これではまずい、と、先週の月曜日、会社終わりに皮膚科に行き、飲み薬と塗り薬をもらう。これが良かったようで、数日たつと、顔の肌荒れは大分収まってくれた。皮膚科の先生には感謝である。

 

ただ、薬の副作用か、精神ダメージの影響か、先週は何もやる気が起きず、会社でも大人しくし、帰ったらボーとした日々を過ごしたのであった。まったく、我ながらなんと気持ちの小さい奴だろうと辟易した、まあ、そんな一週間なのであった。

 

 

――それにしても、肌が荒れると高校時代を思い出す。

 

f:id:yakiimoboy:20180321170734p:plain

 

高校時代は、不規則な生活とジャンクな食事とホルモンバランスの乱れの影響か、肌がとても荒れやすかった。高校生になると、肌荒れが気になって、人前で話したりするのが一気に苦手になった。(中学生時代も人前に出るのは不得手だったけど、、まあ、そこまでじゃなかったかな)。

 

青春真っ盛りの時期に人と接するのが苦手になったと言うのは、なんとつらかったことだろう。肌荒れに悩む当時の自分を抱きしめたくなる(そして、早急に『イイ皮膚科』に行くことを勧める。家から近い皮膚科でもなければ、通販で売られていた恐ろしいほど高いニキビ薬、じゃなくてね)。

 

今でも

 

ニキビ つらい(もしくは『死にたい』)

 

と検索すると、悲痛の叫びがどんどん出てくる。ニキビって、身近である分、悩みの高低差がかなりあるモノなのかもしれない。(芥川龍之介のせいで、一部の人にとって『若さ』の代名詞のようになっちまいやがるし)

 

 

 

楽しかった高校時代に戻りたい

 

これは、私にはあまり縁のない感覚である。もちろん楽しいこともたくさんあったのだが、今回のように肌が突然荒れると、昔のつらい気持ちが鮮明に思い出されるからだ。正直、あの時の高校生活を繰り返すのはまっぴらごめんである。

 

トラウマというには大げさかもしれないが、私の些細な人生の中でいえば、やっぱり高校時代の肌荒れの記憶は「トラウマ」と呼べるものな気がする。少なくとも、社会人になった今でも、高校生の時以上のストレスを感じたことはない、と自信を持って言える。(今の会社がとてもいい会社、ということもあるかもしれませんが)。 

 

 

ともかく、肌荒れは、己の日々の行いを戒め、何も支障のない日常がいかに満たされているかを再認識させる力があるみたい。たまにできるニキビも、そう思ったら悪いものでもない……いや、やっぱり、できてほしくはないな(笑)

 

 

以上、思春期丸出しの高校生が書いたような日記でした。本当はもっと丸出しにして書きたいくらいだけど……まあ、これくらいで。

 

 

ぶらっと梅田

 

 

土曜日。

 

朝。軽く走る。先週日曜日のフルマラソン後、久しぶりに走る。まだ膝が少し痛かった。

 

ランニング後、たまった洗濯物を処理。その後、ぼんやりと昼過ぎまで吉本新喜劇を観る。

 

新喜劇が終わったころ、ビジネスシューズを買いに梅田へでかける。

 

 

f:id:yakiimoboy:20180310165916p:plain

 

 

今週の火曜日、ビジネスシューズがなくなる事件が生じた。肩凝りがひどかったので、仕事終わりにマッサージ店(60分3000円程度)に立ち寄った時のことである。

 

施術が終わり、店を出ようと靴を探すが、靴がない。細かい状況を書くとお店に悪いので控えるが、まあ、先に入っていたお客さんが履き間違えてしまったようである。しかし、状況証拠を踏まえ、故意である可能性も考えられた(別のお客さんの持ち物も同時に紛失していたこと、そのお客と連絡が取れない状況になったこと等)。

 

買ってから1カ月もたってなかったので、なんだかやるせない気持ちになった。いずれにしても、今回の件はお店が保険を利用して靴代を弁償するということで了承した。まあ、私もいつぞや靴を履き間違えたことがある人間なので、それ以上の不満を言えるような人間ではない。(あの時はわざとじゃないよ)

 

yakiimoboy.hatenablog.com

 

金曜日、なくなった靴の代金を受け取る。そして、土曜日に代わりの靴を買いに行くことになったのであった。

 

――

 

店員「ありがとうございましたー」

 

新しい靴を買い、特に目的もなく梅田をプラプラ。

 

f:id:yakiimoboy:20180310173538j:plain

 

そして、本屋を発見。

 

しばらく本屋に行ってなかったなあ、と思い、ふらり立ち寄る。そこはかなり大きな本屋で、各分野の本が新刊旧刊ともにたくさん並んである。なんというか、こういう大きい本屋の雰囲気は本当に大好きである。学生時代は貯金をはたいて、かご一杯に欲しい本を買ったものである(半分くらいはツンドクで終わってしまう残念な学生であるが)。

 

気づけば2時間が過ぎていた。たくさんの本に囲まれ、自分の世界観が大分狭くなっていたことを感じた。ともかく、もっといろんな本を読んで、幅広い考えのできる人間になりたいものである。

 

夕方にすきっ腹を埋めるために立ち食いソバを食べる。そのあとにスターバックスに入ってこの日記を記す。

 

f:id:yakiimoboy:20180310173650j:plain

(ネットの受け売りで買ったビジネスシューズと、なんとなく文章が熱かったマラソン本を買ってしまった)

 

