「まくら」営業、はじめました。

営業職の男です。「まくら」を極めて営業のタツジンになりたいのです。

あなたの弱いところ

 

 

たまに真剣な顔するとこ 話がちょっとオーバーなとこ お化けを怖がるとこ 急に歌いだすとこ ロマンチストなとこ 何かとかっこつけているけど 見栄っ張りだけど 少し猫背な後ろ姿 すぐ分かる歩き方 どんなあなたも好きだよ 好きだよ

あなたの良いところ ダメなところの全てを ありのままに愛せるように 隣にいたい

 

西野カナ『あなたの好きなところ』

 

 

あなたはお世辞にも批判にもとらわれてはいけない。どちらにとらわれてしまっても、それはあなたの大きな弱点となる.

ジョン・ウッデン

 

 

 

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あなたの強みと弱みを教えてください

 

 

就活生の頃、こんな質問を何度受けたことだろう?今となっては良き思い出である。

 

学生時分は、面接官に向かって、

 

はい、私の強みは、どんな立場の人の意見にも耳を傾けることができる点だと思います。学生時代、ほにゃららな経験をし、そこから、自分の意見、自分にとって都合の良い意見だけではなく、不都合に感じる意見や立場が違う人の新鮮な意見を取り入れることの重要性を学びました。今では、できる限り多くの人の意見を聴きながら決断するよう、努めることができます。

 逆に弱みは、少し優柔不断なところがある点です。これは強みと通じるところもあるのですが、多くの意見を聴くということは、それだけ決断が難しくなります。この点についてはなかなか難しい部分もありますが、社会人経験を通じながら、よりスムーズな決断ができる人間になっていきたいと思っております。

 

 

という言葉がすらすらと出てきたものである。

 

自慢だが、私は面接が得意だった。得意すぎて、受けた会社のほとんどが、最終面接以外パスしたことである。それが本当に最終面接だったかは不明だが(アメリカンジョーク)。

 

 

 

しかし、どうやら学生時代の「面接」と、社会人になってからの「面接」は、何かが違うらしい――。

 

 

――

 

 

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少し前。

 

「それでは、よろしくお願いいたします」

 

上司「はいはい、まあ、気楽にいこうか」

 

「はい」

  

上司との面談。最近、自分の上司が変わった。そこで、改めておたがいのことをよく知るために、面談が行われたのであった。

 

「――」

上司「――」

 

今自分が携わっている業務について、お互いの意見交換をする。組織の中にいる以上、上司が変われば業務への取り組み方も変わるものである。今回の面談は、そこらへんを柔軟にできるやつどうかを見られているといってもよい(と思う)。 

 

 

30分ほどし、上司がワンクッション置くために次のような質問をした。

 

上司「――硬い話はこれくらいにして、焼き芋君は自分自身の『弱み』をどうとらえるかね」

 

「弱み、ですか?」

 

上司「そう。弱み。英語に直すとWEAKPOINT。まあ、べつにそこまで重要な質問ではないよ?気楽な気持ちで答えてほしい。私も今後君と一緒に仕事をする上で、君の内面的な部分も知りたいだけだから」

 

「はあ。うーん……(苦笑)」

 

すぐに答えが出てこない。むろん、考え込まないと「弱み」が出ないほどの完璧な人間でないことなど、自分が一番よく分かっている。

ただ、このシチュエーションにおいて、どのように己の「弱み」を伝えるのが正しいのかよくわからなかっただけである。この場合、就活生の方がよっぽどうまく伝えられるだろう(良い回答かどうかは別にして)。

 

 

上司「ちなみに私は、自分が正しいと思ったことは、簡単に意見を曲げられないところかな(笑)15年前、私が初めて部下を持ったころ――」

  

 

上司が話しているのに相槌を打ちながら、私は自分のWEAKPOINTを探す。

 

