ギザ十な日々

2人の息子と妻との日々を書いています。

『魔女の宅急便』を英語版『Kiki's Delivery Service』で読んでみる

 

 

1週間ほど前、気まぐれで英語で何か小説を読んでみようと思い、Amazonで英語の本を探す。あまり難しすぎず、なんとなくストーリーをつかんでいるような作品が良いかなと思って探してみると、『魔女の宅急便』が2020年になって英語版で新しく出版されていたことを知る。

 

 

 

表紙のかわいらしさに30すぎのおっさんは強く惹かれ、こちらを電子版で購入し読んでみる。ただ、すべてスムーズに読めるわけがないので、補助として日本版の『魔女の宅急便』も図書館で借りておいた。極力辞書を使わずに、気軽な感じで読もうと思ったのである。

 

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1週間ほどかけて、ゆっくり読了。全体の感想としては、

 

  • 宮崎駿のヤツとは大分違うんだなあ。あっちはあっちでとてもいいけど。
  • キキがかわいくて女の子がほしくなった。小学生の頃に読んでいたら、きっとキキに恋していただろうな。

 

という感じ。しょうもない感想ですね。ただ、英語の勉強にはなったと思います。

 

翻訳が日本語版に非常に忠実で、翻訳者の原作に対するリスペクトがうかがえた。ただ、1カ所気づいたのだが、黒猫のジジの「とある発言」が翻訳で表現変更されていた。もしかして、少し男女差別的な表現になるのかな?少し前だったら全く気にならなかったけど、児童文学だから気にするのかしら。理由は定かでは無いけれど、そういう発見があるのも面白かった。

 

 

最後に、本の内容について。

 

キキが海の見える街コリコにたどり着いたとき、住民からはキキが魔女であるが故に奇異のまなざしと冷たい言葉を向けられる。宅急便の仕事を始めても、住民からは全く依頼が無く途方にくれてしまう。

 

そんな状況の中、キキは黒猫ジジに次のような言葉をつぶやく。

 

Witches have never done anything wrong. They might be different, but humans are so quick to decide that anything they don’t understand is evil. I thought that was an old-fashioned idea, but—”

Kadono, Eiko. 『Kiki's Delivery Service』 (p.51).

 

「もともと魔女は悪いことなんてしていないのよ。変わったことはしたかも知れないけど・・・・・・人間って自分で理解できないことは、かんたんに悪いことにしちゃったのよね。そんなことは昔のことだとばかり思っていたのに・・・・・・」

角野栄子魔女の宅急便』P69より

 

なんとも悲しい言葉である。

 

 だが、パン屋のおソノさんやメガネのとんぼをはじめ、住民たちと交流を重ねるうちに、だんだんとキキは街に溶け込んでいく。そして、終盤、キキは街に来た当初の悲しみに自ら答えるように、母親であるコキリさんに以下のように話す。

 

“Mom, I’ve been thinking that witches shouldn’t always rely on their brooms. Of course, with my new business I’m usually delivering things in a hurry, so I need to fly. But sometimes it’s good to walk. When you walk, you end up talking to all sorts of different people even if you don’t even want to, you know? I met Osono because I was walking. If I had flown to distract myself from how sad I was, who knows how I would have ended up? And when people see a witch up close, they realize that we don’t all have pointy noses and gaping mouths. We can discuss things and maybe come to understand each other.”

Kadono, Eiko. 『Kiki's Delivery Service』 (p.187).