ただの休日備忘録。だが、私の気持ちは満たされてます。最近は引きこもりの休日か、マラソンの休日が多かったけど、こういうブラブラな休日もいいなあと思ったのでした。来週からは新しい靴とともに頑張ろう。

 

走る理由がまた1つ(淀川寛平マラソン2018後半)

 

 厳密な調査をしてみると、ランナーズハイというのはかなり稀な体験であることがわかる。プロ、アマチュアを問わず、実は大半のスポーツ選手は一度もランナーズハイを経験していない。経験したことのある人でも、ときおりにすぎない。実際、長距離ランナーも長距離スイマーも、長い競技が終わるころにはたいてい疲れ切っていて、至福感どころか吐き気を覚えている。

ディヴィッド・J・リンデン

『快感回路 なぜ気持ちいいのか なぜやめられないのか』より

 

 

見えていたものが 七色に変わる時 キミはきっと手をのばしても 触れない光のようだから

きゃりーぱみゅぱみゅにんじゃりばんばん』より

 

 

 

5時。起床。

 

思いのほかよく眠れた。本当に5時の目覚まし時計のアラームでピタりと起きた。

 

起きてすぐに朝食をとる。そば2玉を茹で、そこにオモチを1つ入れる。それをおかずに茶碗一杯のご飯とふりかけ。まさに炭水化物祭りである。こんな朝食でいいのかわからないけど、とりあえず炭水化物を多めにとることを意識。

 

そして、6時半ごろに家を出て、最寄り駅である「枚方公園」駅に向かう。

 

f:id:yakiimoboy:20180305201001j:plain

 

8時前ごろに駅に到着。これでもかと言わんばかりの青空が広がる。そして、駅前にはランナーであふれかえっていた。駅前のローソンも大賑わいである。

 

 

駅から会場までは歩いて10分足らず。行列を作りながら細道を通り抜けていく。

 

f:id:yakiimoboy:20180305201606j:plain

 

風が多少あり、まだ肌寒い。会場についても上着を脱ぎたくなかった。周りを見ると、冬仕立ての格好のまま、走る準備をしている人も多い。

 

(走る服装……どうしようか)

 

空を見上げると、太陽の日差しを感じる。

 

(天気予報だと、今日の大阪の最高気温は20℃。この時期にしてはかなり暑くなるだろうな)

 

天気予報と己の直感を信じるならば、上半身のアンダーウェアを脱いで走るべきである。しかし、周囲に集まるランナーの統計を信じるならば、アンダーウェアを着て走るほうが正しい気もする。

 

スタート地点に立つ直前の直前まで悩む。だが最終的には上半身のアンダーウェアを脱いで走ることにした。そして、8時40分ごろ、荷物を預けてスタート地点に向かった。

 

 

さて、この日のコースはこんな感じ。

 

f:id:yakiimoboy:20180305200917p:plain

(この女性は福本愛菜氏という方らしい。元NMB48で、今は吉本芸人。大会ゲストでもあった)

 

大阪の淀川沿いを走るコース。高低差はほとんどなく、ひたすら河川敷を直線的に走る感じ。私が普段走るところも河川敷なので、なんだかなじみ深い雰囲気のコースであった。

 

さて、このマラソンの最大の特徴は

 

吉本の若手芸人が一緒にコースを走る

 

という点にあるだろう。男芸人は青いシャツ、女芸人はピンク色のシャツを着ている。そして、ゼッケンを背中につけているわけだが、ゼッケンには彼らの名前とコンビ名が記載されているのである。そんな彼らと本当に近い距離で走ることができるのである。

 

……ただ、まだ駆け出しの芸人が多いのか、正直、近くで見てもよくわからなかった(すみません、最近のお笑いに詳しくない私が悪いんです)。将来、売れっ子になる方々であることは間違いない!

 

 

f:id:yakiimoboy:20180305200914j:plain

 

さて、9時、定刻通りスタート!

 

〇スタート~10㎞ 5:50/km

 

かなり渋滞。スタート地点に到着するまでに数分かかるのはフルマラソンのお決まりである。なお、スタート地点には寛平ちゃん、サバンナ八木さん、なかやまきんに君さん、たむらけんじさんなどが応援。みんな興奮。

 

スタートした後もしばらく大渋滞となる。周りからはその状況に(笑いながら)文句を言う声が聞こえる。これもまあ、お決まり。

 

ちなみに、この『淀川寛平マラソン』、参加人数が多いのもそうだが、河川敷という事で道幅がかなり狭い。そのため、スタートから数㎞までのじれったさが余計に大きかったように思う。

 

―― 

 

数km走ったあたりで、前方から

 

ピーピーピーピー 

 

と笛の音が響く。

 

(イッタイ何事?)

 

そして、笛の音の後に

 

左側によってください!先頭集団が来ます!

 

と言う声。

 

f:id:yakiimoboy:20180306060650p:plain

 

そして、数名、自転車に乗りながら笛を吹く方々が視界に入った。

 

 

何が起こっているのか、それは、地図を見ればわかる仕組みになっている。

 

f:id:yakiimoboy:20180305200917p:plain

(え、この女性?福本愛菜だよ。知らないの?元NMB48で、今は吉本芸人やってんの)

 

右側に5㎞ほど走ると、そこに折り返しポイントがある。先頭集団であれば、17,8分程度で折り返しに達する。当然、のろのろと走っている後続集団と相対することになるわけだ。

 

前述したとおり、河川敷コースでかなり道幅は狭い。しかし、先頭集団が走るためのスペースは確保しなければならない。そのスペースを作るために、自転車に乗った運営サイドが、笛を吹きながら半強制的に後続集団を片側に寄せたのであった。

 

無論、ただでさえ狭い道幅がさらに狭くなり、後続集団はいつまでもペースを上げられない。そして

 

マジかよ!うそ!

