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「まくら」営業、はじめました。

営業職の男です。「まくら」を極めて営業のタツジンになりたいのです。

みんながラーメンを頼んでも焼肉定食を頼むヤツ

 

 

 

 自分のことを悪く言ってはいけない。そんなことは君の友人たちがいつも言っていることなのだから。

 

タレーラン

 

 世界じゅうの敵に降参さ 戦う意思はない 世界じゅうの人の幸せを祈ります 世界の誰の邪魔もしません 静かにしてます 世界の中の小さな場所だけあればいい おかしいですか? 人はそれぞれ違うでしょ? でしょでしょ? だからお願いかかわらないで そっとしておいてくださいな だからお願いかかわらないで 私のことはほっといて 

 

『私の世界』 かもめ児童合唱団より

 

 

え~、本日はお忙しい中お時間いただきありがとうございます。

 

 

昨今、国際化がますます進んでいるなんてことは、私なんぞが言わなくても皆様重々ご承知のことでしょう。小学校でも英語授業が必修化なのはもちろん、街を歩いたり電車に乗ったりすると様々な言語を目にすることが多くなりました。少し前までは中国人や欧米人ととすれ違ったりすると、ちょっとドキッとしていたものですが、今では何にも感じなくなってます。

 

まったく、知らぬ間に国際化ってやつは進んでいるものですなあ。もちろん、2020年の東京オリンピックに向けて、その傾向はますます強まる一方でございましょう。

 

 

そんな国際化が進展中のジャパンではございますが、テレビをつけてみてもその流れは感じますね。ちょっと暇つぶしにテレビをみてみると、

 

外国人から見た日本

 

なんて番組がすごく増えたなあ、なんと思うわけでございます。

 

例えば日本の昔ながらの繊細な芸能や文化を取り上げた番組(ワフウソウホンケ的な)や、各メーカーの卓越した技術等を取り上げた番組(スゴイデスネシサツダン的な)が多いように思います。こちらの方は、

 

外国人を通じて日本のすばらしさを再認識する意図

 

があるのかもしれません。

 

とまあ、一方で、批判的に

 

日本人が考えていることがよくわからない

 

こんなことをテーマにしている番組もございます。こちらの場合たいてい、日本人同士では当たり前となっている習慣や文化を、自国のものと比較して

 

オカシイyo

 

となるわけですが。たとえば、

 

ニホンジンはすぐにスミマセンという。別に悪いことをしているわけではナイノニ。ワタシのクニでは、アヤマルということは、ジブンのやっていることをヒテイすることなので、メッタなことがないかぎりしないものdesu。

 

ニホンジンはハッキリいわないからナニ言ってんのかつたわらない。ワレワレはジブンの意見を持たないのはハジだとおもってるヨ。

 

という感じですかね。こんなことを言われて、日本人代表(笑)の芸能人がいろいろと反論するするのが定番でございます。

 

まあ、すでに上記のような例も普遍化しすぎたものに思いますし、まあまあ、別に違っていいじゃないの、なんて思うわけです。

 

……それよりも、私が最近感じるのは、

 

同じ日本人同士だって、まったく理解しあえないことがとても多い

 

ということなんです。同じ小さな島国の民族なのだから、もう少し分かり合えてもよいと思うんですがね。

 

――更に言うと、同じ会社という組織の中にいたとしても、まるで理解しあえないことが多いわけで――。

 

 

 

「おお、焼き芋くん」

 

「あ、ニンジンさん。お疲れ様です」

 

「今日、うちの部署の人間で飲み会をするんだけど、君もたまにどう?もちろん、用事がなければ、だけど」

 

「え?」

 

ニンジンさん(30代半ば。男性)は、隣の部署の先輩営業マンである。

 

私の会社には、営業部署がいくつかある。私が所属する部署がネジを売る部署だとしたら、ニンジンさんが所属する部署はミートソースを売る部署といった感じだろうか?まあ要するに、同じ会社で同じ営業という仕事をしていても、まったく違うものを取り扱っているわけである。

 

不思議な話だが、売っているものによって、所属する部署の人間性もまるで変ってくる。

 