 

「かあさん、あたしちょっと考えたんだけどね、魔女はね、ほうきにばかり乗って飛んでちゃいけないんじゃないかって思うのよ。そりゃ、おとどけものはいそぐから、飛ぶのはしかたないんだけど・・・・・・でもときどきは歩いたほうがいいんじゃないかしら。だってほら、歩くといろんな人といやでも話すことになるんじゃない?おソノさんに会えたのも歩いていたからだし・・・・・・あのとき悲しまぎれに飛んでたら、どうなってたかわからないもの。反対にむこうだって、魔女を近くで見れば、鼻がとんがって口がさけてるんじゃないってわかるでしょ。それにお話もできるし、おたがいわかりあえると思うの・・・・・・」

角野栄子魔女の宅急便』P235より

 

なんだかこの言葉がとても響いた。年を取れば取るほど、この言葉通りに行動することができなくなっていく。だが、年を取れば取るほど、この言葉を実行する勇気が求められる。・・・私もキキを見習わなければ。

 

 

単純な児童書と侮るなかれ。『魔女の宅急便』、小説版もおすすめです。

 

 

お食い初め、外でやるか家でやるか問題。

 

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妻「ねえ、どうする?行く?行かない?」

 

「うーん・・・」

 

妻「ねえ。一家の大黒柱でしょ?もう決めちゃってよ」

 

「そういってもね。(実際、こういうことを決める際は、いつも貴女が意思決定してるじゃん」

 

妻「・・・もう決めた!やっぱり行こう!」

 

「・・・うん。そうね(どうだか)」

 

妻と話していたのは、息子タロウのお食い初めのことである。

 

www.oiwaizen.com

 

赤ちゃんが産まれて100日目に行われる伝統的な家庭内イベント。その子が一生食べ物のことで困らないように、用意された食べ物を食べる真似をするのである。調べてみると、いろいろな作法があるようだ。

 

私たちの問題は、このお食い初めを飲食店でやるか、それとも自宅でやるか、ということ。

 

2つの気持ちの間を毎日のように往復する妻。

 

【外でやりたいの妻の気持ち】

  • 外でやった方が美味しい料理が食べられる(すでに和食のお店を仮予約している)
  • 予約しているお店は個室なので感染リスクは低いはず
  • 帰りに神社とかアカチャンホンポとかにもいける
  • 家だと準備が面倒。もう二度と使わない容器も用意しないといけない。
  • ネット注文のお食い初め料理のレベルが心配

【家でやらなきゃの妻の気持ち】

  • どんな対策をしても、息子を感染させることが怖い。
  • 友達や親にお食い初めの報告がしづらい。世間に言えないことはするべきでは無い。

 

私はどちらかというと、外でやりたい気持ちの方が強い。それは息子タロウのためというよりも、自分たちのためだが。せっかく和食料理屋を予約しているのである。外食なんてしばらくしていないし、お食い初めの際に、私も美味しい天ぷらそばが食べたい。あと、外出もほとんどしていなかったので、今回をチャンスに外に少しでも出たい。

 

 一方の妻は、外でやれるならやりたいけど、もしも感染したら大変なことになるし(ワクチンも打ってないし)、外出制限を徹底している友達や、医療従事者の友達に当日のことを報告できなくなる、とのこと。まあ、それもよくわかる。

 

別にどっちが良い悪いでは無い・・・のだろうけど。妻は冒頭、外でやろうと言っているけれど、おそらく最終的には家でやることになるんだろうな、と思う3日前の夜である。当日のことは別に書こう。

 

息子タロウには、将来、「こんなことで悩むような時代だったんだよ」、と言うことになるのかな、とふと未来に思いを寄せてみたりーー。

 

 

動物たちの子育て事情が面白い。 『正解は一つじゃない 子育てする動物たち』

 

 

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 新型コロナの影響で家にいることも多いので、読書をする時間が増えた。そして、最近は子育てに関する本をよく読んでいる。

 

・・・でもまあ、子育て本って、正直、母親に向けられたような内容が多い。男性向けに書かれた本もあったので何冊か読んでみたが、

 

「子育てに非積極的な日本の男性の皆さん、もっと子育てに参加しましょう!」

「子育て中の母親って、こんなに大変なんだよ!」

「子育てに参加しないと、待っているのは熟年離婚だよ!!」

 

という論調が多いので、読んでいてしんどくなる。いや、そういう本はそういう本で大事なのはわかりますよ?私もしっかり勉強させて頂きました。でも、そこからもう一歩踏み込んで、もっと子育てに対して好奇心が湧くような内容の本が欲しかったのである。脅迫よりも理屈で動く男たちの気持ちを、もっと出版業界は理解してほしいものである(何様)。