 更に狭くなるの!?

 せんっま!せますぎやろ!

 

という声があたりから聞こえる。私自身、何度かほかのランナーにぶつかってしまう。

 

(……戸惑うな。落ち着け)

 

と、自分を落ち着かせる。

 

 ――しかし、さらに戸惑わせることが起こる。前方から

 

ぎゅー!ぎゅー!ぎゅー!

 

という声が聞こえる。声の方を見ると、なんと

 

親指

 

が走っているではないか! 

 

 

f:id:yakiimoboy:20180305231301p:plain

 

 

 (……なんだなんだ?)

 

 

どうやら仮装ランナーではなく、芸人のようであった。

 

 

 「親指ぎゅー太郎」の画像検索結果

 芸名:親指ぎゅー太郎

 

親指氏はサービス精神旺盛で、ずっと「ぎゅーぎゅー」言っていた。これには笑わせてもらったが、私は、

 

(……あれをやり続けたら、俺だったら完走できないな)

 

とも思った。ともかく、そんなこんなでぎゅーぎゅーな走りを続ける。

 

 

〇11km~20㎞ 5:20/km

 

さて、10㎞あたりにたどり着いた頃、だいぶ道幅が広くなり、走りやすい状態になる。ここで今までの遅れを取り戻したい気持ちがある一方、私の中では

 

(いつもの失敗を決して繰り返してはならない)

 

という思いがあった。

 

いつも10㎞あたりでスピードを上げすぎ、後半に苦しい走りをしてしまうのである。そこを意識して、この日はスピードをあげたい欲求を極力抑え、黙々と5分20〜30秒あたりのペースを意識しながら走る。

 

f:id:yakiimoboy:20180305211959j:plain

 

さて、前で若い男二人組が並走している。そのうちの1人の若者(若者1)が、女芸人と思われる女性に声をかけていた。

 

若者1「まじかわいいっすね!」

女芸人「あ、ありがとうございます」

若者1「一緒に走りません?勝負しましょうよ」

女芸人「ええ?」

若者1「冗談っすよ(笑)じゃあね~」

 

 と茶化しながら、女芸人を抜いて行った。私も無言で女芸人を抜き、その若者二人組の後ろを走る。

 

その後も若者1の方が女芸人に次々と話しかける。時には仮装している女性にも「似合ってますね!」だの「それかわいいっすね!」だの、声をかけまくっている。声をかけているのは女性相手ばかり。(ちなみに、若者2の方は、それを笑いながら見ている)

 

―― 私はクゲンを呈したい気持ちに駆られる。

 

(ったく、ランナーとしてそういうのどうなの?ちゃんと走るのに集中しなよ。若くてイケメンだから許されてるけどさあ?。でも、そういうの、俺はあんまり良くないと思うなぁ。俺は、あえてやらないけどさあ。けしからんなあ。全く、羨ましいなあ。……いいなあ)

 

と思いながら、たまたま同じペースなので、彼らの後ろをついていく。

 

さて、そんな若者2人の会話がたまたま耳に入る。

 

若者1「暑くなってきたな」

若者2「それで、お前はどうすんの?」

若者1「このままのペースで行くわ。だりぃけど」

若者2「行けんの?」

若者1「とりあえず、20kmあたりからつらくなるだろうけど、『ランナーズハイ』になれば余裕っしょ」

若者2「ああ」

 

 

 

 

(……ランナーズハイ、だと?)

  

 ランナーズ・ハイという言葉が耳に残って仕方がない。

 

ランナーズハイってそんな簡単になれるもんなの?ていうか、ランナーズハイって、なろうと思ってなれるもんなの?)

 

彼らに問いたい気持ちを抑えながら、モヤモヤと走る。

 

15㎞地点に到着。すると、

 

若者2「あ、じゃあ15kmだから、俺いくわ」

若者1「ああ」

 

と言い、若者2が今までのペースが嘘のように急激にスピードを上げた。若者1はそれまでのペースを維持して走る。

 

(若者2はかなりの実力者だろう。若者1もふざけてはいるが、おそらく陸上経験者かもな。脚の質が違うもんな。……それよりも、ランナーズ・ハイについて教えてくれよ!)

  

と、ランナーズハイという言葉が妙に頭に残る。

 

 

 

そんなこんなで、後半戦に突入。

 

〇 21km~25km 5:10/km

 

f:id:yakiimoboy:20180305212628j:plain

 

スタートしてもうすぐ2時間が経とうとしていた頃、日差しはますます強くなる。厚着をしていたランナーは、端から見てもかなり暑そうであった。

 

 

このタイミングで、自分のペース状況を見ている。

 

(もうすぐ2時間か……そういえば、今日はタイムを気にしてなかったな。ペース上げすぎてるかな?いや、そうでもないかな――、まあ別にいいか。無理もしていないし、極端に手を抜いているつもりもないし)

 

いつもは数分おきに時計をちらちらと気にするのだが、今日はあまり時間を気にしていない。正直、ここあたりまであまりタイムを意識せずに走っていた。

 

ちょうど20㎞に到達するあたりで、先ほどの若者1を抜く。そして、ハーフポイントにたどり着く。ここにきても、ペースはあまり変わらない。相変わらず淡々と走るだけである。

 

 

