やっぱり、私は私、黒部は黒部 (黒部名水マラソン 2018 後半)
5月27日。日曜日の朝。4時半に起床。
起床後、すぐに自分の体の状態を確認する。
(お尻の筋肉、やっぱり張っているな。・・・・・・やっぱり治ってはくれなかったか。肩は両方とも、相変わらずコリがきつい。これも心配だな)
お尻の筋肉は少し前から張っている感じがしていた。お尻の筋肉は脚の中でもかなり大きい筋肉になる(と思われる)ので、ここに不安があるのはすごく気になる。
肩こりは、ここ1年でだいぶひどくなっている。この日起きた時も、硬い塊が肩にある感じ。加えて、少し歯に痛みを感じるレベル(肩こりの症状らしい)。
(・・・・・・まあ、気合と根性ですな)
今更ジタバタもできないので、諦めて朝食をとる。
準備万端、いざ黒部へ出発!
ーー
8時過ぎに到着。見事な快晴。会場はすでに人がたくさん。
到着した後は、トイレを済ませる。そして、お尻と肩を中心に念入りにストレッチ。
◯気象情報(8時ごろ)
気温:約19℃ (時間の経過とともに上昇。それでも22〜23度くらい?ただ、日差しが強かった分、体感温度はもっと高かったように思う)
湿度 :約70%(こちらは下がっていった。昼前だと60%くらい?)
風: ほぼ無風(しかし、時間帯によって心地よい程度の風が吹く)
先にふりかえるが、私にとって、この日の天気は申し分なかった。ただ、まわりをみると厚着をしていた人が多かったように思われる(朝は少し寒かったしね)。そういう人たちは少し暑かったかもしれない。
さて、スタートラインへ。
ーー
本当によいお天気。私は、サブ4を目指す人たちが集うFの位置へ。
さて、定刻通り、9時に開始!
ーー
◯スタート〜10km
最初はやはり渋滞。しかし、道が広いためか、2〜3kmしないうちに快適に走れる状態に。
(絶対に、昨年には負けんぞ)
という思いからか、3kmあたりから少しペースを上がっていく。
ーー小さなハプニングは、7kmあたりの給水所で起こった。ちょうどドリンクを取ろうとしたとき、先にドリンクをとった前のランナーに軽く接触。そして、
ビリッ!
「あ!」
ランナーさん「あ、ごめんなさい!」
私のゼッケンの一部が、ピンから裂ける。
(右上のところです)
まあ、人が集まる給水ポイントなので、どうしようもないハプニング、と割り切って、そのまま走りを続ける。
パタパタ
(・・・・・・)
パタパタ パタパタ
(・・・・・・)
パタパタパタパタパタパタ あーよいよい パタパタパタパタパタ
(・・・うるせーよ!)
ゼッケンがなびいて実にやかましい。他のランナーにも迷惑である。それに、万一、風で飛んでいったら大変だ。ゼッケンは背中と胸に1枚ずつ身に付けるのだが、胸のほうにはタイムを測定するためのタグがついていたので、無くしたら特にまずいのである。
仕方なく、走りながらピンでゼッケンに無理やり穴を開け、止め直す。
(この、このっ!)
と、走りながらだと結構手こずったが、なんとか止めることに成功(上の画像の通り、右上がくしゃくしゃになってます)。今後は気をつけます。
ーー
◯11km〜20km
平坦な道をすぎ、少しずつ坂に突入。スタミナ切れしないよう、給食を積極的に行う。
さて、15kmあたりだっただろうか。
女性「これ食べて!」
高架下をくぐったあたりで、着物姿の女将風の女性が手渡しで何かを差し出している。前のランナーが受け取っているのに習い、私も女性から受け取る。高架下で暗かったので、受け取った時はそれがなんだったのかわからなかったが、とりあえず手のひらに乗るくらいのソレを口に一気に放り込む。
「ーーむ、まんじゅうか!うまいうまい」
口の中でこしあんの甘さが広がる。そして、体の疲れを和らいでくれた。体が喜ぶ差し入れであった。
余談ながら、この時食べたのは、これだと思われる。
福田屋菓子舗「福福饅頭」
みなさん、大変美味でしたので、黒部に来た際はおひとついかが?(違ってたら大変申し訳ございません‥‥)
さて、坂はますます傾斜が強めていく。しかし、ペースは上がり基調。
ーー
◯21〜25km
20kmあたり。
(・・・・・・我慢できんな)
尿意を強く感じる。黒部の名水を何度も給水していたのはもちろん、火照った体を冷やすためにちょこちょこ頭から水をかぶっていたため、お腹が冷えていたのかもしれない。
ちょうど折り返しを迎えそうなところにあったトイレに入る。幸い、トイレは空いており、すぐに済ませ、体は一気に軽くなった。
ーーだが、少し気になることがあった。
(・・・・・・やっぱり、ちょっと辛くなってきたなあ)
用を足しながら、自分の体の状態を再度確認したのだが、疲労が溜まったせいか、朝から気になっていたお尻の張りが強くなっていた。あと、これはいつものことだが、肩が辛い。たまに回さないとコリがひどく、腕が痺れる感じになる。
Siri だから、走る前から言ってただろ、辛いって。
Ka-ta- こっちもだよ。いや、こっちは慢性的である分、もっとタチ悪いわ。姿勢悪いし、車の運転し過ぎだし、それに、どうでもいいパソコン作業しすぎたからだ
Siri ああ、わかるわかる。俺もそのせいだわ。ちゃんとコンディション整えろよってな。日頃の行いが走りに出てるわ
(うるさいうるさい!もう半分なんだから、我慢しろよ!大丈夫、お前達ならいける!)