 

 

そんな中で見つけたのがこの本。子育てに対して新しい視点をくれる実に興味深い本であった。

 

 

 

動物の子育ては多様であり、完全に育児をしないという戦略をとるものもあれば、ひとりで子どもを育て、時には自分を犠牲にしてまで子どもを守るものもあります。同じ種だからといって、皆が同じことするわけでもなく、種内でも多様性があります。性別によって子育てへのかかわり方が違うものがあれば、同じ性別の個体でもその時々によって異なるやり方をするものもあります。そういった子育てを見てみると、ヒトと似ていると思うこともあれば、信じられない!と思うこともあるでしょう。こういった子育ての多様性は、進化的な意味がある、つまり、他の動物がいたり自分の遺伝子を子世代に残すかという課題を解決しようとした結果ととらえることができます。

はじめに より

 

様々な種類の動物の子育て事情をまとめた本。全部で22章となっており、各章を若手の研究者が担当しており、自身が研究している動物の子育てについて記している。

 

子育てのハウツー本ではないので、すぐに動物たちの子育てが私の子育てに役立つわけでは無い。それでも、子育てに対する好奇心は強く刺激される。そして、子育てという興味深い活動に自ら向き合いたいと思いたくなる本。研究者が書いた本だが、文章はとてもやわらかく、一般向け、特に子育て中の人たちに向けて書いているように感じられた。

 

 

他の動物たちからみたら、ヒトの子育てって、どう見えているんだろう?「なんでオスがそんなに子育てに参加するんだ?」とか「なんでオスは子どもを殺さないんだ?メスが子どもに夢中で交尾しなくなるだろ」とか「そもそも、なんで自分の子どもって分かるんだ?」とか「頼りないオスだな。もっと子育てに参加しろよ」とか「自分で育てるなんてバカだな。俺なら他の動物に任せるよ」とか・・・いろいろ思うのかしらね。

 

そんな好奇心くすぐられた一冊、理屈っぽいお父さんにお勧め。

 

 

 

 

メモとして、 印象的に残った動物の子育てを下記にまとめておく。

 

○マウス

親マウスは子を口でくわえて運ぶ『回収行動』を行うが、その際、子マウスは体を丸めたコンパクトな姿勢で大人しくなる『輸送反応』を示す。これは、猫やライオン、リスなど、多くの哺乳類の子どもで見られる反応。輸送反応では、心拍数の低下、泣き止み、おとなしくなるという3つの要素が同時に起こる。

輸送時間が長い=子どもにとっても親にとっても緊急事態にさらされている可能性が高い。この時にもしも輸送反応が適切に起こらないと、子どもは親から捨てられてしまうかもしれない。

輸送反応は人間の子どもでも同様に示される。それは、哺乳類の原始的な反応ということか?

www.bcnretail.com

参考)筆者論文を取りあつかった記事。

 

○ハト

・父親も母乳(正確に言うと「そのう乳」と呼ばれるミルク状の物質)で子育てに参加している。穀物を主食とするため、そのま口移ししてもヒナが摂取することができない。ペンギンやフラミンゴなどの鳥類も同様のそのう乳を与えることができる。

 

・ハトの夫は偉いとか言っている場合では無い。人間には粉ミルクという叡智があるのだ。そのう乳が作れなくたって、育児に参加する方法はいくらでもある。

 

○クマ

クマは冬眠時期に出産を行う。妊娠期間は2ヶ月と非常に短い。実際の交尾は夏の時期に行うが、人間のようにすぐに妊娠開始(胚の着床)とならない。それは、胚の発育が途中で停止するから。実際に着床し妊娠できるのは、秋に栄養を十分にため込むことができたメスだけ。おそらくそれは、冬眠時期に栄養不十分だと、母親と子供の両方の命が危険になるから?