〇26km~フィニッシュ 5:08/km

 

とりあえず、この区間のペースを最初に見ていただきたい。

 

f:id:yakiimoboy:20180305214134p:plain

 

最後までペース維持しながら走ることができた。いつもならば30kmあたりで緩やかにペースが落ちる。そして、35㎞から急激に落ち込み、残りの2~3㎞は苦行以外の何物でもない状態になる。だが、この時は、 最後の最後までペースを落とすことがなかった。

 

――ただ、タイムという定量的なところだけではなく、いつもとは違う「何か」が私の中に生じたことを記したい。

 

 

26km地点から、なんだか周りの状況が今までとは違って見え始める。表現するのが難しいのだが、極端な言い方をすれば

 

 

前を走る人たちが皆、歩いているように見える

 

のだ。それは距離を進めれば進めるほど強く実感するようになっていった。

 

――誤解の無いよう早急に付け加えるが、もちろん、実際にみんな歩いているわけではない。苦悶の表情を浮かべながらも、ランナーは歩くことなくペースを維持して走っているのである。当然、前の方には私に抜かされることのない、私よりもずっと速いランナーがたくさんいるのもわかっている。

 

でも、私の視界に入るランナーが本当にみんな歩いているように(勘違いながら)見えたのだ。

 

ある意味、この時の心境は自己陶酔(調子乗り)に近い感覚なのかもしれない。ただ、この感覚は短期的なものではなく、フィニッシュまで続くこととなる。

 

 

先を走っていたランナーを抜くごとに、脳に興奮を伝える微弱な電気信号を感じる。そして、その陶酔感はさらに高まっていくわけである。

 

(止まらない。止まりたくない。足はツライ?全然、むしろ気持ちいい。痛み?ない。大丈夫、いくらでも行ける) 

 

 別に脚色するつもりもないのだが、本当に脚の痛みも感じなかった。呼吸も荒くなってきているのだが、それで気持ち悪さを感じることもなかった。何より、このあたりから、後続のランナーに抜かれることは一度もなくなった。そして、ただ抜くのみの時間となっていくわけである。

 

興奮覚めぬまま30km地点に到達。ここあたりで

 

(もっと興奮したい!きゃりーぱみゅぱみゅが聴きたい!)

 

という心境になる。そしてそれまで封印していたイヤホンを取り出し、きゃりーぱみゅぱみゅの『にんじゃりばんばん』を聴く。そして、更なる興奮を感じる。

 

 いつもならばタイムを気にして四苦八苦しながらペースを上げ下げする。だが、この時は

 

タイムなんかどうでもいい!とにかくこのまま走らせて!

 

という気持ちが頭を占めていた。

 

 

 

そして、そのまま、42.195㎞を走り切った。

 

 

f:id:yakiimoboy:20180305200932j:plain

(ゴール近くのベンチ)

 

完走し、ゴール近くで休む。いつもならば筋肉が硬直して歩くのもままならない状態になる。気持ち悪くてスポーツドリンクも飲みたくなくなる。だが、足は普通に動くし、なんならば「もう少し走らせて!」という気持ちになっていた。参加賞としてもらったスポーツドリンクもごくごくと一気飲み。

 

 

 

興奮は走り終えた後もしばらく続いたのであった。その興奮が冷めたのは、駅にたどり着いたとき、自分が定期券を紛失してしまったことに気づいた頃であった(アホである)。

 

――

 

というわけで、今までとは少し違うフルマラソン体験であった。最後がつらいのもフルマラソンの醍醐味だけど、最後までペースを落とさずに走るのも、最高に気持ちいいと思った。

 

 

ところで、この時の昂揚感がランナーズ・ハイだったのかは――

 

 

 

……多分違うと思います(笑)

 

ランナーズ・ハイの明確な定義は、調べてみてもよくわからない。あいまいな言葉だからこそ、多くの人があいまいに使っているのだと思う。

 

ただ、ちょっと本で読む限りだと、ランナーズハイになった人は、相当に気持ちよく、脳が麻薬に支配されるような強烈な昂揚感にあるようだ。麻薬を使ったことがないのでよくわからないけど、たぶん、意識がぶっ飛ぶくらいの感覚なのではないかしら?

 

今回は……正直そこまでじゃないな。

 

後半調子が良かったのは、前半の混雑でペースが上がらなかったこと、そして、その後も調子に乗らずに体力を温存できたことが影響していたのだと思う。まあ要するに、

 

後半で体力が余っていたので、ペース維持することができた

 

ってだけじゃないかしら?わかんないけどね。

 

――ともかく、本当のランナーズハイは、おそらく今回とは比べ物にならないくらい気持ちいいはず。多分、きゃりーぱみゅぱみゅの力を借りなくてもいいくらい(笑)

 

いつか本物のランナーズハイを味わってみたい!少なくともそれを味わうまでは走り続けてみよう。 走る理由がまた1つできました。

 

 

 

 

さて、最後にタイムですが

 

3時間45分ちょいネットタイム

 

でした!

 

タイムなんかどうでもいいって思って走ったけど、そのおかげか自己ベスト更新できました!ありがとう、寛平ちゃん!

 

f:id:yakiimoboy:20180305220407j:plain

 

 

目指せ、本物のランナーズ・ハイ!

 

 

おしまい! 