と、我が尻を拳で叩き、肩をぐるぐるまわす。
疲労を感じながらも、ペースは落ちてない。このまま突っ走ってしまおうと思った。
○26〜30km
25kmを過ぎたあたりから、明確にきつさを感じる。加えて、ますます強くなる日差しが体力を奪っていく。
(……なるほどね、去年同様、最初に飛ばし過ぎちまったか…)
昨年の追体験をしている気分。それはつまり、
ここから辛い時間が待っている
という風に自己暗示していたことを意味する。そんなことを考えて不安を感じていた、30km地点である。
「ファイトファイト!!」
と声を発する女性。言わずもがな
Qちゃーん!
最高の笑顔でハイタッチしてくれる尚子高橋。ハイタッチした手はとても柔らかった。元気をもらい、不安が吹き飛ぶ。そして、
辛くても絶対に歩かない!
と、覚悟を決める。だって、Qちゃんとハイタッチした時に約束したんだもの(一方的に)。毎度のことながら、Qちゃん、ありがとうございました。
ーー
○31〜35km
予定通り、辛さは増していく。
(これ、本当に下ってんの?平坦にしか思えんわ…)
と思いながら走っていた、その時である。
どこからか、大きな音。
一瞬、何が起きたかわからなかった。しかし、すぐに事実を悟り、顔から火が出る。
(な、な、な)
私は慌てて辺りを見渡す。ランナーが2、3名後方にいらっしゃる。
(ご、ごめんなさい!)
Siri 悪い。つい緩んでしまった。
(ちゃんと抑えておけよ!)
Siri しようがないだろ。ただでさえクタクタなのに、お腹が冷えてガスが一層溜まってんだから。坂より腹の方が下り気味ってね。
(ばかやろう!涙)
恥ずかしくて情けなくなる。人は少なかったと思いますが……ご迷惑かけた皆様、大変失礼しました(これで800人いた女性ファンは1人もいなくなった)。
○36km〜ラスト
36km地点。身体中で黄色信号が灯り、自分で自分の顔が引きつっているのを自覚するほどであった。
(あ、あれは…)
視界に入る36km地点の給水所。ココでは、ボランティアの方々がココだけの給食を配っている。それは、
黒部名水マラソン名物ソフトクリーム(塩テイスト)
である。いくら金を積んでも、このソフトクリームは食べられない。食べられるのは、この大会に参加し、36km地点までたどり着けた者だけである。
(……食べたい。去年はあれが食べられなかったのだ。これを食べればこそ、去年よりも黒部名水マラソンを楽しんだといえよう。)
ーー鳴いちゃうよ
…え?
また鳴いちゃうよ
私は確かに我が「腸」からのメッセージを受け取った。ついでに
Siri それを食べたら、俺はもう知らん
という声も。
(マジで……ち、ちっくしょう!涙)
私はボランティアの方々が差し出すソフトクリームを視界から外し、泣く泣く通り過ぎる。お腹の弱い私は、はしゃぎながらアイスを食べているランナーを恨めしそうにチラ見する事しかできなかった。
ラスト5km。ペースがみるみる落ちて行くのがわかる。後ろからもどんどん抜かされる。
(昨年とおんなじじゃん……)
気持ちを維持するために、200mおきにささっている「のぼり旗」(現在○○.○kmみたいな感じ)を確認しながら走る。じゃないと、自分が前に進んでいる自覚を持てなかったからである。しかし、
(…なんで、俺、走ってんだろ…?)
という考えが頭にポツリと浮かぶ。集中力がだいぶ低下していた。沿道の方の声援やハイタッチで元気を分けてもらう。ただ、ここあたりから声援に対してお礼を返す余力もなかった。
40km地点に到達。ラスト2.195kmの果てしなさに気が遠くなる。
ただただ、足を前に進めるだけ。朦朧の脳内では、中島みゆきの『重き荷を負いて』が何度も何度も流れる。
ーーそして、ようやく。
ボランティアの方が、タオルと記念メダルをかけてくれる。完走証明書をもらったら、すぐに芝生に倒れる。そして、もらった氷入りのビニールで、お尻を冷やす。
10分ほど休み、少ししたら落ち着き、ようやく、無事ゴールした喜びを感じる。そして、完走後に受け取った水とゼリーを口にする。
歩けることを確認し、足を引きずりながら、その場を離れる。顔を洗った後、無料預け場所にある荷物を手に着替えを済ませた。
ーー
お腹はまだそんなに空いていなかったけど、それでも食べたくなるのが、これ!
参加賞の鱒寿司と豚汁と名水団子。ちなみに味噌汁は豚汁とカニ汁との選択制。だけど、私は断然豚汁派である。いやいや、美味しくいただきました。なんで走った後の豚汁ってこんなに美味しいのかしら?
ーー
食べ終わったあとは、ゴール前でフィニッシュ前のランナーを心の中で応援。ゲストランナーの方々も、ハイタッチして励ましていた。Qちゃんは、いつものように手を繋いでゴールまで並走したりしていた。手を繋いだランナー、羨ましいなあ、と思ったのは私だけではないはず。
(制限時間の6時間直後)
15時。制限時間に達したのを確認し、2018年の黒部名水マラソンは終わりを告げたのであった。天気も最後まで恵まれた大会でした。
ーー
最後にタイムですが、だいたい3時間45分いかないくらい、でした。
昨年より15分程度早くなりましたが、最初に飛ばし過ぎて後半が辛すぎるという、ペース配分の失敗は一年前と同じ。全く、後先考えないところは何も変わってませんな。(変わったといえば、お尻や肩などの体のガタガタ具合でしょうか)
黒部名水マラソン、今年も甘くなかったです。でも、運営サイドのご対応は、今年も最高でした!大会運営スタッフの皆様、声援を下さった住民の皆様、そして、黒部の大地と名水よ、本当にありがとうございました!