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ネジの営業をしている私の部署は、どちらかというと内向的な人が多く、個々の人間がそれぞれバラバラで活動をしている。仲が悪いわけではないけれど、なんとなく互いに適度の距離を保っているイメージである。よく言えば自由が多いといえるし、悪く言えば個人主義な人が多いといえる。(人の真似なんかするな、が部署の風土)

 

 

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一方でミートソースの営業をしているニンジンさんの部署は、外向的な人が多い。個々で活動するというよりも、業務をみんなで協力して行っており、単独行動を許さない感じ。よく言えば統率感があるし、悪く言えば没個性的でもある。(軍隊っぽいって言ったら……怒られるかしら?)

 

 

私が所属するネジ部署と、ニンジンさんが所属するミートソース部署は、ほとんど業務上で絡むことがない。同じフロアにいても、たまに挨拶を交わす程度で、仕事の相談をすることはもちろん、プライベートな部分はほとんど知らない(あまり興味もない)。

 

 

さて、前置きが長くなったが、そのニンジンさんから飲み会の誘いを受けたのである。なぜニンジンさんが私を誘ったのかは不明だが、いずれにしろ

 

先輩からの誘いはよほどのことがないかぎり断ってはいけない

 

と新入社員の時に教育されたのが染みついている(なぜかそこだけ体育会系)。それに、たまには他部署の方と交流することで、普段自分の部署にいるだけでは見えてこない発見があるかもしれない。

 

そこで、

 

「ぜ、ぜひお願いします。でも、少しやらなければならないことがあるので、それを片付けてからすぐにお邪魔させてください」

と返答。

 

「あ、大丈夫?じゃあ、先に行ってるから、ひと段落したら俺の携帯に電話して?店の詳細を教えるから」

 

「了解です。よろしくお願いします」

 

とのことで別れる。後でニンジンさんの携帯番号を知らないことを思い出し苦労することになる。

 

 

――

 

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「す、すみません、遅れました」

 

「お、待ってたよ~」

 

飲み会は6人席の座敷で私以外の5名はみなミートソース部の方々だった。個々では仮に

 

・ニンジンさん

・ナスさん

・トマトさん

・ひき肉さん

・パプリカさん

 

としよう(どうでも良い設定)。みな、私の先輩にあたる人たちであった。

 

 

さて、あらためて乾杯をし、その輪の中に参加したのだが……。

 

ニンジン「トマトさんの値上げ策が功を奏したって感じだよね。あれのおかげで営業会議の際にみんなの値上げしなきゃいけないって意識も上がった感じがしたし」

 

ひき肉「そうそう、みんな値上げ話なんて基本したくないじゃん。そこをトマトさんが先んじて大手スーパーの一番厳しい値上げをやってくれたから、ほかの営業にも火が付いたんだよね。特に、フェニックス計画!あれは度肝を抜かれたね」

 

トマト「いやあ、そんなことないですよ。それに、フェニックス計画だって、上司のジャガイモさんにいろいろ相談して、元アイデアをくれたわけだし」

 

パプリカ「私、今でもフェニックス計画からさらに跳躍したネオ・フェニックス計画の展開に鳥肌が立ちます。あれってずっとうちの会社の歴史に残りますよね!」

 

トマト「いやあ、別に大したことないでしょ。それよりも、取引先のナポリタンさんが『粉チーズは絶対にはずせない』、って言ったときは笑ったなあ(笑)」

 

ナス「ああ、それね!そっちの方がずっとうちの会社の歴史に残るよね(笑)」

 

一同「あははははっはは」

 

私「へ、へえええ。あはははあ(ジャガイモさんって誰?フェニックス計画ってなに?『粉チーズは絶対はずせない』って、何が面白の?)」

 

まるで話の輪に入れない。

 

ニンジン「ところでさ、焼き芋君の部署もいろいろ売上好調だけど、それって何が理由なの?」

 