 

 

振り返ったとき、理由があるかもね(淀川寛平マラソン2018前半)

 

 

ランニングを始めてなかったら?死んでたんちゃう?酒ばっか飲んでたし、タバコ喫ってたし。いまこんなことやれてるのも、ずっと走ってきたから。そう思うで

間寛平

 

 

f:id:yakiimoboy:20180303152310j:plain

 

金曜日。

 

この日、私のボスが大阪にいらっしゃった。ボスは課長の上の上の上の上の上の――な立場の人である。普段話すことなどめったにない。

 

 

f:id:yakiimoboy:20180303152312j:plain

 

(本当にこんなイメージ)

 

 

まあ、いろいろあって、ボスと課長と私と3人で昼食をとることとなった。 

f:id:yakiimoboy:20180303171121p:plain

 

もちろん、いつもの大衆食堂ではなく、限られた会員しか入れない、平民クラスには縁のない場所。いつもは昼ご飯を食べるために列に並ぶ我々も、ボスの後ろに続きながらスイスイと中に通される。中ももちろん、せわしさとは無縁の落ち着いた空間であった。

 

 ――

 

昼食を食べ終え、コーヒーを飲みながら雑談が始まった。

 

ボス「――それで、焼いもはまだ走っているのか?」

 

「は。御記憶いただき光栄でございます。うぶ毛が生えた程度ですが、まだ走らせていただいております」

 

ボス「近々、大会はでるのか?」

 

「は。3月4日に大阪でフルマラソンの大会があるのですが、それに出る予定です」

 

ボス「ほう、そうか。大したもんだ」

 

「もったいないお言葉でございます」

 

ボス「――しかし、ただ走るだけの競技というのは、俺にはどうも理解できんがね。短距離ならまだしも、長距離となるとさっぱりわからん。何が面白いんだ」

 

課長「おっしゃる通りで。同感です」

 

「恐れながら、走ることも楽しいものでして」

 

ボス「何が楽しいんだ?」

 

「何が……ですか?そうですね――」

 

(何が楽しいって言われても、まあ、そう言われてみれば何が楽しいんだろ?)

 

ボスはせっかちな性格である。返事を遅らせるわけにはいかない。

 

「30kmあたりになると、本当につらくなってくるんですが、その時にこれまでの人生が一気に押し寄せてくるような感覚に襲われるのです。この時、自分がいったい何者でもない、たわいもない存在なのだと実感するのですが、あたりを見回すと、同じようにつらい表情ながら走っている人がいて。なんというか、一体感を感じられるといいますか、ライブ感と言いますか。どのスポーツもそうですが、この瞬間に最高に興奮し、アドレナリンがどくどくと分泌されるのを感じることができるのです」

 

ボス「……よくわからんな」

 

課長「私もよくわかりません」

 

「……そうですね(僕もよくわかりません)」

 

ボス「あとは?走る理由」

 

「は……っとそうですね。つらいときに応援してくれる沿道の方々に励まされるのがたまらないからでしょうか」

 

課長「応援?」

 

「はい。普段仕事してて応援してくれる人は誰もいませんから、ありがたく感じますね」

 

ボス「おい、〇〇(課長)よ。コイツ、追い込まれてるんじゃないか?大丈夫か?」

 

課長「そ、そうですね。病気にならないように気を配りたいと思います」

 

「……大丈夫です。ご安心ください(追い込まれてるのは今でしょ)」

 

というような会話をしたのであった。就活生諸君、就職活動が3月から開始したことだろう。大変だろうが、形は変えど、面接タイムは就職した後も続くもんだからね。

 

そして、今回が面接ならば、私は落とされていただろう(こわーい)。

 

――

 

さて、無駄な冒頭であったが、書きたいことは

 

いったいなぜ私は走るんだろう?

 

ということを改めて考えさせられたことである。

 

 

昔の日記でも何度か書いてきたテーマだけど、いまだに明確な走る理由というか、目的意識というのは、正直ない。

 

・健康維持のため?

・ご飯を美味しく楽しむため?

・沿道から応援されるのが心地いいから?

・ライブ感がいいから?

・いいタイムを出したいから?

・同僚や取引先とのコミュニケーションツールの1つとなるから?

・マラソンブームに乗っているだけ?

・「こんな私でもマラソンできるってことを証明したかった」みたいなセリフを吐きたかったから?

・マッサージ店で「いい脚の筋肉してますね」って言われたいから?

 

 

 

どれもある意味そうなのかもしれないんだけど、どれもピンとくるものでもない。なんで私は走っているんだろう?理由がわからなくて、なぜ走るんだろう?

 

 

……

 

 

……

 

 

……かんがえても、やっぱりわかんないですね。

 

 

とりあえず、私の中で「走ること」は続けられているわけだから、別にいいのだが。こういう走る理由については、必ずしも誰かにわかるように伝える必要もないんじゃないか、とも思う。まあ、人に伝えるときには、上に羅列したようなことをそれっぽく言っていればいいだろう。それが本質的な理由でないにしても。

 

なんだかよくわかんない問答でした(笑)でも、急に「なぜ生きているの?」って言われても、自分自身が納得いく答えなんてアナタも答えられないでしょ?それとおんなじ感覚ってことよ(知らんけど)。

 

 ――

 

……さて、上にもちらっと書きましたが、明日3月4日に走ります。

 

 

ラソン大会の名は

 

淀川寛平マラソン2018

 

です。

 

 

f:id:yakiimoboy:20180303154738j:plain

 

『淀川寛平マラソン』は、吉本興業所属タレントである間寛平さんが発起人となり、「東日本大震災被災地支援」をメーンテーマとするチャリティーマラソン大会として誕生しました。 今回も、大阪の母なる川・淀川で、ランニングはもちろん、笑いあり、歌あり、踊りありの、楽しさ満点の参加する全ての人が笑顔になれる大会を目指します。