おしまい!
黒部、ふたたび(黒部名水マラソン 2018 前半)
柏原「どうしても神経質になりがちなんですが、前日のご飯のことは(自分は)あまり考えないですね。ーー麺類は食べるようにしてました。朝・昼・晩のどれかで麺類を食べてました。験担ぎみたいなもんで、高校の頃からずっと続けてきたんで」
高橋「私も実は麺なんですよ。シドニーオリンピックの前も前日の夜はうどんの中にお餅を入れた『力うどん』をおかずにご飯を食べました。白いですね(笑)でもみなさん、炭水化物が必要なんですよ!」
2018/5/26 前日イベント「高橋尚子さん&柏原竜二さん」スペシャルトークショーより
今まで何度かフルマラソン大会に参加してきた。合計7回くらいかしら?たくさん走ればいいってもんじゃないのはよくわかっているが、まあ、良くも悪くもそれなりに経験は積んだようにも思う。
父の愛したコースを父に応援されながら走った大会があった。苦痛が快感に変わり、頭がスパークするほど興奮を味わった大会もあった。土砂降りの中、冷えと腹痛に襲われながらリタイア寸前の走りをした大会もあった。美しい景色を全身で味わい、すっかり心奪われてしまった大会もあった。
ーーどの大会も、私にとってかけがえのない大会であり、甲乙などつけられるものではない。タイムという点ではランキング化できるんだけど、まあ、そういう向上心ある走りはあんまりしてないから、私には無意味であろう。私にとって、どのマラソン大会も等しく愛すべき体験なのだ。
だからこそ、不思議なことがある。それは、なぜか「この大会」のときの日記がアクセス集中していることである。
2017年の黒部・名水マラソンのときの日記である。
たしかにこのマラソン大会も印象深いものだった。でも、他のマラソン大会と比較して特筆していたとは思わない。なのに、この日記ばかりアクセスが集中している。(そして、他の日記はほとんど読まれていない事実)
まあ、確かに読み返してみると、自分がこれまで書いてきた日記の中でも、走りに対する想いが一番強く感じられる気がする。(事前練習も足りず、ペース配分もめちゃくちゃだったが)。今、私がこの時のように書けるかと言われると、まあ無理だろう。フルマラソンに参加し、初めてサブ4を達成できた喜びもあったしね。マラソンに夢中になるきっかけのような大会だったのは間違いないと思う。
そして、読み返しているうちに、
(あの頃みたいな気持ちで、また走ってみたいなあーー)
と思ってしまうのも、また事実なのである。そして、あれからもうすぐ1年が経とうとしている。今の私は、あの頃からどれだけ成長できたのだろう。
ーー
5月26日(土)。
電車で大阪駅に向かう。
私が9時30分大阪駅発の高速バスに乗って向かったのは、富山県は富山駅。約6時間の長旅。日記を書いたり、本を読んだり、窓の景色を見たりして過ごすーーこの時間もまた旅の楽しさである。
私が富山に向かう理由、それは今年も「黒部名水マラソン」に参加するためです!
やっぱり、また出たくなっちゃう魅力ある大会なんです。いざ、黒部に出陣じゃ!
ーー
15時すぎ。
富山駅に到着。事前受付をするために、そこから約30分間、あいの風とやま鉄道に乗って会場最寄駅の黒部駅へ。
黒部駅からさらに約20分間、ランナーがぎゅうぎゅうに詰まった無料シャトルバスで会場である『黒部市総合体育センター』へ到着。
16時過ぎに会場に入り、ゼッケンなどを受け取る。
そして、会場の中を進むと、今年も前日イベントが行われていた。
(途中から拝見。遠すぎるポジション)
去年はQちゃんだけだったが、今年は駅伝で有名な柏原氏もいらっしゃった。柏原さんが私の先輩に顔も声もそっくりなので驚いた(ついでに言うと、アニメ好きであることも一致していた)。
あと、あいかわらずQちゃん、トークがうまかったです。柏原さんとのやりとりで会場もちょくちょく笑いが起きていた。途中参加でも時間を忘れるほど楽しめたのであった。
ーー
会場を後にし、シャトルバスに乗り、黒部駅に戻る。そして、富山駅に向かう電車に乗る。プラットフォームには同じくランナーによる長蛇の列ができていた。
電車に乗ると、女子中学生と思われる二人組の会話が耳に入る。
a子「すごい人だね。富山駅でいっぱい降りるのかな」
b子「多分、そうなんじゃない?すごいね、マラソンって」
a子「あ、私も明日、応援のアナウンスみたいなのするんだよね」
b子「え、なにそれ?そんなのやるんだ。運動会みたいな感じ?」
a子「わかんないけど、多分。交代制なんだって」
b子「c子ちゃんも鍋作りするって言ってたよ。みんなボランティアなんだ」
a子「チョメ中学校のチョメ部のd子ちゃんもらしいよ」
b子「へえええ。たーいへん」
(・・・・・・ありがとうございます。お手数をおかけいたしますが、何卒、よろしくお願いいたします。調子乗った態度取っているランナーがいたら、ゼッケン番号をメモって先生に提出したらいいからね)
ーー
18時。
富山駅のビジネスホテルにチェックイン。
さて、富山駅前の通りをぶらり。暑くなると思ったけど、冷たい風が吹き、思ったよりも気温が低かった。余談ながら、街中では、ランナーと思われる人とよくすれ違う。靴や時計がランナー使用の場合はもちろん、なんとなくの雰囲気でランナーである人というのは見分けがつくものなのである(よね)。
さて、時間も時間なので、晩御飯を探す。
(富山ブラックラーメンにしようか、サイゼリアでパスタを食べようか、吉野家で牛丼食べようか、お好み焼きでもいいかしら・・・・・・勝負めし、なににしようかな・・・・・・それにしても、Qちゃんも柏原さんも、なんやかんや、プロはいろいろこだわりあるんだよなあ)
いろいろ迷うが、結局は、いつも通りコンビニへ。(ファミマとローソンをハシゴ)
柏原選手に触発され、今日はざるそばメインで。プリンは私にとっての験担ぎってことで。美味しくいただきました。(富山感ゼロですが、それはまた明日のお楽しみ、ってことで)
さて、1年前からどれくらい成長できたのか、楽しみでもあり、やっぱり怖くもありーー。
いずれにしても、昨年に負けないくらい、しっかりマラソンを楽しむぜよ!
