ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

『魔女の宅急便』を英語版『Kiki's Delivery Service』で読んでみる

 

 

1週間ほど前、気まぐれで英語で何か小説を読んでみようと思い、Amazonで英語の本を探す。あまり難しすぎず、なんとなくストーリーをつかんでいるような作品が良いかなと思って探してみると、『魔女の宅急便』が2020年になって英語版で新しく出版されていたことを知る。

 

 

 

表紙のかわいらしさに30すぎのおっさんは強く惹かれ、こちらを電子版で購入し読んでみる。ただ、すべてスムーズに読めるわけがないので、補助として日本版の『魔女の宅急便』も図書館で借りておいた。極力辞書を使わずに、気軽な感じで読もうと思ったのである。

 

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1週間ほどかけて、ゆっくり読了。全体の感想としては、

 

  • 宮崎駿のヤツとは大分違うんだなあ。あっちはあっちでとてもいいけど。
  • キキがかわいくて女の子がほしくなった。小学生の頃に読んでいたら、きっとキキに恋していただろうな。

 

という感じ。しょうもない感想ですね。ただ、英語の勉強にはなったと思います。

 

翻訳が日本語版に非常に忠実で、翻訳者の原作に対するリスペクトがうかがえた。ただ、1カ所気づいたのだが、黒猫のジジの「とある発言」が翻訳で表現変更されていた。もしかして、少し男女差別的な表現になるのかな?少し前だったら全く気にならなかったけど、児童文学だから気にするのかしら。理由は定かでは無いけれど、そういう発見があるのも面白かった。

 

 

最後に、本の内容について。

 

キキが海の見える街コリコにたどり着いたとき、住民からはキキが魔女であるが故に奇異のまなざしと冷たい言葉を向けられる。宅急便の仕事を始めても、住民からは全く依頼が無く途方にくれてしまう。

 

そんな状況の中、キキは黒猫ジジに次のような言葉をつぶやく。

 

Witches have never done anything wrong. They might be different, but humans are so quick to decide that anything they don’t understand is evil. I thought that was an old-fashioned idea, but—”

Kadono, Eiko. 『Kiki's Delivery Service』 (p.51).

 

「もともと魔女は悪いことなんてしていないのよ。変わったことはしたかも知れないけど・・・・・・人間って自分で理解できないことは、かんたんに悪いことにしちゃったのよね。そんなことは昔のことだとばかり思っていたのに・・・・・・」

角野栄子魔女の宅急便』P69より

 

なんとも悲しい言葉である。

 

 だが、パン屋のおソノさんやメガネのとんぼをはじめ、住民たちと交流を重ねるうちに、だんだんとキキは街に溶け込んでいく。そして、終盤、キキは街に来た当初の悲しみに自ら答えるように、母親であるコキリさんに以下のように話す。

 

“Mom, I’ve been thinking that witches shouldn’t always rely on their brooms. Of course, with my new business I’m usually delivering things in a hurry, so I need to fly. But sometimes it’s good to walk. When you walk, you end up talking to all sorts of different people even if you don’t even want to, you know? I met Osono because I was walking. If I had flown to distract myself from how sad I was, who knows how I would have ended up? And when people see a witch up close, they realize that we don’t all have pointy noses and gaping mouths. We can discuss things and maybe come to understand each other.”

Kadono, Eiko. 『Kiki's Delivery Service』 (p.187).

 

「かあさん、あたしちょっと考えたんだけどね、魔女はね、ほうきにばかり乗って飛んでちゃいけないんじゃないかって思うのよ。そりゃ、おとどけものはいそぐから、飛ぶのはしかたないんだけど・・・・・・でもときどきは歩いたほうがいいんじゃないかしら。だってほら、歩くといろんな人といやでも話すことになるんじゃない?おソノさんに会えたのも歩いていたからだし・・・・・・あのとき悲しまぎれに飛んでたら、どうなってたかわからないもの。反対にむこうだって、魔女を近くで見れば、鼻がとんがって口がさけてるんじゃないってわかるでしょ。それにお話もできるし、おたがいわかりあえると思うの・・・・・・」

角野栄子魔女の宅急便』P235より

 

なんだかこの言葉がとても響いた。年を取れば取るほど、この言葉通りに行動することができなくなっていく。だが、年を取れば取るほど、この言葉を実行する勇気が求められる。・・・私もキキを見習わなければ。

 

 

単純な児童書と侮るなかれ。『魔女の宅急便』、小説版もおすすめです。