上司「……ということがあってね。まあ、なかなか自分の意見を曲げるというのは難しいもんだ。もちろん、今後君の上司として仕事を進めるにあたり、できる限り君たちの意見もしっかり聞いていきたいと思っているから……おっと、すまんすまん、私ばかり話してしまった。それで、焼き芋君のWEAKPOINTは?」

 

 

「……そうですね、おそらく、『人付き合いが苦手』というところでしょうか?あんまり社交的な場も得意でないので」

 

と苦笑いしながら言う。もちろん、嘘を言っているつもりはない。

 

 

 

――だが、上司は今一つ納得いかない様子。

 

上司「人付き合い?そう?ほかの社員と比較しても、そういう風には見えないけど。例えば、どんな時にそう感じるの?」

 

「ええっと、なんというか、ノリとか求められる場が苦手でして」

 

上司「まあ、確かにノリや即興の笑いでその場を盛り上げるようなタイプの人間ではなさそうだが」

 

「ええ、そういう部分が特に足りないと思います」

 

上司「……でも、それはWEAKPOINTという感じでもない気がするなあ。人付き合いができない、ということではないんでしょ?できなかったら営業なんてできないだろうしね」

 

「取引先様との関係は別腹です。仕事ですので。もしもどうしても脱がなければならないならば、頭を切り替えて精いっぱい脱がせていただきます(その場合、即興ではなく、しっかり計画を練って、脱ぐタイミングを計算して脱ぎます)」

 

上司「そうか。まあ、仕事に支障が出ないなら十分だと思うがね。それに、我々の仕事の場合、一番には誠実さと真面目さが求められるからね。ここら辺は、君は充分にできるようと思うし。ベラベラと言ってはいけないこと言ったり、場当たり次第でいい加減なことを言ったりする人に比べたら、よっぽど人付き合いがうまいと思うよ」

 

「……そうですね」

 

上司「我々の仕事は、取引先との長期的な関係構築が求められる。それは夫婦関係も同じだ。夫婦は、ノリや場当たりな言動だけでは継続できないのだ。まあ、君はまだ結婚していないから、実感がわかないかもしれないがね」

 

「なるほど(まあ、そういう仕事かもね)」

 

上司「話がそれたけど、まあ、君が社交的だったら、君じゃなくなる気もするし、いいんじゃない?あ、これは誉め言葉だよ?」

 

「あ、それはありがとうございます。じゃあ……『女性が苦手』ってことですかね」

 

 

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上司「女性が苦手?あ、そうなんだ。私もあまり得意じゃないけど。でも、女性と話ができないわけじゃないだろ?取引先に女性だっていっぱいいるんだし。それに、君、付き合っている彼女もいるんだろ?」

 

「はい。でも、なんというか、見知らぬ女性とたわいもない話をするのが苦手で」

 

上司「そんな機会、そんなにいっぱいあるの?」

 

「いや、ないですね。考えてみれば」

 

上司「じゃあ、べつにいいじゃない(笑)」

 

「そうですね、たしかに」

 

上司「まあ、プライベートを女性がらみで充実させたいならばべつだが、そうじゃないならそれはWEAKPOINTとはいいがたいね。むしろ女性が好きすぎて溺れているやつを何とかしないといけないからね」

 

「はあ(それは〇〇さんのことかしら?)……じゃあ、『お金にだらしないってところ』ですかね」

 

上司「……お金?そうなの?ちょっと意外だなあ。ギャンブル好きとか?」

 

「いや、ギャンブルはしません。2年くらい前に、パチンコで1000円使ったのが最初で最後です」

 

上司「じゃあ、女につぎ込んじゃうとか?あ、でも女が苦手なら関係ないか……あれ、あれ、それともそれともコッチが好き?」

 

「いや、そういうことは(苦笑)今のところ女性が好きです。えっとですね、ちょっと高いものでも、すぐにホイホイ買っちゃうんです」

 

上司「ほう。じゃあ、最近買った高いものは?」

 

「ミキサーですかね」

 