嗚呼、コンビーフ
コンビーフは缶詰コーナーに無くてはならない商品であり、なかったら怒るよという商品なのだが、怒るけど買わないよという商品でもある。
まあ、いまどき大抵の人はコンビーフを買わない。
眺めるだけ。眺めて、あると安心するだけ。
やっぱり懐かしいのかな、かつてしょっちゅう食べていた頃が。
東海林さだお『どら焼きの丸かじり』より
月曜日。
久しぶりにコンビーフを買って食べる。
本当に、コンビーフを食べるなんて、とても久しぶり。少なくとも、5年は食べていない。大学生時代はよく食べていたんだけどなあ。
このレトロな感じに憧れていた。なんだかよくわからないけど、「イキな食べ物」だった。
値段が高いくせに量は少ない。ほかにもっと美味しいものがたくさんあったはずなんだけど、でも、つい買ってしまうのである。視野の狭い学生時代の、ちょっとした背伸びであった気がする。
久しぶりに買ってみたのは、家の近くのスーパーが改装セールで在庫処理をしていたから。そこでコンビーフが割引になっていたのである。じゃないと、あえて買いたいとも思わないよなあ。
久しぶりに実食。付属のオープナーを使って、クルクルと缶を開ける(おそらく、今の10代の80%は、この缶詰の開け方がわからないことだろう)。
ワクワクしながら塩辛い肉の繊維の塊にかぶりつく。思っていたよりもクセの強い野生的な味。ビールで流し込むが、口の中に独特の風味が残る。コンビーフさんの残り香だけでビールが進む。
決して美味しくはない。
決してインスタ映えはしない。
決して体にいいとは言えない。
決して毎日食べたい!とは思わない。
でも、唯一無二の味。私にとって。決して忘れたくない存在。
(まさに俺の学生時代だな)
酔っ払いながら、ポツンと思う(涙がほろり)。またコンビーフにかじりつく。
ーーなんだか楽しく完食させていただきました。
またいつか食べたくなるんだろうな。またいつか、この缶を手にとって、クルクルと缶を開けることだろう。
コンビーフよ、君だけは無くならないでおくれ。
誰かの「大事な本」
『走れメロス 』も 『異邦人 』も 『おなかのすくさんぽ 』も 、実物の本とは別に 、私一人だけのバ ージョンが記憶の本棚にしまわれている 。作者が思いもしなかった形に姿を変えて 、しかし私の本棚にはおさまりのいい形を保って 、大事に保存されている 。私の書いた小説も誰かの心の中でこんなふうに模様替えされているのだろうか 。この想像は私を幸福な気分にする 。
小川洋子『とにかく散歩いたしましょう』より
4月末のこと。
少し前に書いたマッサージ店での出来事。
諸々の事情によって一時閉店となったマッサージ店。施術もお上手で値段もリーズナブルだったのでよく愛用していた。閉店の知らせは本当に残念であった。
さて、これで最後、と、4月29日(日)最終営業日の夕方に訪問した。
なお、最終日は大変に賑わっており、客が入れ替わり立ち替わりの状態であった。どうやら、私と同じように考えた客が多かったらしく、最終日駆け込みとなったようだった。やっぱり愛されていたお店だったと思うんだよなあ。16時に予約していたのだが、お店側としても予想以上の混雑だったらしく、私は10分程度待たされることとなった。
待っている間、1冊の文庫本を読む。読んでいたのは万城目学氏が書いた『プリンセス・トヨトミ』という小説。別にこの作者のファンというわけでもないが、関西を舞台にした小説だったので読んでみたのであった。せっかく関西に住んでいるから、という、つまらない理由だが。
10分後、準備が整ったということで、着替えを済ませて施術が始まった。この日施術してくれたのは、私より幾分か年若の女性。過去にも1回施術してもらったことがあった。
マッサージ師「すみません、おまたせてしてしまいまして」
「いえ。忙しそうですからしょうがないですね」
マッサージ師「最終日ということで駆け込みのお客様が多くて」
「そうですかーーいや、閉店、本当に残念ですね」
マッサージ師「そう言っていただけると・・・・・・。予定では夏に再開しますので!ところで、待たれている間、本読まれてましたけど、本好きなんですか?」
「あ、・・・・・・まあ、そうですね」
マッサージ師「普段どういうのを読まれるんですか?」
「普段は・・・・・・なんだかよくわからない本ですよ。まあ、気まぐれに。ただ、小説はあんまり、ですね。今日は久しぶりに小説読んでました」
小説は本当に読まなくなった。学生時代はよく読んでいたんだけどなあ。社会人になって手に取る本のタイプが変わった。今は、仕事に関わる専門書だったり、資格のための参考書だったり、会社で読むことを勧められた(反吐が出そうな)ビジネス本くらいである。後は、電子書籍で眺める程度の情報雑誌くらい。
昔、何かの雑誌で某タレントさんが、「本棚を他人に絶対見せたくない」ということを書いていたのを思い出す。理由が同じかどうかは知らないけど、私も同感である。
本棚は、その人がどのような世界に興味をもち、また、普段の言動がどのような世界観を基にしているのかを示しているように思う。だからこそ、人間の底が知られそうで怖いのである。
同じ理由で、私はあまり誰かに本を勧めない。まあ、その本の出会いを自分だけで独占したいという、みみっちい欲もあるのだと思うが。
ところで、ここが私のタチの悪いところなのだが、自分ではあまりオススメしないくせに、人のオススメの本を聞くのは非常に好きなのである。それは、その人のことをいろんな意味で知ることができるからに他ならない。だからこそ、誰かが本を本気で薦めてきた時には、色々な意味で好奇心が湧き上がる。(ある意味で、その人の世界観を知ることになるかもしれないのだから。無論、見栄を張っている場合はすぐに見破れるしね)
さて、本の問いかけをされたので、マッサージ師にもいつものように聞いてみる。