舞台となる淀川河川敷公園は、大阪という都会にありながら、豊かな自然と水の恵にあふれるエリアです。 その魅力を最大限に感じていただけるよう、淀川左岸に特設コースを設定。フルマラソン、10キロ、ファミリー3キロ、駅伝種目を行います。 また、上位入賞者への表彰はもちろん、豪華賞品の当たる「お楽しみ抽選会」の他駅伝ではカテゴリー賞も用意してランナーの皆さんを歓迎します。

寛平マラソンHPより

 

開催日  2018年3月4日 (日)
開催地  大阪府(枚方市)
制限時間:7時間、関門あり
スタート時間 9:00
フルマラソン参加者 5,000人強(推定)

 

 

2月はこの大会に向けて日々コツコツ走ってきた。

 

f:id:yakiimoboy:20180303171744j:plain

(まあ、真面目にマラソンに取り組んでいる人にはまだまだ足元にも及ばないが)

 

さて、土曜日、事前受付を済ませるべく、大阪の枚方へ向かう。

 

f:id:yakiimoboy:20180303153905j:plain

 

f:id:yakiimoboy:20180303153956j:plain

 

f:id:yakiimoboy:20180303154023j:plain

(配布された新聞型の大会案内。コメダ珈琲で読む)

 

 

 

今日は酒の代わりにこいつを食べて寝ます。

 

f:id:yakiimoboy:20180303194845j:plain

(これ好きやねん)

主流派のとろける系プリンとは違う、タマゴ感の強いしっかり系プリン。原材料を見ると、ゼラチンもゲル化剤も使っていない!見た目は男っぽい大味系に見えるが、実はヘタな洋菓子店よりも凝った味わいのプリンである(と思う)。まあ、量が多いので、今日は半分だけ食べて、残りは明日の朝食に。

 

 

 とりあえず、明日は2018年一発目のマラソン!頑張ります。

 

 

 

太陽の塔を走り回る

 

 

私はこだわりの男である。こだわりすぎて前に進めないということが往々にしてある。つまりは機転がきかない。私は自信を持ってこれを美質と捉えているわけだが、これまた往々にして、個人が美質だと思っているものは世間から言わせると愚質となる。

森見登美彦太陽の塔

 

 

f:id:yakiimoboy:20180225174104j:plain

 

日曜日。

 

9時すぎ、私は大阪の万博記念公園の改札口で先輩社員であるニンジンさんを待つ。

 

「あ、ニンジンさん!お疲れ様です!」

 

ニンジンさん「あ、おはよう!いやあ、すごい人だね」

 

「そうですね。今日はよろしくお願いします」

 

ニンジンさん「ああ、よろしく!」

 

というわけで、私たちは会場である「万博記念公園東の広場」へ向かう。

 

この日は、万博記念公園でマラソン大会が開かれた。そして、その大会に、会社の先輩であるニンジンさんと一緒に参加することになったのであった。

 

f:id:yakiimoboy:20180225182957p:plain

 

日時:2018年2月25日

場所:大阪の万博記念公園

開始:11:05

競技:ハーフマラソン

時間制限:2時間40分

参加人数:2000~2500人規模

 

f:id:yakiimoboy:20180225175531j:plain

 

f:id:yakiimoboy:20180225174117j:plain

(朝の会場。まだ静か)

 

先輩であるニンジンさんとは家が近いので、たまに土曜日に一緒に河川敷を走ったりしていた。せっかくだから大会に出てみることを進めてみた。そして、今回、ハーフマラソンに挑戦することになったのであった。

 

なお、今回は私は「伴走」として参加。ニンジンさんを制限時間内に完走していただき、走る喜びを実感してもらうことを第一目的に設定していた。そのため、タイムは特に気にせず。ただし、いつもとは違う、一方的な責任感というか、使命感に燃えていたのであった。

 

f:id:yakiimoboy:20180225174159j:plain

(開会式)

 

ゲストである安田大サーカスの団長が、大会を盛り上げる。地元色の強い大会だったけど、やっぱり芸能人が来ると違うよね。あらためて芸能人のありがたみを感じる。

 

さて、定刻通り、11:05にスタート。

 

なお、実際の走りの方だが、詳細は……割愛。まあ、主役は先輩であるニンジンさんだったわけだし、その詳細を書いたらニンジンさんに悪いしね。

 

ただ、ニンジンさんは初マラソンにも関わらず、ペース配分を常に意識し、無理のない安定した走りをされていた。つい誘惑に駆られて前半に飛ばしてしまった人たちを、後半にじっくり追い抜いていった(私がフルマラソンのラスト数㎞でよくやられるように)。

 

そして、最後までペースを落とすことなく、無事に制限時間内に完走することができた。会社でもトップ営業で活躍するニンジンさん、――初挑戦ながら、さすがでございます(ゴマすりじゃないよ。ブログでゴマすっても何にもならないしね)。

 

f:id:yakiimoboy:20180225190649p:plain

(とりあえず無事に完走しました)

 

終わった後、会場にておにぎりと豚汁が用意されていた。おにぎりはすぐにもらえたのだが、豚汁は約30分の行列ができていた。

 

気温も低く、おなかも空いていた我々は、豚汁はあきらめて駅近くのラーメン屋に行く。そして、ラーメンと生ビールで乾杯した。完走した後の生ビールって、なんであんなに美味しいんでしょうね。

 

……え、乾杯の写真?