なお、秋に栄養をため込むことに専念するため、雄とも交尾をしない。一方の雄は、子供を邪魔に思うのか、故意に行う。子供の死因の85%はオスの子殺しである。

 

母親と子供の関係は、子供の性別によって変わってくる。子供がオスの場合、子供は生まれ育った場所から大きく離れ、新たな場所で生活を始める。子供がメスの場合、母親の直ぐそばで生活することがあることが知られている。理由は分からないけど、人間も同じ?

 

○オオカミ

オオカミとイエイヌの子育ての違い。オオカミは父性が強いが、イエイヌは父性が存在しない。進化の過程で失われる父性。基本的に核家族となるオオカミの子育てに対する父親の姿は、何か共感を感じる。

 

 

 

 

 

「伯方の塩」に関する発見メモ(休憩中のラジオにて)

 

昼過ぎ。

 

遅めの昼休憩をラジオを聴きながら過ごす。これも在宅勤務の特権だろうか。いや自由にお客様のところに訪問できていた時は、、車の運転中ずっとラジオ聞いてたっけ。あの頃が懐かしくうらやましい…。

 

流れてきたのはお笑いコンビナイツの番組。あ、ナイツ、好きなんです。

 

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このラジオで紹介されていたのが、『伯方の塩』のCMで有名な

 

は・か・た・の・しお

 

というフレーズについて。このフレーズに関連して、とある演歌歌手が紹介されていた。それが高城靖雄さんという方。

 

www.youtube.com

 

これは「男龍」という曲。この曲の中で、「は・か・た・の・しお」と同じメロディーで「お・と・こ・の・あせ」という歌詞があてがわれている。1:48あたり。

 

ラジオでは、この方が伯方の塩のCMの声の人として紹介されていた。しかも、元々この曲があって、替え歌としてCM部分を歌ったそうな。まさかあのCMの人が演歌歌手で、このフレーズが男龍という歌が由来だったとは知らなかった!

 

 

・・・でも、なんだか、私が知っている「は・か・た・の・しお」とは少し違う声のような。

 

www.youtube.com

 

うーん、聞き比べてみると、やっぱり違うような。高城氏は少し優しい声で、CMの方はもっとパンチが効いているというか・・・。

 

気になってもう少し調べてみると、CMのは初代で、1987年から使われているらしい。ただ、1996年から7年間ほど、高城氏の声で置き換わっていたらしい。つまり、高城氏は期間限定ということのようだ。なんだ、ナイツのラジオ、間違ったこと言っていたのか。

 

・・・と、ここまで書いて、念のためRadikoでもう一度ナイツザ・ラジオショーを聴き直してみる(日中は途中でラジオを消して仕事に戻ったから)。

聴き直してみると、ラジオリスナーからのメールで、上に書いたことと同じことがしっかりと付け加えて訂正・説明されていた。そして、高城氏の「男龍」という曲は1997年に発売されたらしいので、歌よりもCMの方が先にあった模様。ナイツの土屋さんからは「完全に便乗じゃん」と笑われていた笑

 

でも、本題とは別に、この「男龍」という歌、高城氏の声含めて結構好きな感じの曲です。

 

あばれ太鼓に 龍が翔ぶ
熱い男の 龍が翔ぶ
白い綿布を つき破り
惚れた女子の乳房ん中

※どんどん せっせ どんせっせ
山がぐらりと ゆれるほど
どんどん せっせ どんせっせ
男 いのちの 昇り龍 男の汗※

みだれ三味の音 龍が哭く
赤い火を吹き 龍が哭く
二尺三寸 胸板に
抱いた女子の 活造り

どんどん せっせ どんせっせ
海がざんぶと 荒れるほど
どんどん せっせ どんせっせ
男 いのちの 昇り龍 男の汗

 

  

歌詞はかなりぶっ飛んでいますが。隠れた名曲?に出会えた、そんなちょっとした幸福(ギザ十的な)メモでした。

 

 

夫の私も母乳が出たらどんなに良いだろう、と思ったり思わなかったり。

 

夜。

 

タロウ「うぎゃああ、うぎゃあああ!」

 