「マッサージ師さんはどうですか?本はお好きですか?」
マッサージ師「はい!好きなんですよ。本」
「そうですか。オススメとかありますか?」
マッサージ師「あります!もうこれしかないってくらいのオススメです。私にとってかけがえのない本なんですよ」
「・・・・・・ほう(えらい自信だな)」
マッサージ師「『ーー』って本なんですけどーー」
初めて聞く本だった。作者の名前は聞いたことがあるような。マッサージしながらあらすじを語るのを、相槌を打ちながら聞く。その口調が、気取る様子でもなく、かといって表面をすくったような感じでもない、本当にその本が好きなんだというのがよく伝わるものだった。それに、偶然ではあったが、私の今の仕事の内容に少し関わるものであったことも手伝い、余計に興味を持つことになった。
「面白そうですね。こういう本があることは知らなかったです。今度読んで見ますね。本当に読んでみます」
マッサージ師「ぜひ読んでみてください!でも、今日で閉店なので感想が聞けないのが残念ですが(笑)」
「またマッサージ店が再開した時に、ですかね」
本のタイトルだけしっかりと覚え、マッサージを終えたのであった。次の再開は予定通りであれば夏頃とのこと。待ち遠しい限りである。
ーー
あらすじ
大坂天満の寒天問屋の主・和助は、仇討ちで父を亡くした鶴之輔を銀二貫で救う。大火で焼失した天満宮再建のための大金だった。引きとられ松吉と改めた少年は、商人の厳しい躾と生活に耐えていく。料理人嘉平と愛娘真帆ら情深い人々に支えられ、松吉は新たな寒天作りを志すが、またもや大火が町を襲い、真帆は顔半面に火傷を負い姿を消す…。
つい先日、ネットで購入した本が届いたので読んでみた。小説を読んで「ページをめくるのが止まらない」という感覚を久しぶりに味わえるほど、面白かった。というか、私が知らなかっただけで、かなり有名な小説みたいですね(笑)。調べたら、NHKでもドラマ化され、舞台化もされていた名作の模様。
学生時代によく読んだ山本周五郎みたいな世界観だなあ、と思ったら、作者が山本周五郎ファンみたいですね。もともと漫画家だったせいか、文章も読みやすく、ストーリーも軽妙。でも、しっかりと新幹線の中で涙を流してしまうヤラレタ感。
そういえば、マッサージ師さん、この作者の『みをつくし料理帖』シリーズも好きだっていってたっけ。せっかくだし読んでみようかなあ。そして、マッサージ店が予定通り再開したなら、本の内容について話してみたいものである。
久しぶりに良い本の、良い出会いでした。そして、ヨウカンとトコロテンがたべたくなりました。
・・・・・・マッサージ店、無事に再開してほしいなあ。
また来ます、香住(第5回香住・ジオパークマラソン 番外編)
土曜日。
第5回香住・ジオパークマラソンを完走した後、今宵泊まる旅館に電話。
ーーあ、すみません、マラソンを終えた後、そのまま家には帰らずに旅館に泊まっちゃいました(えへ)。旅館の送迎車が会場までお迎えに来てくれました。通常ならば15時からチェックイン開始のところなのに、14時からチェックインさせてくれたのでありんす。マラソンの後は、精一杯、慰安旅行を楽しむぜよ!
・・・・・・・え?いいご身分だな、って?
だってマラソン頑張ったんだもん!いいでしょ!?いや、マラソンだけじゃない!日頃のサラリーマン生活もすごい頑張ってんだからね!?朝「会社行きたくなーい」という体からのSOSを無視して会社に行ってんだかんね?たまに自分へのご褒美くらいいいじゃん!(出世しないタイプ)
さて、旅館に到着して早々、マラソンの汗を温泉で流す。だれもいない温泉を独り占め。これを至福という。
ーー
風呂上がりは香住を散歩。
歩いていると、いつのまにかマラソン会場にたどり着く。旅館から会場までは歩いて20分かからないくらいの距離であった。
会場に着いた頃には、フルマラソン制限時間である15時を回り、16時に近くなっていた。そのため、会場もすっかり片付けに。人も少なくなり、残っていたのは運営サイドの方々のみ。出店も会場テントも簡易トイレも、すべて撤去中であった。
ーー
中学生男子「こんにちわー」
「あ、こんにちわー」
旅館までの帰り道、疲労を抱えた足を引きずりながら歩いていると、大会ボランティア活動を終えた中学生にすれ違う。見ず知らずの私にも挨拶をしてくれる。私自身、地方の出身なので、小・中学生の頃のすれ違う人に向けた挨拶というのは義務に近く、抵抗がなかった。……今はかなり抵抗感があるんだけどね。でも、なんだかすごく懐かしかった。
旅館から見える夕暮れ時の香住漁港。絶景である。撮る人が撮ればもっと人の心を打つことができただろう。とても美しかった。
さてーー
晩御飯は旅館で食べるカニづくしコース!!カニ鍋!カニの刺身!カニのボイル!焼きガニ!甲羅酒!カニの雑炊!いえーい!!カニ最高!!こいつのために走っていたんだぜ!無心でカニにしゃぶりつきました。幸せいっぱーい!!(彼女からは非難轟々でした)。
ともかく、これ以上ない贅沢なひと時で、自分を精一杯、甘やかしたのであった。
ーー
翌朝、6時起床。
せっかくなので、香住の海岸を散歩。ちなみに、海岸沿いの道路は、昨日のマラソンコースでもあった。でも、昨日とは違って人気のない海岸、大会当日とはちょっと違ったおもむき。
(朝を迎えた香住漁港)
ランナーを冷やすために配られていた氷水入りビニール。当たり前だけど、大会の後はこういうのを片付ける作業があるんだよね。運営の皆様、後片付け、お手数をおかけいたします。
このトンネル、コースだったけどよく覚えている。入口のカニの絵柄が印象的だった。なお、朝のトンネル内は、ホトトギスの鳴き声がよく響いていた。
名物、かえる島。右真ん中あたりの茶色いところです。・・・・・・かえるに見えるかしら?