 

まあ、尊敬する先輩社員がいるのに、「生ビールの写真撮らしてください!」なんて言えないですよね。普段は物静かなサラリーマンですから(笑)ともかく、ラーメンを食べながら仕事の相談やプライベートの話をした。とても参考になったのであった。

 

 

以上、こういうマラソン大会もいい経験だったなあ、なんて思いながら今日を振り返ってみました。

 

 

 

――

……書いていて、なんだかしっくりこない。

今日という一日は確かに充実していたのである。……しかし、なぜだろう。会社の人とのやりとりがメインになると、日記がとたんに書きにくくなるぜ(笑)

 

走っている時のニンジンさんとの会話を書けるか?書けないでしょう。だって、後でばれたらニンジンさんに嫌われちゃうもん。

走り終えた後のラーメン屋でのやり取りを書けるか?書けないでしょう。だって、後でばれたらニンジンさんに迷惑かけちゃうもん。

じゃあ、最初っからニンジンさんがいなかったことにして書けるか?書けないでしょう。だって、嘘は書きたくないもん。

 

 

……以上、忖度丸出し日記でした。何が書きたかったのか……。とりあえず充実した一日だったことには違いない!ってことで。

 

 

 

手作りのジレンマ

 

 

 

 

f:id:yakiimoboy:20180218181447p:plain

 

金曜日。会社にて。

 

フロランタンさん「あ、やきいもさん。ナタデココさんから聞いたんですけど。チケットの件」

 

「はあ。……え!いいんですか?え、フロランタンさんが?」

 

フロランタンさん「はい」

 

「い、いやあ、すみません、ありがとうございます。本当に助かります。でも、押し付けたみたいになってませんか?」

 

フロランタンさん「いえ、大丈夫です。私も初めてなので勝手がよくわからないですが、人生経験だと思って行ってみます!」

 

「そうですか。よい経験になればいいですが」

 

フロランタンさん「じゃあ、こちらお代です」

 

「?いや、お代は結構ですから。僕のミスですし」

 

フロランタンさん「いや、だめですよ。お金を払わないと、まじめに見る気持ちにならないじゃないですか」

 

「――はあ」

 

 

私は、内勤業務の先輩社員であるフロランタンさんにチケットを渡した。引き換えにチケットの代金を受け取る。なお、私がフロランタンさんに渡したのは、

 

とある落語のチケット

 

である。

 

落語のチケットを買ったのはいいが、前週になった段階で、落語の公演日に東京で

 

『業務研修』

 

があることが発覚したのである。……いっそ研修を抜け出してやろうかと思ったが、残念ながら総務部命令であるため、抜け出したあかつきには厳しい指導が待っている。そのため、落語をあきらめなければならなくなったのである。

 

(……ん?この展開、以前も経験したような。本当に『スケジュール管理できない病』かもしれない)

 

 

yakiimoboy.hatenablog.com

 

 

そこで、代わりに落語に行ってくれる人を探すべく、まずは最も身近な先輩に相談。私の前に座る内勤業務のナタデココさんに声をかける。

 

f:id:yakiimoboy:20180218183542p:plain

 

「あ、ナタデココさん、来週の水曜日なんですけど、夜空いてます?」

 

ナタデココさん「何、急に。デートの誘い?」

 

「すみません、人妻は誘えないですよ(笑)落語って興味あります?じつは、かくかくしかじかで。開演は18時からなんですが」

 

ナタデココさん「へえ。……でも、あんた、前も同じようなことなかった?」

 

「……そこは触れないでください」

 

ナタデココさん「でも、あの時は湯葉さんに渡していたじゃない。また湯葉さんにお渡したら?」

 

「もう聞いてみましたよ。でも、今回はもう外せない予定が入っているみたいで……」

 

ナタデココさん「あらそう……でも、私も無理よ。だって、子供の晩御飯も作らないといけないし」

 

「そうですよね……。また引き取り手を探すのかあ。めんどくさいなあ。会社にはこんな相談できる人、いないしなあ(友達もいないし)」

 

ナタデココ「まあ、いいわ。昼休みに近くの人に聞いといてあげるから」

 

「すみません。助かります。あ、無論、代金は不要ですので」

 

ナタデココさんは社交的な性格で、社内でも顔が広い。内向的な私がローラー作戦で当たるよりも、よほど効率よくもらい主を見つけてくれると思われた。本当に、頼りになる存在である。

 

――

 

夕刻。営業先から社内に帰ってくると、内勤業務の女性であるフロランタンさんが私のもとにやってきた。そして、冒頭述べた通り、チケットをもらってくれるというのであった。

 

貰い手を探してくれたナタデココさんに感謝。そして、チケットを受け取ってくれたフロランタンさんに感謝である。……しかし、代金を受け取ったことに対する申し訳なさをぬぐえない。

 

余談ながら、フロランタンさんは私よりも(たしか)5~6個上の先輩である。この年代の女性を落語の客席でみかけることは――正直少ないように思う。無理をしてもらってお金を払わせるのはまことに忍びない。

 

「代金は本当にいいんですが……申し訳ないですから」

 

というと、フロランタンさんは思いついたように言う。

 




フロランタンさん「――あ、じゃあ、お菓子、作ってくださいよ。お菓子」

 

「は?」

 

フロランタンさん「ナタデココさんから聞いたんですよ。焼きいもさん、お菓子作りが好きだって。だから、お菓子食べてみたいです」

 

「……いやあ。そうですねえ。まあ、そうですねえ(苦笑)あ、 じゃあ、落語よろしくお願いします。気楽に楽しんで下されば幸いです」

 