私「え?ええ、っと、そうですね。売上が好調なのは一時的にタチグイソバ屋からの特需で発注があったからですね。通常発注が30ネジなんですけど、その時は30万ネジの発注があって。まあ、これも笑い話なんですけど、実は桁を間違えて発注してたみたいなんですよ。でも、基本的にネジの返品は受け付けていないんですよね。うちの部署。そこでどうしようもなくなったタチグイソバ屋がネジを大量に使うメニューを考案していたみたいで、それが大ヒットしたんですよ。それで結果としてウチもタチグイソバ屋も両方バンザイだったって感じですね。それにしても、発注を間違えたときのタチグイソバ屋社長の『あらよっと』って一言には笑ったなあ」

 

と一人で笑っていると、皆がぽかんとしてる。

 

ニンジン「タチグイソバ屋って何?聞いたことない会社だけど」

トマト「そもそもネジって何に使うの?」

パプリカ「どうしてネジの返品を受け付けなかったの?」

ナス「『あらよっと』の何が面白いの?ねえ、何が面白いの?」

ひき肉「君の話は今一つよくわからないなあ。まあ、違う部署だし仕方ないか」

ニンジン「まあ、そうですよね。ともかく、焼き芋君も大変だなあ。うちらとは住む世界が違うって感じがするね」

 

私「す、すみません……」

 

パプリカ「ところで、さやえんどう君に彼女ができたって知ってます?」

ニンジン「え、知らない知らない!それうそでしょ(笑)」

ナス「俺も知らねーよ。さやえんどうに電話して聞いてみよーぜ!」

 

 

私「……へ、へええ――(さやえんどうって誰だよ)」

 

ひき肉「あ、今携帯で見たら、今日の阪神巨人戦、今7回表で5:3で阪神勝ってますよ」


ニンジン「そういえば、日曜日球場に見にいったんだよ」


パプリカ「マジですか?私も行きましたよ!ところで、焼き芋君はどこファン?」

 

私「いえ、僕は野球はあんまり……」

 

パプリカ「じゃあ、サッカーとかは?」


私「サッカーも、あんまり……」


ナス「……土日とか何してんの?」


私「ええっと……ランニングしたりお菓子作ったりしてます」


ひき肉「へえ……男なのにお菓子作りって変わってるね」

 

私「あ、ええ、すみません……」

 

一同「……」

 

ニンジン「あ、そういえばセロリさんの奥さん見たことある?すごい美人らしいよ」

 

パプリカ「あ、私あったことありますよ。すごい美人さんでした!もともとモデルさんらしいですよ」

 

私「へ、へえええ(セロリって誰だよ)」

 

 

 

……同じ言語なのに、同じ日本人なのに、同じ会社にいるのに、話がまったく合わず、話題についていけない。私が何か言葉を発すると、その場の空気が静まり返る。笑い声と相槌だけは合わせるように努めたが、それもぎこちなくなっていくのが分かった。こんな状況をうまくこなすすべが何も見つからない。いつの間にか、時間が過ぎるのをひたすらに待つ状態になっていた。人見知りで非社交的な性格な自分を恨み、頭の中で

 

 (死にたい営業失格死にたい営業失格死にたいゴミくず死にたい死にたい死にたいみんな死ね俺も死ぬから――)

 

とループしていた。(やばいやつ)

 

 

――

飲み会解散後、一人ビル街から大阪の空を見上げ、ため息が漏れた。

 

 違う世界の人間とかかわるとき、多くの場合、文化や考え方の違いを避けて通ることはできない。その事実に直面したとき、人は大きく2つに分かれると思った。

 

 

一つは、

 

文化や考え方の違いに興味関心を示す。さらに、違う性質の人間でも共有できるナニカをさがそうとする人間。

 

もう一つは、

 

文化や考え方の違いを受け入れきれず、自分の文化や考え方の世界に閉じこもろうとする人間。

 

 

前者になりたいけど、いつまでも後者になってしまう自分。

 

 

 

 

 うーん。自分の小ささを実感したつらい経験でございました。

 

 

まあ、唯一良かったのは、日記というツールがあったことですね。今回日記でまとめた内容を営業トークで活かしてみますか(苦笑) 

 

 

 

はあ……。 とりあえずみんなと共有できる何かを一つくらい身に着けないとね。