小一時間、朝の香住海岸を楽しむ。走りながら見た光景も壮大だったけど、朝の静かな空間で見る香住海岸は、これまた実に格別であった。
ーー
旅館で贅沢な朝食を食べ終える。ご飯が本当に美味しかったなあ。
チェックアウト時間の10時、送迎車で香住駅まで送ってもらう。
翌日の香住駅は、昨日が嘘のように静か。たまに通る車の音だけが町中に響く。それがあまりに心地よくて、大阪に帰りたくなかった。連休に親戚の家に遊びに行って、帰りたくなくて泣きじゃくった幼き頃の記憶が、ほんの少しだけ思い出された。
必ず、また来ますね。
ーー
電車で4時間弱かけて大阪駅に到着。大阪駅の人混みの喧騒に一瞬酔ってしまう。早々に家に帰る。
家に帰った後、香住を思い出してなんだか寂しさを覚える。でも、マラソン大会からの贈り物が我が心を最後まで癒してくれる。
香住・ジオパークマラソン(フル)の完走賞。あ、別に入賞したわけでもないですからね。完走したランナーみんなに、この豪華な日本海の魚介セットが送られた。・・・・・・この豪華セット、すごくないですか?
とりあえず、すべて焼いてみる。
素人なので焼き具合はご愛嬌。総勢15匹の魚たち。なお、まだ半分以上冷凍庫に残っています。
さて、香住の地酒である「香住鶴」でこれらを肴に晩酌。香住の余韻に浸る。
「また行きたいなあ・・・・・・」
すっかり虜になってしまった模様です。
香住、また会いに行きます!次も絶対宿泊付きで!
これがジオパークだ!(第5回 香住・ジオパークフルマラソン 後半)
ジオパークって?
ジオ「(geo)」は、地球や大地という意味の接頭語で、ジオパークとは、科学的に見て特別に重要で貴重な、あるいは美しい地質遺産を含む一種の自然公園です。 地質や地形は、地球の歴史を物語っているだけでなく、人の暮らしや文化に直接結びついています。この大地の営みをひとつの遺産として学び、楽しむのがジオパークです。
山陰海岸ジオパークHPより
2018年4月28日(土)。
この前に記した通り、香住の民宿に宿泊。それは、この日催される香住ジオパークマラソンに参加するため。
5時半に起床。6時半に民宿が出してくれた朝食をいただき、7時半に会場となる香住漁港へで向かう。なお、香住漁港までは、民宿の方のご厚意で車で送っていただいた。何から何までお世話になりました。ありがとうございます!
ーー
さて、車で5分ちょいで会場に到着。
(朝、無風状態であったことを旗たちが教えてくれる)
会場に到着すると、すでにランナーが集まっている。私自身の興奮も高まる。
気温:朝一で18度くらい?これが昼にかけて23度くらいまで上昇していく。
湿度:快適
風:朝はなかったが、開始とともに少しずつ強くなる。それでも、ランニングにはほぼ影響なし。
天気は快晴。半袖短パンでも寒さを感じないくらい、心地よい天候であった。
着替えを済ませ、荷物を預ける。そして、8時半くらいに最終トイレへ。
余談だが、このトイレが見事であった。
それは、ランナーがトイレを使うたびに水道ホースでトイレを逐一掃除する奥方たちがいたからである。マラソン大会のトイレがあまり衛生的ではないのはお決まりだが、この大会ではピカピカであった。そういった細かいところまでランナーに配慮してくれていたのは感動ものであった。
ーー
さて、準備はこれ以上ないくらい万端。これも、金曜日に有休を取ったことが大きい。我が選択はまったくもって間違いではなかったわけである!(いつまで気にしてる)
ところで、今回参加した香住ジオパークマラソンは、事前情報として2つの特徴があるように思えた。
①コースから見える 景色が最高!
②高低差がえげつない
①は特に楽しみなところ。是非ともその景色を楽しみながら走りたいものである。一方で、気になるのが②の高低差。
コースマップをみると、こんな感じ。ちょっと見えづらいけど、下の緑色のやつ。
前半。
後半。
実際にどのくらい高低差があるのか、他のマラソン大会と比較したわけではないからよくわからない。
少ない経験から考えてみると、私が愛する秋田の大会である「田沢湖マラソン」は、高低差が92mあった。……あれは相当に地獄だった。大げさではなく脚が固まった。そして、翌日はこれまでにない筋肉痛だった。
あれほどではないにしても、高低差80mがかなりキツイことは想像できる。
さらに、アップダウンの回数が非常に多い。田沢湖マラソンは極端にきつい高低差があったが、回数という点で言えば、香住ジオパークマラソンの方が頻度が多い。やはり、癖の強いコースということになるんだろう。
ともかく、できる限り最初はとばさず、後半にスタミナを残すことを事前に心がけた。
さて、9時に予定通りスタート!