「おお、よしよし、眠いのか?眠くないのか?おむつなのか?ミルクか?ミルクじゃダメなのか・・・ダメだ。ねえ。母乳みたいよ」

 

妻「え?ああ、はいはい。ちょうど張ってきたとこだから。はいはいタロウちゃん、ちょっとまってね」

 

妻が準備ができたところで、ギャンギャン泣いている息子のタロウを渡す。そして、むさぼるように妻のおっぱいに吸い付く。

 

「うーむ。やっぱり泣き止みおった」

 

妻「お腹空いていたんだよね~」

 

「いや、粉ミルクじゃダメだったのよ。おっぱいじゃなきゃダメなのよ」

 

妻「一杯吸って良い子だねー・・・って、痛い痛い!タロウちゃん、強いって」

 

強烈に吸い付く息子を嬉しそうにあやす妻。

 

 

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生まれたての頃は、妻も母乳のことでよく悩んでいた。母乳が出るマッサージのyoutubeを観ながら真剣にマッサージをしていたし、時には助産師を呼んでマッサージしてもらったりもしていた。食生活にも気を遣い、母乳に効きそうな物を手当たり次第試していた。タンポポ茶なるまずいお茶や、苦手な甘酒も毎日のように飲んでいた。それでも、即効性のある物というのはなかなか無く、母乳が思うように出ないときはよく落ち込んでいた。

 

そんな妻も、タロウが産まれてから1ヶ月経過したあたりから順調に母乳が出るようになった。妻はそのことをとても喜んでいた。無論、わたしもホッとした。私の場合、母乳が出たことよりも、妻が育児の不安から少しでも解放されたからだったかもしれないが。

 

母乳の問題は、新しくお母さんになった人たちにとって最も大きな悩み事の1つだろう。個人差が大きく、少なすぎても多すぎても悩ましいが、母乳について無責任な言葉(『粉ミルクだけだと免疫的にねえ』とか『私は完全母乳だったよ』とか『母乳いっぱいでるならいいじゃん』とか『粉ミルクでも母乳でもどっちでもいいよ』などなど)を軽はずみに吐くと、一生恨まれることになる。夫や姑の皆様はよくよく注意した方が良い。いや、本当に。

 

 

「・・・母乳は偉大だねえ」

 

妻「ん?何が?」

 

「いや、俺が何やってもダメだったのに、母乳与えたら泣き止むんだもの。うらやましいよ・・・おれも母乳が欲しいな」

 

妻「は?何言ってんの。あげないよ笑」

 

「いや、そういう意味じゃ無い。俺が欲しいのは母乳が出る能力だ。おれも母乳が出る力があれば、タロウを泣き止ませる強力な武器を手に入れることになるだろう。どれ、試しに一回吸わせてみるか」

 

妻「ダメ。やめて。将来、タロウがぐれそう」

 

 

というわけで、妻の反対によって断念。

 

 

余談だが、ハトのオスは私がうらやむ「母乳を生成するチカラ」を持っているらしい。少し前にそんな本を読んだ。

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正確に言うと母乳では無く、「そのう」と呼ばれる食道と胃の間にある消化器官で生成された液体である。それは「そのう乳」、別名ピジョンミルクと呼ばれる。硬い穀物を主食とするハトは、そのままヒナに口うつしすることができない。そのため、一度親鳥が穀物を消化してピジョンミルクを生成し、それを口移しする必要があるようである。そして、このピジョンミルクを作る能力は、メスに限らずオスにもあるということである。ああ、うらやましい。

 

公園や駅前にいるハトをなんとなく毛嫌いしていた私だが、育児の視点で言えば、オスのハトのイクメンっぷりに恐れ入る。そして、ミルクを作れる能力がとてもうらやましい。私だって母乳が出たら、今以上に育児に参加するというのに。いや、これ、本当にそう思うんだけど・・・。

  

 