とお茶を濁して話を終えた。

 

――

 

日曜日。

 

朝軽く走り、ワイシャツにアイロンをかけ、部屋の掃除を終えたら、やることがなくなる。ぼんやりと朝のワイドショーを見ながら、

 

(お菓子作りねえ……)

 

と、金曜日のフロランタンさんとのやり取りを思い出す。

 

f:id:yakiimoboy:20180218181917p:plain

 

たしかに、昨年の3月くらい前までは毎週のようにお菓子を作っていた。木曜日に何を作るか考え、金曜日に材料を買い、土日に目いっぱい作った。ある意味、病的なくらい、お菓子作りにのめりこんだ。洋菓子スクールにも通っていたしね。時には会社に作ったものを持っていって、ナタデココさんのような身近な同僚にお渡ししたこともあった。

 

 ……だが、4月頃から仕事が忙しくなったこと、日本茶インストラクターの資格や英語の勉強に集中していたこと、そしてジョギングなどに時間を割くようになったことなどから、いつの間にかお菓子作りから遠のいていた(まあ、どれもイイワケだが)。

 

 

(……まあ、フロランタンさんもその場だけで言っただけだろう)

 

という思いもある。本気でリクエストにこたえてほしい!などと望んでいるとも到底思えない。

 

……また、別件で、お菓子を作ってフロランタンさんに渡すことをためらう理由があった。少し前、とあるブログで

 

手作りお菓子を食べることができるか

 

という記事を拝見した(誰のブログかはとりあえず伏せておく)。大変面白い内容だったのだが、その方は

 

わたしは基本的にはできません。よほど深い付き合いのある友人でもない限り、他人の手作りお菓子なんて食べたくない。何が入ってるかわからんし作っている環境もどんな感じなのかわからんので。

 

という見解を述べられていた。妙に納得させられただけに笑わせてもらった。同時に、ここにきて不安の種にもなっていた。

 

(ここで、俺が『約束通り、お菓子作ってきました!食べてください』なんて言ったら、フロランタンさん、気持ち悪がるだろうかなあ。『マジで作ってきた。手作りとかキモイんですけど……』『捨てるに決まってんじゃん』、とかね……)

 

相手は妙齢(?)の女性。想像すると、背中が寒くなる。

 

 

……一方で、日本茶インストラクターの勉強も一段落し、新たに夢中になれるものを探していた。ここ最近、やることもなくて抜け殻状態だったし。フロランタンさんから言われて、(渡す渡さないに関係なく)久しぶりにお菓子作りをしたくなったのも事実である。

 

(……まあ、とりあえず、行ってみるか)

 

と、梅田駅近くの阪急百貨店に行く。そして、地下2Fにある製菓材料店へ。

 

 

お菓子の材料を物色。この時間が久しぶりで楽しかった。

 

(何を作ろうか。あまり難しすぎず、かといってクッキーのような単純なものでもなく――久しぶりだし、やっぱりあれかな)

 

 

材料を購入し、家に帰宅。

 

 

――

 

 

さて、今日はフロランタンを作ってみたいと思います。

 

フロランタンとは、フィレンツェ風という意味で、1533年、イタリアのメディチ家のカトリーヌ姫がフランスのアンリ2世に嫁いだ時伝わったとされるキャラメルとアーモンドのお菓子だ。

-(中略)-カトリーヌはメディチ家の直系にもかかわらず、出生後両親が相次いで死亡、修道院に入れられたあげく、政略結婚の道具として使われる。しかも、アンリ2世にはディアヌという20歳も年上の愛人がいて、カトリーヌのことなど眼中にない。11年後ようやく初子に恵まれ、10人の子を産んだが、夫は馬上槍試合で槍が顔に突き刺さり死亡してしまう。その後国内に宗教戦争が勃発。息子アンリ3世が即位するが内乱は泥沼化。そのさなかカトリーヌは亡くなる。69歳の生涯だった。

猫井登『おいしさの秘密がわかる スイーツ断面図鑑』より


 

なんと悲しいカトリーヌ姫。しかし、フロランタンはそんな彼女の心を慰めていたことでしょう。ほのかにオレンジ香るアーモンドキャラメルとサクサククッキーの食感は、すべての人の心に癒しを与える。(アーモンド嫌いの人はごめんね)

 

 

さて、久しぶりのクッキング日記ですね。あ、男性諸君は一度外に出てください。終わったら呼びますんで。

 

 

……と言いつつ、久しぶりすぎてほとんど写真を撮り忘れた。フロランタンの作り方は以下の通りでありんす。

 

 

①クッキー生地を焼いて、その上にキャラメルアーモンド生地(半生状態)をのせる。

f:id:yakiimoboy:20180218180547j:plain

②こいつを焼きあげる。(20分くらい)

③カットする。(熱いうちだぞ)

④小さな袋に入れて出来上がり。

 

材料?まあ、レシピサイトを観てください。キャラメル生地にグランマニエを入れるのを忘れずにね。

 

完成品。

 

f:id:yakiimoboy:20180218182941j:plain

 

f:id:yakiimoboy:20180218182958j:plain

私はこっちのはじっこの方が好き。見栄えは悪いけどね。

 

 

いやあ、久しぶりに作ってみると、面白いもんですね。今年はお菓子作りを極めてみようかな。きっかけをくれたフロランタンさんには感謝。

 

……でも、これを明日会社にもっていくかどうかは……もうちょっと考えてみよう(笑)