○スタート〜10km。
スタート早々、ふくらはぎのあたりが少し張ったような感覚がする。これからアップダウンが何度も訪れるというのに、幸先の悪いスタートである。
スタートしてすぐに海岸沿いコースに突入。
あたりのランナーを見ると、スマホを片手に、走りながら写真を撮る人が結構いることに気づく。なかには、わざわざ立ち止まって記念撮影をする人も。
(まあ、こういう楽しみ方もありだよな。)
と思うくらい、海岸は絶景だった。
どう絶景だったのかって、写真を載せて説明したいところだけど、写真を撮ってないので割愛。文章では伝えきれない美しさが、そこにあった(気になる方は他の方のブログ見るか、来年走ってください)。
○11〜20km。
ふくらはぎの張りは、走るにつれて緩和していった。ただ、別の問題で苦しむことになる。それは、
スタートからペースが思うように定まらない
ことであった。
高低差が激しいため、どうしてもノボリでペースが落ち、クダリで一気にペースが上がってしまうのである。できる限りイーブンペースに努めるのだが、そうするとノボリの時に一気にきつくなる。そして、ノボリのタイミングではかなり息がアガッテしまった。
(脚の筋肉もスタミナも、これじゃ最後まで持たんぜ・・・・・・)
とゼハゼハしながら思っていると、15kmあたりで視界に大きな集団が目に入る。
おなじみの4時間ペースランナーである。その周りを多くのランナーが取り囲む。
(思いのほか早い段階で4時間ペースランナーに追いついたな。・・・・・・さて、どうしようか)
このまま4時間ペースランナーを追い越すか、この団体にくっついていくかーー少し考えたが、すぐに結論が出る。私は集団を追い抜き、再び始まる大きなアップダウンに向かった。
(気合を入れていこう。全ては走りおわった後のカニのために!)
開始してからおおよそ2時間。時間の経過とともに気温はどんどん上昇していく。エンドで配ってくれていた氷と水で体を冷やす。また、スタミナ維持のために、いつもはあまり食べない給食のバナナにもこまめに手を伸ばす。
そんなこんなで、後半戦に突入。
○20〜30km。
男性「がんばれがんばれ!もうすぐ折り返しだ!」
「ありがとうございます!」
男の子「がんばれー」
「ありがとう!」
女の子3人組「(遠くから)せーの、がんばってくださーい!」
「ありがとー!」
女性「がんばって下さい!」
「ありがとうございます!(君のために頑張るからね)」
私設エイドの方々「がんばってくださーい。焼肉にビールもあるよ!エネルギー補給してって〜!」
「・・・・・・あはは(食えるか!笑)」
高校生「がんばってください!」
「ありがとう!パチン(ハイタッチ)」
おばあちゃん「ほらがんばれがんばれ〜」
「ありがとうございます!」
本当に声援が途絶えない。都市部で催されるような大会と比較すると、応援してくれる沿道の人数は決して多くはない。それでも、一人一人の応援が、なんというか、非常に力強い。そして、とても心地よかった。
感謝の気持ちはもちろんだが、疲れた自分を鼓舞するために、できる限りお礼を返す。これは効果絶大で、おかげで気持ちを維持できた。
もちろん、山の奥の方に入ると、住民がいないところも出てくる。だが、その時は、海岸から聞こえる波の音や、潮風で揺れる木々の音が私を励ましてくれる。
香住に関わる全てのヒトと自然が一つになり、私というちっぽけな男の背中を力強く押してくれているように思えた。
(あ、ジオパークってこういうことか…?俺は今、ジオパークを精一杯楽しんでるんだ!ジオパーク!ジオパーク!)
と、妙な興奮を感じながら走り続ける。
○30km〜ラスト
30km地点に控える最後の高低差。それでも、前述の声援と香住の自然に力を借りて走り続ける。
余談だが、先をいって折り返してきた「 3時間30分ペースメーカー」の方からも
「ファイトファイト!」
と熱い声援をいただく。あの姿、本当にカッコよかった。いつかあなたの近くで走りたいものです。
最後まで歩くこともなく、そして、極端にペースを落とすこともなく、ゴールに向かい--
無事, ゴールイン!
ーー
ゴール後は、高校生らしき青年に計測チップを外してもらう。いつもならばヘロヘロになって更衣場所に向かうか、邪魔にならないところで寝そべってしまうところ。
だが、本大会ではゴール近くにイスとコールドスプレーと氷が置いてあり、そこで休憩とケアができるようになっていた。最後まで何という気配りぶりだろう。ゆっくりアイシングしながら己の足をいたわる。こんなの初めてであった。
完走証を受け取るときにも、元気な中学生?たちがランナーを元気に迎える。「こっちです!こっちです!こっちです!」と、思わず笑ってしまうほどに元気であった笑
その後は手荷物を受け取る。その手荷物受取の中学生?たちも元気に対応。
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クタクタになりながら、完走賞品を受け取る。(これまた豪華。これについてはまた後日)
そして、ランナー全員に配られたのがこちら。
カニ半身にカニ雑炊にサザエにバナナ。まったく、なんという豪華な食事であろう!これを港から見える海岸を眺めながら食べられる贅沢さよ。ジオパーーク!