母乳に憧れを持つなんて、今後の人生でもそんなに多くなさそうなので、とりあえず日記に思いをまとめてみた次第。・・・と、ここまで好き放題書いてきたけど、乳が張って眠れない、と辛そうにしている妻の姿を見ると、あんまりいい加減なこと書いちゃいけないよな。なんて思ってみたり。

 

 

 

 

 

ちょっとした幸福メモ(近所のスーパー)

 

 

日曜日。

 

3ヶ月の息子の絵本と私用の本を借りに、近所の図書館に行く。

今週は在宅勤務メインで、ほとんど外出することが無かった。外に出るとやっぱり体が喜んでいる気がする。

 

ーー

図書館で絵本を数冊取り、予約していた本を受取る。

帰りに妻から頼まれていた焼きそば用の生麺を買いにセブンイレブンに立ち寄る。だが、お求めの焼きそば麺が売っていなかった。

 

(仕方ない。スーパーに寄ってみるか)

 

妻はセブンイレブンのやきそば麺が好きなのだが、コレばっかりはしょうが無い。同じメーカーの麺(シマダヤ)を買えば問題なかろう。

 

スーパーで麺を購入し、リュックに入れていると、

 

女の子1「アジャラモクレンテケレッツのパー」

女の子2「アジャラモクレンテケレッツのパー」

 

と、小学高学年くらいの女の子2人がアジャラモクレンテケレッツのパーと何度もつぶやいている。

 

(・・・なんだなんだ?)

 

アジャラモクレンテケレッツのパー」は落語『死神』に出てくる死神を消すための呪文である。小学生の中で流行っているのだろうか?まあ、夏だし、死神の話をどこかで聞いてもそんなにおかしくは無いのだろうか?

 

家に帰って調べてみると、米津玄師の最近の曲で「死神」というのがあることを知る。

 

www.youtube.com

 

コレかどうかは知らんけど、まあ、多分コレなんだろうな。

 

何気ない買い物で世間の流行を知れるって、よく分からないけどちょっとだけ幸せな気分になりました。在宅勤務やっていると、こういうのが無かったんだなあと、ふと思ったのでありんした。

 

 

「至急」という言葉に見え隠れするサラリーマン事情

 

 

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金曜日。夕方。在宅勤務。

 

私はパソコンの前で少しイライラしていた。

 

昨日、部長から

 

「今月のうちの部の顧客別の売上状況をまとめてほしい。あと、各営業担当者に、なぜ売上が増減したのかの理由を記載してもらってくれ。期日は明日金曜日の終業時までによろしく。月曜朝一の会議で使うんだ」

 

と突然命じられる。私は自分の他の仕事の脇に置き、慌てて売上資料をエクセルにまとめる。そして、営業全員にメールを発信する。

 

各位

お疲れ様です。

添付の資料に、各担当で売上が増減した理由を記入してください。期日は金曜日の終業時刻までとさせて頂きます。お忙しい中恐縮ですが、よろしくお願いいたします。

 

といったメール。大体の同僚は

 

(あ、これは部長からの命令だな。こりゃ、さっさとやらんといかんな)

 

と思って対応してくれる。

 

・・・しかし、残念ながら全員が同じ気持ちになるわけではなく、いつも2~3名は期日までに記入がされていないものである。そして、それはだいたい同じ人である。

この日もまた、終業時刻が過ぎた段階で、いつもの2人が記入がされていなかった。私はイライラし、

 

リマインド

まだ提出されていない方は何卒、いそぎご対応をお願いいたします。

 

と送る。ただし、特定の2名宛では無く、営業全員宛に送る。2人だけを宛名にし、CCに部長を入れて責めることもできる。だが、残念ながらこの2人がいずれもうちの営業部署のベテランと言うこともあり、あまり高圧的になれないのであった(仮にベテラン営業で無かったとしても、それをやる勇気は私には無いのだが)。 

 

 

そんな折、経理部の人からメールが届く。

 

ヤキイモ様 

お疲れ様です。

チョメチョメ(株)の7月15日分の売上について、入金が確認できておりません。至急、入金日を確認頂きますよう、よろしくお願いいたします。

 経理部 中田(仮)

 

 