上司「ミキサー?」

 

「はい。ミキサーです。趣味のお菓子作りの為に買ってしまいました。キッチンエイドという、海外で有名なミキサーです」

 

 

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上司「ほう、君、お菓子作りが好きなの?」

 

「はい。パン作りも好きです。ハマると一日つぶれることもあります。そんな日は『時間を無駄にしたなあ』と後悔しますね(本当は充実感もあります)」

 

上司「へえ。男なのに変わった趣味だね。悪くはないと思うけど。それで、そのミキサーはいくらだったの?」

 

「大体5万円くらいですね。高かったんですよ。業務用ですからね。ただ、日本製にはできない強い攪拌ができます。……でも、まだ数回しか使ってなくて。こりゃ金にだらしないと言われてもしょうがないですね(笑)取引先様にも笑われましたよ」

 

と苦笑しながら言う。だが、上司はやはり、ぴんと来ていない様子。

 

上司「えっと、ほかには?」

 

「え?ほか?」

 

上司「いや、ほかに最近買った高いものは?」

 

「え~っと……なんだろう?3000円の本ですかね。あとは……え~と……」

 

上司「ふーむ、じゃあ5万円が本当に高い買い物なんだ」

 

「……はあ」

 

上司「君ぐらいの年齢の独身男なら、時々5万円使うくらい、高い買い物とは言わないだろう。もちろん、毎日5万円だったら別だがね。我々の若いころなんか、見栄のために大して乗りもしない車に百万単位の金を使ったりしていたんだから」

 

「ええ(よく聞くバブリーなやつですね)」

 

上司「しかも、それで取引先の笑い一つとれたんだったら、儲けもんだろ」

 

「……はあ」

 

上司「ほかには?WEAKPOINT」

 

「え~っと(彼女の連絡がマメでないところ?違うな。顔が悪いところ?まあ、それはしょうがないしな……性格が悪いところ?でも具体的にどこが?方向音痴なところ?でもこんな回答、上司は求めてないだろうしなあ)」

 

上司「……君のWEAKPOINTはなかなか見つからないね。まあ、いいことなんだが」

 

 「(いや、あんたが納得する『WEAKPOINT』がないだけだよ)じゃあ、酒に弱いところ。これには本当に頭を悩ませています」

 

 

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上司「あ、酒が飲めないの?」

 

「いや、逆です。酒が好きなんです。酒が好きすぎて困ってます。ほぼ毎日のようにぐびぐび飲んでます」

 

上司「なるほど、それは心配だ。身体を壊す人もいるからね」

 

「はい、そうなんです!すごい心配なんです(はい、これで終わり終わり)」

 

上司「……しかし、営業なんだから、酒は飲めた方がいいんだよな」

 

「え?」

 

上司「私はそんなに酒が強い方じゃないから、結構苦労してんだよ。特に立場が上になればなるほど、お酒を飲む機会が増えるんだよね。みんな年齢を重ねて身体が心配とか言いながら、サウナ後の牛乳のようにがぶがぶ飲んで、けろっとしている人ばっかりなんだよ。そんな人たちの中で、こっちは意識を保つのに必死なんだからね。いっつも思うんだ、『もっと酒が強かったらどれだけいいだろう』って」

 

「はあ」

 

上司「アル中にならない程度に気を付ける必要はある。しかし、そうじゃなきゃ、酒を飲めるのはSTRONGPOINTだ」

 

「はあ……」

 

上司「しかし、こう考えると、君はWEAKPOINTがないね」

 

「いや、そんなわけないんですけどね(笑)」

 

上司「うん、私もそう思うだけどさ(笑)」

 

 

不毛なやり取りをし、面談は当初予定していた30分を超え、1時間を超えるのであった。

 

 

まあ、なんとなく、上司の人柄が見えたやりとりでした。上司のこういった人柄がWEEKPOINTなのかSTRONGPOINTなのか、私にゃわかりませんがね。