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本当に、この香住ジオパークマラソンは、町全体でサポートしてくれているのだと感じたのであった。芸能人や有名ランナーはいないけど、この大会には多分必要ないですね。
全てにおいてとても大満足なマラソン大会であった。来年の参加は必至ですね!今のうちに有休申請しとこ。
あ、ちなみにタイムですが、
3時間43分くらい
でした。一応、自己ベストを2分弱更新!このコースで自己ベスト更新できたんだもの、次はもっといける…カニ?
以上、やっぱりマラソンっていいなあ、ってあらためて思える大会でした。まだまだマラソンは奥深い!
おしまい。
癒しの地、香住 (第5回香住・ジオパークマラソン大会 前半)
金曜日。
昼前。自宅にて。
「さて、そろそろいくかーー」
てれてんてってて、てっててててててー(着信音)
「は、はい、焼き芋です」
ノワゼット先輩「あ、もしもし。今大丈夫?」
「えっ、はい大丈夫です」
ノワゼット「実はチョメチョメ株式会社から急遽発注が来てしまってさ。5月1日必着だって。それで、納品先がホンニャラ株式会社なんだけど、そこの担当、おまえだろ?悪いんだけどホンニャラさんに5月1日納品可能かどうかの確認をして欲しくて」
「あ、は、はい。承知しました。すぐに」
ノワゼット「……あれ、いまお前どこにいんの?」
「えっと、実は家でして。今日、休暇をいただいておりました。でも、大丈夫です。対応しますので」
ノワゼット「え?休みだったの?そりゃ悪かった。じゃあ、俺が対応するよ。でも、どうした?体調悪いの?」
「え?・・・・・・・ええ、まあそんな感じ?ですね」
ノワゼット「なんか声もおかしいなあ。大丈夫か?気をつけろよ。とりあえずお大事に」
電話が切れる。いつもにないくらい優しい口調であった。それが妙に心苦しい。
実はマラソン大会のために有休をとっただけなんですう(上司の許可済みです)
なんていったら、ノワゼット先輩、なんていうかしら。まあ、笑って済ましていただろうね(笑)
さて、4月28日(土)このマラソン大会に参加させてもらいます。そのために有休とりました。
【大会名】
【場所】
【コース特徴】
・世界ジオパークネットワークに加盟している「山陰海岸ジオパーク」の中心に位置する香住海岸に沿ったコース。自然美の中を駆けるダイナミックなコース設定!
・高低差が非常に多い。最大なんと80m。
【参加規模(フル)】
1000人前後
【スタート】
4月28日(土) 9:00
【制限時間】
6時間。
香住は蟹の名地。そして、世界ジオパークにも認定されている素晴らしい所なのである(ジオパークを調べてみてもよくわからなかった。ただ、自然・生態系の美しさや稀少さだけではなく、人が作る文化や産業が自然・生態系と調和がいかに取れているか、というところがポイントらしい)。
あと、余談だけど、NHKで放送された「女子的生活」というドラマの舞台の地でもある。本当に余談ですね。一応、事前に全部観ておきましたが。
さて、このマラソン大会、4月28日の土曜日にスタートする。現地に近ければいいが、私が住む大阪からこの大会に参加するとなると、どうしても金曜日中に香住に前泊しなければならなかった。
そこで、有給を使って会社をさぼ・・・・・・休んだわけである。だってしょうがないじゃない!そうしないと参加できなかったんだから!!普段頑張ってるんだからいいでしょ!?(大して頑張ってないとか言うなよ?言い返せないからな?!)
というわけで、昼過ぎに家を出て、大阪から電車でゆっくり4時間弱かけて香住駅に向かった。電車ではぼんやり景色を見たり、うたた寝して過ごす。この時間がとても心地よかった。こう言うの、最近なかったよなあ、と思う。
香住駅に降りる前に、ひとつだけ観光に立ち寄る。
香住駅の2つ先の駅である餘部(あまるべ)駅で降りる。そして、ここには我が国有数の橋梁で、明治45年に作られた餘部鉄橋がある。
ただし、現在の餘部鉄橋は、昭和61年の列車事故の影響で、平成22年に作り変えられたものである。この写真は一回、駅を出て撮りました。撮影スポットもあります。
そして、旧餘部鉄橋は一部姿を残し、今は「空の駅」として愛されている。天に近いところから見る日本海は、これまた絶景なり。
(イカす案内だぜ)
(明治45年に作られた旧餘部鉄橋の一部)
人気のないこの駅で、椅子に座りながらぼんやりと過ごす。風が山の木々を揺らす音と、鳥の鳴き声、そして遠くで聞こえる電車の音だけが静かな空間に響く。五感でその空気を味わう。本当に、こう言うの最近なかったなあ。
ーー
駅に到着すると、今夜宿泊する民宿の従業員の方が車で迎えに来てくれていた。
民宿はとても素晴らしい。部屋は広いし綺麗だし、料金も実に良心的。こういうマラソン大会前って、宿泊費を上げるところが多いと思うけど、この民宿は通常よりも五百円安くしているらしい(せっかく遠くから来てくれているから、だって)。全く、なんという心遣いだろう。
まあ、強いていうなら、晩御飯がコンビニ飯だったのが少し残念。途中で買ったコンビニおにぎりとコンビニそうめんとあんぱんを食べる。嗚呼、カニが食いてえ!
明日走り終わったら、カニを食いまくってやるぜよ!
さて、最後に、今回の大会案内に同封されていたお手紙を一通ご紹介。
地元の小学生の女の子の手書きのお手紙。こんな可愛い子から応援されるなんて、なんという幸せ者だろう。最後まで諦めずにガンバロウ。
走る前から心癒される大会なのであった。こりゃ有休とる価値があったってもんだよね(ねっ、ねっ)