「・・・なんだこりゃ。至急って、こんな終業後にどう至急確認すればいいんだよ」 

 

いきなりよく分からない内容で、しかも「至急」とはどういうことか。しかも至急を赤字にしているとは。経理部の理不尽なメールにますますイライラする。

 

すると、その直後に会社スマホが鳴る。経理部のベテラン栗山(仮)さんからであった。なお、上記のような催促メールは、いつも栗山氏から来ていた。

 

栗山さん「あ、ごめんね。さっき、中田くんから連絡来たと思うけど」

 

「ええ。中田さん。そうですね。至急と言うことで」

 

栗山さん「あの子、新入社員君なのよ。だから、サポートで電話したんだけどね。で、さっきのメールなんだけど、--事情はこうこうこういうわけ」

 

「ああ、なるほど」

 

栗山さん「まあ、彼、『至急』って書いていたけど、こんな時間だし、来週に対応してもらえるかしら」

 

「ああ、わかりました。できる限り早めに対応します」

 

ということ。ひとまず、今日中にどうこうしろ、ということではないようであった。

 

 

どうやら、

 

新入社員中田君が上司に指示されてメール。

(おそらく)上司の栗山さんから、急ぎ処理する必要があることを伝えるためにそのように書くように指示された。もしくは過去の栗山さんのメールをCCに入れられながら勉強したために、「なるほど、急ぎの時は『至急』って書けば良いんだ」と学んで送った。

終業時刻を過ぎた時間に「至急」メールを私宛に送ってくる。

 

ということのようだった。

 

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 サラリーマンで「至急」と書かれたメールを受けて喜ぶ人はおそらくいないだろう。それどころか、多くのサラリーマンは不愉快な気持ちになるに違いない。少なくとも私は顧客に対して『至急』という言葉を使ったことは一度もない。なんとかこの危険なワードを使わずに相手に素早く対応してもらうようにするのが営業という仕事である(多分)。

 

身内に対しては何度か使ったことがあるが、それも相手がよっぽど期限を守らなかったり、相手に落ち度があることが明確なときくらいだと思う。冒頭の先輩社員2人に対しても、さすがに期限を1時間過ぎたくらいじゃ「至急」というワードは使わない(まあ「いそぎ」、は使ってたけどね)。

 

それくらいサラリーマンにとって「至急」という言葉は重いのだ。新入社員の中田君よ、そこらへん、わかっているのか?

 

 

・・・とは言いつつも、新人中田君の気持ちも分からないではない。経理部の人は日常的に「至急」というワードを使うからね。そして、たいていの場合、至急を使うときは受信者に落ち度があるのが多いのが、経理部という部署である。

 

栗山さんのフォローも、なんというか、「至急」という言葉の裏に込められた本音と建て前が見え隠れする。さっきの電話も、

 

基本的には私たちは「至急」って言葉を日常的に使うし、そうしなければならないんだけど、一応、タイミングや相手を考えて「至急」を使っているのよね。でも、まだそこら辺の微妙なニュアンスまでは分かっていないだろうから、フォローの電話をしたのよ。

 

ということだろう。多分。

 

 

ひとまず、中田君のメールを無視することもできないので、お客様に請求書が無事に届いていたかの確認メールを送る。詳細な確認は月曜日になるだろうが、そこは中田君も許してくれるだろう。

 

メールを終えた後、私は自分自身の課題に戻る。先ほど、「至急」を使わないリマインドメールを送った訳だが、ベテラン先輩社員の2人は私のメールに気づいて対応してくれているだろうか。恐る恐る共有ファイルを確認する。

 

「・・・あ、書いてくれてる」

 

どうやら、ベテラン先輩社員2人とも、先ほどのリマインドメールを見て「いそぎ」記入対応をしてくれたようだった。

 

今回も至急という言葉を使わずになんとかまとめ作業を完了することができた。中田君よ、コレができるリーマンだぜ。

 

 

 

・・・だんだんめんどくさいリーマンになってきたなあ、と、ここまで書いて思うのであった。